脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:71

アルツハイマー病や軽度認知障害に対する高気圧酸素療法

 低酸素症などの環境的要因がアルツハイマー病(AD)の発症に影響を及ぼす可能性が報告されている。体内組織の酸素供給や脳の低酸素状態を改善する高気圧酸素療法は、ADおよび健忘型軽度認知障害(aMCI)の代替療法となりうる可能性がある。中国・大連医科大学のJianwen Chen氏らは、ADおよびaMCIに対する高気圧酸素療法の潜在的な治療効果について調査を行った。Alzheimer's & Dementia(New York, N. Y.)誌2020年6月14日号の報告。  対象は、高気圧酸素療法を受けたAD群42例、aMCI群11例および高気圧酸素療法を受けなかった対照AD群30例。AD群およびaMCI群には、1日1回40分間の高気圧酸素療法を20日間実施し、治療1、3、6ヵ月後のフォローアップ時にミニメンタルステート検査(MMSE)、Montreal Cognitive Assessment(MoCA)、ADL尺度を含む神経精神医学的評価を行った。対照AD群の臨床プロファイルは、AD群と同様であった。AD/aMCI群の10例については、FDG-PET検査を実施した。

軽度認知障害や初期アルツハイマー病の短時間スクリーニング法

 岩手医科大学の赤坂 博氏らは、軽度認知障害(MCI)や初期アルツハイマー病(AD)などの早期認知障害患者のスクリーニングツールとして、老研式活動能力指標(Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology index of competence:TMIG-IC)を用いて評価した日常生活の機能活動の臨床的有用性について検証を行った。日本老年医学会雑誌2020年号の報告。  対象は、クリニックから連続登録を行ったMCI(39例)とAD患者(FAST分類4:50例、FAST分類5以上:19例)およびコミュニティベースコホートより抽出した健康対照者(NC群:187例)。すべての対象者およびその家族に対し、TMIG-ICを用いた調査を行った。合計スコアおよびサブスケールスコアについて、群間比較を行った。また、MCIとADの診断精度の検討も行った。

うつ病、不安症、PTSD歴と認知症リスク~メタ解析

 うつ病、不安症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)は認知症と関連しているといわれているが、これらが認知症のリスク因子(因果関係または前駆症状)、併存疾患、後遺症(2次的影響)であるのかはわかっていない。これまでのメタ解析では、すべての原因による認知症、アルツハイマー病(AD)、血管性認知症(VaD)とうつ病や不安症との関連は調査されているものの、PTSDやレビー小体型認知症(DLB)、前頭側頭型認知症(FTD)との関連は考慮されていなかった。

ラコサミドに点滴静注100mgが登場/ユーシービージャパン

 ユーシービージャパン株式会社は、6月11日に抗てんかん剤ラコサミド(商品名:ビムパット点滴静注100mg)を新発売した。  てんかんは、全世界で約6,500万人、わが国には約100万人の患者数が推定され、毎年57,000人が新たにてんかんを発症している。患者の大部分が長期的な薬物療法を必要とするが、既存の抗てんかん薬を使用しても、30%を超える患者がてんかん発作を十分にコントロールできていないとの報告もあり、てんかん治療ではアンメット・ニーズが高い。

中高年女性の前兆ある片頭痛、CVD発生リスクと関連/JAMA

 45歳以上の女性医療従事者を対象としたコホート研究において、前兆のある片頭痛を有する女性は、前兆のない片頭痛を有する女性または片頭痛なしの女性と比較して、心血管疾患(CVD)発生率が高いことが示された。ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のTobias Kurth氏らが、米国のWomen's Health Study(WHS)の追跡調査結果を解析・報告した。前兆のある片頭痛がCVDリスクを増加させることは知られている。しかし、ほかのCVDリスク因子と比較した場合、前兆を伴う片頭痛のCVD発生への絶対的寄与率は不明であった。JAMA誌2020年6月9日号掲載の報告。

