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- 2024/12/20
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早期乳がん術後放射線療法、26Gy/5回/1週が有用か/Lancet
早期乳がんの初回手術後の局所放射線療法では、5年後の局所コントロールおよび正常組織への影響に関する安全性について、総線量26Gyの5分割1週間照射は、標準的な40Gyの15分割3週間照射に対し非劣性であることが、英国・ノースミッドランズ大学病院のAdrian Murray Brunt氏らの「FAST-Forward試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年4月28日号に掲載された。早期乳がんの術後放射線療法は、従来、1.8~2.0Gy/日を週5日間、5週間以上照射する方法が標準であったが、カナダや英国、次いで中国とデンマークの無作為化第III相試験により、2.7Gy/日の15または16分割照射の安全性と有効性が示されている。さらに、最近では、5分割の1週間照射の長期アウトカムが報告され、早期乳がんにおける根治的放射線療法のいっそうの簡便化の可能性が示唆されている。
COVID-19、ICU入室患者の臨床的特徴/JAMA
集中治療を要する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染患者の臨床的特徴の情報は限られている。イタリア・Fondazione IRCCS Ca' Granda Ospedale Maggiore PoliclinicoのGiacomo Grasselli氏らCOVID-19 Lombardy ICU Networkの研究グループは、同国ロンバルディア州の集中治療室(ICU)に入室した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の調査を行った。その結果、ICU入室患者の多くは高齢男性で、機械的換気を要する患者が9割近くに及び、呼気終末陽圧(PEEP)値が高く、ICU内死亡率は26%に達したことがわかった。研究の詳細は、JAMA誌2020年4月28日号で報告された。ICUベッドの利用や集中治療の提供の状況は国によって異なるが、ICU治療を要する重篤なCOVID-19患者のベースラインの特徴やアウトカムに関する情報は、地域の集団発生に対処するための取り組みの計画に従事する保健当局や政府関係者にとってきわめて重要である。
COVID-19にレムデシビルが有意な効果示せず、早期なら有効か/Lancet
中国で行われた無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者へのレムデシビル投与は、臨床的改善までの期間を統計学的に有意に短縮しなかったことが報告された。しかし、発症後10日以内の患者に限定した解析で、有意差は示されなかったものの、臨床的改善までの期間はレムデシビル群で短縮する傾向が認められた。中国・中日友好医院のYeming Wang氏らによる試験の結果で、著者は「早期投与については大規模な研究で確認する必要がある」とまとめている。Lancet誌オンライン版2020年4月29日号掲載の報告。
去勢抵抗性前立腺がん、オラパリブが有効/NEJM
新規のホルモン療法薬投与中に病勢が進行し、BRCA1、BRCA2遺伝子などに変異が認められた、転移がある去勢抵抗性前立腺がんの患者に対して、PARP阻害薬オラパリブの投与はホルモン療法薬投与と比べて、無増悪生存(PFS)期間を延長し、奏効率や、患者評価のエンドポイント(疼痛増悪までの期間など)も有意に良好であることが示された。英国・Institute of Cancer ResearchのJohann de Bono氏らが第III相無作為化非盲検試験の結果を報告した。相同組み換え修復などDNA修復に関与する遺伝子における複数の機能喪失の変化は、前立腺がんやその他のがん患者においてPARP阻害に対する反応との関連が示唆されている。これを踏まえて研究グループは、遺伝子変異が認められ転移がある去勢抵抗性前立腺がん患者に対する、PARP阻害薬を評価する試験を行った。NEJM誌オンライン版2020年4月28日号掲載の報告。
膝OA、ゾレドロン酸の年1回投与は有効か/JAMA
骨髄病変を有する症候性の変形性膝関節症者の治療では、ゾレドロン酸の年1回投与はプラセボと比較して、2年後の軟骨量減少の改善効果に差はないことが、オーストラリア・タスマニア大学のGuoqi Cai氏らの検討「ZAP2試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年4月21日号に掲載された。変形性膝関節症患者では、ゾレドロン酸の静脈内投与により膝の痛みや骨髄病変の大きさが低減することが、原理証明研究で示唆されているが、大規模臨床試験のデータはないという。
