腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:143

ファイザー製ワクチン、免疫チェックポイント阻害薬投与がん患者での安全性

 全身薬物療法で治療後もしくは治療中のがん患者は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡リスクが高いため、ワクチン接種の優先度が高いグループと見なされる。しかし、がん患者におけるワクチンの安全性および有効性データはない。また、一部の専門家から、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)投与患者において、ワクチンで免疫関連有害事象を誘発または増強する可能性が指摘されている。今回、イスラエル・Tel Aviv Sourasky Medical CenterのBarliz Waissengrin氏らは、ICIで治療されたがん患者におけるファイザー社製ワクチン(BNT162b2 mRNAワクチン)の安全性について調査した。Lancet Oncology誌オンライン版2021年4月1日号に掲載。

わずか1mLの尿で脳腫瘍を判定、99%の正確度/名大

 脳腫瘍は、手足が動かない、言葉が話せないといった神経症状が出現するまでCTやMRI検査を受ける機会がなく、発見時にはすでにかなりの大きさに進行しているケースが多い。しなしながら、進行した脳腫瘍は手術で完全に取り除くことは難しく、いかに腫瘍が小さい段階で発見し、治療を開始するかが肝要である。名古屋大学の夏目 敦至氏ら研究チームは、尿中に含まれるマイクロRNAを測定することにより、99%の正確度で脳腫瘍が診断できる可能性を見出だした。本研究結果は、2021年4月1日付でACS Applied Materials & Interfaces誌オンライン版に掲載された。

ニボルマブ+化学療法の肺がん術前補助療法、pCRを改善(CheckMate-816)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年4月10日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)と化学療法を3サイクル投与する併用療法が、化学療法と比較して、切除可能なStage1b〜3aの非小細胞肺がん(NSCLC)の術前補助療法として、病理学的完全奏効(pCR)を有意に改善したと発表。  これは、切除可能なNSCLC患者の術前補助療法として、ニボルマブ(またはイピリムマブ)と化学療法の併用を化学療法単独と比較した第III相CheckMate-816試験の結果で、米国がん学会(AACR 2021)で発表されたもの(抄録番号:#5218)。

再発非ホジキンリンパ腫にcopanlisib+リツキシマブが有効/Lancet Oncol

 再発した非ホジキンリンパ腫患者を対象に、PI3K阻害薬であるcopanlisibとリツキシマブの併用療法の有効性と安全性を評価したCHRONOS-3試験の結果が、Lancet Oncology誌4月10日号オンライン版に掲載された。  CHRONOS-3は、世界186施設で行われた多施設共同、二重盲検、無作為化第III相試験。対象はPS2以下、1年以上無増悪かつ無治療、または化学療法不適の場合は6ヵ月以上無治療の成人再発非ホジキンリンパ腫患者で、copanlisib+リツキシマブ群とプラセボ+リツキシマブ群に無作為で割り付けられた。主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)だった。

StageIII大腸がん、FOLFOXへのセレコキシブ追加は?/JAMA

 StageIIIの大腸がん患者において、標準的な術後化学療法FOLFOXに、3年間のCOX-2阻害薬セレコキシブを追加してもプラセボとの比較において、無病生存(DFS)期間の改善について有意差は示されなかった。米国・Dana-Farber/Partners CancerCareのJeffrey A. Meyerhardt氏らが2,526例の患者を対象に行った無作為化試験「CALGB/SWOG 80702試験」の結果を報告した。これまでにアスピリンやCOX-2阻害薬は、大腸ポリープ・がんのリスク低下と関連していることが観察研究や無作為化試験で示されているが、転移のない大腸がんの治療におけるセレコキシブの効果は明らかになっていなかった。JAMA誌2021年4月6日号掲載の報告。

新型コロナワクチン接種、51.7%が副反応に不安/MDV

 メディカル・データ・ビジョン(MVD)は4月13日、キャンサーネットジャパン(CNJ)と共同実施した新型コロナワクチン接種に関するアンケート結果をプレスリリースした。それによると、接種を希望する患者は80.0%で、全回答者のうち51.7%は副反応に不安を抱いていることが明らかになった。  本アンケートはMDVが3月25日~4月5日(CNJは4月6日~4月12日)にウェブを通じて実施、300人から回答を得た。「ワクチン接種に関して感じている不安」について聞いた結果、副反応に関して51.7%と最も多くの人が不安を感じ、次いで、効果が11.7%、供給体制は9.7%、他疾患に対する影響は9.0%だった。

非浸潤性乳管がん、浸潤性がんへの進展リスク因子は?日本人患者の分析から

 乳房の非浸潤性乳管がん(DCIS)は、浸潤性乳管がん(IDC)の前駆病変と臨床的には位置づけられ、DCISが見つかった場合、現在では一様に切除手術が行われている。しかしこのDCIS集団中には、真に浸潤がんに発展するDCIS(真のDCIS 群)だけでなく、浸潤がんには進展しない症例が含まれることが明らかになってきており、両群を区別する因子の同定が求められている。東京大学学大学院新領域創成科学研究科の永澤 慧氏らは、DCISの進展に関係する候補因子として、臨床病理学的因子に加え、遺伝子因子としてGATA3遺伝子の機能異常を同定した。Communications biology誌オンライン版2021年4月1日号の報告より。

高齢日本人EGFR陽性肺がんを対象としたアファチニブ1次治療(NEJ027)/BMC Cancer

 肺がんは高齢者の頻度が高い。しかし、高齢者肺がんに対する研究結果は十分ではない。未治療の高齢日本人EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、アファチニブの1次治療の抗腫瘍活性と安全性を調査した多施設単群第II相NEJ027試験の結果が発表された。 ・対象:75歳以上の未治療の進行EGFR変異陽性(Del19またはL858R)のNSCLC ・介入:アファチニブ40mg/日 疾患進行または許容できない毒性が発現するまで投与 ・主要評価項目:中央委員会評価による客観的奏効率(ORR)

食道扁平上皮がん1次治療、ニボルマブ+化学療法とニボルマブ+イピリムマブが生存ベネフィット示す(CheckMate-648)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年4月8日、切除不能な進行または転移のある食道扁平上皮がん(ESCC)患者を対象に、ニボルマブと化学療法の併用療法およびニボルマブとイピリムマブの併用療法を評価した第III相CheckMate-648試験の肯定的なトップラインの結果を発表した。  同試験の中間解析において、ニボルマブと化学療法の併用療法は、主要評価項目であるPD-L1陽性患者の全生存期間(OS)および副次評価項目である全無作為化患者集団でのOSで統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるベネフィットを示した。加えて、PD-L1陽性患者での盲検下独立中央判定(BICR)評価による無増悪生存期間(PFS)で統計学的に有意かつ臨床的に意義ある改善を示した。

家族性大腸腺腫症に対する低用量アスピリンへの期待(J-FAPP Study IV)

 家族性大腸腺腫症(FAP)患者における低用量アスピリンの使用によりポリープ再発を有意に抑制させたことが、石川 秀樹氏(京都府立医科大学大学院医学研究科分子標的予防医学 特任教授)、武藤 倫弘氏(同 教授)ら研究グループの『大腸がん超高危険度群におけるがんリスク低減手法の最適化に関する研究』から示唆された。この報告はLancet Gastroenterology & Hepatology誌4月1日号オンライン版に掲載された。  FAPでは大腸がんの前がん病変である腺腫が100個以上発生するため、がん予防法として20歳以降に大腸切除術が行われる。しかし、術後QOLの低下、デスモイド腫瘍発生などの問題をはらんでおり、内科的予防法が模索されている。