外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:48

乳がんリスク、初経から妊娠までの身体活動量との関連

 初経から最初の妊娠までの期間が長いほど乳がんリスクは高くなるが、その期間に予防因子である身体活動量が多いとリスクを相殺できるのだろうか。今回、米国・ペンシルバニア州立大学のDan Lin氏らの研究で、初経から最初の妊娠までの期間の身体活動量と乳がんリスクの低下に関連があることが示された。サブタイプ別ではトリプルネガティブタイプでは関連がみられたが、Luminal AおよびLuminal Bタイプではみられなかった。Cancer Causes & Control誌オンライン版2022年8月20日号に掲載。  Lin氏らは、California Teachers Study(n=78,940)において、初経から最初の妊娠までの期間における身体活動と乳がんリスクとの関連性を調査した。いくつかの時点におけるレクリエーションの身体活動を登録時に想起してもらい、週当たりの身体活動量(MET・時/週)を計算した。多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。  主な結果は以下のとおり。

固形がんの第I相試験、20年間で奏効率2倍に/Lancet

 2000~19年に行われた固形がんに関する第I相臨床試験の奏効率は、治療関連の死亡率を増大することなく2倍近くになっていることが判明した。一方で、同期間の奏効率の改善は、がんの種類、治療薬、試験デザインなどさまざまな要因によるばらつきも認められたという。米国・国立がん研究所(NCI)のDai Chihara氏らが、がん治療評価研究プログラム(Cancer Therapy Evaluation Program:CTEP)の患者データを分析し明らかにした。Lancet誌2022年8月13日号掲載の報告。  研究グループは、2000年1月1日~2019年5月31日に行われたNCIが資金を提供した研究者主導の固形がんに関する第I相臨床試験のCTEPから患者データを集めて分析した。治療関連死(「おそらく」・「十中八九」・「明確に」治療に起因するGrade5の毒性による)、治療中の全死亡(がん種にかかわらずプロトコール治療中の死亡)、Grade3-4の毒性、全奏効の程度(完全奏効および部分奏効)、対象期間中(2000~05年、2006~12年、2013~19年)の完全奏効率、および経時的傾向を評価した。

非低リスクの非浸潤性乳管がん、ブースト照射が再発抑制/Lancet

 乳房温存手術を受けた非低リスクの非浸潤性乳管がん(DCIS)患者において、全乳房照射(WBI)後の腫瘍床へのブースト照射(追加照射)は、Grade2以上の有害事象が増加したものの局所再発が有意に低下することが示された。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のBoon H. Chua氏らが、多施設共同無作為化非盲検第III相試験「BIG 3-07/TROG 07.01試験」の結果を報告した。DCISに対する乳房温存手術後のWBIは局所再発を減少させるとの強く一貫したエビデンスが、無作為化試験により示されている。一方で、ブースト照射および分割照射の有効性について前向きに検討する必要性が示唆されていた。Lancet誌2022年8月6日号掲載の報告。

『がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドライン』 、作成の狙いは?

 2022年7月、日本サイコオンコロジー学会 / 日本がんサポーティブケア学会編『がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズ 2 がん医療における患者-医療者間のコミュニケーションガイドライン 2022年版』(金原出版)が出版された。本ガイドラインはこれが初版となる。作成にあたった日本サイコオンコロジー学会・コミュニケーション小委員会委員長の秋月 伸哉氏(都立駒込病院・精神腫瘍科)に、作成の狙いやに苦労した点について聞いた。 --本ガイドラインの作成の狙いと経緯は? がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズは2019年に『せん妄ガイドライン』初版でスタートしました。この作成準備をはじめた2015年時点から、続けて『患者-医療者間のコミュニケーション』をガイドライン化する構想はあったのです。ただ、『せん妄』に比べてガイドライン化のハードルが高く、出版までに時間がかかった、という事情があります。

乳がんの予後、右側と左側で異なる?

