精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:143

認知症に対するロボットケア介入の有効性~メタ解析

 認知症ケアへの利用に期待が高まるロボット介入。認知症に対するロボット介入の研究は進んでいるものの、その効果はどの程度なのだろうか。台湾・高雄医学大学のIta Daryanti Saragih氏らは、認知症患者におけるロボット介入の有効性を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Clinical Nursing誌オンライン版2021年5月26日号の報告。  各種データベース(Academic Search Complete、CINAHL、Cochrane Library、MEDLINE、PubMed、SocINDEX、UpToDate[OVID]、Web of Science)よりシステマティックに検索した。適格基準は、認知症患者、ランダム化比較試験、英語での出版とした。対象研究の方法論的質を評価するため、PEDroスケールを用いた。ロボット介入のプールされた効果を算出するため、固定効果モデルを用いて、メタ解析を実施した。統計分析には、STATA 16.0を用いた。PRISMAガイドラインに従って結果報告を行った。

第2世代抗精神病薬による体重増加と治療中断

 第2世代抗精神病薬(SGA)で治療を行った統合失調症および双極I型障害患者における臨床的に有意な体重増加や治療中断は、死亡リスクに影響を及ぼす可能性のある重大な問題である。米国・AlkermesのMichael J. Doane氏らは、第2世代抗精神病薬による体重増加と治療中断への影響について評価を行った。CNS Spectrums誌2021年4月号の報告。  中~高度の体重増加リスクを有する経口SGAで治療を開始した患者(12ヵ月間、第1世代抗精神病薬での治療なし)を対象に、レセプトデータ(OM1 Data Cloud:2013年1月~2020年2月)を用いて、体重増加および治療中断に関するデータを収集した。臨床的に有意な体重増加は、ベースライン時の体重より7%以上増加と定義した。治療中断は、体重増加リスクの低いSGAや長時間作用型注射剤SGAへ切り替えた場合および30日以上SGAが使用されていなかった場合と定義した。臨床的に有意な体重増加と治療中断が認められた患者の割合およびこれらのアウトカムまでの期間中央値の算出には、記述統計を用いた。

固形燃料による家庭内大気汚染がうつ病に及ぼす影響

 家庭内大気汚染は、脳卒中や心血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、肺がんなどを引き起こすことが知られており、世界では毎年数百万人が大気汚染に起因する疾患で早期に死亡している。この長期的な家庭内大気汚染がメンタルヘルスに及ぼす影響を検討したエビデンスは限られている。中国・華中科技大学のChenshuang Li氏らは、固形燃料の使用による長期的な家庭内大気汚染とうつ病との関連を調査するため、中国の代表的なフォローアップデータセットを用いて検討を行った。Environmental Pollution誌2021年8月15日号の報告。

1日6杯以上のコーヒーと認知症リスクが関連

 コーヒーは、中枢神経を刺激するカフェインを含有する世界で人気の飲料である。南オーストラリア大学のKitty Pham氏らは、習慣的なコーヒーの摂取が脳容積の違いや認知症および脳卒中の発症に関連しているかについて検討を行った。Nutritional Neuroscience誌オンライン版2021年6月24日号の報告。  UK Biobankに参加した39万8,646人(37~73歳)を対象に、習慣的なコーヒーの消費量をプロスペクティブに分析した。MRIの情報は、対象者のうち1万7,702人より得られた。脳容積との関連は、共変量調整線形回帰を用い、認知症(4,333例)および脳卒中(6,181例)のオッズ比(OR)との関連は、ロジスティック回帰を用いて分析した。  主な結果は以下のとおり。

認知症による幻覚妄想に何を処方するべきか(解説:岡村毅氏)

認知症がある方のサイコーシス(幻覚・妄想)は、本人や介護者にとっては過酷な状況である。本研究は、海外ではパーキンソン病認知症によるサイコーシスに使われているpimavanserinを、アルツハイマー型、前頭側頭型、血管性の認知症によるサイコーシスにも広げる試みだ。この第III相試験で良好な結果が得られたので、将来われわれが手にする可能性も高いと思われる。認知症がある方のサイコーシスに対する医学的な対応はここ数十年で大きく変貌した。かつては抗精神病薬が安易に処方されることが多かった。これらは、強弱はあるがドパミン遮断薬でもあるのだから、パーキンソン症状のリスクが大きく、誤嚥や転倒につながる。さらにレビー小体病やパーキンソン病認知症といった新たなカテゴリーが出現し、このカテゴリーでは当然ながらドパミン遮断薬は禁忌である。

