ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:182

妊娠前後のピル、胎児の先天異常リスクを増大せず/BMJ

 妊娠前3ヵ月~妊娠初期に経口避妊薬を服用していても、重大先天異常のリスク増大は認められなかったことが、米・ハーバード大学公衆衛生院のBrittany M Charlton氏らによるデンマーク各種全国レジストリを用いた前向き観察コホート研究の結果、明らかとなった。経口避妊薬使用者の約9%は服用1年目で妊娠するとされる。その多くは妊娠を計画し経口避妊薬の服用を中止してから数回の月経周期での妊娠であるが、胎児への外因性ホルモンの影響と先天異常との関連については明らかとはなっていない。BMJ誌オンライン版2016年1月6日号掲載の報告。

妊婦のフルコナゾール内服、自然流産のリスク増加/JAMA

 妊娠7~22週にカンジダ症の治療薬として経口フルコナゾールを服用した妊婦は、服用しなかった妊婦、またはアゾール外用薬を使用した妊婦に比べ、いずれも自然流産リスクが約5~6割増大することが判明した。一方で死産リスクについては、有意な増大は認められなかった。デンマークStatens Serum InstitutのDitte Molgaard-Nielsen氏らが、140万例超の妊婦コホートを対象に行った試験で明らかにした。JAMA誌2016年1月5日号掲載の報告。

加糖飲料への課税で購入量6%減少:メキシコ/BMJ

 メキシコで加糖飲料に対しておよそ10%課税をしたことで、その購入量が非課税の場合に比べ6%、1日1人当たり12mL減少したという。メキシコ・国立公衆衛生研究所のM. Arantxa Colchero氏らが、6,000戸超について行った観察試験の結果、報告した。メキシコでは、糖尿病や肥満の罹患率が高く、2014年から加糖飲料に1ペソ/Lの課税を導入している。BMJ誌オンライン版2016年1月6日号掲載の報告。

抗ヒトTリンパ球免疫グロブリン追加でGVHDが半減/NEJM

 急性白血病患者に対する同種末梢血幹細胞移植において、従来の骨髄破壊的前処置レジメンに抗ヒトTリンパ球免疫グロブリン(ATG)を加えると、2年時の慢性移植片対宿主病(GVHD)の発症率が半減することが、ドイツのハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのNicolaus Kroger氏らの検討で示された。慢性GVHDは、同種造血幹細胞移植後の晩期合併症や死亡の主な原因で、QOLを損なう。この20年間で、急性GVHDの予防には改善がみられるが、慢性GVHDの予防は改善されていない。ATGは唯一、非血縁ドナー由来の幹細胞移植時に使用すると慢性GVHDの発症率を低下させるとの報告があり、HLA一致ドナーからの移植に関する小規模の後ろ向き試験で抑制効果が確認されている。NEJM誌2016年1月7日号掲載の報告。

高齢肥満の左室駆出率保持心不全患者、食事・運動への介入効果/JAMA

 臨床的に安定している左室駆出率保持心不全(HFPEF)の高齢肥満患者に対して、20週間にわたるカロリー食事制限もしくは有酸素運動トレーニングによる介入は、運動耐容能を改善するとの無作為化試験の結果が、米国・ウェイクフォレスト大学医学部のDalane W. Kitzman氏らにより報告された。介入効果は相加的に認められ、またQOLへの影響はみられなかった。心不全を有する高齢患者の割合は高く、またHFPEF患者の80%以上が過体重であるという。運動耐容能の低下は慢性HFPEF患者でみられる主要な症状で、QOL低下の重大要素とされている。JAMA誌2016年1月5日号掲載の報告。

双子のがん発症、家族性リスクと強い関連/JAMA

 北欧の双生児を長期に追跡した研究で、すべてのがんおよび特異的がん(前立腺、メラノーマ、乳がん、卵巣、子宮がんなど)において、過剰な家族性リスクが有意に認められることを、米国・ハーバード公衆衛生大学院のLorelei A. Mucci氏らが報告した。住民集団ベースの研究で、家族性がんリスクは、がんリスク予測の基本要素とされている。著者は、「がんの遺伝性リスクに関する本情報は、患者教育やがんリスクカウンセリングに役立つだろう」とまとめている。JAMA誌2016年1月5日号掲載の報告。

