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世界貿易センターテロ事件後、アジア系アメリカ人において予想されるPTSDに関連する要因

 2001年9月11日に起こった世界貿易センターでのテロ事件では、チャイナタウンや南アジア人が多く働くセンター周辺の施設も被害にあった。しかし、アジア人を対象とした、テロ事件のメンタルヘルスへの影響に焦点を当てた研究は行われていなかった。米国・フォーダム大学のWinnie W. Kung氏らは、テロ被害を受けたアジア人を対象に、その後のPTSD(心的外傷後ストレス障害)の有病率、リスク、保護因子に関する調査を行った。Journal of urban health誌オンライン版2018年2月15日号の報告。

非喫煙者の非扁平上皮肺がん、遺伝的寄与が大

 肺がんの発症には環境的因子や遺伝的因子の影響が強いが、組織型別の遺伝的寄与は不明である。メリーランド大学のShamus R. Carr氏らが喫煙者と非喫煙者における組織型への寄与を調査したところ、非喫煙者の非扁平上皮がんの発症における遺伝的素質を支持する結果が得られた。Journal of thoracic oncology誌オンライン版2018年4月4日号に掲載。

30歳未満で原発不明の悪性黒色腫が増加

 原発不明悪性黒色腫(MUP)の疫学はよくわかっていない。米国・ケース・ウェスタン・リザーブ大学附属病院のJeffrey F. Scott氏らは、米国の地域がん登録を用いて解析を行い、StageIV MUPの発生率が増加しており、その予後因子は年齢や外科治療など、原発既知のStageIV悪性黒色腫(MKP)と類似していることを明らかにした。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年3月23日号掲載の報告。

米国の長期介護における向精神薬を使用した認知症ケア改善に関する研究

 養護老人施設における認知症ケア改善のための、メディケアおよびメディケイド・サービスセンター(CMS)国家パートナーシップ(以下、パートナーシップ)は、抗精神病薬の処方の割合を測定し、認知症者のケアの質を向上させるために設立された。米国・ミシガン大学のDonovan T. Maust氏らは、長期介護を受ける高齢者への抗精神病薬および他の向精神薬の処方傾向とパートナーシップとの関連について検討を行った。JAMA internal medicine誌オンライン版2018年3月17日号の報告。

アテゾリズマブと化学療法の併用、扁平上皮肺がん1次治療でPFS延長(IMpower131)

 ロシュ社は2018年3月20日、第III相臨床試験であるIMpower131試験において、2つの主要評価項目の1つである無増悪生存期間(PFS)について、アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)と化学療法(カルボプラチン+nab-パクリタキセル)の併用療法により、化学療法単独と比較して、進行扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療における病勢進行または死亡リスクが低下(PFS延長)したことを発表した。アテゾリズマブと化学療法の併用における安全性は、これまで各薬剤で認められている安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性のシグナルは確認されなかった。今回の中間解析の時点では、統計学的に有意な全生存期間(OS)の延長は観察されておらず、試験は計画どおり継続する。これらの成績は、今後開催されるがん関連学会で発表される予定。

日本人若年者のピロリ除菌療法、第1選択は?

 若年者のHelicobacter pylori(以下、ピロリ菌)感染に対する除菌治療は、胃がん予防に有効である。今回、JAPAN GAST Study Groupが、プロトンポンプ阻害薬ベースのトリプル療法(PACおよびPAM)について若年者での有効性を多施設無作為化比較試験で検討したところ、PAMによる除菌率がPACより有意に高いことが示された。研究グループは「抗菌薬感受性試験が実施できない場合、PAMが若年者のピロリ菌除菌の第1選択となりうる」としている。Journal of Infection and Chemotherapy誌オンライン版2018年3月28日号に掲載。

アルコール以外の飲料摂取とうつ病リスク

 最近の疫学研究では、アルコール以外のさまざまな種類の飲料の消費とうつ病リスクとの関連が検討されているが、その関連性は矛盾した結果として報告されている。韓国・慶煕大学校のDami Kang氏らは、この関連性についての定量的な評価を行うため、観察研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。European journal of clinical nutrition誌オンライン版2018年3月2日号の報告。

初回エピソード統合失調症患者における抗精神病薬中止後の長期的な影響

 初回エピソード精神疾患の治療が成功した後、抗精神病薬を中止することによる長期的な影響は、十分に研究されていない。中国・香港大学のChristy L M Hui氏らは、初回エピソード精神疾患における早期維持療法の決定と10年間の臨床的アウトカムとの関連について評価を行った。The lancet. Psychiatry誌オンライン版2018年3月15日号の報告。

市中肺炎の高齢者、再入院しやすい患者は?

