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コロナ5類変更に賛成は何割?現在診ていない医師は診られるか

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染症法上の位置付けについて、季節性インフルエンザと同様の「5類」に引き下げることを政府が検討を始め、議論が活性化している。ウイルスの性質や医療機関の負担、医療費の公費負担など、さまざまな意見がある中で、医師はどのように考えているのだろうか? CareNet.comの会員医師のうち、内科系を中心として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の診療に携わることが想定される診療科の医師1,000人を対象に、アンケートを実施した(2023年1月11日実施)。  COVID-19患者あるいは発熱患者の診療状況について、「COVID-19患者の診療を行っている」が63.8%と最も多く、「COVID-19疑いの発熱患者の診療を行っている」が18.8%、「いずれも診療していない」が17.4%と続いた。また、「5類となり、COVID-19患者の受診・入院が一般医療機関でも可能となった場合、実際に診療が可能か」質問したところ、「現在診療している」が63.7%、「診療できる」が18.7%、「診療できない」が17.6%であった。

2月5日開催、ドライアイ研究会主催講習会2023【ご案内】

 2023年2月5日(日)、グランフロント大阪にてドライアイ研究会主催講習会2023が開催される。本講習会の現地対面開催は3年ぶり、そして大阪開催は4年ぶりとなる。年に一回開催される本講習会では、ドライアイという疾患の正しい理解と治療の普及、臨床に役立つ情報の発信に力を注いでいる。  今回、参加者の多くが開業医であることに鑑みて、第1部の「繰り返し聞きたい!」では、基本のおさらい、第2部の「これが聞きたい!」では臨床における実際の対応をカバーする。そして、第3部の「もっと聞きたい!」では、今、最もホットな話題について講演が行われる予定である。“あめちゃん”ならぬ、「参加して良かった」「得した!」と思われること間違いなしの明日から使える知識をお持ち帰りいただけるよう準備しているという。

仲間と行う運動は認知機能低下を抑制する/筑波大学・山口県立大学

 高齢者にとって運動習慣を維持することは、フレイルやサルコペニアの予防に重要な役割を果たすとともに、認知症予防に有効であることが知られている。ただ、近年では孤立しがちな高齢者も多く、こうした高齢者が1人で運動した場合とそうでない場合では、認知機能の障害に違いはあるのであろうか。  大藏 倫博氏(筑波大学体育系 教授)らの研究グループは、高齢者4,358人を対象に「1人で行う運動や仲間と行う運動は、どの程度実践されているのか」および「どちらの運動が認知機能障害の抑制に効果があるのか」について、4年間にわたる追跡調査を行った。  その結果、高齢者の多くが実践しているのは、1人で行う運動であり、週2回以上の実践者が40%を超える一方で、仲間と行う運動の週2回以上の実践者は20%未満にとどまることがわかった。また、認知機能障害の抑制効果については、どちらの運動についても週2回以上の実践では、統計的な抑制効果が認められたが、1人で行う運動(22%のリスク減)よりも、仲間と行う運動(34%のリスク減)の方がより強い抑制効果を示すことが判明した。Archives of Gerontology and Geriatrics誌2022年12月23日号(オンライン先行)からの報告。

日本人片頭痛患者における併存疾患

 大阪・富永病院の菊井 祥二氏らは、日本における片頭痛とさまざまな精神的および身体的な併存疾患との関連を調査した。その結果、片頭痛患者では、そうでない人と比較し、精神的および身体的な併存疾患の有病率が高く、これまで日本では報告されていなかった新たな関連性も確認された。本研究結果は、片頭痛患者のケア、臨床診療、アウトカムを複雑にする可能性のある併存疾患に関する知見として役立つであろうとしている。BMJ Open誌2022年11月30日号の報告。  対象は18歳以上の日本在住者。国民健康調査2017年に回答した日本人サンプルのうち3万1人のデータを用いて、横断的研究を実施した。片頭痛患者378例および非片頭痛患者2万5,209例を特定した。1:4の傾向スコアマッチング後、非片頭痛患者を1,512例に絞り込んだ。片頭痛患者と非片頭痛患者における併存疾患の有病率および傾向スコアをマッチさせた有病率のOR(POR)は、精神的および身体的な併存疾患ごとに評価を行った。1ヵ月当たりの頭痛日数が15日未満の片頭痛患者と15日以上の片頭痛患者についても検討を行った。

ルキソリチニブクリーム、アトピー性皮膚炎への長期安全性・有効性は?

