精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:145

統合失調症患者における持続性注射剤使用と刑事事件遭遇との関連

 統合失調症患者では、アドヒアランスが不良な場合が多い。このことが、再発リスク、健康状態の悪化、入院、治療費の高騰、暴力的および非暴力的な犯罪の発生率上昇に影響を及ぼす。米国・ケント州立大学のMadhav P. Bhatta氏らは、統合失調症または統合失調感情障害患者における持続性注射剤(LAI)抗精神病薬の使用と刑事事件遭遇との関連について、調査を行った。Journal of Health Economics and Outcomes Research誌2021年5月19日号の報告。  2010年1月1日~2016年6月15日にオハイオ州アクロンの地域精神保健センターで統合失調症または統合失調感情障害のために治療を受けた18歳以上の患者を対象に、レトロスペクティブフォローアップ研究を実施した。LAI抗精神病薬開始前後6ヵ月、1年、2年での刑事事件遭遇率を評価した。過去に逮捕歴を有する患者を対象に、サブ解析を実施した。

日本において複数のADHD治療薬を投与された小児患者の特徴

 注意欠如多動症(ADHD)は、多動性、衝動性および/または不注意の症状を呈す疾患である。日本で使用可能なADHD治療薬は、欧米諸国に比べ限られている。また、日本の臨床現場では、処方状況の評価が十分に行われていない。東京医科歯科大学の佐々木 祥乃氏らは、日本の臨床現場におけるADHD治療薬の現在の使用状況と複数のADHD治療薬を投与された患者の特徴について、調査を行った。PLOS ONE誌2021年6月3日号の報告。  対象は、2015年4月~2020年3月に国立国際医療研究センター国府台病院の児童精神科を受診した患者。メチルフェニデート徐放剤、アトモキセチン、グアンファシンを投与した患者を調査した。複数のADHD治療薬を投与された患者の特徴を評価するため、レトロスペクティブケースコントロールデザインを用いた。3つのADHD治療薬を投与された患者は、症例群として定義した。ADHDと診断された患者と年齢、性別が一致するランダムサンプリング患者を対照群として用いた。子供から親への暴力、反社会的行動、自殺企図または自傷行為、虐待歴、登校拒否、2つの心理的評価尺度(ADHD評価尺度、東京自閉行動尺度)のデータを比較した。

精神疾患治療薬と自動車運転能力~システマティックレビュー

 モビリティは、日常生活において重要な機能であるが、薬理学的な治療を行っている精神疾患患者では、交通安全に関する特定の課題を抱えている。ドイツ・kbo-Inn-Salzach-KlinikumのAlexander Brunnauer氏らは、精神疾患治療薬と自動車運転能力との関連を調査した。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2021年5月26日号の報告。  PRISMAガイドラインに従って、PubMedより1970~2020年に公表された文献をシステマティックに検索した。主要評価項目として、交通法規に従って運転するための対象患者の適合性を推定するため、路上教習でのパフォーマンス、ドライビングシミュレータでのパフォーマンス、精神運動、視覚機能を評価した。

治療抵抗性統合失調症の遺伝的研究~COMTおよびGAD1遺伝子

 前頭前野におけるドパミン作動性ニューロンからガンマアミノ酪酸(GABA)介在ニューロンへの投射は、統合失調症の病因と関連している。統合失調症の臨床像に対するドパミンシグナルとGABA発現との相互作用の影響は、これまで研究されていなかった。これらの相互作用は、前頭前野の機能と密接に関連している可能性があり、関連分子との特定の対立遺伝子(遺伝的機能の低下または脆弱)を有する患者では、治療抵抗性へ移行する可能性がある。千葉大学の小暮 正信氏らは、治療抵抗性統合失調症に特有の対立遺伝子の組み合わせを調査するため、COMTおよびGAD1遺伝子に焦点を当て、遺伝子関連研究を実施した。Journal of Molecular Neuroscience誌オンライン版2021年6月14日号の報告。  対象は、治療抵抗性統合失調症群171例、非治療抵抗性統合失調症群592例、健康対照群447例。

英国のうつ病診療で使用されている治療法

 うつ病は、経口抗うつ薬で治療可能な慢性的または一時的な精神疾患である。しかし、現在利用可能な治療では、3人に1人は十分な治療反応が得られない。FDAやEMAでは、1度のうつ病エピソードに対し、連続で2つ以上の抗うつ薬治療に反応が得られない場合、治療抵抗性うつ病であるとしている。英国・ヤンセンのTom Denee氏らは、英国のうつ病および治療抵抗性うつ病に対する現在の臨床的マネジメント、治療戦略、メンタルヘルスの2次医療機関への紹介について調査を行った。Journal of Psychiatric Research誌2021年7月号の報告。  プライマリケアにおいて、うつ病と診断された成人(治療抵抗性うつ病を含む)を対象としたレトロスペクティブコホート研究を実施した。Hospital Episode Statistics and Mental Health Services Data Set dataにリンクした英国の大規模データベース(Clinical Practice Research Datalink GOLD primary care database)を用いて実施した。

