眼科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:16

失明や視力障害が世界的に増加の見込み、原因は?

 世界的な失明/視力障害の主たる原因は、白内障および屈折異常であり、これらの患者数は世界人口の増加と高齢化により著しく増加していることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのSeth R. Flaxman氏らによるメタ解析で明らかとなった。白内障は手術で、屈折異常は矯正用眼鏡で回復可能である。著者は、「アイケアの提供を拡大して患者の増加に対処し、回避可能な失明に対して取り組む必要がある」とまとめている。Lancet Global Health誌オンライン版2017年10月10日号掲載の報告。

眼科医が電子カルテに費やす時間と医業収益の関連は?

 電子カルテシステム(EHR)は医療(practice of medicine)を変えたとされる一方、医師からは、EHRに費やす時間が自分たちの生産性に負の影響を及ぼしていると、懸念する声が持ち上がるようになった。しかし、いわゆるドクターフィーの支払いに関するアプローチが進化し、ケアの質とコストを評価するための“付加的記録”が必要になっている。これまで、これらの問題について定量的な分析を行った研究はほとんどなかったが、米国・オレゴン健康科学大学のSarah Read-Brown氏らはコホート研究の結果、眼科医が診察室で患者と対面する時間には限りがあり、診察室でのかなりの時間をEHR使用に費やしていることを明らかにした。同時に、眼科医のEHR使用パターンにはばらつきがあることも示唆されたという。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年10月12日号掲載の報告。

既存の抗アレルギー薬が多発性硬化症の慢性脱髄病変を回復させるかもしれない(解説:森本悟氏)-752

多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)は若年成人に発症し、重篤な神経障害を来す中枢神経系の慢性炎症性脱髄性疾患である。何らかの機序を介した炎症により脱髄が起こり、軸索変性が進行する。急性炎症による脱髄病変には一部再髄鞘化が起こるが、再髄鞘化がうまくいかないと慢性的な脱髄病変となり、不可逆的な障害につながる。現在MSの治療は急性炎症の抑制、病態進行抑制が中心であり、慢性脱髄病変を回復させる治療はない。これまでの研究で、第一世代の抗ヒスタミン薬であるクレマスチンフマル酸(clemastine fumarate:CF)が、前駆細胞(oligodendrocyte precursor cell:OPC)からオリゴデンドロサイトへの分化促進、髄鞘膜の伸展、マイクロピラーの被覆、を介した再髄鞘化効果を有することが、疾患動物モデルにより証明されている。

緑内障進行の早期発見、OCT vs.視野検査

 緑内障の進行を早期に発見するためには、光干渉断層法(OCT)と視野検査のどちらが有用だろうか。米国・オレゴン健康科学大学のXinbo Zhang氏らは、Advanced Imaging for Glaucoma Studyに登録された患者について解析し、初期緑内障の進行を検出する感度は視野検査よりOCTが良好であることを示した。特に、乳頭周囲網膜神経線維層(NFL)厚は進行した緑内障で減少するのに対して、神経節細胞複合体層(GCC)厚は初期から進行期にわたって緑内障の進行を検出するのに役立つことも示した。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2017年9月27日号掲載の報告。

多発性硬化症にクレマスチンフマル酸塩は有望/Lancet

 多発性硬化症(MS)における慢性脱髄性損傷の治療として、ミエリンの修復をターゲットとする薬剤の安全性と有効性を検討した初の無作為化比較試験「ReBUILD試験」の結果が報告された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のAri J. Green氏らが、慢性脱髄性視神経症を呈するMS患者を対象に、クレマスチンフマル酸塩について行った検討で、安全性と有効性が認められたという。MSは、ミエリンの免疫メディエーターの破壊と進行性の神経軸索損失で特徴づけられる中枢神経系(CNS)の炎症性変性疾患である。CNSのミエリンは、オリゴデンドロサイト細胞膜の伸長によるもので、クレマスチンフマル酸塩がオリゴデンドロサイトの分化を刺激する可能性が、in vitro、動物モデル、ヒト細胞の試験で示唆されていた。Lancet誌オンライン版2017年10月10日号掲載の報告。

