米国・カリフォルニア州ロサンゼルス郡の人口の多い都市部で、オミクロン株流行時に抗体陽転が確認された人を対象としたコホート研究において、感染者の半数以上が感染を認識していないこと、また、医療従事者は非医療従事者より認識者の割合が高いが全体としては低いことが示唆された。米国・Cedars-Sinai Medical CenterのSandy Y. Joung氏らが、JAMA Network Open誌2022年8月17日号に報告。
本研究は、ロサンゼルス郡のCOVID-19血清学的縦断研究に登録された大学病院の医療従事者と患者の記録を分析したもので、参加者は2回以上の抗ヌクレオカプシドIgG(IgG-N)抗体の測定を1ヵ月以上の間隔で行った。1回目はデルタ株流行終了(2021年9月15日)以降、2回目はオミクロン株流行開始(2021年12月15日)以降で、2022年5月4日までにオミクロン株流行時に感染が確認された成人を対象とした。新型コロナウイルス感染の認識は、自己申告の健康情報、医療記録、COVID-19検査データのレビューで確認した。
主な結果は以下のとおり。
・血清学的にオミクロン株感染が確認された210人(年齢中央値[範囲]:51[23~84]歳、女性:65%)のうち、44%(92人)が感染を認識しており、56%(118人)が認識していなかった。
・認識していない人のうち10%(12人/118人)が何らかの症状があったが、その原因は風邪や新型コロナウイルス以外の感染症であると回答した。
・人口統計学的および臨床的特徴を考慮した多変量解析では、医療従事者は非医療従事者よりもオミクロン株感染を認識している可能性が高かった(調整オッズ比:2.46、95%信頼区間:1.30~4.65)。
これらの結果から、著者らは「オミクロン株感染の認識率の低さが地域社会における急速な伝播の要因である可能性が示唆される」と考察している。
(ケアネット 金沢 浩子)