双極性障害の効果的な補助療法の1つとして、ブライトライト光療法(BLT)が報告されている。これまでのメタ解析では、光療法による補助療法が、双極性うつ病の重症度を有意に改善させることが示唆されている。しかし、メタ解析に含まれた多くの研究は、ケースコントロール研究であり、不眠症治療と組み合わせたBLTに焦点が当てられていた。大分大学の平川 博文氏らは、双極性うつ病に対する補助的BLTに関するランダム化比較試験(RCT)を抽出し、メタ解析を実施した。Brain and Behavior誌オンライン版2020年10月9日号の報告。
EMBASE、MEDLINE、Scopus、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Cumulative Index to Nursing and Allied Health Literature、Clinicaltrials.govの電子データベースより、2019年9月19日までに英語で発表された、薬物治療中の双極性うつ病患者に対する補助的BLTの有効性を検討したRCTを検索した。文献スクリーニング、データ抽出、方法論的質の評価は、独立した2人の研究者により実施された。主要アウトカムは、治療反応率と寛解率とした。メタ解析には、Review Manager 5.3ソフトウェアを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・4研究より、双極性うつ病患者190例(BLT群:94例、対照群:96例)を評価し、光療法の効果を検証した。
・メタ解析では、双極性障害の治療反応率に対する光療法の有意な効果が確認された(リスク比:1.78、95%CI:1.24~2.56、p=0.002、I2=17%)。
・しかし、寛解率に対する有意な効果は確認されなかった(リスク比:2.03、95%CI:0.48~8.59、p=0.34、I2=67%)。
・重篤な悪影響は報告されていなかった。
・躁転率は、BLT群で1.1%、対照群で1.2%であった。
著者らは「BLTは、双極性うつ病患者のうつ症状を軽減するうえで、効果的な治療法である」としている。
(鷹野 敦夫)