医療一般|page:480

世界中で急拡大 「デング熱」の最新知見

 今夏、日本国内で、海外渡航歴がないにもかかわらずデング熱を発症した患者が発見された。日本国内での感染は1940年代前半の流行以来、実に約70年ぶりであり、患者数は158人に上った(2014年10月14日現在)。全世界では、現在25億人以上がデング熱流行地で生活している。そして、年間5,000万人以上がデング熱を発症しており、近年急速な広がりをみせている。

統合失調症と利き手に関するメタ解析

 統合失調症は右利きでない例が多いことを特徴とするという概念は、統合失調症が異常な脳側性化により発症、そして遺伝的に関連しているという理論の基礎となっている。レビューおよびメタ解析により、統合失調症患者では右利きでない者が高率であることが報告されている。ただし、これらの結果は、性別の問題あるいは自己報告に基づく利き手に関する質問票に潜むバイアスによるものではないかとの指摘があった。

2つの新規不眠症治療薬、効果の違いは

 米国・メルク社のAnthony L Gotter氏らは、睡眠導入について、標準ケアの非ベンゾジアゼピン系ガンマアミノ酪酸受容体A(GABAA)受容体モジュレーター、エスゾピクロンとデュアルオレキシン受容体拮抗薬(DORA)であるスボレキサントを比較する前臨床試験を行った。結果、DORAはノンレム睡眠とレム睡眠の両方について、同程度の割合および大きさで促進することが示されたという。結果を踏まえて著者は、DORAは睡眠障害からの回復を楽にする効能がある可能性を報告した。BMC Neuroscience誌オンライン版2014年9月22日号の掲載報告。

中国、日本は他国より疼痛有病率・治療率が低い

 米国・Kantar Healthが実施したNational Health and Wellness Survey(NHWS)によると、新興国と先進国のいずれにおいても、疼痛はQOLや機能、活動、労働生産性などすべての健康状態の評価項目に影響していることが明らかになった。また、新興国の中国、先進国の日本はともに、他の国よりも疼痛有病率と治療率が低いことも報告された。

レビー小体型認知症(DLB)、アルツハイマー型(AD)との違いは?

 2014年9月19日、アルツハイマー型認知症(AD)治療薬アリセプト(一般名:ドネペジル)について、レビー小体型認知症(DLB)の効能・効果が承認された。都内で10月8日に開催されたエーザイ株式会社によるプレスセミナーでは、横浜市立大学名誉教授の小阪 憲司氏と、関東中央病院 神経内科部長の織茂 智之氏が講演した。世界で初めてDLB例を報告し、DLB家族を支える会の顧問でもある小阪氏は、「DLBは最もBPSD(行動・心理症状)を起こしやすい認知症であり、患者さんの苦しみも強く介護者の苦労も多い」と述べ、患者さんや介護者のQOLを高めるため、早期診断・早期治療の重要性を強調した。DLBは誤診されやすく、診断にはDLBの特徴を知ることが必要である。本稿では、織茂氏の講演からDLBの特徴を中心に紹介する。

MPHがADHD症状やメラトニンに及ぼす影響を検証

 注意欠如・多動症(ADHD)患者の大半は、うつ症状に代表される、その他の関連症状を有している。ADHDに関与している可能性のあるメディエーターの1つメラトニンは、サーカディアンリズム、神経機能およびストレス反応を調節していると考えられている。スペイン・Clinico San Cecilio Hospital のIsabel Cubero-Millan氏らは、ADHDのサブタイプにおける血清中メラトニン濃度の状況、およびメチルフェニデート(MPH)が及ぼす血清中メラトニン濃度やADHDに併存する症状への影響を検討した。International Journal of Molecular Sciences誌2014年9月号の掲載報告。

喫煙が低EPA/AA比と関連:日本の2型糖尿病患者

 喫煙は、50歳以上の日本人2型糖尿病患者において、EPA/AA比(エイコサペンタエン酸/アラキドン酸比)に影響を与える可能性があることが、自治医科大学の岡田 健太氏らによる研究で明らかになった。2型糖尿病患者に禁煙を促すことが、心血管疾患発症の抑制につながるかもしれない。Diabetology & metabolic syndrome誌2014年8月13日号の報告。

