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- 2024/12/20
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死亡リスク予測、24時間血圧 vs.診察室血圧/NEJM
24時間自由行動下収縮期血圧(ABP)は診察室血圧よりも、全死因死亡および心血管死について、より強い予測因子であることが示された。血圧値の1標準偏差(SD)上昇当たりの全死因死亡に関するハザード比は、24時間ABPが1.58だったのに対し、診察室血圧では1.02だったという。また、「仮面高血圧」(診察室血圧は正常値だが24時間ABPは高値)の全死因死亡に関するハザード比は2.83で、持続性高血圧の1.80よりも高かった。また、「白衣高血圧」(診察室血圧が高値で24時間ABPは正常)の同HRも1.79で良性とはいえないことが示されたという。スペイン・マドリード自治大学のJose R. Banegas氏らが、約6万4,000例を対象に行った大規模な前向きコホート試験の結果で、NEJM誌2018年4月19日号で発表した。24時間ABPが予後に与える影響について、これまでに発表されているエビデンスは、主に住民ベース試験や比較的規模の小さい臨床試験に基づくものだったという。
医師の政治信条、終末期治療に影響を及ぼすか/BMJ
米国では、医師の政党支持は、全国規模の医療施策に関する見解の違いと関連することが知られている。米国・ハーバード大学医学大学院のAnupam B. Jena氏らは、医師の政党支持と入院患者への終末期治療の関連を検討し、支持政党の違いは終末期の支出や強化終末期治療の施行状況などに影響を及ぼさないことを示した。研究の成果は、BMJ誌2018年4月11日号に掲載された。医師の政党支持は、二極化した医療上の争点を反映した仮想的な臨床シナリオにおいて、治療の推奨と関連するとの報告があるが、医師の政治信条の終末期の治療への影響は、これまで知られていないという。
有病率8.6%。中国のCOPD有病率とリスク因子/Lancet
中国の20歳以上の成人における慢性閉塞性肺疾患(COPD)の有病率は8.6%に達し、喫煙、環境大気汚染、痩せ、小児期の慢性咳嗽、親の呼吸器疾患歴、小学校以下の教育歴がリスク因子であることが、中国・中日友好病院呼吸器医療センターのChen Wang氏らが行ったChina Pulmonary Health(CPH)研究で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年4月9日号に掲載された。2002~04年に行われた40歳以上の中国人の調査では、COPDの有病率は8.2%(男性:12.4%、女性:5.1%)と報告され、リスク因子として環境大気汚染や喫煙の重要性が指摘されている。一方、若年成人におけるCOPD有病率の上昇を示唆する報告があるが、40歳未満の中国人のデータはこれまでなかったという。
マラリア感染、殺虫剤抵抗性媒介蚊脅威に2つの対策/Lancet
マラリア対策は、広範囲にわたる殺虫剤抵抗性マラリア媒介蚊の存在によって、進展が脅威にさらされている。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のNatacha Protopopoff氏らは、近年開発された2つのマラリア媒介蚊の対策製品である、共力剤ピペロニルブトキシド(PBO)含有長期残効性殺虫剤ネットと、殺虫剤ピリミホス-メチルの長時間屋内残留タイプの噴霧製品を評価する検討を行った。いずれも、標準的な長期残効性殺虫剤ネットと比べて、ピレスロイド系薬抵抗性媒介蚊によるマラリアが流行している地域で、マラリア伝播コントロールの改善が示されたという。Lancet誌オンライン版2018年4月11日号掲載の報告。
米国の健康状態、州レベルで格差拡大/JAMA
米国における疾病負荷について、州レベルで格差が認められることが、米国・ワシントン大学のChristopher J. L. Murray氏らUS Burden of Disease Collaboratorsによる検討で明らかにされた。特異的疾患やリスク因子(薬物使用障害、BMI高値、貧しい食生活、空腹時高血糖、アルコール使用障害など)が増大しており、さらなる注意喚起が必要だという。米国の健康アウトカム調査は複数あるが、州ごとの健康評価を統合したものはなかったという。JAMA誌2018年4月10日号掲載の報告。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、新たな遺伝子サブグループを同定/NEJM
米国・国立衛生研究所のRoland Schmitzらは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の腫瘍組織の遺伝子解析を行い、遺伝子型、エピジェネティックおよび臨床像の異なる4つの遺伝子サブタイプを同定した。著者は、「DLBCLのプレシジョン・メディシンを可能にする疾病分類を提供するものである」とまとめている。DLBCLは、表現型的にも遺伝学的にも不均一であるが、遺伝子発現プロファイリングにより、化学療法や分子標的薬への反応の違いに関わる起始細胞に基づくサブグループ(活性型B細胞型[ABC]、胚中心B細胞型[GCB]、未分類)が同定されている。研究グループは、共通する遺伝子異常に基づく遺伝子サブタイプを同定することで、腫瘍遺伝学に基づいたDLBCLの治療脆弱性を明らかにすることを試みた。NEJM誌2018年4月12日号掲載の報告。