まれな不整脈関連遺伝子変異の存在は通知すべきか/JAMA

 大規模DNAシーケンス法により、メンデル遺伝病におけるまれであるが疾患リスクの高い変異型(レアバリアント)の存在が特定されたが、任意に抽出した患者集団での、関連臨床所見の発現頻度は明らかになっていない。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのSara L. Van Driest氏らは、不整脈関連遺伝子変異の存在と、電子カルテ記録を用いて臨床所見の関連を調べた。その結果、病原性とされる変異遺伝子SCN5A、KCNH2と臨床所見との一致率は低く、任意抽出患者集団では病原性遺伝子と推定される変異型と異常臨床所見との関連を認めることができなかったという。遺伝子検査を受けた場合、既知のレアバリアントの存在は患者に知らせることとされているが、論争の的となっている。著者は「今回の所見は、患者への通知の意義について疑問符を呈するものであった」と報告している。JAMA誌2016年1月5日号掲載の報告。

乳がん術後化学療法中のLHRHa、卵巣機能を長期保護/JAMA

 年齢中央値39歳の早期乳がん患者の術後化学療法中に、黄体形成ホルモン放出ホルモンアナログ(LHRHa)製剤のtriptorelin併用は、化学療法単独と比べて妊娠率について統計的に有意な差はなかったが長期的な卵巣機能の回復率が高いことが、イタリア・IRCCS AOU San Martino-ISTのMatteo Lambertini氏らによる無作為化試験の結果、示された。無増悪生存(DFS)については、試験の検出力に限界があったとしたうえで、統計的有意差は認められなかったと報告している。化学療法中のLHRHa併用は卵巣機能保護戦略として信頼性が高いが、長期的な卵巣機能への影響、および妊娠に関するデータは不足していた。また、併用療法に関する安全性への懸念もあり論争の的となっていた。JAMA誌2015年12月22・29日号掲載の報告。

悪性胸水の治療でNSAIDsは回避すべきか/JAMA

 胸膜癒着術を受けた悪性胸水患者に対し非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用しても、オピオイド使用と比べ疼痛について有意差は認められなかったことが報告された。NSAIDs群では鎮痛薬のレスキュー使用が多くみられたが、3ヵ月時点の評価で胸膜癒着術の有効性については非劣性であったという。英国・オックスフォード大学のNajib M. Rahman氏らが第III相無作為化試験を行い報告した。試験では、胸腔チューブサイズの違い(12F vs.24F)による影響についても調べ、その結果、12Fサイズのほうが統計的に有意だが臨床的にはわずかな疼痛緩和をもたらすこと、ただし、胸膜癒着術の有効性に関する非劣性基準は満たさなかったことが示された。悪性胸水の治療において、NSAIDsは胸膜癒着術の効果を減弱するとして使用が回避されている。また胸腔チューブは細いものほうが疼痛を緩和するかもしれないが、胸膜癒着術の効果が得られないとされていた。JAMA誌2015年12月22・29日号掲載の報告。

肺動脈性肺高血圧症へのselexipag、第III相で有効性確認/NEJM

 肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者へのselexipag(国内承認申請中)投与は、エンドセリン受容体拮抗薬などによる治療の有無にかかわらず、死亡または合併症の複合エンドポイントの発生リスクを有意に低下したことが示された。なお死亡単独でみると有意差は認められなかった。フランス・ビセートル病院のOlivier Sitbon氏らによる第III相の無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、報告した。selexipagは、経口IPプロスタサイクリン受容体選択的作動薬で、第II相試験でPAHに対する有用性が示されていた。NEJM誌2015年12月24日号掲載の報告。

