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- 2024/12/20
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高齢者の慢性疾患診断頻度と疾患数別致死率、逆相関であることが明らかに:米国
高齢者への慢性疾患診断の頻度は全米各地で差があり、同頻度が高い地域ほど、疾患同数別にみた致死率は低くなるという逆相関の関連があることが明らかになった。米国・バーモント州退役軍人メディカルセンターのH. Gilbert Welch氏らが、米国高齢者向け公的医療保険のメディケアの受給者515万人超について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年3月16日号で発表した。
薬剤性溶出ステント挿入PCI後のクロピドグレル高用量投与の検討:GRAVITAS
安定冠動脈疾患などで薬剤性溶出ステントを挿入後、血小板反応性が高い患者に対し、クロピドグレル(商品名:プラビックス)を標準の2倍量投与しても、6ヵ月間の心血管イベントリスクは減少せず、標準量投与と同等であることが示された。米国・Scripps ClinicのMatthew J. Price氏らによる多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験「Gauging Responsiveness With A VerifyNow assay―Impact on Thrombosis and Safety」(GRAVITAS)の結果による。JAMA誌2011年3月16日号で発表された。これまでの研究により、クロピドグレル服用者で血小板反応性が高い人は、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の心血管疾患イベントリスクが増大する可能性が示されている。しかしこうした患者への治療方針は確立されておらず、高用量投与とすることで効果が示されるかが検討された。
プライマリ・ケア研究の国際比較、イギリス、オランダが最上位に
世界のプラマリ・ケア研究においては、イギリスとオランダの研究が関連論文の量、質ともに最上位に位置づけられることが、イギリス・ヨーク大学のJulie Glanville氏らの調査で示された。2008年のイギリスの高等教育研究評価(Research Assessment Exercise)では、イギリスのプライマリ・ケア研究の50%は世界水準にあり、国際的に「優良」と評価されているが、各国の研究を直接的に比較した調査はないという。BMJ誌2011年3月12日号(オンライン版2011年3月8日号)掲載の報告。
医学生の学業成績、医師の臨床能力、民族間で差:イギリス
イギリスで研修を受けた医師や医学生においては、非白人は白人に比べ学業成績や臨床能力が劣るという民族間差がみられることが、ロンドン大学ユニヴァーシティ・カレッジのKatherine Woolf氏らによる調査で明らかとなった。イギリスの医学生や研修医の3分の1は少数民族の出身者だという。2002年に報告された医学部合格の関連因子に関するレビューでは、少数民族出身の受験生は標準よりも成績が劣ることが示されているが、この解析に含まれたイギリスの報告は1編のみであった。イギリスの大学や国民保健サービス(NHS)は、学生の入学状況や学業成績の向上、職員の採用状況や職能向上につき民族別にモニターすることが法的に義務づけられている。BMJ誌2011年3月12日号(オンライン版2011年3月8日号)掲載の報告。
50歳以上の乳がんリスク、喫煙者で有意に増大、間接喫煙者でも増大示唆
閉経後女性における喫煙と侵襲性乳がんリスクとの関連について、直接喫煙者では有意なリスク増大が認められ、間接喫煙者でも増大が示唆されることが、米国・ウエスト・バージニア大学Mary Babb RandolphがんセンターのJuhua Luo氏らによる前向きコホート試験「Women's Health Initiative Observational Study」の結果、明らかにされた。BMJ誌2011年3月5日号(オンライン版2011年3月1日号)掲載より。
国を挙げての急性期脳卒中ケアサービス提供の改善施策は功を奏したか?:英国
英国では、ロンドン南部における1995~2000年の脳卒中患者に対する急性期ケア提供の社会人口統計学的格差の報告を受け、その後、急性期ケアサービス改善に特に重点を置いた施策が次々と打ち出された。それらが効果をもたらし、改善が認められているのか。キングズ・カレッジ・ロンドンの健康・社会的ケア調査部門のJuliet Addo氏らが、ロンドン南部におけるその後の変化動向について調査を行った。BMJ誌2011年3月5日号(オンライン版2011年2月24日号)掲載より。
男性の発がん性HPV感染率は30%、パートナー数と密接に関連
