医療一般|page:400

眼科医が電子カルテに費やす時間と医業収益の関連は?

 電子カルテシステム(EHR)は医療(practice of medicine)を変えたとされる一方、医師からは、EHRに費やす時間が自分たちの生産性に負の影響を及ぼしていると、懸念する声が持ち上がるようになった。しかし、いわゆるドクターフィーの支払いに関するアプローチが進化し、ケアの質とコストを評価するための“付加的記録”が必要になっている。これまで、これらの問題について定量的な分析を行った研究はほとんどなかったが、米国・オレゴン健康科学大学のSarah Read-Brown氏らはコホート研究の結果、眼科医が診察室で患者と対面する時間には限りがあり、診察室でのかなりの時間をEHR使用に費やしていることを明らかにした。同時に、眼科医のEHR使用パターンにはばらつきがあることも示唆されたという。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年10月12日号掲載の報告。

認知症予防、緑茶 vs.紅茶 vs.ルイボス茶

 チャノキ(茶の木[Camellia sinensis])の緑茶(green tea)成分は、アルツハイマー病における、記憶障害などのさまざまな神経変性状態に対し神経保護的に作用する。しかし、チャノキのほかの茶成分が、類似の神経保護的な効果を示すかは不明である。ブラジル・Universidade Federal do PampaのHelen L. Schimidt氏らは、アルツハイマー様疾患のラットモデルにおいて、緑茶、ルイボス茶(red tea)、紅茶(black tea)の補充が記憶および海馬の酸化状態に及ぼす影響を調査した。Food research international誌2017年10月号の報告。

精液でわかるのは妊孕性だけではない!?

 不妊治療において男性が受ける精液検査では、精子の数や運動率など形態的な検査が中心で、精液中の微量成分の分析はほとんど行われていない。精液には精子の運動性や持久性に関わる成分が含まれ、さらに脂肪酸やアミノ酸なども含まれることから、妊孕性に加えて健康状態のチェックにも、精液の成分検査が使える可能性があるという。2017年10月6日、精液検査の確立を目指して設立されたベンチャー企業の株式会社ダンテが、都内で記者発表会を開催。同社が実施した精液のバイオマーカーとしての有用性や生活習慣の影響を調べた調査結果とともに、精液の郵送検査プロジェクトの開始を発表した。

呼吸器感染症の抗菌薬投与、プロカルシトニンガイドで生存率は?

 米国食品医薬品局(FDA)は2017年2月、急性呼吸器感染症患者への抗菌薬投与を判断するための血中マーカーとしてプロカルシトニンを承認した。今回、スイス・アーラウ州立病院/バーゼル大学のPhilipp Schuetz氏らの研究グループによるメタアナリシスの結果、急性呼吸器感染症の抗菌薬治療のマーカーとしてのプロカルシトニンの使用が、抗菌薬の曝露や副作用を減少させ、生存率を改善することが示された。著者らは、「急性呼吸器感染症におけるプロカルシトニン・プロトコールの普及は、抗菌薬マネジメントを改善し、臨床転帰および多剤耐性菌増加の脅威に対してプラスの効果をもたらす可能性がある」としている。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2017年10月13日号に掲載。

統合失調症患者の脳活性、リスペリドン vs.アリピプラゾール

 前頭前野ネットワークの機能障害は、精神病性障害における陰性症状および神経認知の問題両方の原因となりうる。ほとんどの抗精神病薬は前頭前野の活性を低下させる可能性があるが、ドパミンD2パーシャルアゴニストであるアリピプラゾールは、前頭前野の機能を改善するといわれている。オランダ・フローニンゲン大学のEdith J. Liemburg氏らは、精神病性障害の患者を対象に、アリピプラゾールがリスペリドンと比較して、治療後の前頭前野および関連領域の活性を高めるかについて検討を行った。Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry誌2017年10月3日号の報告。

国内初の慢性便秘症診療ガイドライン発刊―便秘の定義や治療推奨明確に

 日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会は、今月『慢性便秘症診療ガイドライン』を発刊した。高齢者を中心に有症状者は増え続け、その数は1,000万人超といわれる慢性便秘だが、これまで本邦においては診断や治療に関する明瞭な指針がなかった。本ガイドラインでは、診療に当たる医師らのコンセンサスを図るべく、「便秘」を定義。治療についてはClinical Question(CQ)を設定し、ステートメントとともにエビデンスレベルと推奨度を示した。以下でその概略を紹介する。

NSCLC1次治療におけるペムブロリズマブ単独治療のOS結果(KEYNOTE-024)/WCLC2017

 KEYNOTE-024試験は、未治療のPD-L1高発現(TPS≧50%)の転移性NSCLC患者305例を対象にペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)単独投与群(n=154)と標準治療プラチナベースの化学療法群(n=151)を比較した、国際無作為化オープンラベル第III相臨床試験。本年(2017年)9月の欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017 Congress)では、追跡期間11.2ヵ月の中間解析が発表され、ペムブロリズマブ群の有意なPFSの改善が報告されたが、OSは未到達であった。10月に横浜で開催された第18回世界肺癌学会(WCLC2017)では、アップデートされたOSの結果が米国・The Sidney Kimmel Comprehensive Cancer CenterのJulie R Brahmer氏により発表された。