 アトピー性皮膚炎(AD)に対するヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬ルキソリチニブ(本邦では骨髄線維症、真性多血症の適応で承認)のクリーム製剤の安全性・有効性について、長期評価の結果をカナダ・Clinical Research and Probity Medical ResearchのKim Papp氏らが報告した。必要に応じて投与が行われた(as-needed)44週の治療期間中の疾患コントロールと忍容性は本治療が有効であることを示すものであったという。ルキソリチニブクリームのAD治療については、2つの第III相二重盲検無作為化プラセボ対照試験(TRuE-AD1試験とTRuE-AD2試験)で検討が行われ、8週時に安全性と有効性が示されていたが、著者は「今回の試験で8週の結果を確認することができた」とし、また「安全性の所見では、ルキソリチニブの血漿中濃度は低く既知のリスク因子が反映されており、生理学的に重大な全身性のJAK阻害の可能性は非常に低いと考えられる」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2022年11月26日号掲載の報告。

電気自動車への移行は早期死亡の減少と医療費の削減をもたらす

 米国でガソリンなどの化石燃料で動く自動車が電気自動車(EV)に完全に置き換わったら、きれいな空気と人々のさらなる健康を期待できるのだろうか? その確実性を予測する研究結果が報告された。EVの普及により大気質が改善することで、2050年までに早期死亡リスクが低下し、大気汚染に関連する医療費を数十億ドル規模で削減できる可能性が示された。また、EVの普及により得られるベネフィットが特に大きいのは、ロサンゼルスやニューヨーク、シカゴなど一部の大都市圏であることも分かった。米コーネル大学土木環境工学部のH. Oliver Gao氏らによるこの研究の詳細は、「Renewable and Sustainable Energy Reviews」に11月28日掲載された。

日本人労働者における社会的サポートとメンタルヘルスとの関連

 うつ病、不安症、不眠症には、社会的サポートの不十分さが影響しているといわれている。大阪医科薬科大学の大道 智恵氏らは、日本人労働者のうつ病、不安症、不眠症に関連する社会的サポートの特定を試みた。その結果、同僚や家族からのサポートは、日本人労働者の抑うつ症状を軽減する可能性があり、家族からのサポートは、不眠症状の軽減にもつながる可能性が示唆された。Frontiers in Public Health誌2022年11月21日号の報告。  コホート研究の一環として、2021年9月~2022年3月に滋賀県甲賀市の市職員を対象にアンケート調査を実施した。抑うつ症状、不安症状、不眠症状の評価には、こころとからだの質問票(PHQ-9)、7項目一般化不安障害質問票(GAD-7)、不眠症重症度質問票(ISI)をそれぞれ用いた。仕事のストレスおよび上司、同僚、家族からのサポートは、職業性ストレス簡易調査票(BJSQ)を用いて評価した。

重症度に関係なく残る罹患後症状は倦怠感、味覚・嗅覚異常/大阪公立大学

 2022~23年の年末年始、全国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陽性者数の激増や1日の死者数の最高数を記録するなどCOVID-19は衰えをみせていない。また、COVID-19に感染後、その罹患後症状(いわゆる後遺症)に苦しむ人も多いという。わが国のCOVID-19罹患後症状の様態はどのようなものがあるのであろう。井本 和紀氏(大阪公立大学大学院医学研究科 臨床感染制御学 病院講師)らの研究グループは、COVID-19の罹患後症状に関し、285例にアンケート調査を実施。その結果、感染した際の重症度と関係なく、倦怠感や味覚・嗅覚の異常などが、COVID-19感染後約1年を経過していても、半数以上の人に罹患後症状が残っていることが明らかとなった。

意識していますか「毎月17日は減塩の日」

 ノバルティスファーマと大塚製薬は、「減塩の日」の啓発にちなみ高血圧症をテーマとしたメディアセミナーを共催した。  高血圧症は、血圧値が正常より高い状態が慢性的に継続している病態であり、わが国には約4,300万人の患者が推定されている。特に高齢者の有病率が高く、今後も患者数は増加することが予測されている。また、高血圧状態が続くことで、脳心血管疾患や慢性腎臓病などの罹患および死亡リスクが高まることが知られており、血圧を適切なレベルにコントロールすることが重要となる。

