ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:203

脳梗塞、動脈内治療が機能的転帰に有効/NEJM

 急性虚血性脳卒中患者に対し発症後6時間以内に行う動脈内治療は、機能的アウトカムに有効かつ安全であることが、オランダ・エラスムスMC大学医療センターのO.A. Berkhemer氏らによる多施設共同無作為化試験の結果、明らかにされた。対象は前方循環の頭蓋内動脈近位部閉塞による急性虚血性脳卒中患者で、標準治療とされるrt-PA静注療法の単独群との比較で機能的アウトカムへの効果が検討された。これまでに、同患者への動脈内治療は緊急的な血行再建術に非常に効果的であることは知られていたが、機能的アウトカムへの効果は立証されていなかった。NEJM誌2015年1月1日号(オンライン版2014年12月17日号)掲載の報告より。

エンテカビル、R-CHOP後のHBV関連肝炎を0%に/JAMA

 びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)で、R-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン)療法を受ける患者に対し、エンテカビル(商品名:バラクルード)の投与は同療法後のB型肝炎ウイルス(HBV)関連肝炎の予防効果が高いことが判明した。発生率は0%に抑制できたという。中国・中山大学がんセンターのHe Huang氏らが、第III相無作為化非盲検試験の結果、報告した。JAMA誌2014年12月17日号掲載の報告より。

世界188ヵ国の平均寿命、13年で65歳から72歳へ/Lancet

 世界の平均寿命は、1990年の65.3歳から2013年は71.5歳に延びたことが判明した。一方で死亡数は、1990年の4,750万人から2013年は5,490万人に増加した。高所得地域では、心血管疾患とがんの死亡率が、低所得地域では下痢や下気道感染による小児の死亡率がいずれも減少したという。世界の研究者による共同研究「疾病による国際的負担に関する調査(Global Burden of Disease Study:GBD)2013」の結果、明らかになったもので、Lancet誌オンライン版2014年12月18日号で報告された。

再発リスク高い閉経前乳がん、卵巣抑制で転帰改善/NEJM

 ホルモン受容体陽性の閉経前乳がん女性の治療では、タモキシフェン(TAM)による術後ホルモン療法が推奨されている。また、これらの患者では卵巣でのエストロゲン産生の抑制が再発を低減することが知られている。そこで、オーストラリア・メルボルン大学のPrudence A FrancisらInternational Breast Cancer Study Group(IBCSG)は、術後TAM療法への卵巣抑制療法の追加の有用性を検討し、再発リスクが高い患者で転帰の改善が得られる可能性があることを確認した。NEJM誌2014年12月11日号掲載の報告。

非制限的な輸血でも長期死亡を抑制せず/Lancet

 心血管疾患あるいはリスク因子を有する高齢の高リスク群において、非制限的輸血戦略は制限的輸血戦略と比べて死亡率に影響を及ぼさないことが、米国ロバート・ウッド・ジョンソン大学病院のJeffrey L Carson氏らによる無作為化試験FOCUSの3年生存と死因分析の結果、報告された。死因について群間で差はみられず、著者は、「今回の所見は、輸血は長期的な免疫抑制に結び付き、長期的な死亡率に重篤な影響を与えるという仮説を支持しないものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年12月9日号掲載の報告より。

低GI食、インスリン感受性や収縮期血圧を改善せず/JAMA

 同量の炭水化物を含む食品でも血糖値の上昇度は異なり、この特性に基づく指標をグリセミック指数(GI)という。この特性を活かし食後血糖値の上昇が低い食品を選択した低GI食による介入を、心血管疾患や糖尿病のリスクが高い人に行ったが、高GI食と比べて、インスリン感受性、脂質値あるいは収縮期血圧値の改善には結び付かなかったことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のFrank M. Sacks氏らが行った無作為化試験の結果、報告された。JAMA誌2014年12月17日号掲載の報告より。

シチシンの禁煙効果、ニコチン代替より良好/NEJM

 シチシン投与に簡便な行動支援を併用すると、ニコチン代替療法(NRT)に比べ禁煙効果が改善することが、ニュージーランド・オークランド大学のNatalie Walker氏らの検討で示された。シチシンは、マメ科植物由来のアルカロイドで、ニコチン性アセチルコリン受容体の部分作動薬であり、東欧では1960年代から広く禁煙対策に使用されている。4つの系統的レビューでは、禁煙効果がプラセボに比べ短期的および長期的に優れ、有害事象の頻度も同等で、主に消化器症状がみられることが報告されている。NEJM誌2014年12月18日号掲載の報告。