日本人の片頭痛に対するerenumabの第III相試験結果/アムジェン

 アムジェン株式会社は、日本人の慢性および反復性片頭痛患者を対象にしたerenumab(遺伝子組換え)の第III相臨床試験の結果を発表した。  片頭痛は日常のQOLを低下させる神経疾患であり、わが国の片頭痛患者の5人に1人以上が、その症状により社会生活上の影響を受けているという報告もある。  現在の片頭痛予防の治療では、十分な有効性・忍容性が得られないこともあり、新たな治療選択肢が必要とされている。  今回報告されたerenumabはCGRP受容体を阻害することで片頭痛患者における疼痛を予防できるように特異的にデザインされた完全ヒトモノクローナル抗体。すでに米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)などで成人片頭痛予防薬として承認されている。

血栓溶解療法のドアから針までの時間が短いほど1年後の死亡と再入院は少ない(解説:内山真一郎氏)-1244

この高齢者向け医療保険制度(Medicare)の受益者を対象とした全米の後方視的コホート研究は、発症後4.5時間以内のtPAの静注療法を行った65歳以上の脳梗塞患者において、病院への到着(ドア)から注射(針)までの時間が短いほど1年後の死亡率と再入院率が低いことを明らかにした。これまでも、ドアから針までの時間が短いほど、院内死亡、出血性梗塞、90日後の転帰不良が少ないことはわかっていたが、1年後という長期の転帰との関係が明らかにされたのは初めてである。

認知症患者におけるCOVID-19の影響

 認知症患者において、COVID-19による死亡リスクへの影響は不明である。イタリア・Istituto Clinico S.Anna HospitalのAngelo Bianchetti氏らは、COVID-19で入院した患者における認知症の有病率、臨床症状、その後のアウトカムについて評価を行った。The Journal of Nutrition, Health & Aging誌オンライン版2020年5月15日号の報告。  北イタリア・ブレシア県にある急性期病院のCOVID-19病棟にCOVID-19肺炎で入院した627例を対象に、認知症の診断、COVID-19の発症様式、病院での症状やアウトカムなどの診療記録をレトロスペクティブに分析した。

急性脳梗塞へのt-PA治療、door-to-needle timeが短いほど転帰良好/JAMA

 65歳以上の急性虚血性脳卒中の患者に対するt-PA治療について、来院から治療開始までの時間「door-to-needle time」が短いほど、1年後の全死因死亡および全再入院の割合は低いことが明らかにされた。米国・クリーブランドクリニックのShumei Man氏らが、6万例超を対象とした後ろ向きコホート試験の結果を報告した。著者は、「今回の結果は、血栓溶解療法はできるだけ早く開始すべきことを支持するものであった」とまとめている。先行研究で急性虚血性脳卒中の患者に対するt-PA治療の早期開始は、退院までの死亡率を低下し、3ヵ月時点の機能的アウトカムが良好であることを示していたが、治療開始までの時間短縮がより良好な長期的アウトカムにつながるかについては明らかになっていなかった。JAMA誌2020年6月2日号掲載の報告。  研究グループは2006年1月1日~2016年12月31日にかけて、米国で行われている心疾患治療標準化のためのレジストリ「Get With The Guidelines-Stroke(GWTG-脳卒中)」プログラムに参加する病院で、急性虚血性脳卒中を発症しt-PA静脈投与を受けた65歳以上のメディケア受給者を対象に、後ろ向きコホート試験を行った。被験者は、体調が悪化してから4.5時間以内にt-PA静脈投与を受けた患者に限定した。

テーマ、デザインともに価値を見いだせない(解説:野間重孝氏)-1233

この研究デザインについてはpre-studyとも言える論文で説明されているというのであるが、元論文に当たってみても著者らが言うような明確と言えるほどの説明はなされていない。この種の評論を書くと意地悪ジイさん扱いされてしまいそうであることを覚悟して書き込ませていただくと、最近の論文は研究デザインとその意味付けといった最も重要な部分や統計処理などを○○参照とかappendix参照などで済ませているケースが目立つ。それでその○○なりappendixに当たってみると―予想通りというか―説明不足であったり、非常にわかりづらかったりするのである。