超加工食品の大量摂取は活動性乾癬と関連 超加工食品はさまざまな健康問題と関連付けられているが、新たな研究で、自己免疫性皮膚疾患である乾癬もそのリストに追加される可能性のあることが示唆された。アンリ・モンドール病院(フランス)の皮膚科医であるEmilie Sbidian氏らによるこの研究結果は、「JAMA Dermatology」に11月27日掲載された。Sbidian氏は、「この研究結果により、超加工食品の大量摂取と活動性乾癬の状態との間に関連性があることが明らかになった」と述べている。 超加工食品とは、飽和脂肪(飽和脂肪酸を多く含む脂肪のこと)、デンプン、添加糖など、主にホールフードから抽出された物質を主成分とする食品で、味や見た目を良くし、保存性を高めるために、着色料、乳化剤、香料、安定剤など、さまざまな添加物も含まれている。パッケージ入りの焼き菓子、砂糖入りシリアル、インスタント食品、温めるだけで食べられる製品、デリで売られているスライスした冷製の肉やチーズの盛り合わせなどが、代表的な超加工食品の例である。
GLP-1RAによる肥満治療が食品ロスを増やしている 減量目的で使用されているGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)が、食品の廃棄を増やしているとする、米オハイオ州立大学のBrian Roe氏と同パデュー大学のJamil Mansouri氏による論文が、「Nutrients」に9月27日掲載された。このような問題が示された一方で、GLP-1RAによる減量を開始後に、人々が摂取する食品が健康的なものにシフトする傾向も認められたという。 この研究では、GLP-1RAの新規使用者505人を対象に、食品廃棄状況の調査を行った。その結果、GLP-1RAの使用を開始後に「食べ物を無駄にする量が増えたか」という問いかけに否定した人が60.8%(強い不同意が26.7%、やや不同意が34.1%)いた一方で、同意した人が25.3%(強い同意が6.7%、やや同意が18.6%)を占めていた。ただし、GLP-1RAの使用開始から時間がたつほど食品の廃棄が減る傾向も認められた。
口の中でグミを細かくできないと要介護や死亡のリスクが高い―島根でのコホート研究 口の中の健康状態が良くないこと(口腔の不健康状態)が、要介護や死亡のリスクの高さと関連のあることを示すデータが報告された。また、それらのリスクと最も強い関連があるのは、グミを15秒間咀嚼してどれだけ細かく分割できるかという検査の結果だという。島根大学研究・学術情報本部地域包括ケア教育研究センターの安部孝文氏らが、島根県歯科医師会、国立保健医療科学院と共同で行ったコホート研究によるもので、詳細は「The Lancet Healthy Longevity」に10月17日掲載された。 近年、口腔機能の脆弱状態を「オーラルフレイル」と呼び、全身の健康に悪影響を及ぼし得ることから、その予防や改善の取り組みが進められている。また75歳以上の高齢者に対しては、後期高齢者歯科口腔健康診査が全国的に行われている。安部氏らは島根県内でのその健診データを用いて、口腔機能の脆弱を含めた口腔の不健康状態と要介護および死亡リスクとの関連を検討した。
温水洗浄便座を使用する?しない?その理由は/医師1,000人アンケート 友人同士でも腹を割って話しにくいであろう話題の1つがトイレや排泄に関することではないだろうか。今回、CareNet.comでは医師のトイレ事情として、温水洗浄便座の使用有無や温水洗浄便座が影響する疾患の認知度などを探るべく、『温水洗浄便座の使用について』と題し、会員医師1,021人にアンケートを実施した。その結果、医師の温水洗浄便座の使用率は約8割で、年齢を重ねるほど使用率が高い傾向にあることが明らかになった。
38種類の抗うつ薬と自殺リスク、小児に対するブラックボックス警告はいまだに有効か 米国食品医薬品局(FDA)は、研究スポンサーを有する独自の臨床試験のデータに基づき承認を行うが、抗うつ薬については、小児や若年成人における自殺リスク増加に関するブラックボックス警告が、いまだに維持されたままである。米国・Larned State HospitalのAndy Roger Eugene氏は、抗うつ薬のブラックボックス警告が、現在でも有益であるかを評価するため、最近の医薬品安全性データを用いて検討を行った。Frontiers in Psychiatry誌2024年11月1日号の報告。
帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省 12月18日に開催された第65回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会において、帯状疱疹を予防接種法のB類疾病に位置付けるとし、帯状疱疹ワクチンの定期接種化が了承された。 2025年4月1日より、原則65歳を対象に定期接種が開始される見込み。高齢者肺炎球菌ワクチンと同様に、5年間の経過措置として、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳時に接種する機会を設ける方針だ。また、60歳以上65歳未満の者であっても、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害を有する者として厚生労働省令で定める者も対象となる。帯状疱疹にかかったことのある者についても定期接種の対象となる。
TN乳がん術前化学療法への周術期アテゾリズマブ上乗せ、EFSを改善せず/SABCS2024 StageII/IIIのトリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者に対して、術前化学療法に術前・術後アテゾリズマブを上乗せした場合の有効性と安全性を評価した第III相NSABP B-59/GBG-96-GeparDouze試験の結果、術前アテゾリズマブ+化学療法→術後アテゾリズマブは、術前プラセボ+化学療法→術後プラセボと比較して、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)を有意に改善しなかったことを、米国・ピッツバーグ大学のCharles Geyer氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2024、12月10~13日)で発表した。
増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会 成人の食物アレルギーは、罹患者数が増加の一途をたどっている。しかし、疫学データの不足や病態解明が不十分であることなどから、専門診療の需要が急増している。このような背景から、成人の食物アレルギーは近年注目を集めている。そこで第73回日本アレルギー学会学術大会(10月18~20日)において、「成人の食物アレルギーアップデート」というシンポジウムが開催された。本シンポジウムにおいて、矢上 晶子氏(藤田医科大学ばんたね病院 総合アレルギー科 教授)が「成人領域における食物アレルギーの新たなアレルゲン」というテーマで、新たなアレルゲンの同定方法、注目される新たなアレルゲン、アレルゲン解析後の対応について解説した。
「ストレス食い」の悪影響、ココアで軽減の可能性 ストレスから、ついクッキーやポテトチップス、アイスクリームなどの脂肪分の多い食べ物に手が伸びてしまう人は、ココアを飲むことで健康を守ることができるかもしれない。新たな研究で、脂肪分の多い食事を取るときに、フラバノールが豊富に含まれているココアを一緒に飲むことで、脂肪が身体に与える影響、とりわけ血管に与える影響の一部を打ち消すことができる可能性が示されたという。英バーミンガム大学のRosalind Baynham氏らによるこの研究の詳細は、「Food & Function」11月18日号に掲載された。 Baynham氏は、「フラバノールは、ベリー類や未加工のココア、さまざまな果物や野菜、お茶、ナッツ類に含まれている化合物の一種だ。フラバノールは健康に有益で、特に血圧を調節して心血管の健康を守ることが知られている」と説明している。フラバノールは、フラボノイド系化合物に分類されるポリフェノールの一種。緑茶の成分として知られるカテキン、エピカテキン、エピガロカテキンなどが、代表的なフラバノールに含まれる。
切除不能肝細胞がん、アテゾ+ベバがTACEの代替となる可能性/ESMO Asia2024 切除不能肝細胞がんにおいて、Intermediate Stage(中間期)における標準療法は塞栓療法(主にTACE療法)である。しかし、一部でTACE療法が適さない患者が存在し、その場合は全身療法が推奨となる。一方、既報のIMbrave150試験において、当時の標準化学療法のソラフェニブに対し、アテゾリズマブ+ベバシズマブが有意に予後を改善したことが報告されている。こうした背景から、切除不能な肝細胞がん患者におけるアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法のTACE療法に対する代替可能性を検討するREPLACEMENT試験が計画された。欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia2024)において公立松任石川中央病院の山下 竜也氏が全生存期間(OS)を含む本試験の最終解析結果を発表した。
EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法のアジア人データ(FLAURA2)/ESMO Asia2024 2024年6月にオシメルチニブの添付文書が改訂され、EGFR遺伝子変異陽性の進行・再発非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療として、オシメルチニブと化学療法の併用療法が使用可能となった。本改訂は、オシメルチニブと化学療法の併用療法とオシメルチニブ単剤を比較する国際共同第III相無作為化比較試験「FLAURA2試験」の結果に基づくものである。欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia2024)において、アジア人集団の治療成績が、国立台湾大学病院のJames Chih-Hsin Yang氏により報告された。
進行・再発子宮体がんの新たな治療選択肢/AZ アストラゼネカは、2024年12月13日に「イミフィンジ・リムパーザ適応拡大メディアセミナー ~進行・再発子宮体がん治療における免疫チェックポイント阻害剤・PARP阻害剤の新たな可能性~」と題したメディアセミナーを開催した。 進行・再発子宮体がんにおける新たな治療選択肢として、イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ)は「進行・再発の子宮体癌」、リムパーザ(一般名:オラパリブ)は「ミスマッチ修復機能正常(pMMR)の進行・再発の子宮体癌におけるデュルバルマブ(遺伝子組換え)を含む化学療法後の維持療法」をそれぞれ効能または効果として、本年11月22日に厚生労働省より承認を取得している。
導入療法後に病勢進行のないHR+/HER2+転移乳がん1次治療、パルボシクリブ追加でPFS改善(PATINA)/SABCS2024 導入療法後に病勢進行のないホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陽性(HER2+)転移乳がん患者における1次治療として、抗HER2療法と内分泌療法へのパルボシクリブの追加は無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に改善した。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のOtto Metzger氏が、第III相無作為化非盲検PATINA試験の結果をサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2024、12月10~13日)で発表した。 ・対象:HR+/HER2+転移乳がん患者(6~8サイクルの導入化学療法+トラスツズマブ±ペルツズマブ後に病勢進行なし) ・試験群:パルボシクリブ125mgを1日1回経口投与(3週間)+トラスツズマブ±ペルツズマブ+内分泌療法(パルボシクリブ追加群、261例) ・対照群:トラスツズマブ±ペルツズマブ+内分泌療法(抗HER2療法+内分泌療法群、257例) ・評価項目: [主要評価項目]治験責任医師評価によるPFS [重要な副次評価項目]全生存期間(OS)、安全性など ・層別化因子:ペルツズマブ投与の有無、術後(術前)補助療法としての抗HER2療法の有無、導入療法への反応(CR/PR vs.SD)、内分泌療法の種類(フルベストラントvs.アロマターゼ阻害薬[AI])
統合失調症発症後20年間における抗精神病薬使用の変化 統合失調症に対する抗精神病薬の短期的な治療は、有益であることが証明されている。しかし、抗精神病薬の長期的な治療に関しては議論の余地が残っており、自然主義的な研究は不十分である。デンマーク・Mental Health Center CopenhagenのHelene Gjervig Hansen氏らは、初回エピソード統合失調症患者における20年後の抗精神病薬使用状況の変化を調査するため、本研究を実施した。Psychological Medicine誌オンライン版2024年11月18日号の報告。 本研究は、初回エピソード統合失調症患者496例を含むデンマークOPUS試験(1998~2000年)の一部である。対象患者には、20年にわたり4回の再評価を行った。主要アウトカムは、投薬日数、クロザピン使用歴、精神科入院、雇用とした。
