眼科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:17

角膜内皮移植、ドナー角膜の保存期間が成功率に影響

 米国・Central Pennsylvania Eye CenterのGeorge O. Rosenwasser氏らは、デスメ膜剥離角膜内皮移植(DSAEK)の成功率が、ドナー角膜の保存期間の長さによらず同等であれば、ドナープールの拡大が可能なことから、3年成功率がドナー角膜の保存期間の長さに影響を受けるのか、多施設共同無作為化二重盲検非劣性試験にて検討した。その結果、DSAEKの3年成功率は保存期間によらず高かったが、保存期間が0~7日間に対する8~14日間の非劣性は認められなかった。保存期間が12~14日間の場合の成功率の低さ(89.3%)が影響したもので、著者は「保存期間が長いほど成功率は低いことが明らかになった。しかし、保存期間が11日までであれば成功率の差はわずかでアウトカムへの影響はほとんどない」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年11月10日号掲載の報告。

ドイツ製人工網膜、初の研究者主導臨床試験

 末期網膜色素変性症患者を対象にして行った、人工網膜Alpha AMS(Retina Implant AG社、ドイツ)に対する研究者主導臨床試験の成績が、英国・オックスフォード大学のThomas L. Edwards氏らにより初めて報告された。6例中5例で視機能が改善し、最長24ヵ月まで持続していることが認められた。好成績が示された要因について著者は、「埋植手術はなおチャレンジングなものだが、光干渉断層撮影(OCT)ガイダンスのような新しい技術の開発により、手術手技を改良することができた」と述べている。Ophthalmology誌オンライン版2017年10月27日号掲載の報告。

白内障の高齢女性、手術施行で死亡リスク低下

 白内障の高齢女性において、白内障手術は全死因死亡および原因別死亡のリスク低下と関連があることが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のVictoria L. Tseng氏らによるWomen's Health Initiative(WHI)の参加者を対象とした検討で明らかにされた。ただし著者は、「この関連が白内障手術によって説明されるかどうかは不明確である」としたうえで、「白内障手術、全身疾患および疾患関連死の相互作用についてのさらなる研究が、患者ケアの改善に役立つだろう」とまとめている。白内障手術はこれまでの研究で、健康状態および機能的な自立の改善を通し、全死因死亡リスクの減少に関与することが示唆されている。しかし、白内障手術と原因別死亡率との関連は十分に解明されていなかった。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年10月26日号掲載の報告。

失明や視力障害が世界的に増加の見込み、原因は?

 世界的な失明/視力障害の主たる原因は、白内障および屈折異常であり、これらの患者数は世界人口の増加と高齢化により著しく増加していることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのSeth R. Flaxman氏らによるメタ解析で明らかとなった。白内障は手術で、屈折異常は矯正用眼鏡で回復可能である。著者は、「アイケアの提供を拡大して患者の増加に対処し、回避可能な失明に対して取り組む必要がある」とまとめている。Lancet Global Health誌オンライン版2017年10月10日号掲載の報告。

眼科医が電子カルテに費やす時間と医業収益の関連は?

 電子カルテシステム(EHR)は医療(practice of medicine)を変えたとされる一方、医師からは、EHRに費やす時間が自分たちの生産性に負の影響を及ぼしていると、懸念する声が持ち上がるようになった。しかし、いわゆるドクターフィーの支払いに関するアプローチが進化し、ケアの質とコストを評価するための“付加的記録”が必要になっている。これまで、これらの問題について定量的な分析を行った研究はほとんどなかったが、米国・オレゴン健康科学大学のSarah Read-Brown氏らはコホート研究の結果、眼科医が診察室で患者と対面する時間には限りがあり、診察室でのかなりの時間をEHR使用に費やしていることを明らかにした。同時に、眼科医のEHR使用パターンにはばらつきがあることも示唆されたという。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年10月12日号掲載の報告。

