拒食に抗精神病薬、その是非は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/03/19 神経性やせ症患者の体重増加のために第2世代抗精神病薬(SGA)を処方するケースが増えている。オーストリア・ウィーン医科大学のMarkus Dold氏らは、この治療選択肢が適切か否かを判断するために、無作為化試験のメタ解析を行った。Psychotherapy and psychosomatics誌オンライン版2015年2月21日号の報告。 神経性やせ症患者に対するSGAの有効性、受容性、忍容性をプラセボまたは未治療群と比較した、すべての無作為化比較試験を対象とした。これを同定するための系統的なアップデート文献検索は、摂食障害の薬理学的治療のための世界生物学的精神医学会(WFSBP)ガイドラインに基づき実施された。主要評価項目は、BMIの平均変化量で評価した体重増加とした。副次的評価項目は、Yale-Brown-Cornell 摂食障害尺度(YBC-EDS)総スコアと摂食障害調査票(EDI)総スコアの平均変化量と早期治療中止である。Hedges's gとMantel-Haenszelのリスク比をベースに、ランダム効果モデルを用いて標準化平均差を算出した。 主な結果は以下のとおり。 ・7つの無作為化試験(オランザピン4件、クエチアピン2件、リスペリドン1件)から201例が抽出された。 ・SGA全体におけるBMIの平均変化量に統計学的に有意な差は認められなかった(7件、161例、Hedges's g:0.13、95% CI:-0.17~0.43、p=0.4)。また各薬剤間でも有意な差は認められなかった。 ・さらに、すべての副次的評価項目においても、プラセボまたは未治療群との間に有意な差は認められなかった。 以上の結果より著者らは「SGAは神経性やせ症の一部の患者において有効な可能性はあるものの、現時点では一般的に推奨されるものではない。さらなる研究により、SGAの恩恵を受ける患者をどのように識別するか、検討が必要である」とまとめている。 関連医療ニュース 過食性障害薬物治療の新たな可能性とは 境界性パーソナリティ障害+過食症女性の自殺リスクは 摂食障害、成人期と思春期でセロトニン作動系の特徴が異なる 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Dold M, et al. Psychother Psychosom. 2015 Feb 21;84(2):110-116. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 各種抗精神病薬のEPS発現を副作用データベースから分析 医療一般 日本発エビデンス(2017/01/26) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) シネマセラピー ~シネマにみるメンタルヘルス~(2013/04/26)