小児急性中耳炎原因菌に多剤耐性菌が出現
7価を有する複合ワクチン(PCV7)には含まれておらず、小児の急性中耳炎(AOM)を引き起こす原因となる肺炎球菌に、多剤耐性菌出現の可能性が懸念されている。 アメリカ・ロチェスター大学小児科のMichael E. Pichichero氏らは、AOMに罹患した患児の原因肺炎球菌の抗原型を調べ、その抗生物質感受性を調査した。JAMA誌10月17日号より。
小児急性中耳炎原因菌に多剤耐性菌が出現
7価を有する複合ワクチン(PCV7)には含まれておらず、小児の急性中耳炎(AOM)を引き起こす原因となる肺炎球菌に、多剤耐性菌出現の可能性が懸念されている。 アメリカ・ロチェスター大学小児科のMichael E. Pichichero氏らは、AOMに罹患した患児の原因肺炎球菌の抗原型を調べ、その抗生物質感受性を調査した。JAMA誌10月17日号より。
MRSA感染は院内ではなく公衆衛生問題
米国疾病管理予防センター(CDC)のメチシリン耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)研究者チームによって行われた本研究は、MRSA感染症の疫学的状況を正確に把握することで、必要に応じ新たな予防対策を講じることを目的としたものである。 従来は病院発症、院内感染ばかりが注目されていたが、ER(救急救命室)受け入れ患者の感染症の原因として最も多いのがMRSAであるなど疫学的変化が起きており、コミュニティを対象とする調査の必要性が提起されていた。JAMA誌10月17日号報告より。
イギリスの病院データ(HES)は先天性心疾患術後30日死亡率の評価には不十分
イギリスのhospital episode statistics(HES)は、病院の活動、死亡率などを施設間で比較する際に用いられる統計データであるが、その信頼性は疑問視されてきた。オックスフォードRadcliffe病院心臓外科のStephen Westaby氏らは、子どもの先天性心疾患開胸手術後の30日死亡率の解析におけるHESの有用性を、先天性心疾患監査データベース(CCAD)の情報との比較において検証した。BMJ誌9月20日付オンライン版、10月13日付本誌掲載の報告。
抗酸化物質は、早期の加齢黄斑変性症の一次予防に有効か
加齢黄斑変性症(AMD)は、先進国の50歳以上の集団における重篤な視力障害の主要原因である。抗酸化物質は、網膜に対する酸化的障害を減弱するとの仮説があるが、AMDの一次予防における食物抗酸化物質の効果は不明である。
人工妊娠中絶の世界的現況――MDG 5の達成に向けて
「人工妊娠中絶は現代の最高度の人権に関わるジレンマであるがゆえに、科学的かつ客観的な情報が必須である」と著者は記す。そして、「微妙な問題であるためデータソースが限られ、正確な情報の入手が困難」とも。 望まない妊娠の低減を目的とする指針の策定には、人工妊娠中絶数の情報が重要である。また、妊婦の罹病および死亡の主な原因は安全でない妊娠中絶であることから、ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals; MDGs、http://www.undp.or.jp/aboutundp/mdg/)のひとつ「妊産婦の健康の改善」(MDG5)の達成に向けた進捗状況のモニタリングには危険な中絶の発生状況の把握も重要である。Guttmacher Institute(アメリカ・ニューヨーク市)のGilda Sedgh氏らは中絶率を世界規模で推計し、望まない妊娠や危険な中絶を減少させ安全な中絶を増加させる方策について考察を加えた。10月13日付Lancet誌掲載の報告から。
「2015年までに妊産婦死亡率を1990年の1/4に」は達成できるのか
妊産婦の死亡はほとんどが回避可能であり、それゆえ国連のミレニアム開発目標(Millennium Development Goals; MDGs、http://www.undp.or.jp/aboutundp/mdg/)のターゲットのひとつとなっている。これは、2015年までに妊産婦の死亡率を1990年の1/4に減少させるというものだが、データの脆弱性のため進捗状況のモニタリングに問題が起きているという。 2006年、評価法の改善を推進するために新たなワーキンググループが設立され、2005年度の妊産婦死亡率を改めて推計し、1990年以降のトレンドの解析を行った。Harvard Center for Population and Development Studies(アメリカ、ケンブリッジ市)のKenneth Hill氏が10月13日付Lancet誌上で報告した。