CLL1次治療、acalabrutinibの第III相試験成績/Lancet
未治療の症候性慢性リンパ性白血病(CLL)患者の治療において、acalabrutinib±オビヌツズマブは、標準治療であるオビヌツズマブ+chlorambucilによる化学免疫療法と比較して、無増悪生存(PFS)を有意に改善し、安全性プロファイルも良好であることが、米国・Willamette Valley Cancer Institute/US OncologyのJeff P. Sharman氏らの検討「ELEVATE TN試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2020年4月18日号に掲載された。acalabrutinibは、選択的な共有結合性ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬。未治療CLL患者を対象とした第I/II相試験では、単剤またはオビヌツズマブとの併用で、高い有効性(全奏効割合95~97%)とともに、持続性の寛解、良好な長期忍容性、低い治療中止率が報告されている。オビヌツズマブは抗CD20モノクローナル抗体、chlorambucilは化学療法薬(アルキル化薬)である。
カリウム代用塩の使用で心血管死が9割減?/BMJ
中国において全国的に、食事で摂取する塩をカリウム代用塩にすることで、心血管疾患死の約9分の1を予防できるとの推定結果が示された。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のMatti Marklund氏らが、任意の塩(卓上または料理で使用する塩)をカリウムが豊富な塩(カリウム代用塩)へ全国的に置き換えることが、中国における死亡率および心血管疾患死にどのような影響を及ぼすかを推定した研究結果を報告した。ナトリウムの摂取が多く、カリウムの摂取が少ない中国や他の国において、カリウム代用塩の使用は血圧を低下させ心血管疾患を予防する有望な戦略と考えられている。しかし、相対的な有益性や有害性について、とくに慢性腎臓病(CKD)患者における高カリウム血症や心臓死のリスクにおいては明らかになっておらず、カリウム代用塩の普及は限定的となっている。結果を踏まえて著者は、「高カリウム血症のリスクを考慮にいれても、相当の有益性がCKD患者にとってもあると推定された」と述べている。BMJ誌2020年4月22日号掲載の報告。
COVID-19、糞便でのウイルス検出期間中央値が22日/BMJ
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、呼吸器や血清検体と比較して糞便検体で持続期間が有意に長く、流行の予防と管理という点で糞便検体の管理を強化する必要性があることが明らかとなった。さらに、このウイルスは、重症患者の呼吸器組織ではウイルス量が高い状態が長期的に持続しピークが遅いことも確認された。中国・浙江大学のShufa Zheng氏らが、中国・浙江省の病院に入院した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の後ろ向きコホート研究の結果を報告した。2020年4月9日現在、世界中で150万人以上のCOVID-19患者がおり、その数は急増を続けている。これまで、SARS-CoV-2は呼吸器、糞便、血清および尿から検出されることは少数例の検討で報告されてきたが、重症度が異なる疾患進行中のウイルス量の変化はわかっていなかった。BMJ誌2020年4月21日号掲載の報告。
新型タバコ肺傷害の死亡例、喘息、心疾患、精神疾患が高率/NEJM
電子タバコやベイピング製品使用に関連する肺傷害(EVALI)による致死症例および非致死症例について全米調査を行ったところ、致死症例は非致死症例に比べ、喘息や心疾患、精神疾患の併存割合が高いことが明らかになったという。米国疾病管理予防センター(CDC)のAngela K. Werner氏らが報告した。2020年1月7日時点でCDCに報告されたEVALI入院患者の非致死症例は2,558例、致死症例は60例であるという。NEJM誌2020年4月23日号掲載の報告。
NYのCOVID-19入院患者、高血圧57%、糖尿病34%/JAMA
