腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:159

「肺癌診療ガイドライン」改訂、会員アンケートから見えた改善点は?/日本肺癌学会2020

 2020年11月、「肺癌診療ガイドライン」改訂版が公開された。肺癌診療は新規薬剤が次々と承認され、ガイドラインが毎年改訂されるという特異な状況にある。11月に行われた第61回日本肺癌学会学術集会では「肺癌診療ガイドライン(薬物):過去10年の軌跡とこれからの未来」と題し、ガイドライン作成・改訂のこれまでを振り返り、今後について議論するシンポジウムが行われた。  この中で国立がん研究センター東病院呼吸器内科の野崎 要氏は「ガイドラインは誰のものか?:アンケート結果報告」と題し、日本肺癌学会正会員(医師)の薬物療法従事者を対象に行ったアンケート結果を発表した。このアンケートは肺癌診療ガイドラインの使用実態を調査し、以後の改訂に活かすことを目的に、2020年6~10月にWeb上で行われたもの。有効回答数は540だった。

高リスク早期乳がんへの術後内分泌療法+アベマシクリブ、iDFS改善が継続(monarchE)/SABCS2020

 再発リスクの高いリンパ節転移陽性ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性の早期乳がんに対し、術後内分泌療法へのアベマシクリブ追加の有効性を評価する第III相monarchE試験の追跡調査において、無浸潤疾患生存期間(iDFS)の改善が引き続き示され、Ki-67値20%以上の患者での有意な改善が示された。米国・ピッツバーグ大学のPriya Rastog氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。  monarchE試験は中間解析(追跡期間中央値15.5ヵ月)でアベマシクリブ追加によるiDFSの有意な改善(p=0.0096、ハザード比[HR]:0.747、95%信頼区間[CI]:0.598~0.932)が報告されている。今回、iDFSの約390イベント発生後に計画されていた解析の結果が報告された。

コロナ禍初期のがん治療キャンセル・変更患者、3人に1人

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが、がん患者にどれほど影響を与えているか。本稿では、オランダ・Netherlands Comprehensive Cancer Organisation(IKNL)のLonneke V van de Poll-Franse氏らが、コロナ禍において同国がん患者が、がん治療とフォローアップ治療(電話/ビデオ相談を含む)、ならびにウェルビーイングについてどのように認識しているかを調べ、一般健常者と比較評価した。その結果、がん患者の3人に1人がコロナ禍の最初の数週間でがん治療が変化したと報告し、長期アウトカムに関する監視が必要なことが示されたという。一方で、コロナ禍は、がん患者よりも一般健常者においてメンタルヘルスにより大きな影響を与えていることも報告された。JAMA Oncology誌オンライン版2020年11月25日号掲載の報告。

AYA世代のがん発生率、42年間で3割増

 AYA世代(15~39歳)のがんは、通常のがん集団とは異なる点が多いが、その疫学的特徴と傾向についてのデータは不足している。今回、米国・Penn State Cancer InstituteのAlyssa R.Scott氏らが、米国人口ベースの後ろ向き横断研究を実施したところ、AYA世代におけるがんの発生率は42年間で29.6%増加しており、腎がんが最も高い増加率だった。JAMA Network Open誌2020年12月3日号での報告。  研究者らは、1973年1月1日~2015年12月31日までのSurveillance、Epidemiology、and End Results(SEER)データベースのレジストリデータ(SEER9、18)を使用。最初の分析は、2019年1月1日~8月31日に実施された。

コロナは将来の肺がん死亡者数にも影響を及ぼす!?

