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持続性AFと心機能低下を有する患者に有益なのは?カテーテルアブレーションvs.薬物レートコントロール

 心房細動(AF)と左室収縮不全は、十分なレートコントロールが行われていても頻繁に併存する。しかしながら、AFおよびさまざまな要因に伴う左室収縮不全に関するこれまでのランダム化研究では、リズムコントロールの有益性を裏付ける十分なエビデンスがない。そこでオーストラリア・メルボルン大学のSandeep Prabhu氏ら研究グループが、AFを有する原因不明の左室収縮不全において、AFに対するカテーテルアブレーションが、薬物によるレートコントロールと比べて左室収縮不全を改善するかについて検討を行った。Journal of American College of Cardiology誌2017年8月22号に掲載。

心血管イベント抑制薬、肺がん発症も抑制/ESC2017

 IL-1βは炎症性アテローム性動脈硬化症の継続的な進行に関与することで知られているが、がんの微小環境においても、その増殖や転移に関与しているという仮説がある。そのような中、IL-1β阻害薬canakinumab(ACZ885)が、炎症を軽減することによって心血管疾患および肺がんリスクのリスクを低下させるという、最新の試験結果が2017年8月27日、ESC(欧州心臓病学会)2017で発表された。

認知症発症への血圧の影響、ポイントは血圧変動:九州大

 これまでの研究では、診察室血圧変動の大きさが、認知障害や認知症のリスク因子であることが報告されている。しかし、家庭での血圧測定によって評価された日々の血圧変動と認知症発症との関連を調べた研究はなかった。九州大学の大石 絵美氏らは、久山町研究に登録されている日本人高齢者の日常血圧変動と認知症リスクとの関連を調査した。Circulation誌2017年8月8日号の報告。

網膜動脈閉塞症、民族性や心血管・腎疾患との関連は?

 これまでアジアにおける、網膜動脈閉塞症に関する住民ベースのデータは限られていたが、シンガポール・国立眼科センターのNing Cheung氏らによるシンガポール眼疾患疫学研究において、中国人、インド人およびマレー人の計約1万人中、網膜動脈閉塞症の有病率は約1%、インド人で有病率が最も高く、従来から指摘されている心血管リスク因子、脳卒中のほか、慢性腎臓病との関連が明らかとなった。網膜動脈閉塞症の存在は、脳のみならず腎臓での血管の塞栓性イベントおよび損傷の徴候である可能性を示唆する結果であり、著者は「これらが長期的な研究で確認されれば、網膜動脈閉塞症を有する患者では心血管および腎臓の評価が必要となるだろう」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年8月24日号掲載の報告。

統合失調症患者、ライフスタイル改善が課題

 統合失調症患者において、食習慣や生活習慣の改善が、平均余命、疾患の合併症および予後に、影響を及ぼす可能性がある。バーレーン・アラビア湾大学のHaitham Ali Jahrami氏らは、バーレーンの統合失調症患者の食習慣や生活習慣行動を評価し、合併症との関連について検討を行った。Asian journal of psychiatry誌2017年8月号の報告。

CAR-T療法、難治性・再発B細胞性ALLに承認:FDA

 Novartisは、米国食品医薬品局(FDA)が、難治性または2回以上再発した25歳までのB細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)患者の治療に対し、初のキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法tisagenlecleucel(CTL019)となる承認したことを2017年8月30日発表した。tisagenlecleucelは、FDAによって承認された遺伝子導入に基づく最初の治療法である。

メタボの予防法は性別によって異なる?~亘理町研究

 日本において、メタボリックシンドローム(MetS)とプレメタボリックシンドローム(preMetS)は男性でより多くみられる。しかし、これらの代謝障害と生活習慣因子との関係に性別による違いがあるかどうかは不明である。東北労災病院の服部 朝美氏らは、30歳以上の一般集団の日本人における、MetSとpreMetSに対する男女別の生活習慣因子との関連を調べた。その結果、MetSとpreMetSに関連する生活習慣因子は男女で異なり、著者は「MetSの効果的な予防には、性別によって特有の生活習慣の変更が必要であることが示唆された」とまとめている。Internal medicine誌2017年8月10日号掲載の報告。

認知症に対する抗精神病薬処方、治療反応の予測因子は:慈恵医大

 東京慈恵会医科大学の永田 智行氏らは、精神病性攻撃的症状を有するアルツハイマー型認知症に対する、非定型抗精神病薬の8週間の治療継続および治療反応を、CATIE-AD(Clinical Antipsychotic Trials of Intervention Effectiveness-Alzheimer's Disease)データを用いて調査した。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2017年8月9日号の報告。