タバコの50%値上げ、健康や経済に有益/BMJ
タバコの値上げは、所得上位層20%よりも所得下位層20%に対して、健康や財政面の利益を提供しており、タバコ税増税は非感染性疾患および貧困に関する持続可能な開発目標(sustainable development goals:SDGs)を支持し、疾病に対する生活資金的な保障を提供する。カナダ・セント・マイケルズ病院のSujata Mishra氏らが、タバコの50%値上げによる影響を検証した研究結果を報告した。タバコ税増税は、2030年までに非感染性疾患の死亡率を3分の1まで低下させるというSDGs達成に重要であるが、タバコ税増税による健康や財政面への影響に関する研究はほとんどなかった。BMJ誌2018年4月11日号掲載の報告。
ジカウイルス、症候性男性精液の3割から検出/NEJM
蚊媒介性のジカウイルス(ZIKV)は、症候性の男性約3割の精液中に、また約4%の尿中に存在していたことが明らかにされた。6ヵ月以上残存する男性もいたという。一方で、感染性ZIKVが検出されたのはごくわずかで、そのすべてが発症後30日以内に検体が採取された男性だった。米国疾病管理予防センター(CDC)のPaul S. Mead氏らが、185例の男性患者を対象に行った前向き試験の結果で、NEJM誌2018年4月12日号で発表した。ZIKVは蚊媒介性の新出現フラビウイルスで、有害な出生アウトカムとの関連が報告されている。
固形燃料での料理や暖房、心血管死リスク2~3割増/JAMA
中国農村部では、料理や暖房に使用している石炭などの固形燃料が、心血管系疾患死や全死因死亡リスクを増大していることが明らかにされた。そうしたリスクは、クリーン燃料へ切り替えたり、換気付き料理用コンロを使用している人では低い可能性も示唆された。中国・華中科技大学同済医学院のKuai Yu氏らが、5つの農村部の住民約27万例を平均7.2年間追跡した前向きコホート試験の結果で、JAMA誌2018年4月3日号で発表した。屋内での固形燃料の燃焼は、大量の微細粒子状の汚染物質を生成することが知られている。
小児期の過体重、何歳まで続くと2型糖尿病リスクが高まるか/NEJM
7歳時に過体重の男児は、思春期以降まで過体重が持続した場合に限り、成人2型糖尿病のリスクが増大することが、デンマーク・Bispebjerg and Frederiksberg HospitalのLise G. Bjerregaard氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2018年4月5日号に掲載された。小児期の過体重により、成人期の2型糖尿病リスクが増加する。世界の小児の23%以上が過体重または肥満であることから、小児期の過体重が2型糖尿病のリスクに及ぼす有害な影響は、成人期に至る前に正常体重に回復した場合は減少に転じるか、またインスリン感受性が著明に低下する思春期の体重増加が、後年の2型糖尿病の発症に主要な役割を担うかを検証することが重要とされる。
オーソライズド・ジェネリックで逆戻りが約3割低下/BMJ
先発医薬品(branded drug products)からオーソライズド・ジェネリック医薬品(authorized generic drug products)へ切り替えた患者は、先発医薬品からジェネリック医薬品(generic drug products)への切り替え例に比べ、先発医薬品への再切り替えの割合が低いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のRishi J. Desai氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2018年4月3日号に掲載された。ジェネリック医薬品は、先発医薬品と有効成分は同じだが、外観や賦形剤が異なる後発薬であり、オーソライズド・ジェネリック医薬品は、先発医薬品を開発した製薬企業が製造したジェネリック医薬品であるため、両者は有効成分、外観、賦形剤が同じである。先発医薬品とジェネリック医薬品の外観、賦形剤の違いは、ジェネリック医薬品への否定的な見方に寄与する可能性があり、先発医薬品への逆戻りは医療費の増大を招くという。
中年以降の財産喪失で死亡リスク1.5倍に/JAMA
米国の51歳以上の成人では、2年以上に及ぶ財産の4分3以上を失う経験により、全死因死亡のリスクが増大することが、ノースウェスタン大学のLindsay R. Pool氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年4月3日号に掲載された。突然の財産喪失によるショック(negative wealth shock)は、精神的健康に重大な損失をもたらし、健康関連費の財源を減少させる。高齢で失った財産を取り戻すために残された時間は限られており、財産喪失ショックによる健康上の影響は長期に持続するという。
勤務時間が柔軟でも内科研修プログラムには影響しない/NEJM
勤務時間が柔軟でない研修プログラムは、医師の育成に悪影響を及ぼすのではないかという懸念があるが、研修医が患者の治療や教育に費やす時間の割合は、柔軟な勤務時間の研修プログラムと標準的な勤務時間の研修プログラムとで差はないことが示された。また、前者の柔軟な研修プログラムを受けた研修医は、後者の研修医と比較して教育経験にあまり満足していなかったが、プログラムの責任者は満足していたことも示された。米国・ジョンズ・ホプキンズ大学のSanjay V. Desai氏らが、米国の内科研修プログラムを検証した全米クラスター無作為化試験「iCOMPARE研究」の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2018年3月20日号掲載の報告。