慢性片頭痛および併存するうつ病に対するフレマネズマブの効果

 カルシトニン遺伝子関連ペプチドを標的とした完全ヒトモノクローナル抗体であるフレマネズマブは、成人の片頭痛に対する予防薬として承認されている。慢性片頭痛患者は、うつ病の合併率が高いといわれている。米国・アルバート・アインシュタイン医科大学のRichard B. Lipton氏らは、中等度~重度のうつ病を伴う慢性片頭痛患者に対するフレマネズマブの有効性および安全性を評価した。Headache誌2021年4月号の報告。  12週間の第III相HALO試験を実施した。慢性片頭痛患者をフレマネズマブ四半期ごと投与群(675mg/プラセボ/プラセボ)、フレマネズマブ月1回投与群(675mg/225mg/225mg)、プラセボ群にランダムに割り付けた。事後分析では、中等度~重度のうつ病(ベースライン時のPHQ-9合計スコア10以上)を伴う片頭痛患者に対するフレマネズマブ投与による効果を評価した。評価項目は、1ヵ月当たりの中等度~重度の頭痛日数、1ヵ月当たりの片頭痛日数、Patient Global Impression of Change(PGIC)スコア、6-item Headache Impact Test(HIT-6)スコア、抑うつ症状とした。

抗精神病薬の多剤併用と有害事象リスク

 抗精神病薬の多剤併用療法は、精神科入院患者において高頻度に認められており、このことが薬物有害事象のリスク因子であると考えられる。しかし、この関連性は、十分に調査されていない。京都府立医科大学の綾仁 信貴氏らは、日本の精神科入院患者における抗精神病薬の多剤併用と薬物有害事象との関係を明らかにするため、検討を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2021年7・8月号の報告。  薬物有害事象に関する多施設コホート研究Japan Adverse Drug Events study(JADE study)より、精神科入院患者448例(累積入院日数:2万2,733患者日)を対象とし、レトロスペクティブに検討を行った。多剤併用(2剤以上の抗精神病薬の使用)と薬物有害事象との関連を調査した。また、抗精神病薬による薬物有害事象の潜在的なリスク因子との関係を評価した。

小児および青年期のうつ病に対する新規抗うつ薬~ネットワークメタ解析

 小児および青年期のうつ病は、教育や仕事の成果、対人関係、身体的健康、メンタルヘルス、ウェルビーイングなどに重大な影響を及ぼす。また、うつ病は自殺念慮、自殺企図、自殺との関連がある。中等度~重度のうつ病には抗うつ薬が使用されるが、現在さまざまな新規抗うつ薬が使用されている。ニュージーランド・オークランド大学のSarah E. Hetrick氏らは、抑うつ症状、機能、自殺に関連するアウトカム、有害事象の観点から、小児および青年期のうつ病に対する新規抗うつ薬の有効性および安全性を比較するため、ネットワークメタ解析を実施し、年齢、治療期間、ベースライン時の重症度、製薬業界からの資金提供が臨床医によるうつ病評価(CDRS-R)および自殺関連アウトカムに及ぼす影響を調査した。The Cochrane Database of Systematic Reviews誌2021年5月24日号の報告。

認知症またはMCIの高齢者に対するVR介入~メタ解析

 バーチャルリアリティ(VR)介入は、脳卒中やパーキンソン病などの神経疾患の患者にとって、革新的かつ効果的なリハビリテーションツールとして期待されている。中国・南京医科大学のShizhe Zhu氏らは、軽度認知障害(MCI)または認知症の高齢者における認知機能や運動機能に対するVR介入の有効性を評価するため、メタ解析を実施した。Frontiers in Aging Neuroscience誌2021年5月5日号の報告。  2020年4月までに公表された関連文献を、7つのデータベースよりシステマティックに検索した。60歳以上のMCIまたは認知症の患者を対象としてVR介入の検討を行ったランダム化比較試験を含めた。主要アウトカムは、全体的な認知機能、包括的な認知機能、注意、実行機能、記憶、視空間認知能力を含む認知機能とした。副次的アウトカムは、全体的な運動機能、バランス、歩行を含む運動能力とした。不均一性の潜在的な因子を特定するため、研究の特徴に基づいてサブグループ解析を行った。

日本人反復性片頭痛患者に対するガルカネズマブの治療満足度~第II相試験

 京都・立岡神経内科の立岡 良久氏らは、反復性片頭痛の予防に対しガルカネズマブ(GMB)を投与された日本人患者の治療満足度(4~14ヵ月間の1ヵ月当たりの片頭痛日数)について、評価を行った。Neurology and Therapy誌2021年6月号の報告。  この第II相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験では、日本の医療機関40施設において、18~65歳の片頭痛患者が登録された。対象患者は、プラセボ群230例、GMB皮下注120mg(GMB120群)115例、GMB皮下注240mg(GMB240群)114例にランダムに割り付けられ、6ヵ月間の投与を行った。治療に対する印象は、患者による重症度の改善度(PGI-S)、患者による全般印象度の改善度(PGI-I)、薬剤に対する患者の満足度質問票(PSMQ-M)を用いて評価した。PGI-Sはベースライン時および1~6ヵ月、PGI-Iは1~6ヵ月、PSMQ-Mは1および6ヵ月目に評価を行った。GMB群とプラセボ群におけるPGI-Iスコアの違い、PGI-Sスコアのベースラインからの変化、PGI-IとPSMQ-Mのポジティブな反応を評価するため、分析を行った。