医療一般|page:453

テリパラチド連日投与の市販後調査中間解析結果

 近畿大学医学部 奈良病院 整形外科・リウマチ科の宗圓 聰氏らは、骨折リスクが高い日本人骨粗鬆症患者における、テリパラチド連日投与の有効性および安全性を検討する観察研究Japan fracture observational study(JFOS)について、試験デザイン、患者背景および中間解析結果を報告した。その中で、日常診察下におけるテリパラチドの有効性プロファイルは臨床試験ならびに欧州・米国で行われた観察研究の結果と類似していることを提示した。Current Medical Research & Opinion誌オンライン版2015年7月20日号の掲載報告。

がんを疑う症状があっても気付きにくいのは?

 社会経済的地位(SES)が低い人々では、がんが後期のステージで診断されるリスクが高い。これに対してはさまざまに解釈されているが、最近注目されているのは、がんが疑われる症状に関する患者の知識の低さであり、これが治療の遅れにつながるという。英国・サリー大学のKatriina L Whitaker氏らは、実際にがんの典型的な症状を経験している人々における「がんを疑うこと」の差を調査した。その結果、今回対象とされた集団では、全体的にがんを疑うレベルが低かったが、なかでも低学歴の人々でより低かった。このことから著者らは、初期症状の見逃しが診断時のステージの差につながっている可能性があるとしている。European journal of cancer誌オンライン版2015年8月8日号に掲載。

双極性障害の自殺、どの程度わかっているのか

 双極性障害患者の自殺企図や自殺死には多くの要因が影響を及ぼしている。国際双極性障害学会(ISBD)では、こうした要因の存在やその影響度に関する文献をまとめた自殺に関するタスクフォース報告書を発表した。筆頭著者であるカナダ・トロント大学のAyal Schaffer氏らは、「研究の対象やデザインが不均一性であるため、これら要因の影響度を再検討し確定するさらなる研究が必要である。このことが最終的には、双極性障害患者のリスク層別化の改善につながる」と述べている。Australian & New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2015年7月14日号の掲載報告。

ビタミンEとセレニウムは喫煙者の前立腺がんリスクを下げるか

 ビタミンEとセレニウムの疫学研究において、これら抗酸化物質が前立腺がんリスクを下げるとの仮説があるが、明確なベネフィットは示されていない。また、喫煙がこれらの効果に影響する可能性も示唆されている。米国・エモリー大学のYeunjung Kim氏らはメタ解析により、ビタミンEおよびセレニウムの摂取と前立腺がんリスクとの関連性を非喫煙者と喫煙経験者(現喫煙者/元喫煙者)について比較検討した。Anticancer research誌2015年9月号の掲載報告。

脳卒中リスク、日本でも居住地の経済状況が影響

 地区の社会経済状況の水準を指標化したものを、地理的剥奪指標(areal deprivation index)という。これまで欧米の多くの研究で、この地理的剥奪が循環器疾患リスクに影響する因子であることが示されている。しかし、アジアにおける検討はこれまでなかった。今回、国立がん研究センターによる多目的コホート研究(JPHC研究)で、地理的剥奪指標と脳卒中死亡および発症リスクとの関連が前向き研究で検討された。その結果、居住地の剥奪指標が脳卒中の発症に影響することが明らかになった。著者らは「地区の社会経済状況は脳卒中リスクを減少する公衆衛生介入の潜在的なターゲットになりうる」としている。Journal of epidemiology誌オンライン版2015年3月5日号掲載の報告。

不眠症併存患者に対する非薬物療法の有効性

 不眠症の認知行動療法(CBT-I)は、不眠障害に対する最も優れた非薬物的治療である。その有効性について、原発性不眠症についてはメタ解析による検討が行われているが、併存不眠症に関する検討はほとんど知られていなかった。米国・ボストン大学のJade Q Wu氏らは、併存不眠症に対するCBT-Iの有効性を明らかにするため、無作為化臨床試験37件のメタ解析を行った。その結果、認知行動療法により不眠症状および睡眠パラメータの改善が認められた。また、併存疾患として内科的疾患よりも精神疾患を有する例で、より大きな効果が得られることを報告した。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2015年7月6日号の掲載報告。

かかりつけ医と薬局が連携して薬剤の一元管理を

 厚生労働省は第4回健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会(座長:昭和薬科大学 学長 西島 正弘氏)を8月7日に開催した。冒頭に厚労省より、これまでの議論を踏まえ、「健康づくり支援薬局(仮称)=かかりつけ薬局の機能+積極的な健康サポート機能を有する薬局」という案が示された。具体的には、「かかりつけ薬剤師」が日頃から患者と継続的に関わって信頼関係を構築し、薬について相談できることが重要であり、その役割を発揮するために適切な業務管理や連携、薬局の構造設備が必要であることが説明された。そのうえで、かかりつけ薬局の主な機能として以下の3つが提案され、「かかりつけ薬局・薬剤師」の必要性と機能について議論が交わされた。

抗認知症薬の脳萎縮予防効果を確認:藤田保健衛生大

 これまで抗認知症薬が軽度認知障害(MCI)やアルツハイマー病患者の脳萎縮を予防するという決定的なエビデンスはなかったが、藤田保健衛生大学の岸 太郎氏らによる無作為化プラセボ対照試験のメタ解析の結果、抗認知症薬はプラセボに比べ優れた脳萎縮予防効果を発揮することが示唆された。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年7月19日号の掲載報告。