 市中肺炎(CAP)で入院した患者では、複数の併存疾患を有する高齢者において再入院が多く、臨床的および経済的負担が生じる。スペインのProject FIS PI12/02079 Working Groupが横断研究を行ったところ、65歳以上のCAP患者の11.39%が退院後30日以内に再入院し、その関連因子として「15歳未満の同居者あり」「発症前90日に病院受診が3回以上」「慢性呼吸不全」「心不全」「慢性肝疾患」「退院先が在宅医療サービスのある自宅」が挙げられた。BMJ open誌2018年3月30日号に掲載。

多発性硬化症の症状は個人差が大きく確定診断まで約3年を待つ

 2018年3月29日、バイオジェン・ジャパン株式会社とエーザイ株式会社は、多発性硬化症に関するメディアセミナーを都内で共同開催した。セミナーでは、女性に多い本症について、疾患概要だけでなく、女性視点から闘病への悩みなども取り上げられた。  セミナーでは、清水 優子氏(東京女子医科大学病院 神経内科 准教授)を講師に迎え、「多発性硬化症の治療選択-女性患者のアンメットニーズとライフステージ」をテーマに講演が行われた。

心房細動の認知率が低い県は?全国5万人の調査

 心房細動は最も一般的な心原性脳塞栓症の原因であることから、心原性脳塞栓症の予防には心房細動の認知度を知ることが重要である。今回、聖マリアンナ医科大学の秋山 久尚氏らは、日本全国における心房細動の認知レベルについて大規模インターネット調査を実施。5万人以上から回答が得られ、心房細動をよく知っている人の割合は3.8%と非常に低く、また、年齢、性別、地域による認知度の違いがみられた。秋山氏らは「年齢や性別による認知度の違いを考慮し、認知度が低い都道府県を優先する啓発活動が将来的に心原性脳塞栓症の予防に重要」としている。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版2018年3月30日号に掲載。

学校の試験成績と双極性障害発症との関連

 これまでの研究で、ハイスクールとロースクール両方での成績が双極性障害(BD)の発症と関連していることが示唆されているが、これらの研究では、交絡因子と考えられる親の精神症状の既往歴による調整は行われていない。また、学校の成績と双極性I型障害(BD-I)との関連も研究されていない。デンマーク・オーフス大学病院のSteffie Damgaard Pedersen氏らは、親の精神症状の既往歴を調整しながら、学校の試験成績とBD、BD-Iとの関連について検討を行った。Acta neuropsychiatrica誌オンライン版2018年3月13日号の報告。

ALK-TKIセリチニブの450mg食後投与を国内申請

 ALK-TKIセリチニブ(商品名:ジカディア)750mg空腹時投与は、未治療の進行ALK融合遺伝子陽性非小細がん(NSCLC)に優れた効果を示すものの、下痢、悪心嘔吐などの消化器症状が発現する。同患者に対し、セリチニブ450または600mgを低脂肪食と服用した群と、750mgの空腹時服用を比較した無作為化オープンラベル試験が行われた。第18回世界肺癌学会(WCLC)では、その中間解析が発表され、セリチニブ450mg+低脂肪食群は、750mg空腹時投与群と比べ、減量および中断が少なく治療強度が高く、また消化器AEも少ないという結果であった。ノバルティス ファーマ株式会社(代表取締役社長:綱場 一成)は2018年3月29日、セリチニブについて、用法及び用量を「450mgの1日1回食後投与」に変更するための製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表。

全国の抗菌薬の使用状況が一目瞭然

 薬剤耐性(AMR)対策のために国立国際医療研究センターに設置された「AMR臨床リファレンスセンター」(センター長:大曲 貴夫氏)は、国内初の取り組みとして「国内都道府県別抗菌薬使用量(販売量)統計データ」の公開ならびに「薬剤耐性(AMR)ワンヘルス動向調査」のWEBサイト開設を4月3日に発表した。これら抗菌薬使用量や薬剤耐性菌のサーベイランス(調査・監視システム)は、今後のAMR対策の重要な基礎データとなる。

イスラム過激派組織による拘束後のレイプとPTSD

 戦争や戦闘的な状況にある女性に対して、レイプが及ぼす心理的な影響に関する研究は限られている。イラク・ドホーク大学のJan Ilhan Kizilhan氏は、イスラム過激派組織(IS)による拘束中のレイプを報告したヤジディ教徒の女性における、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の有病率と特質を調査し、他の心理学的障害の合併、PTSDに関連するリスクファクターについて調査を行った。Archives of women's mental health誌オンライン版2018年3月10日号の報告。

心不全を予防するために何をすべきか/日本循環器学会

 高齢者の増加と共に心不全患者数も増加し、わが国は、心不全パンデミック時代に直面しようとしている。そのような中、今後、心不全については治療だけでなく、予防という観点が重要となる。2018年3月23~25日に大阪で開催された、第82回日本循環器学会学術集会プレナリーセッションで、わが国の心不全予防について、佐賀大学 循環器内科 田中 敦史氏が講演した。

ダプソン過敏性症候群、アジア人でHLA遺伝子型と関連

 ダプソン(ジアフェニルスルホン)過敏性症候群(DHS)は致命的な薬物有害反応で、疫学研究によれば、DHSではHLA遺伝子型が重要な役割を果たす可能性があることが知られている。タイ・ナレースワン大学のWimonchat Tangamornsuksan氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析により、ダプソン誘発皮膚薬物有害反応(cADR)がHLA-B*1301と関連していることを確認した。著者は、「患者の安全性のため、アジア人ではダプソン投与前にHLA-B*1301に関する遺伝子検査を行う必要がある」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年3月14日号掲載の報告。