米国ニューヨーク州の12病院に入院した、新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019、COVID-19)患者5,700例について症例研究(case series)を行ったところ、年齢中央値は63歳、約57%が高血圧症を、また約34%が糖尿病を有していたことなどが明らかにされた。米国・Northwell HealthのSafiya Richardson氏らが報告した。試験期間中(2020年3月1日~4月4日)に退院・死亡した患者は、約半数近くの2,634例で、うち死亡は21%だった。また、侵襲的機械的人工換気を要した患者は320例で、その死亡率は88.1%だったという。米国におけるCOVID-19入院患者の特徴とアウトカムの情報は限定的であったが、著者は、「今回の症例研究により、ニューヨーク市周辺におけるCOVID-19入院患者の特徴と早期アウトカムが明らかになった」と述べている。JAMA誌オンライン版2020年4月22日号掲載の報告。
CMV抗体陰性肝移植のCMV感染症予防、先制治療は有効か/JAMA
サイトメガロウイルス(CMV)抗体陽性ドナーから肝臓の移植を受けるCMV抗体陰性レシピエントでは、先制治療は抗ウイルス薬予防投与に比べ、1年後のCMV感染症(CMV disease)の予防効果が優れることが、米国・ピッツバーグ大学のNina Singh氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年4月14日号に掲載された。CMV抗体陽性ドナーから肝臓の移植を受ける高リスクのCMV抗体陰性レシピエントにおいては、抗ウイルス薬の予防投与によるCMV予防戦略は、予防投与後の遅発CMV感染症の発生率が高いとされる。代替アプローチとして先制治療(サーベイランス検査で検出された無症候性のCMV血症への抗ウイルス薬治療の開始)が行われているが、これらを直接比較した研究はないという。
眼底写真の深層学習、視神経乳頭異常を鑑別/NEJM
眼底写真を用いて構築した深層学習システムは、乳頭浮腫のある視神経乳頭と、正常乳頭または乳頭浮腫以外の異常を伴う乳頭を鑑別可能であることが、シンガポール・国立眼科センターのDan Milea氏らBONSAIコンソーシアムの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年4月14日号に掲載された。乳頭浮腫(頭蓋内圧亢進による視神経浮腫)の検出や、視神経乳頭が正常と判定する能力は、頭痛や他の神経学的症状を呈する患者の評価に有益で、眼底検査所見は診断戦略や治療選択肢に影響を及ぼし、乳頭浮腫の検出の失敗は視力喪失や神経学的合併症をもたらす可能性があるという。一方、眼底写真を用いたAIおよび深層学習は、すでに糖尿病性網膜症や緑内障性視神経症を自動検出するシステムとして開発されている。
COVID-19の実効再生産数は公衆衛生介入で抑制か/JAMA
中国・湖北省武漢市のCOVID-19集団発生(outbreak)では、都市封鎖(city lockdown)や社会的距離(social distancing)、自宅隔離、集約化された検疫・治療、医療資源の拡充など一連の多面的な公衆衛生的介入により、初発の確定症例や実効再生産数(2次感染の指標)が経時的に抑制されたことが、中国・華中科技大学のAn Pan氏らの調査で示された。COVID-19の世界的な大流行(pandemic)では、さまざまな公衆衛生的介入が行われているが、これによって集団発生状況が改善されたか明確ではないという。JAMA誌オンライン版2020年4月10日号掲載の報告。
チクングニアウイルス、ウイルス様粒子ワクチンの安全性を確認/JAMA
近年、チクングニアウイルス(CHIKV)の世界的な流行が認められ、安全で有効なワクチンの開発が望まれている。米国・国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のGrace L. Chen氏らVRC 704試験の研究グループは、開発中のウイルス様粒子ワクチン(CHIKV VLP)はプラセボに比べ、安全性および忍容性が良好であることを確認した。CHIKVは、蚊媒介性のアルファウイルスで、現時点で承認を受けたワクチンや治療法はないという。JAMA誌2020年4月14日号掲載の報告。
アイスランドの新型コロナウイルス、遺伝子型が変化/NEJM
アイスランドでは新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染陽性率が、10歳以上および男性と比較して、10歳未満児および女性では低いことが明らかになった。アイスランド・deCODE Genetics-AmgenのDaniel F. Gudbjarsson氏らが、同国における高リスクの特定集団と市民を対象に実施した住民ベースの調査結果を報告した。アイスランドでは2月末に初めてCOVID-19と診断された患者が発生したが、COVID-19の原因ウイルスSARS-CoV-2が、どのようにアイスランドの住民に感染・拡大したかについてはデータが限られていた。今回の調査では、SARS-CoV-2のハプロタイプは多様で経時的な変化が認められること、一般市民で確認された感染陽性率はスクリーニング期間中あまり変化していないことも示され、著者は「封じ込め策が有効であったと考えられる」との見解を示している。NEJM誌オンライン版2020年4月14日号掲載の報告。