抗精神病薬の適応外処方、年代別の傾向を調査

 成人、小児および高齢者における抗精神病薬の適応外処方について、フランス・リール第1大学のLouise Carton氏らはシステマティックレビューにて調査を行った。その結果、近年、適応外処方は広く行われており、その処方内容は患者の年齢層により異なること、使用理由としては治療に行き詰まった場合や承認薬がほとんどない特異的疾患におけるケースが多いことを明らかにした。一方で、その他の適応外処方は軽度な症状に対する処方を一時的に反映しているだけで、著者らは「安全性に対する懸念が生じる可能性がある」と指摘している。Current Pharmaceutical Design誌2015年7月号の掲載報告。

新規経口抗凝固薬の眼内出血リスク、従来薬との比較

 新しい経口抗凝固薬(NOAC)は、ほとんどの血栓形成予防において標準療法に対し非劣性であることが認められているが、安全性プロファイルには差があり、とくに眼内出血のリスクについてはほとんどわかっていない。ポルトガル・分子医学研究所のDaniel Caldeira氏らは、NOACに関連した重大な眼内出血のリスクを評価する無作為化比較試験のメタ解析を行った。

統合失調症治療、洞察力向上へのサポートが重要

 統合失調症患者は、将来の出来事の現象学的特徴を思い描いたり(エピソード洞察の構成要素)、予定した行動を実行する(展望記憶の構成要素)というような、特定の未来に向けた思考や行動への関与が困難である。しかし、エピソード洞察を用いて未来に向けた行動を適切に導くことに障害があるのかどうかについても不明なままであった。オーストラリア・クイーンズランド大学のAmanda D. Lyons氏らは、統合失調症とエピソード洞察について検討を行った。British Journal of Clinical Psychology誌オンライン版2015年7月14日号の掲載報告。

中等症~重症のアトピー、トファシチニブで治療可能?

 中等症~重症のアトピー性皮膚炎(AD)に対する治療は不適切であることが多い。米国・エール大学のLauren L. Levy氏らは、こうした患者に対して経口ヤヌスキナーゼ阻害薬トファシチニブの投与を試みた。その結果、症例数が非常に少なく対照群が設定されていないなど限界はあるものの、中等症~重症ADの治療にトファシチニブが有用である可能性が示唆されたという。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2015年7月17日号の掲載報告。

注意が必要な高齢者の昼寝

 睡眠障害は、高齢者で多く見られ、とくに認知症リスクのより高い高齢者に多く認められる。しかし、これまでに、日中の睡眠における臨床的、医療的および神経心理学的な相関は検討されてこなかった。オーストラリア・シドニー大学のNathan Cross氏らは、アクチグラフィーを使用し、高齢者(とくに認知症リスクを有する高齢者)における昼寝の特徴や効果を調査した。Journal of sleep research誌オンライン版2015年6月21日号の報告。

アストラゼネカ、肺がん免疫併用療法で提携を発表

 アストラゼネカは、8月5日、自社のグローバルバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンと、ドライバー遺伝子およびエピジェネティックに特化するオンコロジー専門企業Mirati Therapeutics, Inc.(本社:米国カリフォルニア州、以下、Mirati社)が臨床試験に関する独占的提携を締結したことを発表した。当該第I/II相試験では、メディミューンの治験薬である抗PD-L1免疫チェックポイント阻害剤durvalumab(MEDI4736)とMirati社の治験薬であるスペクトラム選択性ヒストンデアセチラーゼ(ヒストン脱アセチル化酵素)(HDAC)阻害剤mocetinostatとの併用療法について、安全性および有効性を評価する。

妊娠初期のSSRI曝露、胎児への影響は

 妊娠初期の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)曝露と先天性心欠損との関係を示すエビデンスにより、ベネフィットとリスクを慎重に勘案するとの推奨がなされている。妊娠初期のSSRI曝露が、胎児における特定の先天性心欠損(CHD)あるいは先天性奇形(CA)に関連しているか否かを、英国・アルスター大学のAnthony Wemakor氏らが検討した。その結果、妊娠第1期のSSRI曝露はCHD全般と関連しており、とくにファロー四徴症やエプスタイン奇形といった重篤なCHDのほか、肛門・直腸閉鎖/狭窄、腹壁破裂、内反足などのCAとも有意に関連することを報告した。European Journal of Epidemiology誌オンライン版2015年7月7日号の掲載報告。

ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は

 ベンゾジアゼピン系薬およびZ薬(ゾピクロン、ゾルピデム、ゼレプロン)の長期使用例における投与中止戦略について、カナダ・ダルハウジー大学のAndre S. Pollmann氏らはscoping reviewを行って検討した。その結果、多様な戦略が試みられており、その1つに漸減があったがその方法も多様であり、「現時点では複数の方法を組み合わせて処方中止に持ち込むことが妥当である」と述べている。鎮静薬の長期使用が広く行われているが、これは転倒、認知障害、鎮静状態などの有害事象と有意に関連する。投与中止に伴いしばしば離脱症状が出現するなど、依存症の発現は重大な問題となりうることが指摘されていた。BMC Pharmacology Toxicology誌2015年7月4日号の掲載報告。