精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:140

抗精神病薬の治療歴とその後の代謝関連副作用との関係

 抗精神病薬治療によるさまざまな有害事象が報告されているが、重篤な副作用が頻繁に認められるわけではない。中国・Second Xiangya Hospital of Central South UniversityのYe Yang氏らは、抗精神病薬の治療歴が現在の抗精神病薬誘発性代謝関連副作用と関連しているかを確認するため、検討を行った。BMC Psychiatry誌2022年3月21日号の報告。  抗精神病薬未治療患者115例、代謝関連副作用リスクの低い抗精神病薬による治療歴を有する患者65例、同リスクの高い抗精神病薬による治療歴を有する患者88例を対象に、ケースコントロール研究を実施した。すべての患者に対し、オランザピン治療を実施した。体重、BMI、血糖値、脂質パラメータ、ベースラインより7%以上の体重増加が認められた患者の割合、脂質異常症の割合を評価した。すべての評価は、ベースライン時、治療開始4週目および6週目に実施した。

健康的な生活習慣で平均余命延長、認知症期間も増えず/BMJ

 健康的な生活習慣は男女とも平均余命の延長と関連しており、65歳以降の人生でアルツハイマー型認知症のない期間の割合が高いことが、米国・ラッシュ大学医療センターのKlodian Dhana氏らによる住民を対象としたコホート研究の結果、示された。健康的な生活習慣がアルツハイマー型認知症のリスク低下ならびに平均余命の延長に関連していることはこれまでも知られていたが、平均余命が延びればそれだけ高齢者が増加し、加齢とともに認知症のリスクは高まるため、むしろ全体の認知症は増加する可能性がある。そのため、生活習慣の改善による平均余命の延長が、アルツハイマー型認知症を有する期間に与える影響について理解する必要があった。著者は、「今回の解析による平均余命の推定は、医療専門家、政策立案者、その他ステークホルダーが将来の医療サービス等を計画するのに役立つだろう」とまとめている。BMJ誌2022年4月13日号掲載の報告。

片頭痛予防に対する抗CGRP抗体中断3ヵ月後の治療再開効果

 抗CGRP(受容体)モノクローナル抗体(mAb)による片頭痛の予防的治療に成功し治療を中断すると、その後、片頭痛の頻度は増加することが報告されている。ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のBianca Raffaelli氏らは、片頭痛治療を再開した場合の症状の経過を評価するため、検討を行った。The Journal of Headache and Pain誌2022年3月30日号の報告。  対象は、3ヵ月の休薬期間後に同じ抗CGRP mAbで治療を再開した片頭痛患者。頭痛に関するデータを、以下の4回の受診時に収集した。(1)最初のmAb治療を開始する前の4週間(ベースライン)、(2)最初のmAb治療を中断する前の4週間、(3)休薬期間の13~16週目、(4)治療再開後の9~12週目。アウトカムは、観察期間全体における1ヵ月当たりの片頭痛日数(MMD)、1ヵ月当たりの頭痛日数(MHD)、1ヵ月当たりの急性頭痛薬の使用日数(AMD)、頭痛による日常生活への支障度尺度(HIT-6)スコア、それぞれの変化とした。

日本の小児および青少年に対する抗精神病薬の処方傾向

 日本における小児および青少年に対する抗精神病薬の処方パターンについては、とくに外来患者において、ほとんど知られていない。京都大学のSayuri Nakane氏らは、2006~12年に初めて抗精神病薬の処方を受けた17歳以下の外来患者における抗精神病薬の処方パターンおよび傾向を明らかにするため、大規模な調剤データセットを用いて調査を行った。Child Psychiatry and Human Development誌オンライン版2022年2月24日号の報告。  年齢、性別、診療科、処方薬の種類(単剤療法または多剤併用療法)、抗精神病薬の投与量、向精神薬の併用を調査した。

初発統合失調症の再発予防に対する抗精神病薬の用量とその効果

 初発統合失調症患者の再発予防に対する抗精神病薬の投与量として、成功の可能性が最も高い用量は、明らかになっていない。東フィンランド大学のHeidi Taipale氏らは、抗精神病薬の使用および特定用量と精神科再入院リスクについての調査を行い、抗精神病薬の投与量の変化と重度の再発リスクとの関連について、検討を行った。The Lancet. Psychiatry誌2022年4月号の報告。  フィンランドにおいて全国レジストリベースコホート研究を実施した。すべての入院患者の情報が記録されているnationwide Hospital Discharge registerより、対象患者を特定した。初発統合失調症と診断された45歳以下の入院患者を、5年間または5回の再発エピソードまでフォローアップした。主に精神科再入院を再発のマーカーとして評価し、退院時診断として記録されたICD-10コード(F20-29)を用いて入院治療を定義した。次の再発と見なす期間の定義は30日以上とした。抗精神病薬の使用に関するデータは、処方レジストリより抽出した。用量は、使用したすべての抗精神病薬の合計とした。再入院予防に対する抗精神病薬の有効性は、個別分析を用いて検討し、選択バイアスを除外し、2回目の再発前と再発後の時間で層別化した。

