日本発エビデンス|page:86

日本初のDOAC特異的中和剤イダルシズマブ、承認取得

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃)は、2016年9月28日、直接トロンビン阻害剤ダビガトラン(商品名:プラザキサ)の特異的中和剤であるイダルシズマブ(遺伝子組換え)(商品名:プリズバインド)の製造販売承認を取得したことを発表した。直接トロンビン阻害剤やXa因子阻害剤などの直接作用型経口抗凝固薬(DOAC:Direct oral anticoagulant)に対する特異的中和剤の製造販売承認取得は日本初である。なお、米国と欧州では昨年、承認を取得している。

高齢者の視力低下、認知障害と関連

 視力障害と認知障害は共に高齢者のQOLを左右する重要な問題であるが、両者には関連があるのだろうか。奈良県立医科大学眼科学教室の峯 正志氏らは、奈良県在住の65歳以上の高齢者を対象としたコホート研究「藤原京スタディ」を行い、認知障害は視力障害と有意に関連していることを明らかにした。著者は、「認知障害のリスクを減らすためには良好な視力を維持することが重要である」とまとめている。BioResearch Open Access誌2016年8月1日号掲載の報告。

揚げ物はうつ病の天敵か:日医大

 感情の調整に対して、長鎖n-3、n-6系多価不飽和脂肪酸(LC n-3/n-6 PUFA)は重要な役割を担っている。以前の著者らの研究では、LC n-3 PUFAが豊富な魚類の消費量とうつ病へのレジリエンス(逆境に直面してストレスに対処する能力)との関連が報告されていた。魚類の高摂取は日本の伝統的な食事パターンであるが、現在の日本人の食事パターンは西欧化している。西洋食は、一般的に揚げ物に使用される植物油によるLC n-6 PUFAを多く含有し、うつ病リスクと関連する。日本医科大学 多摩永山病院の吉川 栄省氏らは、揚げ物の消費量とうつ病へのレジリエンスとの関連を検討した。Lipids in health and disease誌2016年9月15日号の報告。

歯科従事者の手湿疹有病率36.2%、そのリスク因子とは?

 歯科医療従事職は、手湿疹のリスクが高い職業の1つである。熊本大学大学院 公衆衛生学分野の皆本 景子氏らは、歯科医療従事者における職業性手湿疹の有病率とそのリスク因子を明らかにする目的でアンケート調査を行った。その結果、実際に歯科医療従事者の手湿疹有病率は高いことが明らかになり、著者は、「予防のための教育とより頻繁なパッチテストが必要」と述べている。Contact Dermatitis誌2016年10月号の掲載の報告。

双極性障害とうつ病の鑑別診断への試み:奈良県立医大

 躁状態歴が明確にわからない患者では、双極性障害とうつ病を区別することが困難である。鑑別診断のために、客観的なバイオマーカーが必要とされている。奈良県立医科大学の松岡 究氏らは、拡散テンソル画像を用いて、双極性障害患者とうつ病患者の脳白質の微細構造の違いを検討した。The Journal of clinical psychiatry誌オンライン版2016年8月30日号の報告。

各認知症の重症度とBPSD:大阪大

 認知症の中核症状と周辺症状(BPSD)は、認知症者の予後に負の影響を及ぼし、介護者の負担を増大させる。大阪大学の數井 裕光氏らは、4つの主要な認知症において疾患重症度別に12種類のBPSD経過の違いを明確化し、日本多施設研究(J-BIRD)のデータを用いBPSDの頻度、重症度、介護者の負担を示すグラフを開発した。PLOS ONE誌2016年8月18日号の報告。

ラムシルマブ非小細胞肺がん2次治療の日本人データ

 ラムシルマブ(商品名:サイラムザ)とドセタキセル(商品名:タキソテール)の併用がプラチナベース化学療法後に増悪した非小細胞肺がん患者の生存期間を延長した。この第II相無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験は、日本人の非小細胞肺がんの2次治療におけるラムシルマブの有効性と安全性を評価したもの。Lung Cancer誌2016年9月号の掲載記事。

うつ病治療反応、心理テストで予測可能:弘前大

 気質と性格についての心理テスト[Temperament and Character Inventory(TCI)]は、パーソナリティ特性を評価する際、よく使用される。多くの研究において、うつ病患者の治療反応をTCIで予測する可能性が示唆されている。弘前大学の冨田 哲氏らは、以前の研究でTCIの10項目と治療反応との関連が示唆されていた。今回、同氏らは10項目を再分析し、カットオフ値を明らかにするため本検討を行った。BMC psychiatry誌2016年8月12日号の報告。

主婦への減塩の料理教室、家族にも好影響

 減塩のための戦略の1つに、日々の食塩摂取量を減らす必要性に関する意識の向上がある。今回、主婦に対する、減塩に焦点を当てた料理教室によって、主婦だけでなく家族の食塩摂取行動にも影響することが、福島県立医科大学白河総合診療アカデミーの高田 俊彦氏らの研究で示唆された。Public health誌オンライン版2016年8月11日号に掲載。

受動喫煙で肺がんリスクが1.3倍~わが国のメタ解析

 これまで、わが国での受動喫煙と肺がんとの関連についてはシステマティックに評価されていなかった。今回、国立がん研究センターの堀 芽久美氏らが実施した、非喫煙者の受動喫煙と肺がんとの関係についてのシステマティックレビューとメタ解析で、成人期における家庭内受動喫煙で肺がんリスクが有意に増加することが示唆された。Japanese journal of clinical oncology誌オンライン版2016年8月10日号に掲載。

難治性統合失調症患者に対する治療戦略:千葉大

 抗精神病薬治療に起因するドパミン過感受性精神病(DSP)は、治療抵抗性統合失調症(TRS)と関連しているが、その治療法はまだ確立されていない。リスペリドン長時間作用型注射剤(RLAI)によりドパミンD2受容体の安定的な占有の維持は、治療のための1つの戦略と考えられる。千葉大学の木村 大氏らは、治療抵抗性統合失調症患者に対するRLAI補助療法の効果を検討した。Journal of psychopharmacology誌8月号(オンライン版2016年7月1日号)の報告。

統合失調症の病態生理とBDNFの関連:産業医科大

 統合失調症の病態生理には、カテコールアミン、脳由来神経栄養因子(BDNF)、サイトカインが関与するといわれている。産業医科大学の堀 輝氏らは、非定型抗精神病薬単独療法で治療された統合失調症患者における認知機能と血清BDNFレベル、血清カテコールアミン代謝物、サイトカインとの関連を検討した。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2016年7月13日号の報告。

双極性障害で高率にみられる概日リズム睡眠障害:東医大

 最近の研究によると、双極性障害(BD)と概日リズム睡眠障害との間に病態生理学的関連が認められることが示唆されている。しかし、BD患者における概日リズム睡眠・覚醒障害(CRSWD)の有病率を明らかにした研究はなかった。東京医科大学の高江洲 義和氏らは、BD患者におけるCRSWDの有病率と関連する要因を調査した。PLOS ONE誌2016年7月21日号の報告。