血糖測定器「FreeStyle リブレ」、日本で保険適用に

 アボット ジャパン株式会社(本社: 東京都港区、代表取締役会長兼社長:坂本春喜)は9月1日、糖尿病患者向けのグルコースモニタリングシステム「FreeStyleリブレ」(製品名:FreeStyleリブレ フラッシュグルコースモニタリングシステム)が、2017年9月1日より本邦で保険適用となった旨を発表。FreeStyleリブレは、2014年に欧州で発売されて以来、39ヵ国以上、35万人以上の糖尿病患者に使用されている。本邦では、2016年5月25日に承認され、すでに販売が開始されている。

インスリン療法開始後のスタチンの影響

 スタチンは、糖尿病の新規発症リスクを増大させ、血糖コントロールに悪影響を及ぼす可能性があるが、2型糖尿病患者のインスリン療法開始後の血糖応答および転帰への影響は不明である。今回、英国・ノッティンガム大学のUchenna Anyanwagu氏らの研究で、通常治療中の2型糖尿病患者のインスリン療法開始後、スタチン併用者の短期血糖コントロールはあまり良好ではなかったものの、主要心血管イベントリスクは大幅に低かったことが報告された。Cardiovascular diabetology誌2017年8月22日号に掲載。

ADHD発症しやすい家庭の傾向

 ADHDの有症率は貧困層で高いことが多くの研究で報告されているが、その関係性が親のADHD歴によって、どのように変化するかはほとんど考察されていない。米国・UNM Health Sciences CenterのAndrew S. Rowland氏らは、6~14歳の学生サンプルを用いて、社会経済的地位(socioeconomic status:SES)や親のADHD歴によって有症率が異なるかを評価した。Journal of child psychology and psychiatry誌オンライン版2017年8月12日号の報告。

妊娠中の抗うつ薬治療、注意すべきは

 うつ病は、妊娠中にみられる一般的な合併症である。うつ病と診断されれば、医師は治療計画を作成し、妊婦を援助しなければならない。米国・ノースウェスタン大学のCara Angelotta氏らは、妊娠中のうつ病治療について、検討を行った。Birth defects research誌2017年7月17日号の報告。  妊娠中のうつ病治療について検討した主な内容は以下のとおり。 ・抗うつ薬を検討する際には、妊婦の疾患管理のための薬物治療のメリットと胎児への薬物療法のリスクのバランスをとることが求められる。 ・これは、疾患の特徴、妊婦のうつ病への治療反応の可能性、胎児への悪影響の可能性、患者の特性や価値観に応じて、個別に決定しなければならない。 ・妊娠中のうつ病に対する治療を行う際、リスクをゼロにする解決策はなく、疾患と薬物治療のどちらも、妊婦および胎児へのリスクを伴う。 ・妊娠中に抗うつ薬治療を決定する際には、疾患リスクが治療リスクよりも大きいことが根拠となる。 ・妊婦と胎児に対する疾患リスクを最小化するための症状緩和が目的となる。

米国の開業皮膚科医、グループ診療が増加

 米国皮膚科学会(AAD)では、皮膚科医の労働力需給の傾向を評価する目的で診療プロファイル調査を10年以上行っている。米国・ジョージ・ワシントン大学のAlison Ehrlich氏らは最新の解析結果として、新たな技術に基づいた医療記録の実現による部分的な間接費の増大に関連して診療環境の変化がみられ、電子カルテの普及とともに遠隔診療の実施が進んでいることを示した。著者は、「回答バイアスや報告の曖昧さがある可能性があり、調査で得られた回答がすべての地域を代表するわけではない」と調査の限界を述べたうえで、「皮膚科医療への需要は高いままである」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年8月4日号掲載の報告。

自宅に退院する急性脳卒中患者を予測する5つの因子

 急性期脳卒中入院患者の退院計画は、医療資源の合理的な利用を促進するとともに、臨床アウトカムを改善し患者の経済的負担を軽減する。とくに、退院先の予測は退院計画に重要であることから、京都大学の西垣 昌和氏らのグループは、急性脳卒中後に自宅に退院する可能性が高い患者を予測する5つの変数を特定し、評価モデルを開発した。本モデルは入院後早期に医療従事者が退院を適切に計画するのに役立つだろう、と著者らは記している。Stroke誌オンライン版2017年8月25日号に掲載。