既存の抗アレルギー薬が多発性硬化症の慢性脱髄病変を回復させるかもしれない(解説:森本悟氏)-752

多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)は若年成人に発症し、重篤な神経障害を来す中枢神経系の慢性炎症性脱髄性疾患である。何らかの機序を介した炎症により脱髄が起こり、軸索変性が進行する。急性炎症による脱髄病変には一部再髄鞘化が起こるが、再髄鞘化がうまくいかないと慢性的な脱髄病変となり、不可逆的な障害につながる。現在MSの治療は急性炎症の抑制、病態進行抑制が中心であり、慢性脱髄病変を回復させる治療はない。これまでの研究で、第一世代の抗ヒスタミン薬であるクレマスチンフマル酸(clemastine fumarate:CF)が、前駆細胞(oligodendrocyte precursor cell:OPC)からオリゴデンドロサイトへの分化促進、髄鞘膜の伸展、マイクロピラーの被覆、を介した再髄鞘化効果を有することが、疾患動物モデルにより証明されている。

緑内障進行の早期発見、OCT vs.視野検査

 緑内障の進行を早期に発見するためには、光干渉断層法(OCT)と視野検査のどちらが有用だろうか。米国・オレゴン健康科学大学のXinbo Zhang氏らは、Advanced Imaging for Glaucoma Studyに登録された患者について解析し、初期緑内障の進行を検出する感度は視野検査よりOCTが良好であることを示した。特に、乳頭周囲網膜神経線維層(NFL)厚は進行した緑内障で減少するのに対して、神経節細胞複合体層(GCC)厚は初期から進行期にわたって緑内障の進行を検出するのに役立つことも示した。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2017年9月27日号掲載の報告。

多発性硬化症にクレマスチンフマル酸塩は有望/Lancet

 多発性硬化症(MS)における慢性脱髄性損傷の治療として、ミエリンの修復をターゲットとする薬剤の安全性と有効性を検討した初の無作為化比較試験「ReBUILD試験」の結果が報告された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のAri J. Green氏らが、慢性脱髄性視神経症を呈するMS患者を対象に、クレマスチンフマル酸塩について行った検討で、安全性と有効性が認められたという。MSは、ミエリンの免疫メディエーターの破壊と進行性の神経軸索損失で特徴づけられる中枢神経系(CNS)の炎症性変性疾患である。CNSのミエリンは、オリゴデンドロサイト細胞膜の伸長によるもので、クレマスチンフマル酸塩がオリゴデンドロサイトの分化を刺激する可能性が、in vitro、動物モデル、ヒト細胞の試験で示唆されていた。Lancet誌オンライン版2017年10月10日号掲載の報告。

アカントアメーバ角膜炎、共焦点顕微鏡併用で迅速診断

 アカントアメーバ角膜炎(AK)は重篤な視力障害をもたらす疾患である。ベルギー・AZ Sint-Jan病院のSophie De Craene氏らは、共焦点顕微鏡によるアカントアメーバ角膜炎の診断についてin vivoにて評価し、同法がとくに、PCR検査の遅延時や陰性または実施不可のときの診断に役立つことを示した。共焦点顕微鏡は、AKの標的像および栄養体像を特徴的に捉えることができ、高輝度物体クラスタも非常に特異的に捉える。しかしAKの特徴に対する全体的な感度は低いという。著者は、「臨床的特徴、微生物学的試験(角膜病巣を掻爬して得た検体の直接検鏡と培養)およびPCRに加え、共焦点顕微鏡を用いることで、より迅速な診断と治療の開始が可能となり、予後の改善につながるものと思われる」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2017年9月28日掲載の報告。

ISNTの法則、実はそれほど当てはまらない?

 ISNTの法則――正常眼の場合、視神経乳頭辺縁部の厚さは、下方(inferior)>上方(superior)>鼻側(nasal)>耳側(temporal)の順である――は、緑内障診断のポイントの1つになっているが、米国・ハーバード医科大学のLinda Yi-Chieh Poon氏らによる調査の結果、正常眼でISNTの法則に当てはまったのは乳頭写真評価で約3分の1、網膜神経線維層厚測定では半分以下にすぎないことが明らかとなった。著者は、ISNT法則の変形版(ISTあるいはIS)が、70%以上に当てはまる有効な法則であることを示し、この方法を考慮する余地があるとまとめている。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2017年9月22日号掲載の報告。