ホジキンリンパ腫の二次がんリスク、長期にわたって増加/NEJM

 ホジキンリンパ腫患者の治療後の二次がんリスクは、一般集団と比べて、治療後35年を経過しても3.9倍に上ることが明らかにされた。また、二次固形がんリスクについて、1989~2000年に治療を受けた群は、それ以前に治療を受けた群に比べても低くはなっていなかったという。オランダ・がんセンター研究所のMichael Schaapveld氏らが、1965~2000年にホジキンリンパ腫の治療を始めた3,905例について行った試験で明らかにした。NEJM誌2015年12月24日号掲載の報告。

治療前血圧によらず、降圧で心血管リスクが減少/Lancet

 英国・オックスフォード大学のDena Ettehad氏らは、システマティックレビューとメタ解析の結果、ベースラインの血圧値や併存疾患を問わず、降圧は心血管リスクを有意に減少することを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「解析の結果は、130mmHg未満に対する降圧を、そして心血管系疾患、冠動脈疾患、脳卒中、糖尿病、心不全、慢性腎臓病を有する人の降圧治療の提供を強く裏付けるものであった」と報告している。心血管疾患予防に対する降圧のベネフィットは確立されているが、その効果が、ベースラインの血圧値や、併存疾患の有無、降圧薬の種類によって異なるかは明白になっていない。Lancet誌オンライン版2015年12月23日号掲載の報告。

中皮腫の初回治療、ベバシズマブ上乗せでOS延長/Lancet

 悪性胸膜中皮腫の初回治療について、標準療法であるシスプラチン+ペメトレキセドの併用療法へのベバシズマブの上乗せは、全生存期間(OS)を有意に改善することが、フランス・カーン大学のGerard Zalcman氏らによる第III相の非盲検無作為化試験の結果、示された。毒性効果として循環器系の有害事象が増えるものの、著者は、「予想の範囲内のものであり、ベバシズマブの上乗せは適切な治療と見なすべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年12月21日号掲載の報告。

既治療PD-L1陽性NSCLCへのpembrolizumabの有効性を確認/Lancet

 既治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の治療において、pembrolizumabは標準治療に比べ全生存期間(OS)を延長し、良好なベネフィット・リスク比を有することが、米国・イェール大学医学大学院のRoy S Herbst氏らが行ったKEYNOTE-010試験で示された。免疫療法はNSCLCの新たな治療パラダイムであり、活性化B細胞やT細胞表面のPD-1受容体を標的とする免疫チェックポイント阻害薬が有望視されている。pembrolizumabは、PD-1に対するヒト型IgG4モノクローナル抗体であり、米国では第Ib相試験(KEYNOTE-001試験)のデータに基づき、プラチナ製剤ベースレジメンによる治療中または治療後に病勢が進行した転移性NSCLCの治療薬として迅速承認を取得している。Lancet誌オンライン版2015年12月18日号掲載の報告。

イブプロフェンは尿路感染症の代替治療となりうるか/BMJ

 単純性尿路感染症の女性患者の初回治療において、イブプロフェンによる対症療法はホスホマイシンによる抗菌薬治療に比べ抗菌薬の使用を抑制するが、症状の緩和効果は低く、腎盂腎炎の発症が増加する傾向がみられることが、ドイツ・ゲッティンゲン大学医療センターのIldiko Gagyor氏らの検討で示された。単純性尿路感染症の女性患者には通常、抗菌薬治療が行われるが、本症は無治療で回復する症例も多く、耐性菌増加の防止の観点からも、抗菌薬の処方の抑制対策が進められている。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であるイブプロフェンは、パイロット試験において、症状消失に関して抗菌薬治療に対し非劣性で、3分の2の患者で抗菌薬の処方なしに回復したことが報告されていた。BMJ誌オンライン版2015年12月23日号掲載の報告より。

