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- 2024/12/20
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健康高齢者への低用量アスピリン、無障害生存期間を延長せず/NEJM
健康な高齢者に対する低用量アスピリン投与は、プラセボ投与と比較して、無障害生存期間を延長することはなく、大出血の頻度を増加することが示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らが、米国およびオーストラリアの計50施設にて約2万例を対象に実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「ASPREE試験」の結果を報告した。本試験は、主要評価項目に関してアスピリンの使用継続が有益ではないことが認められたため、追跡期間中央値4.7年で早期終了となっている。アスピリンの医学的適応がない高齢者において、低用量アスピリンの使用が増加しているが、健康な高齢者の健康寿命を延ばすためのアスピリン使用に関する情報は限定的であった。NEJM誌オンライン版2018年9月16日号掲載の報告。
未治療ALK陽性肺がん、brigatinib vs.クリゾチニブ/NEJM
ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)阻害薬未治療で、局所進行/転移を有するALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の患者に対し、開発中の次世代型ALK阻害薬brigatinibはクリゾチニブと比較し、無増悪生存期間を有意に延長したことが示された。米国・コロラド大学のD. Ross Camidge氏らが、約280例を対象に行った第III相の非盲検無作為化試験「ALTA-1L(ALK in Lung Cancer Trial of Brigatinib in 1st Line)試験」の結果で、NEJM誌オンライン版2018年9月25日号で発表した。brigatinibは、クリゾチニブの効果が認められなかったALK陽性NSCLC患者における有効性が確認されていた。
健康な高齢者へのアスピリンのCVD1次予防効果は?/NEJM
健康な高齢者への1次予防戦略としての低用量アスピリンの使用は、プラセボと比較して、大出血リスクを有意に増大し、心血管疾患リスクを有意に減少しないことが示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らASPREE試験の研究グループによる、米国とオーストラリアに住む高齢者1万9,114例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年9月16日号で発表された。アスピリン治療では、心血管疾患の2次予防効果は確立されている。しかし、その1次予防効果は明確になっておらず、とくに同疾患リスクが高い高齢者において不明であった。
アスピリンは、健康な高齢者の死亡を抑制しない?/NEJM
毎日アスピリンの投与を受けた健康な高齢者の死亡率は、プラセボと比較してむしろ高く、しかも主な死因はがん関連死であるとする予想外の研究結果が示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らASPREE試験の研究グループが、NEJM誌オンライン版2018年9月16日号で報告した。本研究の初回解析では、アスピリンの毎日使用は、主要エンドポイントである無障害生存(disability-free survival)に関して便益をもたらさなかった。また、アスピリン使用者は、副次エンドポイントである全死因死亡率も高かったという。
医師のバーンアウト研究、ばらつき過大でメタ解析不可能/JAMA
臨床医のバーンアウト(燃え尽き症候群)の推定有病率には、研究間に重大なばらつきが存在し、定義や評価法、試験の質には顕著な差異があることが、米国・ハーバード大学医学大学院のLisa S. Rotenstein氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2018年9月18日号に掲載された。バーンアウトは、自己報告による職業関連症候群であり、医師とその患者に影響を及ぼす重要な因子としての認識が高まっている。医師のバーンアウトの有病率の正確な推定値は、保健施策において重大な意味を持つが、総合的な有病率は知られていないという。
シルデナフィル併用で特発性肺線維症のQOLは改善するか/NEJM
