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- 2024/12/20
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研究助成の申請成功率、男女差の理由は/Lancet
国や専門分野を超え、男性研究者は女性の同輩に比べ研究資金を得る機会が多いことを示す研究があるが、その多くは観察研究のため、この不均衡は女性研究者の力量によるのか、それとも提出された研究の質によるのかは明確でないという。カナダ・ラヴァル大学のHolly O. Witteman氏らは、同国の助成プログラムの審査基準が変更されたのを機に調査を行った。その結果、研究助成のジェンダーギャップは、主任研究者としての女性の力量の評価が好ましくないことに起因し、提出した研究の質の評価によるのではないことが示された。研究の詳細は、Lancet誌2019年2月9日号に掲載された。2014年、カナダ健康研究所(CIHR)は、研究者主導の資金提供の申請を、主任研究者としての力量に重点を置く明確な評価の有無で、2つの新たな助成プログラムに分けた。
性差の記述、生物医学研究で依然少ない/Lancet
臨床医学や公衆衛生学では性差関連報告を含む論文が増えているが、生物医学研究の分野では依然として少なく、筆頭および最終著者が女性の論文は性差関連の記述を含む確率が高いことが、米国・インディアナ大学のCassidy R. Sugimoto氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌2019年2月9日号に掲載された。性差は、遺伝学、細胞学、生化学、生理学的なレベルで存在することが、臨床および前臨床研究で示されているが、医学研究の対象への女性の組み入れは不十分とする多くの調査結果がある。医学研究への組み入れの男女間の格差は、その研究結果の、集団全体における効用性を著しく低下させる。一方、女性研究者の不足も指摘されているが、科学における女性の不足が、研究への組み入れや研究報告における男女格差と関連するかを評価した調査はほとんどないという。
心不全は非心臓手術後の死亡リスクを増大/JAMA
待機的非心臓手術を受けた心不全患者は、症状の有無にかかわらず、同様の手術を受けた非心不全患者に比べ術後90日死亡リスクが有意に高いことが、米国・スタンフォード大学のBenjamin J. Lerman氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年2月12日号に掲載された。心不全は、術後死亡の確立されたリスク因子であるが、左室駆出率(LVEF)や心不全の症状が手術アウトカムに及ぼす影響は、いまだ十分には知られていないという。
英国の心不全診断後の生存、改善はわずか/BMJ
21世紀に入り、心不全と診断された後の生存期間は、わずかに改善しているのみで、がんなど他の重篤な疾患と比べると遅れをとっており、貧困の度合いによる生存期間の格差も広がっていることが示された。英国・オックスフォード大学のClare J. Taylor氏らが、英国のプライマリケアにおける地域住民を対象としたコホート研究の結果を報告した。心不全患者は増加の傾向にあり、英国では92万人が患っているとされる。心不全患者の生存率は低いが、長期にわたる生存傾向を調べた研究では一貫した結果が得られていなかった。BMJ誌2019年2月13日号掲載の報告。
早期乳がん術後化療、dose-intenseが有益/Lancet
早期乳がんの術後化学療法において、治療サイクル間隔の短縮、あるいは同時投与ではなく逐次投与により用量強度を高めるレジメンは、他の原因による死亡を増加させることなく、乳がんの10年再発リスクおよび死亡リスクを低下させうることが、英国・オックスフォード大学のEarly Breast Cancer Trialists' Collaborative Group(EBCTCG)らの検討で明らかとなった。治療サイクルの間隔短縮や低用量の同時投与よりも、むしろ十分量の逐次投与による細胞傷害性化学療法の用量強度の増強は、有効性を高めるのではないかと考えられていた。Lancet誌オンライン版2019年2月7日号掲載の報告。