肺/消化管の神経内分泌腫瘍へのエベロリムスの効果:RADIANT-4/Lancet

 肺または消化管原発の進行性神経内分泌腫瘍に対しエベロリムス(商品名:アフィニトール)を投与することで、病勢進行/死亡リスクは半減し、無増悪生存を有意に改善することが示された。安全性に関する所見は、エベロリムスにみられる既知の副作用だった。米国・テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターのJames C. Yao氏らが行った第III相の無作為化プラセボ対照二重盲検試験「RADIANT-4」の結果、報告した。肺または消化管原発の高分化型進行性神経内分泌腫瘍患者への効果的な全身療法はなかったが、今回の結果を踏まえて著者は「エベロリムスが同疾患に対する初となる標的薬剤である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年12月15日号掲載の報告。

大腿骨頚部骨折による入院日数と死亡リスクの関係/BMJ

 50歳以上の大腿骨頚部骨折で入院した患者のうち、入院期間が11~14日の患者は1~5日の患者に比べ、退院30日死亡リスクが約1.3倍増大することが、また14日超では約2倍強増大することが示された。米国・ロチェスター大学のLucas E. Nikkel氏らが、米国ニューヨーク州で大腿骨頚部骨折により入院した患者約18万例を対象に行った後ろ向きコホート試験の結果、報告した。これまでにスウェーデンの試験で、大腿骨頚部骨折による入院日数が短いほど死亡リスクが増大するという結果が発表されている。今回、それとは逆の結果が示されたが、著者は、その背景には医療システムの違いがあるのではないかと考察している。BMJ誌オンライン版2015年12月10日号掲載の報告。

難治性クローン病への造血幹細胞移植、効果認められず/JAMA

 難治性クローン病患者に対する自家造血幹細胞移植(HSCT)は通常療法と比較して、1年時点の寛解維持でみた有効性について統計的有意差は認められず、むしろ顕著な毒性との関連が示されたことを、英国・ノッティンガム大学クイーンズメディカルセンターのChristopher J. Hawkey氏らが、無作為化試験の結果、報告した。症例/シリーズ報告では、難治性クローン病患者に対してHSCTが有望である可能性が示されていたが、著者は「試験の結果、難治性クローン病患者へのHSCTの広範な適用を裏付ける所見は示されなかった」とまとめている。JAMA誌オンライン版2015年12月15日号の掲載報告。

非浸潤性乳管がんでもアロマターゼ阻害薬は術後の選択肢に/Lancet

 非浸潤性乳管がん(DCIS)の閉経後女性における術後の再発予防では、アナストロゾールとタモキシフェンの効果に明確な差はなく、アナストロゾールは治療選択肢となりうることが、オーストラリア・ニューカッスル大学のJohn F Forbes氏らが行ったIBIS-II DCIS試験で示された。マンモグラフィ検診導入後の数十年間で、DCISの診断率は実質的に上昇しており、検診で検出される乳がんの約5分の1を占めるという。浸潤性乳がんの術後の再発予防では、第3世代アロマターゼ阻害薬はタモキシフェンよりも有効性が高いとされるが、DCISにおけるアナストロゾールの優越性は確証されていなかった。Lancet誌オンライン版2015年12月11日号掲載の報告。

非浸潤性乳管がん、術後ホルモン療法の5年QOL評価/Lancet

 閉経後の非浸潤性乳管がん(DCIS)の術後の再発予防において、タモキシフェン(商品名:ノルバデックスほか)とアナストロゾール(同:アリミデックスほか)のQOL(身体機能、心の健康)に差はないが、薬剤関連症状には違いがみられることが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のPatricia A Ganz氏らが実施したNSABP B-35試験で示された。2002年に本試験が立案された時点のDCISの標準治療はタモキシフェンの5年投与であったが、同年、ATAC試験により、浸潤性乳がんの術後補助療法ではアナストロゾールがタモキシフェンに比べ無病生存期間を延長し、毒性も良好であることが明らかにされた。NSABP B-35試験では、最近、60歳未満の患者においてアナストロゾール5年投与による無乳がん期間の、わずかだが有意な改善効果が確認されている(1月4日公開記事参照)。Lancet誌オンライン版2015年12月10日号掲載の報告。