統合失調症、 D2受容体への非結合薬剤は有効か?/NEJM
急性増悪期統合失調症患者において、D2受容体に結合しない抗精神病薬SEP-363856はプラセボと比較し、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアのベースラインからの変化量を有意に改善させることが、東欧および米国の5ヵ国計34施設で実施された4週間の第II相無作為化二重盲検並行群間比較試験の結果、明らかとなった。米国・Sunovion PharmaceuticalsのKenneth S. Koblan氏らが報告した。SEP-363856は、ドパミンD2受容体に結合せず、微量アミン関連受容体1(TAAR1)とセロトニン5-HT1A受容体に対するアゴニスト活性を有する経口化合物で、統合失調症の精神病状態を治療する新しいクラスの向精神薬となる可能性があるという。NEJM誌2020年4月16日号掲載の報告。
RCTの事前登録順守率、インパクトファクターと相関/BMJ
世界保健機関(WHO)は2008年にヘルシンキ宣言を改訂し、その後2015年に臨床試験登録国際プラットフォームを設置して、臨床試験の事前登録を勧告している。カナダ・トロント総合病院のMustafa Al-Durra氏らによる検討の結果、勧告にのっとり事前登録した試験の割合は、全登録試験の約42%と低いことが明らかになった。無作為化試験(RCT)の事前登録は、試験結果の選択的な報告を減らすものと見なされている。これまで行われた研究では、RCTの事前登録の順守率は低いものでは4%、高いものでは77%と報告されていた。BMJ誌2020年4月14日号掲載の報告。
COVID-19、早期診断や重症化の因子は?/BMJ
新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019、COVID-19)の予測モデルに関する公表・公表前の試験結果についてシステマティック・レビューを行ったところ、31個の予測モデルが見つかったが、大半でバイアスリスクが高く、それら予測モデルを医療現場で活用することには、信頼性の点で懸念があることが示された。オランダ・マーストリヒト大学のLaure Wynants氏らによる検討で、BMJ誌2020年4月7日号で発表した。COVID-19は世界中の医療システムに負荷をもたらしており、効果的な早期検出、診断および予後に関する差し迫ったニードが生じている。ウイルス学的検査、胸部CTは診断の標準方法となっているが時間を要する。一方、先行研究報告で、高齢で、慢性疾患(COPD、心血管疾患、高血圧)がある患者や呼吸器症状のある患者は、重症となりやすく死亡率も高まることが示唆されていた。
がん患者のVTE治療、アピキサバンは低分子ヘパリンに非劣性/NEJM
がん患者の静脈血栓塞栓症(VTE)の治療において、直接経口抗凝固薬(DOAC)アピキサバンは、低分子ヘパリン(LMWH)ダルテパリン皮下投与と比較して、VTE再発に関して非劣性で、消化管の大出血のリスクを増加させないことが、イタリア・ペルージャ大学のGiancarlo Agnelli氏らが行った「Caravaggio試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年3月29日号に掲載された。現行の主要なガイドラインでは、がん患者のVTE治療にはLMWHが推奨され、最近、DOACであるエドキサバンとリバーロキサバンの使用の考慮が追加されたが、これらのDOACは出血のリスクが高いため有益性は限定的だという。
虚血性脳卒中の血栓除去術前のtenecteplase、至適用量は/JAMA
脳主幹動脈閉塞を有する虚血性脳卒中患者では、tenecteplaseの0.40mg/kg投与は0.25mg/kgと比較して、血管内血栓除去術施行前の脳血管再灌流の達成を改善しないことが、オーストラリア・メルボルン大学のBruce C.V. Campbell氏らの検討「EXTEND-IA TNK Part 2試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2020年4月7日号に掲載された。EXTEND-IA TNK試験では、tenecteplase 0.25mg/kgによる静脈内血栓溶解療法は、アルテプラーゼに比べ血管内血栓除去術施行前の脳血管再灌流および臨床アウトカムの改善効果が優れると報告されている。一方、tenecteplaseの最も規模の大きい臨床試験「NOR-TEST試験」では、0.40mg/kgはアルテプラーゼに比べ安全性および有効性が優れないことが示され、ガイドラインによって推奨用量が異なる事態が生じているという。