女性医師、外科研修の中途離脱を回避するには/Lancet
外科医の研修プログラムを途中で辞めた女性医師を対象に、その理由を調査したところ、「休暇を取るのが困難」「同じ専門医の女性同士の交流が少ない」「支援体制の欠如」など6つの要因が浮き彫りになった。オーストラリア・Gold Coast Hospital and Health ServiceのRhea Liang氏らが、女性医師12人へのインタビューで明らかにしたもので、Lancet誌2019年2月9日号で発表した。英国とオーストララシアでは、外科専門医のうち女性医師の占める割合はわずか11%で、外科研修プログラムを途中で辞めてしまう割合も女性医師が男性医師より高いという。
MRSA保菌者、衛生教育+除菌指導で退院後感染リスク3割減/NEJM
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の保菌患者に対し、病院や介護施設を退院・退所する際、衛生教育に加えてクロルヘキシジンによる口腔洗浄や入浴などの除菌指導を行うことで、退院後1年のMRSA感染リスクが約3割減少したことが示された。米国・カリフォルニア大学アーバイン校のSusan S. Huang氏らが、2,000例超を対象に行った多施設共同無作為化比較試験の結果で、NEJM誌2019年2月14日号で発表した。MRSA保菌入院患者は、退院後の感染リスクが高いことが知られている。 研究グループは、病院や介護施設に入院・入所し、MRSA保菌が確認された被験者を無作為に2群に分け、退院・退所時に、一方には衛生管理に関する教育を、もう一方には衛生教育と除菌指導を行い、1年間追跡した。除菌指導のレジメンは、クロルヘキシジンによる口腔洗浄と入浴またはシャワー浴、ムピロシンの鼻腔内塗布(5日間を月2回、6ヵ月)だった。
細菌性皮膚感染症に新規抗菌薬、MRSAにも有効/NEJM
新規抗菌薬omadacyclineの急性細菌性皮膚・軟部組織感染症への効果は、リネゾリドに対し非劣性で、安全性プロファイルはほぼ同等であることが、米国・eStudySiteのWilliam O’Riordan氏らが行ったOASIS-1試験で示された。研究の詳細は、NEJM誌2019年2月7日号に掲載された。急性細菌性皮膚・軟部組織感染症は合併症の発症率が高く、高額な医療費を要する。omadacyclineは、抗菌薬耐性株を含め、この種の感染症を高い頻度で引き起こす病原菌に活性を有する。本薬は、1日1回の経口または静脈内投与が可能なアミノメチルサイクリン系抗菌薬で、テトラサイクリン系薬剤由来の抗菌薬だが、テトラサイクリン耐性の機序である薬剤排出およびリボソーム保護を回避するという。
脳波に基づく麻酔薬の調節、術後せん妄を抑制せず/JAMA
大手術を受けた高齢患者の術後せん妄の予防において、脳電図(EEG)ガイド下麻酔薬投与は、通常治療と比較して有効ではないことが、米国・セントルイス・ワシントン大学のTroy S. Wildes氏らが行ったENGAGES試験で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年2月5日号に掲載された。術中EEGにおける脳波の平坦化(suppression)は過剰に深い全身麻酔を示唆することが多く、術後せん妄と関連するとされる。 本研究は、EEGの脳波図に基づき麻酔薬の投与を調節するアプローチによる、術後せん妄の抑制効果の評価を目的に、単施設(米国、セントルイス市のBarnes-Jewish病院)で行われたプラグマティックな無作為化臨床試験である(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。
市中肺炎に新規抗菌薬、第III相試験の結果/NEJM
omadacyclineは、1日1回の静脈内または経口投与が可能な新規アミノメチルサイクリン系抗菌薬。ウクライナ・City Clinical Hospital #6, ZaporizhzhiaのRoman Stets氏らOPTIC試験の研究グループは、本薬が市中細菌性肺炎の入院患者(ICUを除く)へのempirical monotherapyにおいて、モキシフロキサシンに対し非劣性であることを示し、NEJM誌2019年2月7日号で報告した。omadacyclineは、肺組織で高濃度に達し、市中細菌性肺炎を引き起こす一般的な病原菌に対し活性を発揮するという。