1型糖尿病は子どもの学業成績に影響を及ぼしていない

 1型糖尿病の子どもは、そうでない子どもよりも学校を欠席することが多いが、学業成績や大学進学率は差がないことを示すデータが報告された。英カーディフ大学のRobert French氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetes Care」に12月1日掲載された。  この研究は、2009~2016年に英国の義務教育年齢(6~16歳)だった、ウェールズ地方の学校の生徒の通学や進学の状況を解析するという手法で行われた。解析対象となった生徒のうち、糖尿病でない生徒が26万3,426人、1型糖尿病と診断されていた生徒が1,212人含まれていた。評価項目として、欠席日数、16歳時点の学業成績、18歳以上の高等教育への進学率が設定され、また血糖コントロール状況とそれらとの関連も調査された。

冬に眠れない人は朝の光を浴びると効果的

 夜にぐっすりと眠るには、たとえ曇天でも、日中に少しなりとも外に出る方が良いことが、米シアトルのワシントン大学の学生を対象にした研究で明らかにされた。研究論文の上席著者で同大学生物学教授のHoracio de la Iglesia氏は、「人間の体には生まれつき概日時計が備わっている。太陽が出ている日中に十分な光を浴びないと、この時計に遅れが生じ、夜眠くなる時間も遅くなる」と説明している。研究の詳細は、「Journal of Pineal Research」に11月20日掲載された。  今回の研究では、2015年から2018年にかけて、ワシントン大学の学部生507人に、秋から夏までの4学期のそれぞれで、2週間にわたって手首に活動状態と光への曝露を測定する時計型のデバイスを装着してもらい、そのデータから睡眠パターンと日光曝露について評価した。

「All of Us」プログラム、健康に関わる遺伝子情報を15万人以上の参加者に提供

 米国立衛生研究所(NIH)は12月13日に発表したニュースリリースで、NIHが進める大規模な遺伝子研究プログラム「All of Us Research Program」(以下、All of Usプログラム)の参加者のうち、すでに15万5,000人以上が自身の健康に関わるゲノム解析の結果を受け取っていることを報じた。この解析結果を見れば、自分が特定の疾患を発症するリスクが高いのかどうかが分かるという。  All of Usプログラムは、個別化医療の研究開発を推し進めるために、米国の100万人以上の人から健康関連の情報を集めてデータベースを構築することを目的としている。All of Usプログラムのチーフエグゼクティブオフィサーを務めるJosh Denny氏は、「“知は力なり”というように、物事を深く知ることは大きな力となる。健康に関わるDNA情報をプログラム参加者に提供することで、われわれは研究のパラダイムを変えようとしている。つまり、われわれが科学的な発見を得るだけでなく、参加者も自分の健康維持に役立つ遺伝情報を得るという、双方向的な関係を築こうとしているのだ」と説明。同氏はさらに、「プログラム参加者と結ぶこのようなパートナーシップは、信用を築き、全ての人に有意義な洞察を提供するという、われわれが自身に課した責任を果たすためには不可欠だ」とNIHのニュースリリースで語っている。

日本人統合失調症入院患者における残存歯数とBMIとの関係

 統合失調症入院患者において、BMIに対する歯の状態の影響に関するエビデンスはほとんどない。新潟大学の大竹 将貴氏らは、日本人統合失調症入院患者の残存歯数とBMIとの関連を調査するため、横断的研究を実施した。その結果、歯の喪失や抗精神病薬の多剤併用が統合失調症入院患者のBMIに影響を及ぼすこと、また、統合失調症入院患者は一般集団よりも歯の喪失が多いことが示唆された。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2022年11月7日号の報告。  統合失調症入院患者212例を対象に、BMIに対する潜在的な予想因子(年齢、性別、残存歯数、抗精神病薬処方数、クロルプロマジン換算量、抗精神病薬の種類)の影響を評価するため、重回帰分析を行った。次に、統合失調症入院患者と日本人一般集団3,283例(平成28年歯科疾患実態調査[2016年])の残存歯数を比較するため、年齢および性別を共変量として共分散分析を行った。

コロナ患者に接する医療者の感染予防効果、N95 vs.サージカルマスク

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に接する医療者のマスクの種類によるCOVID-19予防効果を調査したところ、サージカルマスクはN95マスクと比較して非劣性であったことが、カナダ・マックマスター大学のMark Loeb氏らによる多施設共同無作為化非劣性試験の結果、明らかになった。Annals of Internal Medicine誌オンライン版2022年11月29日号掲載の報告。  N95マスクと比較して、サージカルマスクがCOVID-19に対して同様の感染予防効果があるかどうかは不明であった。そこで研究グループは、サージカルマスクはN95マスクに劣らないという仮説を立てて検証を行った。