外傷性脳損傷後の早期プロゲステロン投与は有用か/NEJM

急性外傷性脳損傷のアウトカム改善に、プロゲステロン投与はプラセボと比較して、ベネフィットが認められないことが示された。米国・エモリー大学のDavid W. Wright氏らが、第III相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。これまでに、外傷性脳損傷へのプロゲステロン投与については、複数の実験モデル検討や2件の単施設臨床試験で、神経学的アウトカムを改善することが示されていた。本検討では、大規模な多施設での検討により、プロゲステロンの早期投与の有効性を、重度、中等度~重度、中等度の急性外傷性脳損傷について調べることが目的であった。NEJM誌オンライン版2014年12月10日号掲載の報告より。

健康関連ニュース、ミスリードはなぜ起きる?/BMJ

 健康関連ニュースは、健康に関連した行動に大きく影響を与える可能性があり、同時に、しばしば誤ったサイエンスを報じることになる。英国・カーディフ大学のPetroc Sumner氏らは、健康関連ニュースのミスリードをもたらす誇張が、報道機関自体にあるのか、それとも研究発表をした施設のプレスリリース作成に問題があるのかを、後ろ向き観察研究にて調べた。その結果、ニュースの誇張部分は研究施設側のプレスリリースと関連していたことが判明したという。結果を踏まえて著者は、「研究施設がプレスリリースの正確性を改善することが、ミスリードにつながる健康関連ニュースを減らす鍵であり、公衆衛生にベネフィットをもたらすことになる」と述べている。BMJ誌オンライン版2014年12月12日号掲載の報告より。

再発・難治性ホジキンリンパ腫に対するニボルマブの効果/NEJM

 再発・難治性ホジキンリンパ腫に対し、ヒト型抗PD-1抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ、本疾患には国内未承認)を投与することで、その87%に客観的奏効が認められたことが報告された。完全奏効は17%だった。米国・メイヨークリニックのStephen M. Ansell氏らが、23例の患者を対象に行った第I相臨床試験の結果、報告した。NEJM誌オンライン版2014年12月6日号掲載の報告より。

重度外傷性脳損傷後のプロゲステロン、第III相では無効/NEJM

 重度外傷性脳損傷後のプロゲステロン投与は、アウトカム改善効果は認められないことが示された。米国・ホフストラ大学医学部のBrett E. Skolnick氏らが、約1,200例の患者について行った無作為化第III相試験の結果、報告した。これまで、外傷性脳損傷に対するプロゲステロン投与については、動物実験や2つの無作為化第II相試験で、一貫した良好な結果が得られていた。NEJM誌オンライン版2014年12月10日号掲載の報告より。

再発多発性骨髄腫へのカルフィルゾミブ上乗せ~第III相試験/NEJM

 多発性骨髄腫の再発例の治療において、カルフィルゾミブ(carfilzomib)を標準治療のレナリドミド+デキサメタゾン療法に加えると、無増悪生存期間(PFS)が9ヵ月近く延長することが、米国・メイヨー・クリニックのA Keith Stewart氏らが行ったASPIRE試験で示された。多発性骨髄腫患者の生存率は改善しているが、再発率は依然として高く、新たな治療アプローチが求められている。カルフィルゾミブは、構成型プロテアソームと免疫型プロテアソームに選択的かつ不可逆的に結合するエポキシケトン型プロテアソーム阻害薬であり、これら3剤の併用療法は第I/II相試験でその有効性が確認されている。NEJM誌オンライン版2014年12月6日号掲載の報告。

外科手術無作為化試験の2割が早期中断/BMJ

 英国・リーズ大学のStephen J Chapman氏らは、外科手術無作為化試験について早期に中断した試験、および未公表の試験がどれくらい存在するのかを調べた。その結果、早期中断率は21%であり、完了後に結果を公表した試験は66%であったことなどを明らかにした。著者は、外科手術試験は実行に困難が伴い資金もかかるが、今回の調査で資源の浪費の証拠が見つかったとして、リスクを覚悟で協力してくれる患者への倫理的観点からも、試験の効率や透明性を高めるために、研究ガバナンスのフレームワークを変えていく必要があると指摘している。BMJ誌オンライン版2014年12月9日号掲載の報告。