自殺率の世界的傾向は/BMJ
自殺による年齢調整死亡率は、1990年以降、世界的に大幅に減少しているが、依然として死亡の重大な寄与因子であり、地域や性別、年齢別に変動がみられることが、米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏らGlobal Burden of Disease Self-Harm Collaboratorsの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2019年2月6日号に掲載された。自殺は、世界中で公衆衛生上の関心事となっている。世界保健機関(WHO)の報告によれば、毎年、世界で約80万人が自殺で死亡しており、女性や中年成人に比べ、男性、若年成人、高齢者の自殺率が高いという。
子宮頸がん、hrHPV検査が高検出率/BMJ
子宮頸がんの1次検査として、高リスク型ヒトパピローマウイルス(hrHPV)検査では液状化検体細胞診(LBC法)と比較し、子宮頸部上皮内病変(CIN)のグレード3以上(CIN3)の検出率が約40%、子宮頸がんの検出率は約30%上昇し、3年後のCIN3以上の発生率は非常に低値で、検診間隔の延長を支持する結果が示された。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のMatejka Rebolj氏らが、イングランドのプライマリケアでのhrHPV検査による定期の子宮頸がん検診について検討した、観察研究の結果を報告した。15年以上にわたる無作為化比較試験で、現行の標準検査であるLBC法と比較し、CIN2以上の検出に関してhrHPV検査の優越性が示されたことから、他国では検診ガイドラインを改訂し、hrHPVトリアージ検査を併用したLBC法での1次検査から、LBC法のトリアージ検査を併用したhrHPV検査による1次検査に切り替えたところもある。イングランドでは、2019年末までの全国導入を目指しているという。BMJ誌2019年2月6日号掲載の報告。
全般性不安障害の治療、22剤を比較/Lancet
英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのApril Slee氏らは、全般性不安障害(GAD)の成人患者を対象とした、各種薬剤とプラセボを比較した無作為化試験のシステマティックレビューとネットワークメタ解析を行い、すべての薬物クラスでGADに有効な治療法があり、最初の治療薬での失敗が薬物療法を断念する理由にはならない可能性があることを報告した。GADは、日常の身体的・心理的・社会的機能に影響を与える疾患で、精神療法は費用やリソースが限られていることから薬物療法が第1選択となることが多いが、これまでの研究では利用可能なさまざまな治療薬の比較に関する情報が不足していた。Lancet誌オンライン版2019年1月31日号掲載の報告。
脳卒中疑い、搬送中の経皮ニトロは有効か/Lancet
脳卒中が疑われる患者に対する搬送中の経皮型ニトログリセリン(GTN)の投与は、機能的アウトカムを改善しないことが示された。死亡率や重大有害イベントの発生リスクも低減しなかった。英国・ノッティンガム大学のPhilip M. Bath氏らの研究グループ「The RIGHT-2 Investigators」が、1,100例超の被験者を対象に行った第III相のシャム対照無作為化試験の結果で、Lancet誌2019年2月6日号で発表した。ただし結果を踏まえて著者は、「英国救急隊員が搬送時の超急性期の場面で、脳卒中患者の同意を得て治療を行うことを否定するものではない」と述べている。高血圧は急性脳卒中によくみられ、不良なアウトカムの予測因子である。大規模な降圧試験でさまざまな結果が示されているが、超急性期の脳卒中に関する高血圧のマネジメントについては不明なままだった。
75歳超にもスタチン療法は有益か/Lancet