男性の発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)感染率は30%に及び、性交パートナー数が多いほど感染率が高く、かつウイルス消失率が低いことが、アメリカ・H Lee MoffittがんセンターのAnna R Giuliano氏らの検討で示された。HPVは男性の陰部疣贅やがんの原因となるが、男性におけるHPVの自然経過はほとんど知られていないという。HPVは男性から女性に感染することで女性の疾患リスクに大きな影響を及ぼし、男性の性行動は女性パートナーのHPV感染率や関連疾患にも影響することから、男性におけるHPV感染状況の解明が急がれている。Lancet誌2011年3月12日号(オンライン版2011年3月1日号)掲載の報告。
ピロリ菌除菌効果、ビスマス製剤を含む4剤併用が標準治療を凌駕
ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori:以下、ピロリ菌)の除菌効果は、プロトンポンプ阻害薬オメプラゾールと次クエン酸ビスマス+メトロニダゾール+テトラサイクリンの4剤併用レジメンが、標準的な3剤併用療法よりも優れることが、ドイツ・Otto-von-Guericke大学のPeter Malfertheiner氏らの検討で示された。ピロリ菌は、消化性潰瘍、胃がん、胃MALTリンパ腫など上部消化管の良性/悪性疾患を引き起こすが、先進国では国民の20~50%が、開発途上国では最大で80%が感染しているとされる。日本を含め国際的なガイドラインでは、標準的な1次治療としてオメプラゾールにアモキシシリンとクラリスロマイシンを併用する方法が推奨されるが、最近の耐性菌の増加に伴い新たなレジメンの開発が求められているという。Lancet誌2011年3月12日号(オンライン版2011年2月22日号)掲載の報告。
慢性疲労症候群、認知行動療法や段階的運動療法の併用が有効:PACE試験
慢性疲労症候群の治療では、専門医による治療(SMC)に加え認知行動療法(CBT)あるいは段階的運動療法(GET)を併用すると、SMC単独に比べ中等度の予後改善効果が得られるが、適応ペーシング療法(APT)を併用しても相加効果は認めないことが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のP D White氏らが行ったPACE試験で示された。慢性疲労症候群は「生活が著しく損なわれるような強い疲労」で特徴付けられ、筋痛性脳脊髄炎と同一疾患とする見解のほかに、別の診断基準に基づく異なる疾患と捉える考え方もある。CBTやGETの有効性を示す知見がある一方で、患者団体による調査ではAPTやSMCのほうが有効な可能性があると報告されている。Lancet誌2011年3月5日号(オンライン版2011年2月18日号)掲載の報告。
エベロリムスベースの免疫抑制療法、腎移植におけるカルシニューリン阻害薬回避戦略として有望:ZEUS試験
腎移植患者に対する免疫抑制療法として、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)阻害薬エベロリムス(商品名:サーティカン)をベースとするレジメンは、標準治療であるカルシニューリン阻害薬と同等の有効性および安全性を維持しつつ、12ヵ月後の腎機能を有意に改善し、長期予後の改善をさらに促進する可能性があることが、ドイツ・Charite大学のKlemens Budde氏らが実施したZEUS試験で示された。腎移植では、免疫抑制療法による予後の改善が示されているが、標準的な免疫抑制薬であるカルシニューリン阻害薬には急性/慢性の腎毒性がみられ、心血管リスク因子の増悪という長期予後に悪影響を及ぼす有害事象も認められる。そのため、腎毒性を伴わない免疫抑制療法として、カルシニューリン阻害薬と同等の有効性と安全性を維持しつつ、その使用を回避する治療戦略の開発が求められているという。Lancet誌2011年3月5日号(オンライン版2011年2月21日号)掲載の報告。
心房細動患者に対するイルベサルタンの効果の検討
心房細動患者に対するARB・イルベサルタン(商品名:アバプロ、イルベタン)の効果について、カナダ・マクマスター大学のYusuf S氏ら「ACTIVE I」研究チームによる無作為化プラセボ対照試験の結果が報告された。心房細動患者では心血管疾患イベントリスクが高い。イルベサルタンが同リスクを抑制するかどうかが検討された。NEJM誌2011年3月10日号掲載より。
2008年のサルモネラ症集団発生、原因はトマトや青唐辛子の生食:米国
米国疾病予防管理センター(CDC)サルモネラ症発生調査チームが、2008年に全国規模で発生したサルモネラ症の集団感染について疫学的調査等の結果、トマトや青唐辛子の生食が原因であったことが報告された。サルモネラ症の発生要因として近年、食品の生食が徐々に認識されるようになっている。そうした背景で行われた本調査の結果について調査チームは「生食による汚染防止の重要性を強調するものだ」と結論している。NEJM誌2011年3月10日号(オンライン版2011年2月23日号)掲載より。
糖尿病は独立リスク因子として血管疾患以外にも、がん、感染症などの早期死亡に関連する
糖尿病や高血糖が、がんやその他非血管系の疾患による死亡リスクと、どの程度関連しているのか明らかではなく、たとえば米国糖尿病学会、米国がん学会の共同コンセンサス・ステートメントでも不明であるとしている。英国ケンブリッジ大学のSeshasai SR氏らThe Emerging Risk Factors Collaboration(ERFC)は、糖尿病、空腹時血糖値と特異的死亡との関連について信頼たり得る評価を提供することを目的とした研究グループで、成人における糖尿病の寿命に対する影響を前向きに調査した結果を報告した。NEJM誌2011年3月3日号掲載より。
