精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:37

双極性障害に対するリチウムの国際的な使用傾向と臨床的相関

 双極性障害治療において、リチウムによる治療は依然として重要な治療選択肢の1つである。シンガポール・Nanyang Technological UniversityのYao Kang Shuy氏らは、国際的なリチウム使用の薬理学的疫学的パターンを経時的に特徴づけ、双極性障害に関連する臨床的相関を解明するため、スコーピングレビューを実施した。Brain Sciences誌2024年1月20日号の報告。  Arksey and O'Malley(2005)による方法論的枠組みを用いて、スコーピングレビューを実施した。

統合失調症入院患者に対する長時間作用型注射剤や新規抗精神病薬治療が臨床アウトカムに及ぼす影響

 統合失調症治療に従事している医療関係者にとって、抗精神病薬のアドヒアランスや治療の中断は、依然として大きな課題となっている。米国・Johnson & Johnson Innovative MedicineのCharmi Patel氏らは、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬治療を開始、または入院後に新規経口抗精神病薬に切り替えた統合失調症患者を対象に、臨床的質の尺度を用いて評価を行った。Drugs - Real World Outcomes誌オンライン版2023年12月21日号の報告。  本研究は、PINC AITM Healthcare Databaseを用いたレトロスペクティブコホート研究であり、統合失調症患者を対象とした2つのコホートから、入院後の臨床的質と治療継続のエンドポイントの評価を行った。対象患者は、all-payer databaseを用いて、米国の病院を拠点とするリアルワールドデータベースより抽出した。2017年4月~2020年4月、初回入院時にLAI抗精神病薬を開始した統合失調症患者7,292例または新規経口抗精神病薬に切り替えた統合失調症患者3万1,956例を分析対象に含めた。傾向スコアの重みづけは、2つのコホート間の患者、病院、臨床的特性の違いにより対応した。

女性の涙のにおいは男性の攻撃性を抑制する?

 泣き始めた女性の姿に弱り果て、泣きやませるためにあの手この手を尽くす男性の姿は、昔からテレビや映画でよく見かけるが、生化学的な観点からこのような男性の反応を説明できるらしい。ワイツマン科学研究所(イスラエル)脳科学部のShani Agron氏らによる研究で、女性の涙には男性の攻撃性を40%以上も抑制する化学物質が含まれていることが示された。この研究の詳細は、「PLOS Biology」に12月21日掲載された。  雌のげっ歯類の涙には、雄の攻撃性を抑制するなどさまざまな効果を持つ社会的化学信号が含まれていることが報告されている。女性の涙にも男性ホルモンであるテストステロンを低下させる化学信号が含まれているが、それが行動に与える影響については明らかにされていない。Agron氏らは、テストステロンの低下は攻撃性の低下と関連しているため、女性の涙もげっ歯類の涙と同様に、男性の攻撃性を抑制する作用があるとの仮説を立て、それを検証する実験を行った。

ペットを飼うことが1人暮らしの人の認知症予防に?

 米国では、1人暮らしのシニア世代が増えているが、犬や猫などのペットを飼うことが認知機能の維持に役立つようだ。平均年齢66歳の7,900人以上を対象とした研究で、1人暮らしの人でも、ペットを飼っていれば記憶力や思考力の低下を抑えられる可能性のあることが明らかになった。中山大学(中国)のCiyong Lu氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に12月26日掲載された。  2021年のデータに基づくと、米国では人口の28.5%が単身世帯である。Lu氏らは、1人暮らしの年配者は認知症の発症リスクが高いことが多くの研究で明らかになっていると指摘する。

アルツハイマー病治療薬aducanumabの開発・販売を終了/バイオジェン

 米国・バイオジェンは2024年1月31日付のプレスリリースにて、同社とエーザイが共同開発したアルツハイマー型認知症治療薬aducanumabの開発および販売を終了することを発表した。本剤は、米国食品医薬品局(FDA)から2021年6月8日に迅速承認を受けていた。迅速承認の条件として第IV相市販後検証試験であるENVISION試験を実施していたが、本試験を終了する。

