幹線道路からどの程度離れた場所に住んでいるかがアトピー性皮膚炎のリスクに関係することが、米ナショナル・ジューイッシュ・ヘルスのMichael Nevid氏らの研究で示唆された。住んでいる場所が幹線道路から遠く離れている人では、アトピー性皮膚炎を発症するリスクが低い可能性があるという。この研究結果は、米国アレルギー・喘息・免疫学会(AAAAI 2023、2月24~27日、米サンアントニオ)で発表され、要旨は、「The Journal of Allergy and Clinical Immunology」2月号(増刊号)に掲載された。
Nevid氏らはこの研究で、米コロラド州デンバーの小児科を受診した0~18歳の男女の13年間の医療記録から、アトピー性皮膚炎の患者7,384人と、年齢や性別をそろえたアトピー性皮膚炎のない患者7,241人の計1万4,000人超を抽出。これらの患者の住んでいる場所から年間通行台数の1日平均が1万台以上の幹線道路までの距離を調べ、その距離によりアトピー性皮膚炎の発症を予測できるのかを検討した。なお、Nevid氏らは、アジアの都市部に住んでいる人たちの間で、交通関連の大気汚染とアトピー性皮膚炎に関連が認められたとする最近の研究結果を知り、今回の研究を実施することにしたという。
検討の結果、幹線道路からの距離が10倍延びるごとにアトピー性皮膚炎の発症リスクが21%低下することが示された。またNevid氏は、「最終的に、幹線道路からの距離が1,000m以上離れた場所に住んでいた子どもでは、幹線道路から500mの圏内に住んでいた子どもと比べて、アトピー性皮膚炎の発症リスクが27%低いことが明らかになった」と説明している。
Nevid氏はAAAAIのニュースリリースの中で、「今回の結果は、早期の観察研究から得られたものであるため、今後さらなる研究でこれらの関連に影響する病態生理学的な機序について検討する必要がある」との見解を示している。
[2023年2月15日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら