外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:48

各固形がんにおけるHER2低発現の割合は/Ann Oncol

 新たに定義されたカテゴリーであるHER2低発現(IHC 2+/ISH-またはIHC 1+)は、多くの固形がんで認められることが明らかになった。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのBurak Uzunparmak氏らによるAnnals of Oncology誌オンライン版2023年8月22日号掲載の報告より。  本研究では、進行または転移を有する固形がん患者4,701例を対象に、IHC法によるHER2発現状態を評価した。また乳房と胃/食道の原発および転移腫瘍のペアサンプルにおいて、IHC法およびISH法によるHER2発現状態を評価した。

ER+/HER2-乳がん、Ki-67と21遺伝子再発スコアの関連

 エストロゲン受容体(ER)陽性HER2陰性(ER+/HER2-)乳がんにおいて、21遺伝子再発スコア(RS)高値とKi-67高値はどちらも予後不良因子であるが、これらのバイオマーカーによる違いが指摘されている。今回、韓国・Hallym UniversityのJanghee Lee氏らは、ER+/HER2-乳がん患者におけるKi-67とRSとの関連、Ki-67と無再発生存期間(RFS)との関連を調べた。その結果、Ki-67とRSに中等度の相関が観察され、RSの低い患者においてKi-67高発現がsecondary endocrine resistanceリスク上昇と関連していた。JAMA Network Open誌2023年8月30日号に掲載。

検診で寿命が延びるがんは?

 一般的に行われているがん検診により、寿命が延びるのかどうかは不明である。今回、ノルウェー・オスロ大学のMichael Bretthauer氏らが、乳がん検診のマンモグラフィ、大腸がん検診の大腸内視鏡検査・S状結腸鏡検査・便潜血検査、肺がん検診の肺CT検査、前立腺がん検診のPSA検査の6種類の検診について、検診を受けた群と受けなかった群で全生存率と推定寿命を比較した無作為化試験をメタ解析した結果、寿命が有意に増加したのはS状結腸鏡検査による大腸がん検診のみであったことがわかった。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2023年8月28日号に掲載。

化療後の閉経前乳がんへのタモキシフェン+卵巣機能抑制、長期結果は(ASTRRA)

 手術および術前または術後化学療法後の閉経前エストロゲン受容体(ER)陽性乳がん患者に対する、タモキシフェン(TAM)+卵巣機能抑制(OFS)併用の有効性を検討するASTRRA試験について、追跡期間中央値8年の長期解析結果を、韓国・Asan Medical CenterのSoo Yeon Baek氏らがJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年8月22日号に報告した。  ASTRRA試験では、閉経前または化学療法後に卵巣機能が回復した45歳未満の女性1,483例が、5年間のTAM単独投与(TAM群)と、5年間のTAM投与と2年間のOFS併用(TAM+OFS群)に1:1の割合で無作為に割り付けられた。

既治療のHR+/HER2-転移乳がんへのSG、OSを改善(TROPiCS-02)/Lancet

 sacituzumab govitecan(SG)は、ヒト化抗Trop-2モノクローナル抗体と、トポイソメラーゼ阻害薬イリノテカンの活性代謝産物SN-38を結合した抗体薬物複合体。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHope S. Rugo氏らは、「TROPiCS-02試験」において、既治療のホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)の切除不能な局所再発または転移のある乳がんの治療では、本薬は標準的な化学療法と比較して、全生存期間(OS)を有意に延長し、管理可能な安全性プロファイルを有することを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年8月23日号で報告された。

50歳未満のがん、この10年で急速に増加したがんは?

 1990年代以降、世界の多くの地域において50歳未満で発症する早期発症がんが増加して世界的な問題となっているが、特定のがん種に限定されない早期発症がんの新たなデータは限られている。そこで、シンガポール・シンガポール国立大学のBenjamin Koh氏らによる米国の住民ベースのコホート研究の結果、2010年から2019年にかけて早期発症がんの罹患率は有意に増加し、とくに消化器がんは最も急速に増加していたことが明らかになった。JAMA Oncology誌2023年8月16日号掲載の報告。  研究グループは、米国における早期発症がんの変化を明らかにし、罹患率が急増しているがん種を調査するために住民ベースのコホート研究を行った。解析には、2010年1月1日~2019年12月31日の米国国立がん研究所(NCI)のSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)の17レジストリのデータを用い、人口10万人当たりの年齢標準化罹患率を算出した。年齢標準化罹患率の年間変化率(APC)はjoinpoint回帰法を用いて推定した。データ解析は2022年10月16日~2023年5月23日に行われた。

セファゾリンやダビガトラン、重大な副作用追加などで添付文書改訂/厚労省

 厚生労働省は8月29日、セファゾリンやダビガトランなど6つの医薬品の添付文書について、使用上の注意改訂指示を発出した。  セファゾリンNa水和物(商品名:セファメジンα筋注用0.25g ほか)とセファゾリンNa(同:セファゾリンNa点滴静注用1gバッグ「オーツカ」 ほか)において、アレルギー反応に伴う急性冠症候群の国内症例(7例[死亡0例])を評価した結果、本剤とアレルギー反応に伴う急性冠症候群との因果関係の否定できない国内症例が集積したことから、副作用の項に『重大な副作用』を新設した。

ビタミンD、p53免疫反応性の消化管がんの再発/死亡を抑制

 最近発表された無作為化試験のメタ解析では、ビタミンD3補充ががん死亡率に有益な影響を与えることが明らかになっている。今回、東京慈恵会医科大学の菅野 万規氏らの研究で、p53免疫反応性を有する消化管がん患者において、ビタミンD補充が再発/死亡リスクを低下させることが明らかになった。JAMA Network Open誌2023年8月22日号に掲載。

過去10年間、日米間の抗がん剤ドラッグラグはどのくらいか

 抗がん剤の日米間のドラッグラグに関する既存の研究や統計では、ドラッグラグは減少したとするものもあるが、一方で日本では未承認の薬剤が多く残されている。北里大学の立花 慶史氏らは、未承認薬がドラッグラグに与える影響を定量化することを目的とした研究を行い、結果をInternational Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年8月10日号に報告した。  本研究では、2011~22年の間に米国で承認された抗がん剤136品目の情報が収集された。米国での承認日から日本での承認日までの日数として定義される承認ラグをすべての選択された薬剤について算出し、中央値をKaplan-Meier法で算出した。なお、日本で承認されていない医薬品の承認ラグについては、打ち切りデータとして扱った。承認ラグと関連する可能性のある因子を、Cox回帰分析を用いて検討した。

飲酒で発症リスクが上がるがん、下がるがん~女性80万人の前向き研究

 アルコール摂取は一部のがん発症リスクの増加や減少に関連していると考えられている。今回、英国・オックスフォード大学のSarah Floud氏らが、前向き研究であるUK Million Women Studyで調査したところ、アルコール摂取量が増えると、上部気道・消化管がん、乳がん、大腸がん、膵臓がんのリスクが増加し、甲状腺がん、非ホジキンリンパ腫、腎細胞がん、多発性骨髄腫のリスクが低下する可能性が示された。また、この関連は、上部気道・消化器がんを除いて、喫煙、BMI、更年期ホルモン療法による変化はなかった。BMC Cancer誌2023年8月16日号に掲載。