特発性肺線維症(IPF)の治療において、ニンテダニブにシルデナフィルを併用しても、ニンテダニブ単剤に比べて健康関連QOLは改善されないことが、カナダ・マックマスター大学のMartin Kolb氏らが行ったINSTAGE試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年9月15日号に掲載された。チロシンキナーゼ阻害薬ニンテダニブは、IPFの治療薬として承認されている。また、既報の試験のサブグループ解析により、ホスホジエステラーゼ5阻害薬シルデナフィルは、IPF患者の酸素化能、ガス交換機能(一酸化炭素の肺拡散能[DLCO]で評価)、症状、QOLに便益をもたらし、重度に障害されたDLCOを改善する可能性が示唆されている。
臨床試験の報告義務、EUで半数が順守せず/BMJ
欧州委員会(European Commission)が求めている「ヨーロッパで行われる医薬品開発のためのすべての臨床試験は、終了後12ヵ月以内に結果をEU Clinical Trials Register(EUCTR)に報告すること」へのコンプライアンスは不良で、全試験の半数が順守されていないことが、英国・オックスフォード大学のBen Goldacre氏らによる後ろ向きコホート研究の結果、明らかにされた。製薬会社のコンプライアンスは良好であったが、大学の順守が不良であったという。これまでの多数のコホート研究で、臨床試験の結果が未報告であることが当たり前になっていることが示されている。米国では2007年に、この問題を解決するための法律が制定されたが、大半が無視を決め込んでいる状況だという。欧州連合(EU)でも、前述したような義務付けをしているが、コンプライアンスの状況はこれまで評価されていなかった。BMJ誌2018年9月12日号掲載の報告。
急性脳梗塞、rt-PA後の転帰を予測する臨床・画像所見は/JAMA
急性虚血性脳卒中患者において、血栓部位がより末梢で、残存血流量が多く、再開通評価までの時間が長いほうが、アルテプラーゼ(rt-PA)静脈投与後の動脈閉塞再開通と関連することが確認された。rt-PAの投与を受けていない患者では、動脈再開通率は低値であった。カナダ・カルガリー大学のBijoy K. Menon氏らによる、多施設共同前向きコホート研究「INTERRSeCT研究」の結果で、著者は「これらの結果は、急性虚血性脳卒中患者の治療とトリアージの際に役立つ可能性がある」と述べている。脳血栓の再開通は急性虚血性脳卒中患者の臨床転帰の改善と関連しており、rt-PA静注療法と血栓特性、再開通時間との関連は脳卒中トリアージと今後の研究デザインにとって重要であるが、rt-PA静注療法による再開通率を検証したこれまでの研究は、症例数や試験デザイン、評価法などに限界があった。JAMA誌2018年9月11日号掲載の報告。
妊娠糖尿病の母親は糖代謝疾患リスク増、子への影響は?/JAMA
国際糖尿病・妊娠学会(IADPSG)の診断基準に基づき妊娠糖尿病(GDM)と診断された母親は、非GDMの母親と比較し妊娠後の長期的な糖代謝疾患のリスクが有意に高い。一方、GDMの母親から生まれた子供と、非GDMの母親から生まれた子供で、小児期の過体重/肥満症に統計学的な有意差はなかった。米国・ノースウェスタン大学フェインバーグ医学院のWilliam L. Lowe Jr氏らが、大規模コホート研究の解析結果を報告した。現在のIADPSG基準が用いられるようになってから、従来のCarpenter-Coustan基準の約2倍もの女性がGDMと診断されているが、IADPSG基準を満たすGDMの母親とその子供に関する長期的なアウトカムについては不明であった。JAMA誌2018年9月11日号掲載の報告。
乳製品摂取増加が死亡・心血管リスク低下と関連/Lancet
低・中所得国21ヵ国を対象とした多様な多国籍コホート研究において、乳製品の摂取が、死亡および主要心血管疾患イベントの低下と関連することが明らかにされた。カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan氏らが、Lancet誌オンライン版2018年9月11日号で発表した。全脂肪乳製品は飽和脂肪の源であり、血液脂質に悪影響を与え、心血管疾患や死亡を増大すると思われているが、この懸念に関するエビデンスは弱く、また、これまで低所得国および中所得国の健康への乳製品消費の影響に関するデータはほとんど入手できていなかったという。
血流感染、ピペラシリン・タゾバクタムvs.メロペネム/JAMA
