精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:147

PTSD患者に対するSSRIの治療反応と予測因子

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)治療に対しFDAより承認を受けている薬剤は、パロキセチンとセルトラリンである。両剤共にプラセボと比較し、有用性が示されているものの、すべてのPTSD患者にベネフィットをもたらすわけではない。デンマーク・コペンハーゲン大学のAnne Krogh Nohr氏らは、PTSD患者に対するSSRIによる治療反応の予測因子の調査および潜在クラス分析を行った。Psychiatry Research誌オンライン版2021年4月26日号の報告。  対象は、PTSD患者390例。オープンラベルのセルトラリンまたはパロキセチンと二重盲検のプラセボによる治療を実施し、症状の重症度を12週間測定した。まず、治療反応に対する集団レベルの予測因子を推定するため、成長曲線モデリング(GCM)を用いた。次に、成長混合モデル(GMM)を用いて、治療反応の経過に基づき患者を潜在クラスに分類し、潜在クラスの予測因子を調査した。

片頭痛患者の頭痛日数が不安やうつに及ぼす影響

 片頭痛のマネジメントを行ううえで、高度な障害を有する患者または精神医学的併存疾患リスクの高い患者を特定することは重要である。片頭痛による苦痛は、頭痛の頻度と共に増加するが、1ヵ月当たりの頭痛日数がどの程度になると、障害の重症度が高まるのか、不安や抑うつ症状のリスクが上昇するのかは、よくわかっていない。スペイン・Clinica Universidad de NavarraのP. Irimia氏らは、片頭痛患者における不安や抑うつ症状、障害重症度、QOL低下などのリスクに影響を及ぼす1ヵ月当たりの頭痛日数を推定するため、検討を行った。Scientific Reports誌2021年4月15日号の報告。  片頭痛患者468例(平均年齢:36.8±10.7歳、女性の割合:90.2%)を対象に分析を行った。対象患者のうち、1ヵ月当たりの頭痛日数が15日以上であった患者の割合は、38.5%であった。

精神疾患に対する向精神薬の投与回数と臨床アウトカム~メタ解析

 慶應義塾大学の菊地 悠平氏らは、精神疾患に対する向精神薬の1日1回投与と分割投与の有効性および安全性を比較するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The Journal of Clinical Psychiatry誌2021年2月23日号の報告。  投与レジメンおよび向精神薬に関連するキーワードを用いて、2019年12月30日までに公表された文献を、MEDLINEおよびEmbaseよりシステマティックに検索した。精神疾患患者に対する向精神薬の1日1回投与と分割投与の臨床アウトカムを比較したランダム化比較試験を選択した。研究の中止、精神病理、治療による有害事象(TEAE)に関するデータを抽出した。

日本における認知症高齢者に対するエビデンスベースの作業療法の実践と影響要因

 日本では、認知症患者数が急速に増加しており、エビデンスベースの作業療法(EBOT)に対するニーズが高まっている。このEBOTについて、認知症に対する臨床的改善効果が報告されている。北海道大学の長谷川 愛氏らは、日本の認知症患者に対するEBOTの現在の実践状況を調査し、EBOTの実践に影響を及ぼす因子を明らかにするため、検討を行った。Hong Kong Journal of Occupational Therapy誌2020年12月号の報告。  認知症患者の治療を行っている作業療法士432人を対象に、郵送にて匿名の自己報告アンケートを実施した。記述統計データを整理し、EBOTの実践に影響を及ぼす因子を明らかにするため、重回帰分析を行った。

統合失調症患者における末梢炎症レベルの再定義~FACE-SZコホート研究

 統合失調症の予後には、末梢炎症が関連しているといわれている。高感度C反応性蛋白(hs-CRP)は、日常的に最も使用されている炎症性バイオマーカーである。しかし、末梢炎症の有無を区分するための合意に基づくカットオフ値は、これまで明確に定義されていなかった。フランス・エクス=マルセイユ大学のG. Fond氏らは、hs-CRP 1~3mg/Lの統合失調症患者は、1mg/L未満の患者と比較し、治療転帰が不良であるかを検討した。Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌オンライン版2021年4月29日号の報告。