強化血糖降下療法を受けた、進行した糖尿病を有する心血管ハイリスク患者の5年転帰:ACCORD
平均3.7年間の強化血糖降下療法を受けたACCORD試験被験者の5年転帰について、標準療法を受けた被験者と比較した結果が明らかにされた。死亡および主要な心血管イベントに関する5年転帰を解析した結果、非致死的心筋梗塞の5年発生率は減少したが、5年死亡率は増大が認められたという。この結果を受けACCORD試験グループは、「進行した2型糖尿病を有するハイリスク患者に対する強化血糖降下療法は、治療戦略として推奨できない」と結論した。NEJM誌2011年3月3日号掲載より。
急性非代償性心不全患者へのループ利尿薬の投与戦略
急性非代償性心不全患者へのループ利尿薬投与について、急速静注と持続点滴、低用量と高用量それぞれ比較したが、いずれも全般的な症状改善や腎機能改善の程度に有意差は認められなかったことが示された。米国デューク大学医学校・ハートセンターのG. Michael Felker氏らが、300人超の急性非代償性心不全患者について行った、前向き無作為化二重盲検試験により明らかにしたもので、NEJM誌2011年3月3日号で発表した。急性非代償性心不全への基本となるループ利尿薬の投与法に関して、前向き試験も使用指針もほとんどなかった。
外傷患者の3年死亡率は16%、病院から高度看護施設への退院で死亡リスク増大
米国の病院に外傷で入院した患者の3年死亡率は16%で、退院後に高度看護施設(skilled nursing facility)に入所した人においては、年齢にかかわらず死亡リスクが増大することが示されたという。米国・ワシントン大学外科部門Harborview外傷予防研究センターのGiana H. Davidson氏らが、12万超の成人外傷患者について行った後ろ向きコホート試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2011年3月9日号で発表した。
HIV感染の母親から生まれた非感染乳児、Hibなど抗体低値だがワクチン投与反応は良好
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染する母親から生まれたHIV非感染の乳児は、出生時のインフルエンザ菌b型ワクチン(Hib)や百日咳、肺炎球菌などの抗体値が、HIV非感染の母親から生まれた乳児に比べ、低いことが明らかになった。同時に、そうした乳児の、ルーチンのワクチン投与に対する反応は良好だったことも示されたという。英国Imperial College LondonのChristine E. Jones氏らが、南アフリカで100人超の妊婦とその乳児について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年2月9日号で発表した。
血清ビリルビン値正常域内では、高値ほど呼吸器疾患リスクや総死亡リスクが減少
血清ビリルビン値が正常域内では、その値が高い人の方が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患や総死亡のリスクがいずれも低いことが明らかにされた。英国University College LondonのLaura J. Horsfall氏らが、50万人超を対象に行ったコホート試験で明らかにしたもので、JAMA誌2011年2月16日号で発表した。
糖尿病患者に対するピアサポート、プライマリ・ケアへの導入は可能か?
2型糖尿病患者に対するグループ活動ベースのピアサポート(peer support)による介入は、HbA1cや総コレステロール値などを改善せず、プライマリ・ケアへの広範な導入は支持されないことが、アイルランド・トリニティ・カレッジ(ダブリン大学)プライマリ・ケア科のS M Smith氏らの検討で示された。ピアサポートは「同様の人生経験の共有に基づく経験知を持つ個人による支援の提供」と定義される。糖尿病患者同士が、日々の生活のマネージメントにおいて互いに支え合うために自らの能力を活かすものであり、WHOも糖尿病治療の有望なアプローチの一つとして注目しているが、現時点ではその有効性を支持するエビデンスは限られているという。BMJ誌2011年2月26日号(オンライン版2011年2月15日号)掲載の報告。
適度な飲酒、心血管アウトカムを改善:最新知見を含む包括的メタ解析
適度な飲酒は、飲酒しない場合に比べ広範な心血管関連のアウトカムを改善するとともに、全原因死亡のリスクをも低減することが、カナダ・カルガリー大学のPaul E Ronksley氏らの検討で明らかとなった。これまでにも飲酒が種々の心血管関連アウトカムに影響を及ぼすことがいくつかの系統的なレビューで示されているが、いまとなってはこれらのレビューは古いもので、また広範な心血管関連のエンドポイントを包括的に調査、解析したものではないという。BMJ誌2011年2月26日号(オンライン版2011年2月22日号)掲載の報告。