小児喘息リスクは新生児期の細菌定着で増加する
小児喘息では一般に先行して、繰り返す喘息様症状=喘鳴(recurrent wheeze)がみられる。デンマーク・コペンハーゲン大学のHans Bisgaard氏らは、重度の繰り返す喘鳴を呈する幼児の気道に病理学的にみられる細菌定着と、喘息の起因との関連を示唆してきた。その関連を明らかにするスタディを実施。NEJM誌10月11日号に結果が報告された。
スタチン臨床試験WOSCOPSの延長追跡調査結果
スタチン(プラバスタチン)とプラセボとで比較した、英国スコットランド西部で行われた無作為化臨床試験WOSCOPS(West of Scotland Coronary Prevention Study)は、心筋梗塞の既往のない高コレステロール血症の男性6,595例を対象としたもので、平均追跡期間は約5年。冠動脈疾患および非致死性心筋梗塞の複合死亡が、スタチン群では7.9%から5.5%まで減少した(P
メディケード加入者は医療格差に曝されている
アメリカでは近年、営利保険とは対照的に、管理医療型(マネジドケア)のHMOに加入するメディケード受益者の比率が増加し続けている。マネジドケアHMOでは、重篤あるいは高コストの合併症などを防ぐために予防とルーチンケアを一律に組み込むなど、低所得者や移民が多いメディケード加入者にとってメリットがある半面、必要な医療サービスが制限されるなど“格差”をもたらす可能性も指摘されてきた。 ハーバード・メディカル・スクールのBruce E. Landon氏らは、マネジドケアプランの3パターン間の治療の質を比較。JAMA誌10月10日号で格差の実態について報告した。
仕事の負担は繰り返す冠動脈心疾患のリスク増加と関連する
仕事の負担によって冠動脈心疾患(CHD)イベントのリスクが増すことは明らかとなっているが、初回心筋梗塞(MI)後の繰り返すCHDイベントの危険度と仕事の負担との関連については不明のままである。 そこで仕事の負担がCHDイベントの危険度を増すかどうか、前向きコホート研究がカナダ・ケベック州にあるUniversite LavalのCorine Aboa-Eboule氏らによって行われた。JAMA誌10月10日号掲載の報告より。
高血圧性心肥大の除外に心電図は不適
大規模試験おける一般的な左室肥大検出法である心電図だが、臨床において左室肥大の「除外」に用いるのは必ずしも妥当ではない可能性が出てきた。University of Bern(スイス)のDaniel Pewsner氏らが体系的レビューとしてBMJ誌HPにて早期公表した(8月28日付、その後本誌10月6日号に掲載)。
小児・青少年の運動促進に有効手段は確立しているのか
小児や青少年の肥満が問題になりつつあるが、身体活動改善に有効な手段は示唆こそされているものの、確立されているとは言えないようだ。Addenbrooke's Hospital(英国)のEsther M F van Sluijs氏らは対照試験の体系的レビューの結果をBMJ誌で報告した(オンライン版9月20日付、本誌10月6日号)。
自由行動下血圧測定(ABPM)は24時間が望ましい:IDACO
前向きコホート研究データベースIDACOでは自由行動下血圧と予後の関係を検討しているが、血圧測定は夜間だけでなく24時間行うべきだという。Universidad de la Republica(ウルグアイ)のJose Boggia氏らがLancet誌10月6日号で報告した。
標準治療+サリドマイドは高齢の多発性骨髄腫の治療に進歩の時代を開く
1960年代から多発性骨髄腫の治療に用いられてきたメルファラン+プレドニゾン(MP)療法は、大量化学療法が施行できない高齢患者の標準治療として現在も広範に使用されている。一方、サリドマイドは再発あるいは治療抵抗性の多発性骨髄腫に対して実質的な抗腫瘍効果を示すことが報告されているが、新規例における有効性は明らかにされていない。 フランス骨髄腫研究グループ(IFM)のThierry Facon氏らは、未治療の高齢患者を対象に、MP療法、MP+サリドマイド(MPT)療法、中等量メルファラン(100mg/m2)+自家造血幹細胞移植(MEL100)(ミニ移植)の有用性を比較検討するために無作為化試験(IFM 99-06)を実施した。10月6日付Lancet誌掲載の報告から。
大腸癌検診でCT大腸検査と内視鏡検査ではどちらが有益か?