スタチン療法は、年齢にかかわらず主要血管イベントを有意に抑制することが、28件の無作為化試験、被験者総数約19万例を対象にしたメタ解析の結果、明らかになった。閉塞性血管疾患の所見がすでにみられない75歳超の高齢者におけるベネフィットについては、直接的なエビデンスが不足していたが、その点に関して現在、さらなる試験が行われているという。オーストラリアの研究グループ「Cholesterol Treatment Trialists' Collaboration」が行った研究結果で、Lancet誌2019年2月2日号で発表された。スタチン療法は、さまざまな患者の主要血管イベントや血管死を抑制することが示されているが、高齢者における有効性および安全性は不確かである。研究グループは、年齢の違いによるスタチン療法の有効性を比較したすべての大規模スタチン試験からデータを集めてメタ解析を行った。
C型肝炎撲滅、2030年の世界目標に向けた介入の有効性/Lancet
直接作用型抗ウイルス薬(direct-acting antiviral:DAA)の開発がもたらしたC型肝炎治療の大変革は、公衆衛生上の脅威としてのこの疾患の世界的な根絶に関して、国際的な関心を生み出した。これを受け2017年、世界保健機関(WHO)は、2030年までに根絶との目標を打ち出した。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAlastair Heffernan氏らは、WHOのC型肝炎ウイルス(HCV)根絶目標について現状の達成状況を調査した。Lancet誌オンライン版2019年1月28日号掲載の報告。
減量に朝食摂取は本当に有効か/BMJ
朝食の摂取は、その習慣の有無にかかわらず、体重減少の戦略としては有効とはいえない可能性があるとの研究結果が、オーストラリア・モナシュ大学のKatherine Sievert氏らの検討で示された。研究の詳細は、BMJ誌2019年1月30日号に掲載された。規則的な朝食の摂取は、低BMIと関連し、体重増加に対する防御因子であることが、多くの観察研究で示唆されている。一方、これまでに得られた朝食摂取に関する無作為化対照比較試験のエビデンスは、一貫性がないという。
TG低下とLDL-C低下、有益性はほぼ同等/JAMA
アポリポ蛋白B(アポB)値の単位変化当たりのトリグリセライド(TG)値低下の臨床的有益性は、LDLコレステロール(LDL-C)値低下とほぼ同等であり、アポB含有リポ蛋白粒子の減少の絶対値と比例する可能性があることが、英国・ケンブリッジ大学のBrian A. Ference氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年1月29日号に掲載された。TGとコレステロールは、いずれもアポB含有リポ蛋白粒子によって血漿中に運ばれる。血漿TG値の低下により、心血管イベントのリスクはLDL-C値の低下と同程度に低減するかとの疑問への確定的な回答は得られていないという。
関節リウマチ、3つのnon-TNF型生物学的製剤を比較/BMJ
関節リウマチの成人患者の日常診療では、リツキシマブ(Bリンパ球枯渇薬)およびトシリズマブ(IL-6受容体阻害薬)が、アバタセプト(T細胞共刺激標的薬)に比べ2年アウトカムが良好であることが、フランス・ストラスブール大学病院のJacques-Eric Gottenberg氏らが実施した前向きコホート研究で示された。これら3つの非腫瘍壊死因子(non-TNF)型生物学的製剤はいずれも関節リウマチに、プラセボに比べ優れた効能を有すると報告されているが、これらを比較した無作為化対照比較試験はなく、今後も直接比較試験が行われる可能性はほとんどないという。BMJ誌2019年1月24日号掲載の報告。
安価なインスリンへの変更、血糖値への影響は/JAMA
米国のメディケアに加入する2型糖尿病患者において、インスリンアナログ製剤からヒトインスリンへの変更を含む医療保険制度改革の実行は、集団レベルでHbA1c値のわずかな上昇と関連していたことが、米国・ハーバード大学医学大学院のJing Luo氏らによる後ろ向きコホート研究の結果、明らかにされた。新規のインスリンアナログ製剤の価格は上昇しており、ヒトインスリンよりも高額である。しかし、臨床アウトカムを大きく改善しない可能性が示唆されており、低価格のヒトインスリンが多くの2型糖尿病患者にとって、現実的な初回治療の選択肢ではないかと考えられていた。JAMA誌2019年1月29日号掲載の報告。