急性脳梗塞の血栓溶解、tenecteplase vs.アルテプラーゼ/Lancet
標準的な経静脈的血栓溶解療法の適応であるが血管内血栓除去術の対象外あるいは拒否した急性虚血性脳卒中患者において、tenecteplaseはアルテプラーゼに対して非劣性であることが、中国・首都医科大学のYongjun Wang氏らによる第III相無作為化非盲検非劣性試験「Tenecteplase Reperfusion therapy in Acute ischaemic Cerebrovascular Events-2 trial:TRACE-2試験」の結果、示された。アルテプラーゼに代わる急性虚血性脳卒中に対する望ましい血栓溶解療法として、tenecteplaseへの関心が高まっていた。Lancet誌オンライン版2023年2月9日号掲載の報告。
研究グループは、2021年6月12日~2022年5月29日の期間に中国53施設において、標準的な経静脈的血栓溶解療法の適応ではあるが血管内血栓除去術は適さない急性虚血性脳卒中(発症後4.5時間以内、mRSスコア1以下、NIHSSスコア5~25)の成人(18歳以上)患者1,430例を登録し、tenecteplase(0.25mg/kg、最大25mg)静脈投与群(716例)またはアルテプラーゼ(0.9mg/kg、最大90mg)静脈投与群(714例)に1対1の割合で無作為に割り付けた。患者および治療担当医師は割り付けについて盲検化されなかったが、アウトカム評価医師は盲検化された。
有効性の主要アウトカムは、修正intention-to-treat(ITT)集団(無作為化され割り付けられた治験薬の投与を受けた全患者)における90日後のmRSスコアが0~1の患者の割合で、リスク比(RR)の非劣性マージンを0.937とした。安全性の主要アウトカムは、36時間以内の症候性頭蓋内出血で、治験薬の投与を受け安全性評価が可能であった全患者を解析対象集団とした。