強迫症と双極性障害を合併した患者の臨床的特徴~レビューとメタ解析

 強迫症は、さまざまな精神疾患を併発することが多く、双極性障害と診断された患者の約20%に影響を及ぼす可能性がある。強迫症と双極性障害の合併に関するエビデンスは増加しているが、併発を定義する強迫症状の明確な特徴に関する包括的なデータは、著しく不足している。このようなギャップを埋めるため、スペイン・バルセロナ大学のMichele De Prisco氏らは、強迫症と双極性障害の合併に関するシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。European Neuropsychopharmacology誌オンライン版2023年12月20日号の報告。  2023年8月7日までに公表された文献をPubMed、MEDLINE、Scopus、EMBASE、PsycINFOよりシステマティックに検索した。強迫症の症状、強迫観念、特定のカテゴリの観点から、強迫症と双極性障害を合併した患者と強迫症患者を比較するため、ランダム効果メタ解析を実施した。

せん妄マネジメントに対する抗精神病薬のQT延長リスク

 集中治療室でせん妄に関連した重度の興奮や知覚障害を認める患者では、抗精神病薬による短期治療が有用である可能性がある。しかし、一部の抗精神病薬は、QTc間隔を延長する可能性があり、致死的な心室性不整脈のリスク増加が懸念される。米国・マサチューセッツ総合病院のMonika Sadlonova氏らは、抗精神病薬とQTc延長に関するエビデンスをレビューし、QTc間隔のモニタリングにより不整脈リスクを軽減するための実践的な方法について検討を行った。Journal of Intensive Care Medicine誌オンライン版2023年12月21日号の報告。

脳卒中による認知症を防ぐために!治療可能なリスク因子は

 脳卒中後の認知機能障害および認知症の確立したリスク因子として、高齢や重度の脳卒中が報告されているほか、心房細動や糖尿病の既往歴なども示唆されている。今回、治療可能なリスク因子に焦点を当て、それらの関連の強さを、ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのJule Filler氏らがシステマティックレビューおよびメタ解析で明らかにした。Lancet Healthy Longevity誌2024年1月号掲載の報告。  脳卒中後の認知機能障害は脳卒中後4年の時点で最大80%に、脳卒中後の認知症は脳卒中後1年の時点で最大40%に認められ、患者・介護者・医療制度に大きな負担をもたらしている。研究グループは、システマティックレビューおよびメタ解析を行い、年齢や脳卒中の重症度以外のリスク因子、とくに治療可能なリスク因子に焦点を当てて評価を行った。

早期アルツハイマー病患者の記憶定着と睡眠依存性

 空間ナビゲーションは、アルツハイマー病において早期に影響を受ける海馬-嗅内皮質回路機能の重要な基盤となっている。アルツハイマー病の病態生理は、睡眠/覚醒サイクルと動的に相互作用し海馬の記憶を損なうというエビデンスの報告が増えている。ドイツ・University Hospital of Schleswig HolsteinのAnnika Hanert氏らは、早期アルツハイマー病患者の記憶定着と睡眠依存性との関連を評価した。Neurobiology of Disease誌2024年1月号の報告。  症候性アルツハイマー病コホート(12例、平均年齢:71.25±2.16歳)における睡眠依存性の影響を解明するため、夜間睡眠の前後における、仮想現実タスクによる海馬の場所記憶および単語ペア連想タスクによる言語記憶を評価した。

疲労と日中の過度な眠気、どちらがよりうつ病と関連しているか

 一般集団における疲労と日中の過度な眠気のどちらが、うつ病とより密接に関連しているかを明らかにするため、韓国・蔚山大学校のSoo Hwan Yim氏らは、調査を行った。Sleep & Breathing誌オンライン版2023年12月14日号の報告。  韓国の15の地区で本調査を実施した。日中の過度な眠気、疲労、うつ病の評価には、それぞれエプワース眠気尺度(ESS)、疲労症状の評価尺度(FSS)、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いた。うつ病はPHQ-9スコア10以上と定義し、疲労ありはFSSスコア36以上、日中の過度な眠気ありはESSスコア11以上とした。日中の過度な眠気と疲労との組み合わせにより、4群に分類した。