乳幼児突然死症候群に変異遺伝子が関与か?/Lancet
英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのRoope Mannikko氏らは、機能破壊的なSCN4A変異が、乳幼児突然死症候群(SIDS)で死亡した乳幼児に多く認められるとの仮説を検証した症例対照研究の結果を報告した。SIDSは、高所得国における生後4週以降の乳幼児死亡の主な原因で、呼吸中枢の障害が一因と思われる。呼吸筋の収縮を引き起こす刺激は、SCN4A遺伝子にコードされているナトリウム(Na)チャネルNaV1.4によってコントロールされており、骨格筋の興奮性を直接変えるNaV1.4の変異は、筋強直、周期性四肢麻痺、先天性ミオパチー、筋無力症候群を引き起こす可能性が示唆されていた。SCN4A変異は、致死性無呼吸や喉頭痙攣の乳幼児でも確認されていた。Lancet誌オンライン版2018年3月28日号掲載の報告。
慢性肝疾患リスクを低減する遺伝要因が明らかに/NEJM
HSD17B13のスプライス変異体rs72613567:TAが、脂肪肝や脂肪性肝炎への進展リスク低下と関連することが、米国・Regeneron Genetics CenterのNoura S. Abul-Husn氏らによる検討で明らかになった。約4万7,000例を対象にした「DiscovEHRヒト遺伝学試験」のエクソーム解析データに加え、複数のコホート試験などを基にした検証結果で、NEJM誌2018年3月22日号で発表された。慢性肝疾患の基礎を成す遺伝要因は、新たな治療ターゲットを明らかにできる可能性があることから、解明への期待が寄せられていた。
ジェネリック希少の医薬品、米国で価格高騰/BMJ
米国において特許期限切れだがジェネリック承認薬がない処方薬のうち、半数超は米国外で少なくとも1社が承認を受けており、半数弱は4社以上が承認製造していた。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のRavi Gupta氏らが、1939~2017年に米国食品医薬品局(FDA)で承認を受け、その後特許期限が切れた薬剤などを対象に行った観察試験で明らかにしたもので、BMJ誌2018年3月19日号で発表した。米国では、特許期限の切れた処方薬の一部が、競合会社が少ないために急激に価格が高騰し、入手が困難になるといった問題が生じている。今回の結果を受けて著者は、「それらの処方薬について、米国外からの輸入販売規制などを緩和化することで、適正な市場競争が促され、価格低下や患者への安定的な供給につながるだろう」とまとめている。
早産児の動脈管開存症には高用量経口イブプロフェンが有効/JAMA
動脈管開存症(PDA)の早産児への薬物療法による動脈管閉鎖の効果では、高用量の経口イブプロフェンが、標準用量の静脈内イブプロフェンや静脈内インドメタシンに比べて良好であることが、カナダ・ダルハウジー大学のSouvik Mitra氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年3月27日号に掲載された。早産児のPDAでは保存的管理が重視されるようになっているが、血行動態的に重要なPDAを発症した患児への薬物療法による介入では、さまざまな治療法が行われているという。
心筋梗塞患者のせん妄への抗精神病薬、安全性を比較/BMJ
急性心筋梗塞による入院患者へのハロペリドール投与開始から7日以内の死亡リスクは、非定型抗精神病薬に比べわずかに高いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のYoonyoung Park氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年3月28日号に掲載された。外来患者や介護施設入居者の研究では、定型抗精神病薬は非定型抗精神病薬に比べ、死亡リスクが高いことが一貫して示唆されている。一方、抗精神病薬を入院患者のせん妄の症状管理に使用した場合の相対的な安全性に関するエビデンスは、ほとんどないという。
米国で死亡率が増えている感染症は?/JAMA
1980~2014年の米国における感染症死亡の動向を調べた結果、ほとんどの感染症疾患で死亡は減少していたが、郡(county)レベルでみるとかなりの格差があった。さらに同期間中に下痢症の死亡は増大していたという。米国・ワシントン大学のCharbel El Bcheraoui氏らによる調査報告で、JAMA誌2018年3月27日号で発表された。感染症はほとんどが予防可能だが、米国ではいまだに公衆衛生上の脅威とみなされている。そうした中でこれまで、郡レベルの感染症死亡の推定値は把握されていなかった。
急性骨髄性白血病、微小残存病変が再発の予測因子に/NEJM
急性骨髄性白血病(AML)では、完全寛解中の分子レベルでの微小残存病変の検出が、再発率や生存率に関して、高度な独立の予後因子としての意義を持つことが、オランダ・エラスムス大学のMojca Jongen-Lavrencic氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2018年3月29日号に掲載された。AML患者は完全寛解に到達することが比較的多いが、再発率が依然として高い。次世代シークエンシングにより、ほぼすべての患者で分子レベルの微小残存病変の検出が可能となったが、再発の予測における臨床的な意義は確立されていないという。