アカントアメーバ角膜炎、共焦点顕微鏡併用で迅速診断

 アカントアメーバ角膜炎(AK)は重篤な視力障害をもたらす疾患である。ベルギー・AZ Sint-Jan病院のSophie De Craene氏らは、共焦点顕微鏡によるアカントアメーバ角膜炎の診断についてin vivoにて評価し、同法がとくに、PCR検査の遅延時や陰性または実施不可のときの診断に役立つことを示した。共焦点顕微鏡は、AKの標的像および栄養体像を特徴的に捉えることができ、高輝度物体クラスタも非常に特異的に捉える。しかしAKの特徴に対する全体的な感度は低いという。著者は、「臨床的特徴、微生物学的試験(角膜病巣を掻爬して得た検体の直接検鏡と培養)およびPCRに加え、共焦点顕微鏡を用いることで、より迅速な診断と治療の開始が可能となり、予後の改善につながるものと思われる」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年9月28日掲載の報告。

ISNTの法則、実はそれほど当てはまらない?

 ISNTの法則――正常眼の場合、視神経乳頭辺縁部の厚さは、下方(inferior)>上方(superior)>鼻側(nasal)>耳側(temporal)の順である――は、緑内障診断のポイントの1つになっているが、米国・ハーバード医科大学のLinda Yi-Chieh Poon氏らによる調査の結果、正常眼でISNTの法則に当てはまったのは乳頭写真評価で約3分の1、網膜神経線維層厚測定では半分以下にすぎないことが明らかとなった。著者は、ISNT法則の変形版(ISTあるいはIS)が、70%以上に当てはまる有効な法則であることを示し、この方法を考慮する余地があるとまとめている。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2017年9月22日号掲載の報告。

加齢黄斑変性の発症に新たな知見

 加齢黄斑変性(AMD)患者の血漿中代謝物プロファイルは、非AMD患者と異なっており、多くの重大な代謝物がグリセロリン脂質経路に認められることを、米国・ハーバード大学医学大学院のInes Lains氏らが、質量分析法を用いたメタボローム解析により明らかにした。著者らは、「今回得られた知見は、AMDの発症原因に関する理解を深め、AMDの血漿中代謝バイオマーカーの開発を支援し、新しい治療ターゲットを特定できる可能性を示唆するものであった」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年8月31日号掲載の報告。

加齢黄斑変性へのラニビズマブ、T&E療法の効果は?

 血管新生を伴う加齢黄斑変性(滲出型加齢黄斑変性:AMD)の治療において、ラニビズマブ(商品名:ルセンティス)0.5mgのTreat-and-Extend(T&E)療法は毎月1回投与する治療法に対し、視力改善効果が統計学的に非劣性であり、臨床的に同等であることが示された。ポルトガル・コインブラ大学のRufino Silva氏らがTReat and extEND(TREND)試験で明らかにした。安全性においても、T&E療法で新たに問題となる有害事象はみられなかった。Ophthalmology誌オンライン版2017年9月8日号掲載の報告。

眼瞼下垂、睡眠時無呼吸との関連は?

 眼瞼弛緩症候群と睡眠時無呼吸症候群(OSA)の関連は数多く報告されているが、眼瞼弛緩症候群の診断基準は主観的で曖昧である。米国・マウント・サイナイ・アイカーン医科大学のTimothy P. Fox氏らが、睡眠クリニックで終夜睡眠ポリグラフ検査を行った患者201例を対象に調査した結果、眼瞼弛緩スコアとOSAの存在または重症度の関連は認められなかったと報告した。著者は、「サブグループ解析の結果から、先行研究は交絡因子や眼瞼弛緩の確認手技において限界があったことが示唆される」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年9月7日号掲載の報告。