うつ病と双極性障害、自殺企図リスクが高いのは

 自殺企図は主な気分障害と関連しており、成人における自殺企図のリスクは、うつ病よりも双極性障害で高いといわれている。この関係は、若者でも同様かもしれないが、システマティックかつ定量的に検討したエビデンスはない。イタリア・Catholic University of the Sacred HeartのFranco De Crescenzo氏らは、小児または青年の双極性障害およびうつ病患者の自殺企図について、ランダム効果メタ解析を実施した。Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry誌2017年10月号の報告。

新規インフルエンザ薬S-033188、先駆け審査指定制度下で国内承認申請

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功)は、自社創製の新規キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬S-033188について、成人および小児におけるA型又はB型インフルエンザウイルス感染症を適応症として、2017年10月25日付で日本国内における製造販売承認申請を行ったと発表。

PARP阻害薬olaparib、乳がんに国内承認申請

 アストラゼネカおよびメルク・アンド・カンパニーは2017年10月23日、日本において、アストラゼネカ株式会社が、BRCA遺伝子変異陽性の手術不能または再発乳癌を予定効能・効果とするolaparibの医薬品製造販売承認申請を行ったことを発表した。医薬品医療機器総合機構(PMDA)による承認についての判断は、2018年下半期までになされる予定。

高血糖を指摘されても4割以上が再検査せず

 MSD株式会社は、2型糖尿病の疑いのある人や高血糖を指摘された人、治療を中断している人など、糖尿病の発症・進行リスクがあると考えられる40歳以上の男女4,700人(各都道府県100名ずつ:男性70人、女性30人)に、糖尿病に関する意識や行動に関するインターネット調査を2017年6月に実施した。調査結果から、糖尿病の発症や進行のリスクを持つ人の43.2%が、リスクを指摘されながらも再検査を受診していないことがわかった。また、44.1%が自身の糖尿病の発症や進行のリスクについて「低い」と答えた。薬物療法については、57.5%が抵抗感を感じているが、服用頻度によって心理的負担が軽減される傾向があった。

lorlatinibのALK/ROS1陽性NSCLCにおける成績発表/WCLC2017

 lorlatinibは、高い選択性と強力な活性を持ち、良好な脳浸透性を示す次世代ALK/ROS1-TKIである。とくにALKキナーゼ領域の変異に対する活性が知られており、第1世代、第2世代ALK-TKI後に発現するG1202Rなどの耐性変異に対し、最も広いスペクトラムを有する。横浜で開催された第18回世界肺がん学会(WCLC)では、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのBenjamin J Solomon氏が、lorlatinibの第Ⅱ相試験の主要な結果について発表した。

うつ病リスクが低下する日本人に適切な魚類の摂取量は

 魚類の消費やイコサペント酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などのn-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)レベルがうつ病のリスク低下と関連していることが、観察研究のシステマティックレビューにより明らかとなっている。また、n-3PUFAの逆J字型効果が示唆されている。しかし、魚類の消費量の多い集団からのエビデンスは限られており、うつ病の標準的な精神医学的ベースの診断を用いた研究はない。国立がん研究センターの松岡 豊氏らは、日本人における魚類、n-3PUFA、n-6PUFAの消費とうつ病リスクとの関連を、集団ベースのプロスペクティブ研究にて調査を行った。Translational psychiatry誌2017年9月26日号の報告。

緑内障進行の早期発見、OCT vs.視野検査

 緑内障の進行を早期に発見するためには、光干渉断層法(OCT)と視野検査のどちらが有用だろうか。米国・オレゴン健康科学大学のXinbo Zhang氏らは、Advanced Imaging for Glaucoma Studyに登録された患者について解析し、初期緑内障の進行を検出する感度は視野検査よりOCTが良好であることを示した。特に、乳頭周囲網膜神経線維層(NFL)厚は進行した緑内障で減少するのに対して、神経節細胞複合体層(GCC)厚は初期から進行期にわたって緑内障の進行を検出するのに役立つことも示した。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2017年9月27日号掲載の報告。

BRCA1レベルに基づくNSCLCアジュバントは生存率を上昇させたか(SCAT)/WCLC2017

 Stage II~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)切除患者では、プラチナベースの術後補助化学療法が標準治療である。しかし、他レジメンとの直接比較研究はない。一方、BRCA1は、二本鎖DNA切断を修復する作用を有し、またその発現レベルにより予後および効果予測因子ともなる。SCAT研究は、BRCA1発現レベルに基づき個別化した術後補助化学療法が上記患者の生存率を改善するかを評価したSpanish Lung Cancer Cooperative Groupの試験。横浜市で開催された第18回世界肺癌会議(WCLC)において、スペイン・Alicante University HospitalのBartomeu Massuti氏が結果を発表した。

双極性障害に対するアリピプラゾールの評価~メタ解析

 双極性障害(BD)に対するアリピプラゾールによる治療については多くの研究が行われている。台湾・高雄医学大学のDian-Jeng Li氏らは、BD治療におけるアリピプラゾールの有効性および安全性プロファイルを調査するため、総合的なメタ解析を実施した。Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry誌2017年10月3日号の報告。

総コレステロールは晩年に低下する~10万人のコホート研究

 疫学研究では、総コレステロール(TC)が低いほど死亡率が高いことが示唆されている。今回、英国・ロンドン大学のJudith Charlton氏らが、80歳超のTCと死亡率との関連について死亡前のTCの低下で説明できるかを約10万人のコホート研究で検討したところ、TCは晩年に終末期の衰退を示すことがわかった。著者らは「逆の因果関係が、非無作為化研究での低TCと高死亡率の関連をもたらしているかもしれない」と考察している。The Journals of Gerontology誌オンライン版2017年9月27日号に掲載。