 2020年11月30日、アストラゼネカ株式会社は、「緊急提言 新型コロナウイルス感染症流行下におけるがん検診の重要性~つづけよう、がん検診~」と題し、コロナ禍の肺がん検診の現状に関するメディアセミナーを開催した。  セミナーでは、光冨 徹哉氏(近畿大学)、弦間 昭彦氏(日本医科大学)、小西 宏氏(日本対がん協会)が登壇し、トークゲストとして三遊亭 圓楽氏が参加した。  新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年1月~7月のがん検診の受診者数が前年比で55%減少した。同年4月の緊急事態宣言発出時に、厚生労働省ががん検診の受診延期を要請したが、宣言解除後も受診者数が前年同期の水準まで回復していない。この現状について、光冨氏は、検診の受診を控えたために肺がんの発見が遅れ、将来、肺がんによる死亡者数が増加する事態を懸念した。

抗CD38抗体ダラツムマブ、全身性ALアミロイドーシスに国内承認申請/ヤンセン

 ヤンセンファーマは、2020年12月2日、ダラツムマブについて、「全身性ALアミロイドーシス」の適応取得を目的とした製造販売承認を申請したと発表。  全身性ALアミロイドーシスは国の指定難病で、2014年に実施された全国疫学調査による国内推定患者数は、3,200例とされている。異常形質細胞より産生されるアミロイド蛋白の沈着により多臓器障害を引き起こし、その臓器障害により生存率の低下や疾患の転帰に影響を及ぼす予後不良の疾患である。  全身性ALアミロイドーシスの治療は、その病態が多発性骨髄腫と類似しているため、自己造血幹細胞移植(ASCT) や悪性形質細胞を標的とする薬物療法(抗形質細胞療法)が実施されており、国内外のガイドラインで推奨されている。

がんの緩和ケア、「穏やかに看取る」から「健やかに過ごす」へ/日本肺癌学会2020

 がん治療の進展に伴い、がん治療における緩和ケアにも変化が起きている。11月に行われた第61回日本肺癌学会学術集会では、「肺癌緩和ケアの新時代~長期治療の中での緩和~」と題したシンポジウムが行われ、演者がそれぞれの立場から現状を報告した。  演者の1人、飯塚病院連携医療・緩和ケア科の柏木 秀行氏は、がん緩和ケアの原則となる「WHO方式がん疼痛治療法」が一部改訂されたことを紹介。前版にあった「鎮痛剤使用の5原則」中の「除痛ラダーに沿って効力の順に」という記載が削除され、症状や個人に応じた個別化が緩和ケアでも進んでいる状況を紹介した。

「抗がん剤曝露調査サービス」の販売開始

 シオノギファーマは、2020年12月1日、セコム医療システムと協業し、病院で働く医療スタッフの職場での抗がん剤曝露リスクへの対策として、「セコム抗がん剤曝露調査サービス」の販売を12月1日から開始すると発表。  このサービスは、セコム医療システムが販売および受付窓口を担当、曝露対策の提案等を行うもの。シオノギファーマは抗がん剤曝露状況の試験測定を行うことで数値によるリスクの見える化を手伝う。

エンコラフェニブ+ビニメチニブ+セツキシマブ、BRAF変異大腸がんに国内承認/小野

 小野薬品工業、2020年11月27日、BRAF阻害薬エンコラフェニブ(商品名:ビラフトビ)およびMEK阻害薬ビニメチニブ(商品名:メクトビ)とEGFR抗体セツキシマブとの3剤併用療法、およびエンコラフェニブとセツキシマブの2剤併用療法における「がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」に対する効能又は効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得したと発表。  今回の承認は、1次または2 次治療後に進行したBRAF V600E変異を有する治癒切除不能な進行または再発の結腸・直腸がんを対象に実施された国際共同無作為化非盲検第III相試験(BEACON CRC試験)の結果に基づいている。

ペムブロリズマブと化学療法の併用、進行・再発食道がん1次治療に国内承認申請/MSD

 MSDは、2020年11月30日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、化学療法(シスプラチン+5-フルオロウラシル)との併用療法において、根治切除不能な進行・再発の食道癌に対する1次治療としての製造販売承認事項一部変更を承認申請したと発表。  今回の製造販売承認事項一部変更承認申請は、局所進行または転移性食道がんおよび食道胃接合部(GEJ)がんの1次治療として、キイトルーダと化学療法(シスプラチン+5-フルオロウラシル)との併用療法をプラセボ+化学療法と比較した、第III相KEYNOTE-590試験の結果に基づくもの。この試験でペムブロリズマブ併用療法群は化学療法に比べ、有意な延長を認めている。