日本発エビデンス|page:89

閾値下うつ病に対する効果的なプログラム:広島大

 青年期にみられる閾値下うつ病の主な行動特性は、環境中の報酬知覚の頻度が低い。そのため、単純な介入が短いセッションで行われており、積極的な補強活動を増加させることに焦点を当てることは、報酬の可能性を高めるうえで有効であると考えられる。広島大学の高垣 耕企氏らは、毎週60分間のセッションを5週間実施した行動活性化プログラムの有効性を調べるため、ランダム化比較試験を実施した。European child & adolescent psychiatry誌オンライン版2016年3月22日号の報告。

「リウマチ治療のブレークスルーとなりうるか」 JAK1/2阻害剤baricitinib第III相国際共同臨床試験日本人部分集団解析より

 長足の進歩を遂げてきた関節リウマチ(RA)治療であるが、それでもいまだ解決されない課題も存在する。多くの臨床医にとって頭の痛い問題は、アンカードラッグであるメトトレキサート(MTX)に不耐となった場合、十分な有効性を示す治療オプションが限定されていることである。また、MTX不応となり、生物学的製剤を選択する場合、多くの生物学的製剤がMTX併用下で有用性を示しているため、MTXを併用せざるを得ないことが多く、単剤で十分な有効性を示す治療選択肢がきわめて少ないことも課題といえよう。

非定型うつ病を評価するT&P日本語版の信頼性は:群馬病院

 2006年、Parker氏らは、さまざまなストレス要因や病前性格スタイルに起因する非メランコリー型うつ病の特定のサブタイプを分類するための新規アプローチとして、Temperament and Personality Questionnaire(T&P)を提案した。群馬病院の工藤 由佳氏らは、T&P日本語版を開発し、その信頼性と妥当性を評価した。その結果、T&P日本語版は、日本人非メランコリー型うつ病患者の気質や性格を評価するうえで、信頼性が高く、有効な尺度であることを報告した。Journal of affective disorders誌オンライン版2016年3月26日号の報告。

医療情報を個人が管理する時代へ?医療介護危機の打開策となるか

 4月14日都内にて、第1回編成医療情報戦略フォーラム「日本を救う!自己情報コントロールによるヘルスケア戦略」が開催された。東京大学大学院情報理工学系研究科附属ソーシャルICT研究センターと一般社団法人 日本統合医療支援センターの共催による本フォーラムは、医療介護に関わる個人情報のあり方を見直し、効率を高め、現場の負担を軽減することで、少子高齢化に伴う医療介護危機を回避するための具体的な方法を提言することを目的としており省庁や関連分野の企業などから150名を超える参加者が集まった。

日本人アルツハイマー病、BPSDと睡眠障害との関連は

 アルツハイマー病(AD)における睡眠障害はBPSD(認知症の行動と心理症状)に影響を与える可能性がある。大阪大学保健センターの壁下 康信氏らは、ADの異なるステージにおける、睡眠障害とBPSDとの関連を検討した。その結果、非常に初期のAD患者において、睡眠障害とBPSDとの強い関連が認められたことを報告した。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2016年3月21日号の報告。

日本人の眼圧上昇、メタボ因子との関連は?

 日本人を対象とした眼圧上昇とメタボリックシンドローム因子の変化との関連について、山梨大学大学院 社会医学講座助教の横道洋司氏らが、同県住民の健康診断データを用いて分析を行った。その結果、眼圧上昇は、血清トリグリセライド値・血圧値・空腹時血漿中グルコース値(FPG)の長期的な悪化と関連しており、一方で、血清HDLコレステロール値の改善と関連していたと発表した。著者は、「結果については慎重な解釈が必要である」と述べ、「血清脂質と眼圧との関連についてはさらなる生理学的な検討が必要である」とまとめている。BMJ Open誌2016年3月24日号掲載の報告。

慢性腰痛、うつ病合併で痛み増大

 神経障害性の腰痛にうつ病を合併している患者は、うつ病を合併していない患者よりも疼痛レベルが有意に高く、疼痛による障害の度合いが大きく、QOLも低いことが、東海大学の檜山 明彦氏らによる研究で明らかになった。これは、自己評価式抑うつ性尺度(SDS-Zung)およびPainDETECT日本語版(PDQ-J)を用いて、神経障害性の腰痛患者の抑うつ症状とQOLへの影響を評価した最初の研究である。European spine journal誌オンライン版2016年2月13日号の報告。

高用量のドネペジル徐放性製剤、日本人に対する評価は

ドネペジルは、軽度、中等度、高度のアルツハイマー病(AD)に対する治療薬として確立している。国際的研究では、認知機能において、ドネペジル徐放性製剤(SR)23mg/日はドネペジル即放性製剤(IR)10mg/日を上回る優れた有効性が実証されているが、中等度から高度ADにおける全般的機能についてはわかっていない。認知症介護研究・研修東京センターの本間 昭氏らは、日本人高度ADにおいて、ドネペジルSR23mg/日の効果が、同IR10mg/日を上回るかの検討を行った。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2016年3月11日号の報告。

3枝病変でのPCI対CABG、年齢・性別の影響は

 3枝冠動脈病変患者において、冠動脈バイパス術(CABG)に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の相対死亡リスクは、年齢との間に有意な関連が認められ、74歳以上では超過、74歳未満ではニュートラルであったことを小倉記念病院の山地 杏平氏らが報告した。実臨床では、PCIとCABGの選択において性別も考慮すべき重要事項であるが、本検討では相対死亡リスクに性特異的な差は認められなかったという。Circulation誌オンライン版2016年3月23日号に掲載。

血圧や不安がアロマフットマッサージで改善?

 自分でアロマフットマッサージを行うことで、平均収縮期血圧(SBP)および平均拡張期血圧(DBP)、状態不安スコアが有意に減少し、精神的健康に関連するQOLスコアも改善傾向がみられたことを岡山大学の江口依里氏らが報告した。アロマフットマッサージが、メンタルヘルスや血圧の改善に簡単かつ効果的な方法となるかもしれないという。PLoS One誌2016年3月24日号に掲載。

糖尿病網膜症と夜間頻尿が相関

 日本人の2型糖尿病患者を対象とした研究で、細小血管合併症のうち糖尿病網膜症が、夜間頻尿と独立して関連していたことを、愛媛大学の古川 慎哉氏らが報告した。愛媛県内の関連病院による多施設共同研究(DOGO study)において、2型糖尿病患者の細小血管合併症と夜間頻尿の関連を検討した結果、明らかになった。Urology誌オンライン版2016年3月16日号に掲載。

腎機能に基づくレベチラセタム投与量の調整:京都大学

 第2世代抗てんかん薬であるレベチラセタムは、部分発作の管理に使用される。投与量の約70%はそのまま尿中に排泄されるため、用量調節は個々の腎機能に基づくことが推奨されている。京都大学の伊藤 聡子氏らは、レベチラセタム治療のために、日常的にモニタリングされた血中濃度データを用いてレベチラセタムの母集団薬物動態モデルを開発した。Therapeutic drug monitoring誌オンライン版2016年2月24日号の報告。