大腸菌(E.coli)または肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)に感染し、抗菌薬セフトリアキソンが無効な患者において、definitive治療としてのピペラシリン・タゾバクタムはメロペネムと比較して、30日死亡率に関する非劣性を示さなかった。オーストラリア・クイーンズランド大学のPatrick N. A. Harris氏らによる無作為化試験の結果で、JAMA誌2018年9月11日号で発表された。大腸菌や肺炎桿菌では拡張型β-ラクタマーゼが、第3世代のセファロスポリン系薬(セフトリアキソンなど)に対する耐性を媒介する。これらの菌株に起因する重大な感染症では、通常、カルバペネムによる治療が行われるが、カルバペネム耐性を選択する可能性があることから、研究グループは、ピペラシリン・タゾバクタムが、拡張型β-ラクタマーゼの産生を抑制する、有効な“カルバペネム温存”オプションとなりうる可能性があるとして検討を行った。
スタチンによる高齢者のCVイベント1次予防 DM vs.非DM/BMJ
スタチンは、非2型糖尿病の75歳以上の高齢者の1次予防では、アテローム動脈硬化性心血管疾患および全死因死亡を抑制しないのに対し、2型糖尿病の75~84歳の高齢者の1次予防では、これらの発生を有意に低減することが、スペイン・ジローナ大学のRafel Ramos氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年9月5日号に掲載された。スタチンは、75歳以上の高齢者の2次予防において、心血管イベントや心血管死の抑制効果が確立されており、最近の数十年で高齢者への処方が増加しているが、とくに85歳以上の高齢者の1次予防における有効性のエビデンスは不十分だという。
禁煙は「徐々に」でなく「一気に」の裏付け/JAMA
喫煙者において、タバコのニコチン含有量を即時に減らすほうが、緩徐に減らすよりも、喫煙毒性曝露バイオマーカー値の低下は一貫して有意に大きいことが明らかにされた。また、緩徐に減量した場合とニコチン含有量を減量しなかった場合の同マーカー値には、有意差がなかった。米国・ミネソタ大学のDorothy K. Hatsukami氏らによる二重盲検無作為化並行群間比較試験の結果で、JAMA誌2018年9月4日号で発表された。米国内で販売されているすべてのタバコについて、ニコチン含有量を最小限または中毒性のないレベルにまで減量するための最適な時間的アプローチは、これまで検証されていなかったという。
中国で開発、生分解性ポリマーDESの有効性は?/Lancet
ステント留置を要する心筋虚血患者において、中国で開発された新たな生分解性ポリマー薬剤溶出性ステント(DES)であるFIREHAWKは、標準ステントであるXIENCE(耐久性ポリマー、エベロリムス溶出)に対し、標的病変不全およびステント内晩期血管径損失が非劣性であることが、米国・イエール大学のAlexandra Lansky氏らが実施した「TARGET All Comers試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年9月3日号に掲載された。FIREHAWKのステントプラットフォームは、薄型ストラット・コバルトクロム合金製で、完全生分解性のポリマーから低用量のシロリムスが溶出される。ステント表面に限局性の反管腔側溝を有し、ポリマーの負荷を最小化して血管壁の薬剤濃度が低くなるようデザインされており、これによって抗再狭窄効果と血管治癒効果が最適化され、炎症反応が最小化するという。
院外心停止の気道確保、声門上気道デバイスは有効か/JAMA
院外心停止の最適な気道管理法は確立されていないという。英国・University of the West of EnglandのJonathan R. Benger氏らAIRWAYS-2試験の研究グループは、院外心停止患者への声門上気道デバイス(SGA)による管理は、気管挿管(TI)と比較して、30日時の機能的アウトカムを改善しないことを示し、JAMA誌2018年8月28日号で報告した。SGAの挿入手技は、TIよりも簡便で迅速に施行可能であり、習熟に要する訓練も少ないため、継続的に臨床で用いられている。観察研究では、TIのほうが延命効果に優れる可能性が示唆されているが、院外心停止の気道管理の最適なアプローチを同定するために、大規模な無作為化試験の実施が求められていた。
責任病変のみのPCIで心原性ショックを伴うAMIの転帰は?/NEJM