心不全の補完代替療法についてAHAがステートメントを発表

 米国心臓協会(AHA)は、心不全の補完代替療法に関する科学的ステートメントをまとめ、「Circulation」に12月8日掲載した。魚油サプリメント、各種ビタミン、コエンザイムQ10、ヨガ、太極拳などについて、現時点のエビデンスを総括した上で、推奨や注意事項などを述べている。  米国の20歳以上の心不全患者数は約600万人であり、その3割程度が補完代替療法を利用していると推測されている。ステートメントの筆頭著者である米ウエスタン健康科学大学のSheryl Chow氏は、「補完代替療法に用いられている製品は、米食品医薬品局(FDA)の規制をほとんど受けないため、メーカーは有効性や安全性を実証する必要がない。医療専門職者と消費者の双方が、メリットの可能性と潜在的なリスクについて学び、最新の情報を共有した上で意思決定することが重要だ」と述べている。また消費者に対して、「多くの人が、それらの商品がFDAの規制対象外の製品であることを知らずに利用している。同じ成分名で販売されていたとしても、含有量や純度は製品によって大きく異なることもある。よって使用に際しては、まず医療チームに相談すべき」と助言している。

人には聞こえない音が食後の血糖上昇を抑える可能性

 人の耳には聞こえない超高周波が含まれている音が流れている環境では、ブドウ糖負荷後(日常生活では食後に相当)の血糖値の上昇が抑制される可能性が報告された。国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第七部の本田学氏、国際科学振興財団の河合徳枝氏らの研究によるものであり、結果の詳細は「Scientific Reports」に11月2日掲載された。  メンタルヘルス関連の病気だけでなく、糖尿病や高血圧などの身体疾患の病状にもストレスが深く関与していることが知られている。そのため、ストレスを抑制する心理的なアプローチが試みられることもあるが、ストレスの原因や効果的な対処法は人それぞれ異なることから、実用性は限定的。一方、脳の情報処理メカニズムに着目し、音や光などの刺激を用いた新たな治療法の確立を目指す、「情報医学・情報医療」という研究が続けられている。

オミクロン株XBB.1の細胞侵入効率と免疫回避能

 2022年1月、新型コロナウイルスのオミクロン株XBB系統がインドで初めて検出され、アジアと欧州で増加している。XBB系統は主に5つの亜系統(XBB.1~5)が派生し、ほとんどがXBB.1である。ドイツ・German Primate CenterのPrerna Arora氏らは、XBB.1系統の宿主細胞への侵入と抗体による中和を回避する能力を初めて評価した。その結果、ワクチンを4回接種した人や3回接種後にBA.5に感染した人においてもXBB.1の中和回避能が非常に高いことがわかった。また、この高い中和回避能は、細胞侵入効率の若干の低下と引き換えにもたらされた可能性が示唆された。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年1月5日号に掲載。

mRNA-4157/V940・ペムブロリズマブ併用で悪性黒色腫患者に対する主要評価項目達成/モデルナ・メルク

 Moderna(米国)は2022年12月13日付のプレスリリースで、完全切除後の再発リスクが高いStageIII/IVの悪性黒色腫患者において、研究中の個別化mRNAがんワクチンであるmRNA-4157/V940と抗PD-1治療薬ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)を併用した場合、ペムブロリズマブ単剤療法と比較して、疾患の再発または死亡のリスクが統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示すことが示されたと発表した。

うつ病治療ガイドラインの実践状況を把握する客観的指標IFS

 日本うつ病学会の治療ガイドラインでは、うつ病の重症度別に推奨される治療法が定められている。治療ガイドラインは、実臨床で治療決定を促すためのツールとして用いられ、患者や医療従事者を支援するよう設計されている。精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究(EGUIDEプロジェクト)のメンバーである岩手医科大学の福本 健太郎氏らは、各患者がうつ病ガイドラインの推奨に従って治療を実践しているかを評価するための客観的指標として、個別フィットネススコア(IFS)を開発した。IFSは、個々の患者におけるガイドラインに基づく治療の実践状況を客観的に評価できることから、ガイドラインに準じた治療行動に影響を及ぼし、薬物療法を含めた日本におけるうつ病治療の標準化につながる可能性が期待できるとしている。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2022年11月16日号の報告。