てんかんに効くサプリメント、低用量EPA+DHAが発作を抑制

 低用量の魚油(EPA+DHA 1,080mg[3カプセル/日])は、てんかん発作を抑制し、その改善効果は薬剤抵抗性てんかん(DRE)における抗てんかん薬に関する最近の試験結果と同程度であったことが示された。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のChristopher M DeGiorgio氏らによる低用量と高用量をプラセボと比較した第II相無作為化クロスオーバー試験の結果、報告された。高用量魚油に関する試験はこれまでにも行われているが、その効果は示されていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「低用量魚油はてんかん発作を抑制し、てんかん患者の健康を改善することが示された」と述べ、「DREにおける低用量魚油(1,080mg/日未満)の大規模な無作為化試験の実施が正当化された」とまとめている。Journal of Neurol Neurosurg Psychiatry誌オンライン版2014年9月8日号の掲載報告。

ビフィズス菌で不安症状が改善

 最近の研究では、ストレス関連精神疾患に常在菌の摂取が好影響を与える可能性があることが示唆されている。しかし、特定の細菌が不安や抑うつ症状にどのような影響を及ぼすかは不明であった。アイルランド・コーク大学のH M Savignac氏らは、2種類のビフィズス菌の不安・抑うつ症状に対する影響や抗うつ薬との比較を行った。Neurogastroenterology and motility誌オンライン版2014年9月24日号の報告。

腰痛と脂質異常との関連、BMIが交絡

 これまでに横断研究によって腰痛の有病率と脂質異常との関連が示唆されているが、その因果関係は明らかになっていない。ノルウェー・オスロ大学病院のIngrid Heuch氏らは、地域住民を対象とした前向きコホート研究HUNT2およびHUNT3のデータを解析し、現時点で腰痛を有していない人が腰痛を発症するリスクと脂質異常との関係にはBMIが交絡していることを明らかにした。

大腸がんの予後、血中循環腫瘍細胞と関連

 大腸がん患者において、血中循環腫瘍細胞(CTC)数で全生存期間(OS)を予測できるかどうか、関心が持たれている。イタリアのラ・サピエンツァ大学のAdriana Romiti氏らは、限局型および切除不能な大腸がん患者において、予後予測におけるCTC数の役割を検討した。その結果、大腸がん患者におけるCTCの存在は予後不良に関連することが認められた。Journal of gastrointestinal and liver diseases誌2014年9月号の掲載報告。

ビタミンB併用で抗うつ効果は増強するか

 うつ病に対する抗うつ薬の有効性は、準至適(suboptimal)である。うつ病では一貫して血漿中ホモシステイン高値が認められ、ある種のビタミンBによる治療は明らかにその値を低下させることは知られていた。西オーストラリア大学のOsvaldo P. Almeida氏らは、大うつ病患者において、ビタミン剤が抗うつ薬の効果増強に有用であるか否かを検討した。その結果、ビタミンB6、B12および葉酸をシタロプラムに併用することにより、1年間(52週間)にわたりシタロプラムの効果が増強、維持され、ビタミンB追加の有用性が示唆された。結果を踏まえて著者は、「今回の所見は、中高年の大うつ病に対して安全かつ安価な追加選択肢として、治療ガイドラインへの適用を促すものであった」とまとめている。British Journal of Psychiatry誌オンライン版2014年9月25日号の掲載報告。

運動認知リスク症候群(MCR)は認知障害の発症リスクを予測した

 運動認知リスク症候群(MCR)は、遅い歩行速度と軽度の認知異常を特徴とし、各国で新しく説明されている前認知症症候群である。米国・イェシーバー大学のJoe Verghese氏らは、MCRの頻度および認知症との関連を明らかにすることを目的に、17ヵ国の22コホートのデータを基に解析を行った。その結果、MCRは高齢者で頻度が高いこと、MCRは認知機能低下を強力かつ早期に予測しうることを報告した。Neurology誌2014年8月号の掲載報告。

C型肝炎の適切な治療選択~ガイドライン改訂

 近年、C型肝炎に対する抗ウイルス薬の開発が進んでいる。昨年9月のシメプレビル3剤併用療法に続き、今年7月にインターフェロン(IFN)を併用しないダクラタスビルとアスナプレビルの併用療法が承認され、今後も新しい抗ウイルス薬の承認が期待されている。このたび、都内にて10月1日(水)に開催されたヤンセンファーマメディアセミナーで、武蔵野赤十字病院 副院長 泉 並木氏が「C型肝炎の最新治療と適切な治療選択の重要性」と題し、9月に改訂された日本肝臓学会の「C型肝炎治療ガイドライン(第3版)」の解説も含めて講演した。