 乳がんの発生率は右側より左側が多いと報告されているが、予後や術前補助化学療法への反応に違いはあるのだろうか。今回、米国・University of North CarolinaのYara Abdou氏らが左側乳がんと右側乳がんの予後や臨床病理学的、遺伝学的特性の違いを調査したところ、左側乳がんは右側乳がんと比べて遺伝子プロファイルが増殖的で、術前補助化学療法への奏効率が低く、予後がやや不良であることが示された。Scientific Reports誌2022年8月4日号に掲載。

術前化学療法におけるHER2低発現乳がんの特徴

 術前化学療法におけるHER2低発現乳がんの臨床像、病理学的完全奏効(pCR)、予後について後ろ向きに評価したところ、ホルモン受容体(HR)の有無により臨床像や治療への奏効が異なることが示された。中国・鄭州大学人民病院のYingbo Shao氏らが、Annals of Surgical Oncology誌オンライン版2022年8月6日号で報告。  本研究では、2017年1月~2019年12月に術前化学療法を受けたHER2陰性乳がん患者314例をHER2低発現患者とHER2ゼロ患者の2群に分け、後ろ向きに評価した。

外科医の手術経験数に男女格差/岐阜大

 外科医不足が深刻化しているなか、外科医に占める女性の割合は増加している。しかし、指導的立場にある女性は極端に少ないとされる。  大阪医科薬科大学の河野 恵美子氏、東京大学の野村 幸世氏、岐阜大学の吉田 和弘氏らの研究グループは、女性外科医の手術修練に着目。日本の外科医の手術の95%以上が収録されているNational Clinical Databaseを用いて、6術式(胆嚢摘出術・虫垂切除術・幽門側胃切除術・結腸右半切除術・低位前方切除術・膵頭十二指腸切除術)における外科医1人あたりの執刀数を男女間で比較した。

ペグフィルグラスチム自動投与デバイスが承認取得、化学療法後の通院不要に/協和キリン

 協和キリンは、2022年8月1日、テルモと共同開発中の持続型G-CSF製剤ペグフィルグラスチムの自動投与デバイス(製品名:ジーラスタ皮下注 3.6mg ボディーポッド)について、がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症とした製造販売承認を7月28日付で取得したことを発表した。  ジーラスタはAmgen K-A 社より導入した持続型 G-CSF 製剤。がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症として日本にて2014年より販売しており、医療機関では通常、がん化学療法剤投与終了後の翌日以降に投与される。同デバイスは、薬剤が一定時間後に自動で投与される機能を搭載している。がん化学療法と同日に使用することでジーラスタ投与のための通院が不要となることから、患者さんの通院と医療従事者の業務の負担軽減が期待される。

閉経前乳がんへの2年の術後補助内分泌療法による20年間の有用性/JCO

 閉経前のエストロゲン受容体陽性乳がんにおいて、2年間の術後補助内分泌療法による20年間のベネフィットが示唆された。STO-5試験(Stockholm tamoxifen randomized trial)の2次解析結果について、スウェーデン・Karolinska InstitutetのAnnelie Johansson氏らがJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2022年7月21日号に報告した。今回の解析では、長期にわたって一定の遠隔再発リスクを有する遺伝学的低リスク患者はタモキシフェンで長期にわたるベネフィットが得られ、早期のリスクを有する遺伝学的高リスク患者はゴセレリンからベネフィットが得られることも示された。なお、ゴセレリンとタモキシフェンの併用は、単剤療法を超える有用性は示されなかったという。

早期乳がんへの術前抗HER2療法+アテゾリズマブ、pCR61%(Neo-PATH)/JAMA Oncol

 ERBB2(HER2)陽性早期乳がんに対して、抗HER2療法にアテゾリズマブを加えた術前療法は病理学的完全奏効率(pCR)61%を示し、毒性は穏やかであることが示された。韓国・Gachon University Gil Medical CenterのHee Kyung Ahn氏らによる第II相Neo-PATH試験の結果が、JAMA Oncology誌オンライン版2021年10月7日号に報告された。  Neo-PATH試験は、前臨床試験で相乗効果が示されたERBB2陽性早期乳がんに対するアテゾリズマブ、ドセタキセル、トラスツズマブ、ペルツズマブの術前療法の有効性を検討する非無作為化オープンラベル多施設共同第II相試験。韓国の6施設から2019年5月~2020年5月にかけて患者が登録された。対象は、Stage IIまたはIIIのERBB2陽性乳がん(原発巣サイズ2cm以上または病理学的リンパ節転移陽性、遠隔転移なし)。