医療一般|page:189

HPVワクチン接種行動は変わったか?

 HPVワクチンは2010年の接種開始以降、副反応忌避が続き接種率1%未満が続いていたが、昨年自治体から接種対象者への個別通知が再開し、今年は積極的受診勧奨再開に向けた検討会が開かれるなど動きが出てきた。  現在どのように接種行動や意識は変化しているのだろうか。HPVワクチンの普及啓発活動を行う一般社団法人みんなで知ろうHPVプロジェクト(通称みんパピ!)が、現在のHPVワクチンに対する意識・実態調査を行った。  調査はインターネット上で行われた。9,219名の回答者から無料接種対象年齢の本人として高校1年生の女子473名を抽出しHPVワクチン接種の有無を尋ねたところ、接種した、もしくは接種中が14.4%だった。

双極性障害における神経認知と心理社会的機能に対する性差の影響

 双極性障害の臨床的特徴や疾患経過に性差が影響するといわれている。スペイン・バルセロナ大学のBrisa Sole氏らは、寛解期双極性障害患者の大規模サンプルにおける神経認知機能と心理社会的機能に対する性差の影響について検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2021年9月25日号の報告。  対象は、双極性障害患者347例(男性:148例、女性199例)および健康対照者115例(男性45例、女性70例)。6つの認知領域および心理社会的機能を評価する包括的な神経心理学的バッテリーのパフォーマンスは、線形混合モデルを用いて評価した。主要効果として、性別および群間で比較し、ランダム効果として、性差による群間で比較した。

診断基準への採用を目指す!新たな変形性膝関節症予後リスク判定デバイスとは

 10月29日にWeb開催された日本抗加齢協会主催『第3回ヘルスケアベンチャー大賞』において、変形性膝関節症(以下、膝OA)の進行予後を推定するウェアラブルデバイスを開発した、株式会社iMUが大賞に選ばれた。  同社は慶應義塾大学医学部発のヘルスケアスタート・アップであり、受賞に結び付いた製品は、膝OAの進行予後リスクが5m歩くだけで見える化できるウェアラブルデバイスだ。既存製品で90分を要した計測時間はわずか5分に短縮され、医師・患者の双方にメリットのある製品開発に成功した。

3回目のワクチンは2回目完了から8ヵ月/厚労省

 11月17日、厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンについて、今後のCOVID-19ワクチンの追加接種などに関する自治体向け説明会を開催した。追加接種については11月15日開催のワクチン分科会を踏まえた対応方針をもとに行われる。本稿では資料より抜粋した主要項目を示す。 (1)3回目の追加接種について 【ワクチンの対象者】 ・感染拡大防止及び重症化予防の観点から、1回目・2回目の接種が完了していない者への接種機会の提供を継続するとともに、2回接種完了者すべてに対して追加接種の機会を提供する。

うつ病・不安症患者の病欠や職場復帰のパターン

 不安症やうつ病による病欠は、差し迫った公衆衛生上の問題である。ノルウェー科学技術大学のKenneth Sandin氏らは、うつ病および不安症の患者における仕事に焦点を当て、治療前、治療中、治療後の病欠パターンを特定するため、29.5ヵ月に及ぶ縦断的研究を行った。また、これらの軌跡の背景と臨床的特徴との関連も併せて調査を行った。BMJ Open誌2021年9月29日号の報告。  患者の背景や臨床データは、専門のメンタルヘルスケアクリニックにおける観察研究で実施した患者の自己報告(619例)に基づき収集した。病欠に関する情報は、national registry dataより収集した。軌跡の特定には、潜在成長混合モデルを用いた。背景特性の違いは多項ロジスティック回帰を、臨床的な違いは一元配置分散分析(one-way ANOVA)を用いて分析した。

双極性障害患者の生理機能に対する加齢の影響

 双極性障害患者は、平均寿命が短く、生物学的な老化が加速している可能性がある。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのJulian Mutz氏らは、双極性障害患者と健康対照者における生理学的加齢に伴う変化の違いについて調査を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2021年9月21日号の報告。  UK Biobankにて、2006~10年に37~73歳の50万人以上の参加者を募った。年齢、握力、心血管機能、体組成、肺機能、骨密度との関連を調査するため、一般化加法モデルを用いた。  主な結果は以下のとおり。

