腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:144

早期乳がん、遺伝子診断を加えたリスク評価で術後内分泌療法も省略可能に?(MINDACT)/ASCO2021

 MammaPrintによるゲノムリスクが超低リスクの患者では、8年時の無遠隔転移生存率(DMFI)が97.0%と非常に高いことが明らかになった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で、オランダ・Netherlands Cancer InstituteのJosephine Lopes Cardozo氏が、第III相MINDACT試験から、超低リスク患者の長期生存についての解析結果を報告した。  本試験は、術後補助化学療法の対象の選択において、標準的な臨床病理学的判定基準に、70遺伝子シグニチャー検査を追加することの臨床的な有用性を前向きに評価する第III相無作為化試験。これまでに、臨床リスクが高いがゲノムリスクが低い患者において、化学療法が省略できる可能性があることを示唆する結果が報告されている。

わが国のEGFR陽性NSCLCに対するゲフィチニブのアジュバント治療の結果(IMPACT)/ASCO2021

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の完全切除後の術後療法としてのゲフィチニブの有用性を検討した国内臨床試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、吹田徳洲会病院の多田弘人氏から報告された。  このIMPACT試験は日本のWJOGにより実施されたオープンラベルの無作為化比較第III相試験である。

進行TN乳がんIMサブタイプの1次治療にfamitinib+camrelizumab+nab-パクリタキセルが有望(FUTURE-C-PLUS)/ASCO2021

 immunomodulatory(IM)サブタイプの進行トリプル(TN)乳がんの1次治療として、中国で複数のがんに承認されている抗PD-1抗体camrelizumabとnab-パクリタキセルの併用に、VEGFR-2、PDGFR、c-kitを標的とした経口チロシンキナーゼ阻害薬famitinibを追加することにより、有望な抗腫瘍活性および管理可能な毒性プロファイルを示したことが、前向き単群第II相試験のFUTURE-C-PLUS試験で示された。中国・Fudan University Shanghai Cancer CenterのZhi-Ming Shao氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。

高リスク尿路上皮がんの術後補助療法、ニボルマブが有効/NEJM

 根治手術を受けた高リスクの筋層浸潤性尿路上皮がん患者の術後補助療法において、ニボルマブはプラセボと比較して、6ヵ月後の無病生存率が統計学的に有意に高く、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)発現率≧1%の患者集団でも無病生存(DFS)率が優れることが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのDean F. Bajorin氏らが実施した「CheckMate 274試験」で示された。NEJM誌2021年6月3日号掲載の報告。  研究グループは、高リスク筋層浸潤性尿路上皮がん患者の術後補助療法におけるニボルマブの有用性を評価する目的で、二重盲検無作為化対照比較第III相試験を行った(Bristol Myers Squibb、Ono Pharmaceuticalの助成による)。2016年4月~2020年1月の期間に、日本を含む29ヵ国156施設で参加者の無作為化が行われた。

術前化療後に残存病変を有するTN乳がん、術後カペシタビンvs.プラチナ(ECOG-ACRIN EA1131)/ASCO2021

 術前療法施行後にも残存腫瘍を有するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者に対する、術後の追加療法としてのプラチナ製剤とカペシタビンとの比較試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、米国・ECOG-ACRINグループのIngrid A. Mayer氏から発表された。  術前療法後に残存腫瘍を有するTNBC患者に対するカペシタビン追加投与の有用性は、すでに日韓共同のCREATE-X試験によって示唆されている。本試験は対象患者層が異なるプラチナ製剤とカペシタビンとの第III相の無作為化比較試験である。

CLL/SLL初回治療、イブルチニブ+ベネトクラクスは高リスク群でも高い有用性/ASCO2021

 慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)に対する1次治療として、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブとBCL-2阻害薬ベネトクラクスの併用療法の有用性をみた国際多施設共同第II相試験CAPTIVATEの追加解析結果について、イタリア・ビタ・サルート・サンラファエル大学のPaolo Ghia氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。  CAPTIVATE試験は、被験者を微小残存病変(MRD)コホートと治療期間を固定したFixed-duration(FD)コホートに分けて実施。MRDコホートの分析結果は2020年の米国血液学会(ASH)で既に報告されており、イブルチニブを3サイクル投与後、12サイクルのイブルチニブ(Ib)+ベネトクラクス(V)を投与したところ、3分の2以上が検出不能なMRD(uMRD)となり、さらにIb+V投与後にMRDの状態に基づいた無作為化治療を実施したところ、30ヵ月後の無増悪生存(PFS)率が95%以上と高い奏効を示した。

CLLに対するBTK阻害薬、アカラブルチニブvs.イブルチニブ/ASCO2021

 2021年3月、再発・難治の慢性リンパ性白血病(CLL)治療に対して選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬アカラブルチニブが国内承認された。アカラブルチニブの有用性を先行薬イブルチニブと比較した非盲検非劣性第III相無作為化比較試験ELEVATE-RRの結果について、オハイオ州立大学のJohn C. Byrd氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。

BRCA変異陽性HER2-早期乳がんへの術前talazoparib、単剤でpCR45.8%(NEOTALA)/ASCO2021

 生殖細胞系列のBRCA遺伝子(gBRCA)変異を有するHER2陰性早期乳がんに対する術前のtalazoparib単剤投与が、良好なpCR率を示した。米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJennifer Keating Litton氏が、第II相NEOTALA試験の早期解析結果を発表した。  本試験は、非無作為化、単群の多施設共同非盲検試験。gBRCA変異を有するHER2陰性早期乳がんに対する術前補助療法としてのtalazoparibの有効性と安全性の評価を目的に実施された。

ウェアラブルデバイスを活用し、間質性肺疾患の発症を予測/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、2021年6月4日、化学放射線療法後にデュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)による治療を受けたStage IIIの切除不能な非小細胞肺がん患者を対象に、間質性肺疾患(ILD)の発症を予測するモデル構築に向けた探索的試験(以下、iDETECT study)を、6月より開始する。  iDETECT studyの目的は、ウェアラブルデバイス等を用いて収集したデータを基に初期症状のILDを早期に検出することにより、将来的にILDが重症化する前に適切な医療サービスを受けることができる環境の創出。