大腸癌検診および大腸癌予防の主要なターゲットである進行腫瘍の検出率を、CT大腸(CTC)検査と大腸内視鏡(OC)検査との並行スクリーニングプログラムで比較するという研究が、米国ウィスコンシン大学放射線科のDavid H. Kimらによって行われた。NEJM誌10月4日号掲載報告より。
アルツハイマー病治療薬ドネペジルは興奮症状に対し効果がない
コリンエステラーゼ阻害薬ドネペジルは、アルツハイマー病患者の認知機能障害を改善するとされるが、行動障害に関する有益性については明らかになっていない。 キングズ・カレッジ・ロンドン附属精神医学研究所のRobert J. Howard氏らは、アルツハイマー病患者に共通してみられる興奮症状に対して、本剤が効果的かどうかを検証した。NEJM誌10月4日号掲載報告より。
植込型除細動器使用は治療指針適格患者の35.4%
JAMA誌10月3日号に寄せられた本論は、植込型除細動器(ICD)使用の性・人種差に着目した研究報告で、米国デューク医科大学クリニカルリサーチ研究所のAdrian F. Hernandez氏らによる。
植込型除細動器使用は女性で低い
JAMA誌10月3日号に寄せられた本論は、植込型除細動器(ICD)使用の性差に着目した、複数年にわたる患者追跡調査を踏まえた研究報告で、米国デューク医科大学クリニカルリサーチ研究所のLesley H. Curtis氏らによる。
胸痛治療室の導入は入院率を低減させるか
イングランド/ウェールズでは急性の胸痛に対する救急診療部による治療が年間約70万件に達しており、これは緊急入院全体の約1/4に相当する。胸痛治療室での管理により入院率が低下することが確認されているため、国民医療サービス(NHS)を通じた胸痛治療室の設立によって緊急入院が低減する可能性が示唆されている。 イギリス・シェフィールド大学Medical Care Research UnitのGoodacre氏らは、胸痛治療室におけるケアが、治療後30日以降の救急診療部による再治療や入院を増加させずに緊急入院を低減できるかを検討するクラスター無作為化試験を実施、BMJ誌9月18日付オンライン版、9月30日付本誌にて報告した。
経口避妊薬はむしろ発癌リスクを低下させる
経口避妊薬は、1960年代初期に導入されて以来、3億人以上の女性が使用していると考えられる。経口避妊薬使用者は非使用者に比べ乳癌、子宮頸癌、肝癌のリスクが増大するとの研究結果がある一方で、子宮内膜癌、卵巣癌、結腸・直腸癌のリスクが低下するとの報告もあり、全体としての発癌リスクへの影響は明確でない。 イギリス・アバディーン大学一般医療・プライマリケア科のHannaford氏らは、経口避妊薬に関する長期試験のデータを用い、非使用者に比べ使用者では全体として発癌のリスクが低下するとの仮説の検証を行った。BMJ誌9月11日付オンライン版、9月30日付本誌掲載の報告。