日本人低出生体重児におけるADHDリスク

 小児の注意欠如多動症(ADHD)特性には、出生時の体重を含む遺伝的要因および出生前、周産期の因子が関連している。浜松医科大学のMohammad Shafiur Rahman氏らは、日本人小児の出生時体重とADHD特性との関連に対するADHDの遺伝的リスクの影響について、調査を行った。BMC Medicine誌2021年9月24日号の報告。  日本人小児におけるADHDの遺伝的リスクや低出生体重とADHD特性との関連を調査するため、縦断的出生コホート研究(浜松母と子の出生コホート研究)を実施した。小児1,258人のうちフォローアップを完了した8~9歳児796人を対象に分析を行った。出生体重別に、2,000g未満、2,000~2,499g、2,500g以上の3群に分類した。ADHDのポリジーンリスクスコアは、大規模ゲノムワイド関連解析のサマリーデータを用いて生成した。ADHD評価尺度IV(ADHD-RS)は、親からの報告に基づきADHD特性(不注意および多動性/衝動性)を評価した。以前の研究と同様に、性別、子供の出生順位、出生時の在胎週数、出産時の母親の年齢、学歴、妊娠前のBMI、妊娠前または妊娠中の喫煙状況、妊娠中のアルコール摂取、父親の年齢、教育、年間世帯収入を共変量とした。出生時の体重とADHD特性との関連を評価するため、潜在的な共変量で調整した後、多変量負の二項分布を用いた。出生時の体重群とバイナリーポリジーンリスクとの相互作用をモデルに追加した。

コロナワクチン3回接種、抗体はどのくらい増える?/JAMA

 新型コロナのファイザー製ワクチン(BNT162b2:以下、ワクチン)の60歳以上での抗体価の持続については、まだ不明瞭な点が多い。そこで今回、イスラエル・テルアビブ大学のNoa Eliakim-Raz氏らは、60歳以上を対象に3回目ワクチンの接種前後の抗体価を調査した。その結果、3回目接種が接種10~19日後のIgG抗体価の増加と有意に関連していることが明らかになった。JAMA誌オンライン版11月5日号のリサーチレターに掲載された。  ワクチンを2回接種した人の免疫応答を年齢で見た場合、65~85歳では18~55歳よりも低いことが明らかになっている。さらに、2回目のワクチンを接種した4,868人の医療従事者でとくに65歳以上では、2回目接種から6ヵ月以内に液性免疫(IgG抗体、中和抗体)の有意な低下が観察されている。

EGFR陽性肺がんに対する術後オシメルチニブの効果は化学療法の有無で変わるか(ADAURA)/JTO

 Stage IB~IIIA期の非小細胞肺がん(NSCLC)には、術後補助化学療法が推奨されているが、その評価は必ずしも芳しくはないようだ。  そのような中、EGFR変異陽性NSCLCに対する術後補助療法の第III相ADAURA試験において、オシメルチニブが有意に無病生存期間(DFS)の改善を示した。このたび、化学療法による前治療の有無と、オシメルチニブの有効性を検討した、同試験の探索的研究の結果がJournal of Thoracic Oncology誌に発表されている。

混合症状を伴う双極性障害患者への推奨治療~CANMAT/ISBDガイドライン

 2018年、カナダ気分・不安治療ネットワーク(CANMAT)および国際双極性障害学会(ISBD)のガイドラインでは、双極性障害に対する実臨床における治療に関する推奨事項が示されている。これらのガイドラインにおいて、混合症状が治療選択に及ぼす影響について解説されているが、特定の推奨事項は示されておらず、現時点でアップデートが必要な重大なポイントである。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のLakshmi N. Yatham氏らは、CANMATおよびISBDガイドラインにおける混合症状を伴う双極性障害患者への推奨治療について解説を行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2021年10月2日号の報告。  双極性障害における混合症状に関する研究の概要、改訂されたCANMATおよびISBDの評価方法を用いた推奨治療について解説した。高品質のデータ不足、専門家の意見への依存、制限などについても解説した。  主な結果は以下のとおり。

DAPA-CKD試験の新たなサブ解析結果/AstraZeneca

 AstraZeneca(本社:英国ケンブリッジ)は、ナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬であるダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)を対象とした第III相DAPA-CKD試験の3つの新たなサブ解析の結果を発表した。  解析の結果、2型糖尿病の有無にかかわらず、慢性腎臓病(CKD)患者の治療で、ダパグリフロジンの心腎および死亡率に対するベネフィットが一貫して認められることをさらに裏付けた。また、リアルワールドエビデンス研究となるREVEAL-CKDでは、世界的にステージ3のCKD診断率が著しく低いことが明らとなった。