各抗うつ薬に対する患者の主観的満足度の比較

 現在、異なる作用機序を有するさまざまな抗うつ薬が利用可能であるが、その有効性および安全性に有意な差があるかは、よくわかっていない。また、各抗うつ薬に対する主観的な経験に関するデータを組み込んだ検討は、ほとんど行われていなかった。アルゼンチン・AREA(Assistance and Research in Affective Disorders)のSebastian Camino氏らは、各抗うつ薬に対する患者の主観的満足度について、比較検討を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2022年3月29日号の報告。  薬剤に関する患者評価のWebサイト(www.askapatient.com)から、さまざまな抗うつ薬についての投稿を定性的および定量的に分析した。1,000件の投稿をランダムサンプルとして確認した。

強迫症患者における統合失調症への診断変更の可能性

 いくつかのエビデンスにおいて、強迫症と統合失調症との関係が報告されている。しかし、強迫症から統合失調症への診断変更を予測する可能性のある因子は、明らかになっていない。この予測因子を特定するため、台湾・国立陽明交通大学のMu-Hong Chen氏らが、検討を行った。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2022年3月24日号の報告。  2001~10年に強迫症(ICD-9-CM:300.3)と診断された青少年および成人3万5,255例を対象とし、2011年末まで、新たに統合失調症(同:295)と診断されているかを特定するフォローアップ調査を行った。発生率の推定にはカプランマイヤー法を用い、予測因子の有意性を評価するためCox回帰を用いた。

高圧処理後のブレンド玄米による認知症や2型糖尿病予防の可能性

 2型糖尿病は、アルツハイマー病のリスクを増加させることが報告されている。新潟薬科大学の中村 澄子氏らは、高圧処理米飯を用いた2型糖尿病および認知症の予防効果について、調査を行った。Foods (Basel, Switzerland) 誌2022年3月12日号の報告。  参加者24人を対象に12週間のランダム化並行群間比較試験を行った。糖尿病予防に超硬質米、認知症予防にワックスフリーの黒米玄米を取り入れ、これらに通常の玄米を4:4:2の割合でブレンドし、超高圧処理後に嗜好性の改善のためワックス状黒米ぬか2.5%と米ぬか油0.3%を加えた。主要アウトカムである認知機能の評価には、コグニトラックス(Cognitrax)を用いた。副次的アウトカムとして、介入試験完了時点の食後血糖値とインスリン分泌を評価するため、単回投与テストを実施した。

双極性障害リスクは父親または母親の高齢化で増加~メタ解析

 子供の出生時における父親および母親の年齢が、その子供の双極性障害リスクと関連しているかは、よくわかっていない。ブラジル・サンパウロ連邦大学のNatalia Polga氏らは、親の年齢と子供の双極性障害リスクとの関連を明らかにするため、観察研究のメタ解析を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2022年2月21日号の報告。  出生時の親の年齢と子供の双極性障害リスクとの関連を調査した2021年6月までの研究を、PubMed、PsycINFO、Embase、Web of Scienceより検索した。父親および母親の年齢は、それぞれを個別に調査した。エフェクトサイズの指標としてオッズ比(OR)を用いた。プールされたデータの分析には、ランダム効果メタ解析を用いた。

ナルメフェンによるアルコール依存症治療に影響を及ぼす臨床モデレーター

 ナルメフェンは、アルコール依存症患者のアルコール消費量を減少させるために使用可能な唯一の薬剤であるが、最もベネフィットが示される患者像は明らかになっていない。岡山大学の橋本 望氏らは、アルコール依存症患者のナルメフェンに対する治療反応に影響を及ぼす臨床モデレーターを明らかにするため、検討を行った。Drug and Alcohol Dependence誌2022年4月1日号の報告。  日本人アルコール依存症患者を対象に、多施設ランダム化対照二重盲検第III相試験を実施した。12週間および24週間のナルメフェン治療における多量飲酒日数(HDD)や総アルコール消費量(TAC)の減少と患者のベースライン特性との関係を明らかにするため、線形回帰および複数の調整された分析を行った。