乳がん温存術後の寡分割全乳房照射施行が増加/JAMA

 乳房温存手術後の放射線照射について、分割照射回数を少なくし1回照射線量を大きくする寡分割全乳房照射(WBI)の施行が増えていることが、米国・ペンシルベニア大学のJustin E. Bekelman氏らによる調査の結果、明らかにされた。2008~2013年の14の民間ヘルスケアプランに加入する女性患者の動向を調べた結果、診療ガイドラインに適合しタスクフォースが同照射を支持する患者群では10.6%から34.5%に施行が増え、適合基準に達していなかったが同照射を認可された患者群でも8.1%から21.2%に増えていた。またコストも従来照射法に比べて有意に低く抑えられていたという。JAMA誌2014年12月17日号掲載の報告より。

新規第XI因子阻害薬、TKA後のVTEを予防/NEJM

 第XI因子阻害薬FXI-ASO(ISIS 416858)は、人工膝関節置換術(TKA)後の静脈血栓塞栓症(VTE)の予防に有効で、出血リスクに関しても良好な安全性を有することが、オランダ・アムステルダム大学のHarry R Buller氏らが行ったFXI-ASO TKA試験で示された。TKA後のVTEの予防には従来、外因系凝固因子である第Xa因子を阻害するエノキサパリン(ENO)などが使用されているが、これらの薬剤は有効ではあるものの出血のリスクを伴う。一方、内因系凝固因子である第XI因子を減少させると、出血を起こさずに血栓を抑制することが知られていた。FXI-ASOは、第2世代のアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、肝臓において第XI因子mRNAの発現を特異的に低下させる可能性がある。NEJM誌オンライン版2014年12月7日号掲載の報告。

小児への維持輸液、等張液とすべき/Lancet

 入院中小児患者への維持輸液について、等張液(ナトリウム濃度140mmol/L)の使用が低張液(同77mmol/L)使用よりも、低ナトリウム血症の発生リスクを低下し有害事象を増大しないことが明らかにされた。オーストラリア・メルボルン大学のSarah McNab氏らが無作為化対照二重盲検試験の結果、報告した。小児への維持輸液をめぐっては、低張液使用が低ナトリウム血症と関連しており、神経学的疾患の発生や死亡に結び付いていることが指摘されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「小児への維持輸液は、等張液を使用しなければならない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年11月28日号掲載の報告より。

がん生存にみる40年間の対策効果は?/Lancet

 英国のロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のManuela Quaresma氏らは、イングランドとウェールズ住民を対象に40年間(1971~2011年)の、全がん生存指標と年齢・性別で補正した個別がん生存指標の傾向を調べた。その結果、1971-72年当時は、全がんネット生存指標は、診断後1年で50%であったが、40年後の2010-11年には診断後10年でも50%を達成していると予測され大きく改善していること、一方で性別や年齢による生存指標の格差が続いていることなどを明らかにした。Lancet誌オンライン版2014年12月2日号掲載の報告より。

地中海ダイエットを守るほどテロメア延長/BMJ

地中海ダイエットをより実行している人は、そうでない人に比べ、テロメア長が長い傾向にあることが判明した。テロメア長は老化のバイオマーカーであることが知られている。米国ハーバード・メディカル・スクールのMarta Crous-Bou氏らが、米国看護師健康調査(Nurses’ Health Study)の参加者について、コホート内症例対照研究を行い明らかにした。先行研究からは、地中海ダイエットが死亡率や慢性疾患リスクの減少に関与していることが知られている。BMJ誌オンライン版2014年12月2日号掲載の報告より。

腎移植後のシロリムス、がん減少も死亡増加/BMJ

 腎移植後患者に対するシロリムス免疫抑制療法は、がん発症リスクを40%、非黒色腫皮膚がんリスクについては56%、それぞれ低下する一方で、死亡リスクについては43%増大することも明らかになった。カナダ・オタワ大学のGreg A. Knoll氏らが、約6,000例の腎移植患者のデータをメタ解析した結果、報告した。これまでに発表されたメタ解析では、シロリムス投与とがんや死亡リスクについては、有意な関連は認められていなかったという。BMJ誌オンライン版2014年11月24日号発表の掲載より。

抗菌薬と小児喘息は本当に関連するのか/BMJ

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のAnne K Ortqvist氏らは、従前、指摘されている「胎児期や出生後間もない抗菌薬曝露は小児喘息と関連している」という知見について、交絡因子による補正後も認められるのかを同国住民ベースのコホート研究で調べた。交絡因子として家族因子を用いた兄弟姉妹間比較や、抗菌薬の治療目的別の違いなどを検討した結果、家族因子は同関連を支持するものではなく、また呼吸器感染症の治療目的使用が尿路感染症や皮膚感染症と比べて関連が強いことなどを明らかにした。著者は、「家族因子や呼吸器感染症によって、同関連は示唆されたり否定されたりすることが判明した」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年11月28日号掲載の報告より。