日本人アルコール依存症の重症度が治療経過に及ぼす影響

 エビデンスの蓄積によりアルコール依存症の重症度と再発リスクとの関連が示唆されているが、依存症の重症度が疾患経過に及ぼす影響は十分に評価されていない。久里浜医療センターの吉村 淳氏らは、入院治療後の経過に対するいくつかのアルコール依存症重症度指数の影響を調査した。Alcoholism, Clinical and Experimental Research誌オンライン版2021年9月29日号の報告。  本プロスペクティブ研究は、専門病院でのアルコール依存症治療後12ヵ月間にわたり実施した。連続して入院したアルコール依存症患者712例が入院時に登録の対象となり、フォローアップ調査には637例が登録された。患者の特徴および重症度は、入院時に複数の手法を用いて評価し、退院後には飲酒行動に関する質問票を用いて郵送にて継続的にフォローアップを行った。  主な結果は以下のとおり。

HER2陽性大腸がんのトラスツズマブ デルクステカン第II相試験最終解析 (DESTINY-CRC01)/ 日本癌治療学会

 HER2陽性大腸がんに対するトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の多施設共同第II相試験DESTINY-CRC01の最終解析が第59回日本癌治療学会学術集会で発表された。中間解析に引き続き、良好な成績が示されている。  転移のある大腸がんのうち、HER2陽性腫瘍は2~3%と少ない。また、標的治療は承認されておらず、薬物治療の主体はいまだに化学療法である。そのような中、T-DXdは中間解析で良好な結果を残していた。

抗CGRP抗体中止後の片頭痛の経過

 ドイツ国内および国際的なガイドラインにおいて、抗CGRP(受容体)モノクローナル抗体による6~12ヵ月の治療で片頭痛の予防を達成した後、薬剤の使用中止が推奨されている。ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のBianca Raffaelli氏らは、抗CGRP(受容体)抗体中止4ヵ月後の片頭痛の経過を分析した。Cephalalgia誌オンライン版2021年9月27日号の報告。  抗CGRP(受容体)抗体を8ヵ月以上使用した後に中止した片頭痛患者を対象に、縦断的コホート研究を実施した。治療開始4週間前(ベースライン)、最終治療の前月、最終治療5~8週間後および13~16週間後の頭痛データを分析した。主要エンドポイントは、最終治療の前月から13~16週間後までの1ヵ月当たりの片頭痛日数の変化とした。副次的エンドポイントは、1ヵ月当たりの片頭痛日数および急性期治療薬使用日数の変化とした。  主な結果は以下のとおり。

双極性障害患者の躁状態に対するCOVID-19パンデミックの影響

 COVID-19パンデミックは、人々の日常生活に支障を来し、メンタルヘルスに悪影響を及ぼすと考えられる。しかし、双極性障害患者の気分症状への影響およびパンデミック前の症状重症度との関連はよくわかっていない。オランダ・ライデン大学のManja Koenders氏らは、双極性障害患者の症状に対するCOVID-19パンデミックの影響について検討を行った。Brain and Behavior誌オンライン版2021年9月23日号の報告。  2020年4月~9月に双極I型障害および双極II型障害と診断された患者を対象に症状やウェルビーイングを評価したBipolar Netherlands Cohort(BINCO)研究を実施した。質問票には、躁症状および抑うつ症状(YMRS、ASRM、QIDS)、心配性(PSWQ)、ストレス(PSS)、孤独、睡眠、COVID-19への恐怖、積極的な対処、物質使用に関する内容を含めた。躁症状、抑うつ症状、ストレスのレベルは、COVID-19パンデミック前に評価し、ロックダウン中の軌跡は混合モデルを用いて推定した。  主な結果は以下のとおり。

アトピー性皮膚炎の精神面への影響、4歳児でも

 英国の小児1万1千例超を長期10年にわたって追跡したコホート研究で、小児におけるアトピー性皮膚炎(AD)とメンタルヘルスの関連が明らかにされた。重症ADは、小児期のうつ症状および内在化症状を呈する可能性を約2倍増大することが、また、軽症~中等症ADはうつ症状との関連は認められなかったが、4歳という早い時期に内在化問題行動との関連が認められたという。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のChloe Kern氏らが報告した。  先行研究で成人におけるADとメンタルヘルス状態の関連は明らかにされているが、小児に関しては、世界中でADの大きな負荷が問題になっているが、メンタルヘルス併存疾患の発症に関する文献は限られている。JAMA Dermatology誌2021年10月号掲載の報告。

