皮膚がん、PD-1阻害薬治療後の予後予測因子が判明 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2019/08/14 PD-1阻害における制御性T細胞(Tregs)の役割とその免疫抑制のメカニズムは完全には解明されていないが、皮膚がんに対する免疫チェックポイント阻害薬治療と、臨床的アウトカムの関連についての研究が進んでいる。今回、予備的エビデンスとして、PD-1阻害薬による治療導入後の血中PD-1+ Tregsの急速な低減は、メラノーマの進行およびメラノーマ特異的死亡(MSD)のリスク低下と関連していることが示された。ドイツ・ルール大学ボーフムのT. Gambichler氏らによる検討の結果で、「末梢血でこうしたPD-1+ Tregsの低減がみられない患者は、免疫チェックポイント阻害薬に対する反応が認められず、アウトカムは不良という特徴が認められた」とまとめている。The British Journal of Dermatology誌オンライン版2019年7月30日号掲載の報告。 研究グループは、ニボルマブまたはペムブロリズマブの治療を受けるメラノーマ患者のサブ集団で、フローサイトメトリーを用いて血中のTregサブポピュレーションを調べ、その所見と臨床的アウトカムとの関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・CD4+CD25++CD127-PD-1+リンパ球(PD-1+ Tregs)の発現頻度は、免疫療法の初回サイクル後に有意に減少した(23% vs.8.6%、p=0.043)。 ・初回治療後にPD-1+ Tregsの有意な減少を認められず死亡した患者と比較して、無増悪生存(PFS、p=0.022)、MSD(p=0.0038)に関する臨床的アウトカムは良好であった。 ・初回治療後の末梢血中PD-1+ Tregsの有意な減少について多変量解析したところ、より良好なPFSやMSDに関する有意な予測因子であることが示された(それぞれp=0.04、p=0.017)。 ・興味深い所見として、免疫関連の有害事象の発生についても、MSDリスク低下の独立予測因子であることが示された(p=0.047、オッズ比:0.064、95%信頼区間[CI]:0.0042~0.97)。 (ケアネット) 原著論文はこちら Gambichler T, et al. Br J Dermatol. 2019 Jul 30. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 ニボルマブ・イピリムマブ併用療法、メラノーマ脳転移への効果/NEJM ジャーナル四天王(2018/08/30) メラノーマ検出、皮膚科専門医vs.AI 医療一般(2019/07/17) 日本人の悪性黒色腫4,594例を解析、その特徴が判明 医療一般 日本発エビデンス(2019/04/24) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] Dr.安部の皮膚科クイズ 初級編(2019/07/15) 消化器がん特集(2018/06/21) 肺がん治療、患者と医療者の“スキマ”とは? 第15回【肺がんインタビュー】(2018/05/09) 肺がん特集まとめインデックス(2017/06/20) 肺がん特集(2017/06/20) 化療スタンダードレジメン(2014/01/07) 侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ Part1(2015/06/04) Dr.小川のアグレッシブ腹部エコー 肝臓編(2015/05/08) サン・アントニオ乳癌シンポジウム2014〔会員聴講レポート〕 (2014/12/25) Dr. 倉原の“おどろき”医学論文(2013/08/21)