日本においてアルツハイマー病の重症度が介護費用などに及ぼす影響

 アルツハイマー病は、社会的費用を増加させ、患者のADLやQOLを低下させる。東京大学の芦澤 匠氏らは、日本の高齢者施設におけるアルツハイマー病の重症度がADL、QOL、介護費用にどのような影響を及ぼすかについて、検討を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌2021年号の報告。  対象は、47の高齢者施設に入所しているアルツハイマー病患者3,461例。患者のADL、QOL、アルツハイマー病の重症度は、それぞれBarthel Index(BI)、EuroQoL-5D-5L(EQ-5D-5L)、ミニメンタルステート検査(MMSE)を用いて評価した。年間介護費用は、患者のレセプトデータを用いて推定した。対象患者は、MMSEスコアに従って、軽度(MMSE:21~30)、中等度(MMSE:11~20)、高度(MMSE:0~10)の3群に分類した。3群間の違いは、Jonckheere-Terpstraテストを用いて評価した。

日本の小児期自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に対するアリピプラゾールの52週間市販後調査結果

 大塚製薬のYuna Sugimoto氏らは、日本の実臨床現場における小児自閉スペクトラム症(ASD)患者の易刺激性に対するアリピプラゾールの安全性および有効性について、市販後調査のデータを用いて評価した。BMC Psychiatry誌2021年4月22日号の報告。  本市販後調査は、52週間の多施設プロスペクティブ非介入観察研究として実施された。6~17歳のASD患者に対し、実臨床下でアリピプラゾール1~15mg/日を投与した。  主な結果は以下のとおり。

産後うつ病の有病率と環境要因~IGEDEPPコホート研究

 IGEDEPP(Interaction of Gene and Environment of Depression during PostPartum)研究とは、2011~16年に出産した白人女性3,310人を対象とし、産後1年目までフォローアップを行ったプロスペクティブコホート研究である。フランス・パリ大学のSarah Tebeka氏らは、IGEDEPP研究における早期および遅発性の産後うつ病の有病率および累積発症率の推定を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2021年4月16日号の報告。  ベースラインにおける社会人口統計データ、個人および家族の精神疾患歴、小児期および妊娠期のストレスの多いライフイベントを評価した。早期および遅発性の産後うつ病は、DSM-5基準を用いて、それぞれ産後8週間、1年間で評価を行った。

治療抵抗性片頭痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体fremanezumab~FOCUS試験

 FOCUS試験では、世界各国の片頭痛患者、とくに治療困難な患者に対する予防薬の有効性や安全性を検討している。米国・Boston PainCareのEgilius L. H. Spierings氏らは、FOCUS試験のサブグループ解析として、既存の片頭痛予防の2~4つのクラスを用いた治療に奏効しなかった反復性および慢性片頭痛成人患者に対する抗CGRPモノクローナル抗体fremanezumabによる治療の有効性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年4月16日号の報告。

第2世代抗精神病薬による統合失調症治療におけるMetSに関連する因子

 重度の精神疾患を有する人は、一般の人と比較し、合併症の罹患や死亡率が増加する。体重増加を含む抗精神病薬の有害事象は、メタボリックシンドローム(MetS)の発症に影響を及ぼす可能性があり、これはすべての原因による死亡リスクや心血管疾患による死亡リスクの増加と関連している。オランダ・ユトレヒト大学のMarius H. Sneller氏らは、第2世代抗精神病薬(SGA)による治療を行った統合失調症スペクトラム障害患者におけるMetS関連の臨床的、生化学的、遺伝学的因子について、包括的なレビューを実施した。Frontiers in Psychiatry誌2021年3月29日号の報告。