免疫チェックポイント阻害薬が有効な固形がんは腸内細菌叢が多様/日本癌治療学会

 腸内細菌叢の多様性は、固形がん患者の免疫チェックポイント阻害薬の有効性および生存改善に関連していた。  この研究は、全国的がんゲノムスクリーニングプロジェクトMONSTAR-SCREENのコホート3として行われたもの。国立がん研究センター東病院の洞澤 智至氏が第59回日本癌治療学会学術集会のプレナリーセッションで発表した。  対象は免疫チェックポイント阻害薬単独または併用療法を受けた固形がん患者で、2019年9月~2020年9月に登録された。治療直前に血液サンプルと糞便サンプルが採取され、腸内細菌叢などのバイオマーカーの状況と免疫チェックポイント阻害薬の有効性が解析されている。

日本人と米国人の認知症リスクを比較

 アルツハイマー病ニューロイメージングイニシアチブでは、一般集団において日本人は米国人よりも脳のAβ負荷が有意に低いことが示唆されている。米国・ピッツバーグ大学のChendi Cui氏らは、認知機能が正常な高齢の日本人と米国人の血管疾患負荷、Aβ負荷、神経変性について比較を行うため、横断的研究を実施した。Brain Sciences誌2021年9月8日号の報告。  日本人と米国人の対象者は、年齢、性別、アポリポ蛋白E(APOE)遺伝子型でマッチさせた。脳血管疾患負荷は白質病変(WML)、脳Aβ負荷は11C-labeled Pittsburgh Compound B(PiB)を用いて評価した。神経変性は、海馬体積と皮質厚で評価した。  主な結果は以下のとおり。 ・調査対象は、日本人95人と米国人95人(男性の割合:50.5%、平均年齢:82歳)。 ・日本人は、米国人と比較し、WMLが大きかったが、全体的なAβ standardized uptake value ratio(SUVR)、皮質厚、海馬体積に有意な違いは認められなかった。 ・日本人は、腹側線条体、後帯状皮質、楔前部における局所のAβ SUVRが有意に低かった。

EGFR陽性肺がん1次治療ラムシルマブ+エルロチニブの日本人サブセット(RELAY)/JTO Clin Res Rep

 未治療のEGFR変異非小細胞肺がん(NSCLC)に対するラムシルマブ+エルロチニブの1次治療は、国際第III相RELAY試験で無増悪生存期間を有意に延長した(ハザード比率[HR] =:0.59、p<0.0001])。 同試験の日本人サブ解析の結果が発表された。グローバルと同様の良好な結果が示されている。  この日本人サブ解析では有効性、安全性および進行後のEGFRT790M変異発現率を評価している。  主な結果は以下のとおり。 ・RELAY試験449例中、日本人サブセットは211例(47.0%)で、ラムシルマブ+エルロチニブ(RAM+ERL群)106例、プラセボ+エルロチニブ(ERL群)105例に割り付けられた。

CKD4/6阻害薬、HER2低発現の進行乳がんでの有効性は?

 CDK4/6阻害薬はホルモン受容体陽性(HR+)/HER2-進行・再発乳がん(MBC)の1次/2次治療において、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間を大幅に改善する。しかしながら、表現型および遺伝子解析では、有効性に関連する予測マーカーは特定されていない。今回、香港・クイーンエリザベス病院のKelvin K. H. Bao氏らは、CDK4/6阻害薬で治療されたHR+/HER2-MBC患者のHER2低発現と予後の関連を調査した結果、HER2低発現例ではCDK4/6阻害薬の有効性が低いことが示唆された。JAMA Network Open誌2021年11月1日号に掲載。  本研究では、香港・クイーンエリザベス病院において、2017年3月~2020年6月にレトロゾールもしくはフルベストラントとの併用でCDK4/6阻害薬を投与されたHR+/HER2-MBCの患者について調べた。HER2-低発現はIHCスコア1+もしくは2+かつISH陰性とした。また、PFSはCDK4/6阻害薬投与開始日から病勢進行または死亡までの期間とした。  主な結果は以下のとおり。