原発性不眠症に対する運動介入の効果~メタ解析

 運動は、身体機能や免疫力に良い影響をもたらす可能性がある。中国・四川大学のShanshan Li氏らは、原発性不眠症患者に対する運動介入の効果をシステマティックに評価し、メタ解析に基づいて、原発性不眠症患者の睡眠の質を改善するうえで役立つ運動の推奨事項を作成した。The Journal of Sports Medicine and Physical Fitness誌2021年6月号の報告。  2019年10月までに公表された原発性不眠症に対する運動介入の影響を調査したランダム化比較試験をCNKI、VIP、Wanfang、Web of Science、SpringerLink、EBSCO、PubMed、Cochrane Library、Embaseより手動および電子的に検索した。バイアスリスクの評価にはCochrane Handbook 5.1.0、メタ解析にはSTATA 13.0(StataCorp LLC[米国・テキサス州カレッジステーション])を用いた。

認知症関連精神症状、pimavanserinで再発リスク低下/NEJM

 治療中止試験において、経口5-HT2A受容体逆作動薬/拮抗薬pimavanserinへの効果が認められた認知症に関連する精神症状を呈する患者について、治療中止群と比べて継続群の再発リスクが低下したことが示された。米国・アリゾナ大学のPierre N. Tariot氏らによる「HARMONY試験」の結果で、著者は「認知症関連精神症状におけるpimavanserinの有効性を確認するため、長期・大規模の試験を行うことが必要である」とまとめている。神経変性疾患に起因する認知症患者は、認知症関連精神症状を有する可能性がある。認知症のさまざまな要因に関連する精神症状への、pimavanserinの有効性は明らかになっていなかった。NEJM誌2021年7月22日号掲載の報告。

片頭痛の予防治療に関するレビュー

 米国・ハーバード大学医学大学院のRebecca Burch氏は、片頭痛の予防的治療の開始時期と選択方法、薬理学的オプション(従来からある経口剤治療およびカルシトニン遺伝子関連ペプチド[CGRP]またはその受容体に対する新規モノクローナル抗体)、神経調節などの非薬理学的治療、難治性片頭痛の予防的治療などの片頭痛に対する介入について、レビューを行った。Continuum誌2021年6月1日号の報告。  主なレビューは以下のとおり。 ・片頭痛の予防的治療は、CGRPまたはその受容体を標的としたモノクローナル抗体が開発されたことにより変化した。 ・これらの治療法は、毎月または四半期ごとに皮下または静脈内投与することにより、高い有効性と良好な忍容性が臨床試験で確認された。 ・リアルワールドでの研究において、有害事象は、臨床試験よりも高率で認められた。 ・従来からある2つの予防的治療で効果不十分な場合、CGRPまたはその受容体を標的としたモノクローナル抗体の使用が推奨されている。 ・一般的に引用される米国頭痛学会、米国神経学会の頭痛予防ガイドライン2012が発表されて以来、リシノプリル、カンデサルタン、メマンチンの予防的使用を支持する臨床試験が報告されている。 ・外部三叉神経刺激法および単発経頭蓋磁気刺激法を含む神経調節デバイスによる予防的使用を支持するいくつかのエビデンスが報告されている。 ・片頭痛の予防的治療に関する米国頭痛学会、米国神経学会の頭痛予防ガイドラインは、現在アップデートされている。 ・新クラスの経口CGRP受容体アンタゴニスト(gepant)が、片頭痛の予防的治療に対し試験されている。

統合失調症に対する抗精神病薬の長期継続性

 統合失調症の治療では、抗精神病薬の長期投与が必要となることが少なくない。米国・ザッカーヒルサイド病院のJose M. Rubio氏らは、統合失調症治療における抗精神病薬の継続性、治療中断に関連する因子について、調査を行った。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2021年6月15日号の報告。  フィンランドの初回エピソード精神疾患患者を対象とした全国コホートを最長18年間フォローアップした。初回治療との比較および本コホートで最も使用頻度の高かったオランザピンと比較した特定の抗精神病薬についての治療中止リスクを評価するため、層別Cox比例ハザード回帰を用いた。調整ハザード比(aHR)および95%信頼区間(CI)を算出した。

認知症やMCIに対する運動介入の有効性比較~メタ解析

 運動は、認知機能低下に対し有用な非薬理学的介入の1つであるが、どのような運動が最も効果的であるかはよくわかっていない。中国・北京大学のXiuxiu Huang氏らは、認知症または軽度認知障害(MCI)の患者における認知機能に対するさまざまな運動介入の有効性を比較し、認知機能低下に関連する症状に対する運動の影響を調査した。Journal of Sport and Health Science誌オンライン版2021年5月16日号の報告。  2019年9月までに公表された認知症またはMCIの患者を対象に運動介入の有効性を調査したランダム化比較試験をPubMed、Web of Science、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、SPORTDiscus、PsycInfoより検索した。主要アウトカムは、全般的な認知機能、実行機能、記憶とした。副次的アウトカムは、ADL、神経精神症状、QOLとした。変量効果モデルを用いてペアワイズ解析とネットワークメタ解析を実施した。