心原性ショックを伴う急性心筋梗塞(AMI)患者において、責任病変のみに経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行した患者のほうが多枝血管PCIを施行した患者より、30日時点の死亡/腎代替療法のリスクが低く、1年後も両群で死亡率に差はないことが、CULPRIT-SHOCK試験の1年追跡結果で明らかとなった。ドイツ・ライプチヒ大学のHolger Thiele氏らが報告した。同試験では、30日複合リスク(死亡または腎代替療法を要する重症腎不全)について、即時多枝血管PCIより責任病変のみのPCIで低いことが示されていた。NEJM誌オンライン版2018年8月25日号掲載の報告。
院外心停止、ラリンジアルチューブvs.気管内挿管/JAMA
院外心停止(OHCA)の成人患者において、気管内挿管(ETI)と比較しラリンジアルチューブ(LT)挿入のほうが、72時間生存率が有意に高いことが示された。米国・テキサス大学健康科学センター ヒューストン校のHenry E. Wang氏らが、多施設共同プラグマティック・クラスター無作為化クロスオーバー試験「PART」の結果を報告した。救急医療の現場では、OHCA患者に対し一般的にETIあるいはLTなどの声門上気道器具の挿入が行われるが、OHCA患者の高度気道確保について最適な方法は明らかになっていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「LTはOHCA患者の最初の気道確保戦略として考慮されうるだろう。ただし、試験デザイン、実行状況、ETI遂行の特性などの点で限定的な結果であり、さらなる検証が必要である」とまとめている。JAMA誌2018年8月28日号掲載の報告。
入院高齢者の降圧治療、7分の1が退院時タイトに/BMJ
非心臓系疾患で入院した高齢者の7人に1人が、退院時に降圧治療が強化されていることが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のTimothy S. Anderson氏らによる検討の結果、明らかにされた。強化となった患者の半数以上は、入院前の外来血圧コントロールが良好であった患者だという。著者は、「退院し自宅に戻った高齢者の降圧治療が有害なほど過度にならないように、より注意を払う必要がある」と指摘している。入院した患者の半数以上が、退院時には複数の外来薬物療法が必要となる。血圧の一過性の上昇は入院した成人患者では一般的であるが、入院が、高齢患者の外来降圧治療の強化につながるかどうかは、これまで検討されていなかった。BMJ誌2018年9月12日号掲載の報告。
重症の二次性MRに経皮的僧帽弁修復術の効果は?/NEJM
重症の二次性僧帽弁閉鎖不全症(MR)患者で、薬物療法+経皮的僧帽弁修復術を受けた患者と薬物療法のみを受けた患者を比較した結果、1年時点の死亡率または予定外の入院率について有意な差はなかった。フランス・Hopital Cardiovasculaire Louis PradelのJean-Francois Obadia氏らが、MitraClip(Abbott Vascular)デバイスを用いた無作為化試験「MITRA-FR(Percutaneous Repair with the MitraClip Device for Severe Functional/Secondary Mitral Regurgitation)」の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2018年8月27日号掲載の報告。左室駆出率が低下した慢性心不全患者では、重症の二次性MRが予後不良に関わるが、これらの患者集団において、経皮的僧帽弁修復術が臨床転帰を改善するかは明らかになっていなかった。MitraClipは2008年にEuropean Certificate of Conformity(CEマーク)を取得、本邦では2018年4月に保険適用となっている。
心アミロイドーシス治療、タファミジスが有望/NEJM
トランスサイレチン型心アミロイドーシスは、生命を脅かす希少疾患だが、米国・コロンビア大学アービング医療センターのMathew S. Maurer氏らATTR-ACT試験の研究グループは、トランスサイレチン型心アミロイドーシス治療において、タファミジスが全死因死亡と心血管関連の入院を低減し、6分間歩行テストによる機能やQOLの低下を抑制することを示した。本症は、ミスフォールディングを起こしたトランスサイレチン蛋白から成るアミロイド線維が、心筋に沈着することで引き起こされる。タファミジスは、トランスサイレチンを特異的に安定化させることで、アミロイド形成を抑制する薬剤で、日本ではトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの末梢神経障害の治療薬として承認されている。NEJM誌2018年9月13日号掲載の報告。