SGLT2阻害薬はがん発症を減らすか~日本の大規模疫学データ 近年、SGLT2阻害薬は実験レベルでさまざまながん種に対する抗腫瘍効果が示唆されている。臨床においても、無作為化試験や観察研究などでSGLT2阻害薬とがん発症リスクとの関係が検討されているが結論は出ておらず、一般的にがん発症率が低いことを考慮すると大規模な疫学コホートでの検討が必要となる。今回、東京大学/国立保健医療科学院の鈴木 裕太氏らが全国規模の疫学データベースを用いて、SGLT2阻害薬またはDPP-4阻害薬を処方された患者におけるがん発症率を調べた結果、SGLT2阻害薬のほうががん発症リスクが低く、とくに大腸がんの発症リスクが低いことがわかった。Diabetes & Metabolism誌2024年11月号に掲載。
SGLT2阻害薬やMR拮抗薬などで添文改訂指示/厚労省 2024年12月17日、厚生労働省はSGLT2阻害薬やミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MR拮抗薬)などに対して、添付文書の改訂指示を発出した。 SGLT2阻害薬はこれまでにもケトアシドーシスに関連した注意喚起がなされていたが、投与中止後の尿中グルコース排泄およびケトアシドーシスの遷延に関連する症例が集積し、現行の注意喚起からは予測できない事象と結論付けられたことから、重要な基本的注意の項に「本剤を含むSGLT2阻害薬の投与中止後、血漿中半減期から予想されるより長く尿中グルコース排泄及びケトアシドーシスが持続した症例が報告されているため、必要に応じて尿糖を測定するなど観察を十分に行うこと」が新たに追記される。
エンシトレルビルとモルヌピラビル、妊婦禁忌の注意を強化/PMDA 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は12月17日、新型コロナウイルス感染症治療薬のエンシトレルビル フマル酸(商品名:ゾコーバ錠)およびモルヌピラビル(商品名:ラゲブリオカプセル)について、妊娠する可能性のある女性への投与における適正使用のお願いを発出した。 新型コロナウイルス感染症の経口抗ウイルス薬であるエンシトレルビルおよびモルヌピラビルは、催奇形性リスクを有することから、妊婦または妊娠している可能性のある女性への投与は禁忌とされている。一方で、各薬剤の投与後に妊娠が判明した症例の報告が現在も継続している。これまでに、エンシトレルビルで54例、モルヌピラビルで19例が報告されている。
レムデシビルの添付文書改訂、「重度の腎障害患者への投与は推奨しない」を削除 新型コロナウイルス感染症治療薬であるレムデシビル(商品名:ベクルリー)の添付文書の改訂について、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページ上に12月16日掲載された。 今回の改訂では、「特定の背景を有する患者に関する注意」の「腎機能障害患者」の項目で、「重度の腎機能障害(成人、乳児、幼児及び小児はeGFRが30mL/min/1.73m2未満、正期産新生児(7日~28日)では血清クレアチニン1mg/dL以上)の患者投与は推奨しない。
アルツハイマー病最新治療薬の認知機能改善に対する有効性比較 近年、新たなアルツハイマー病治療薬が登場し、臨床試験において認知機能および臨床症状に対する有望な結果が得られている。しかし、多くの薬剤の中から最も効果的な治療オプションを選択することについては、依然として議論が続いている。中国・西安交通大学のWeili Cao氏らは、新規アルツハイマー病治療薬の有効性を比較し、それらの薬剤をランク付けするために、ネットワークメタ解析を実施した。Neuroscience誌2025年1月号の報告。
BCMA標的CAR-TのICAHTに対する幹細胞ブースト療法の有用性/ASH2024 免疫エフェクター細胞関連造血毒性(ICAHT)は、CAR-Tをはじめとする免疫療法による血球減少を引き起こし、感染症などのリスクとなる。KarMMa-1試験、CARTITUDE試験といった多発性骨髄腫(MM)の国際研究では、CAR T投与早期(30日以内)に90%前後で好中球減少が発現し、それ以降も50%程度の割合で発現が続く。 そのような中、CAR-T細胞療法を受けた再発・難治多発性骨髄腫(R/R MM)におけるICAHTの臨床経過と、ICAHTに対する自己幹細胞ブースト療法の効果を確認する後ろ向き試験が行われた。研究結果が米国・ウィスコンシン医科大学のKiritika Yadav氏により、第66回米国血液学会(ASH)で発表された。