ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:222

FDA新薬承認申請、初回非受理の理由は?/JAMA

 米国FDAの新薬承認申請で、初回申請が受理されなかった主な理由は、用量選択の不確実性や試験エンドポイントの不適切性などであることが明らかになった。こうしたあらかじめ回避できる理由などにより生じる承認の遅れは、中央値で435日にもなることも判明した。FDAのLeonard V. Sacks氏らが、302件の新薬承認申請について調べ明らかにした。JAMA誌2014年1月22・29日号掲載の報告より。

FDAの新薬承認根拠の臨床試験、質にばらつき/JAMA

 新薬承認に際してFDAが用いている臨床試験エビデンスの質は、ばらつきが大きいことを、米国・イェール大学医学大学院のNicholas S. Downing氏らが検証の結果、報告した。医師および患者は新薬の安全性および有効性は十分に評価がされているものだと確信している。しかし、ばらつきが明らかになったことで著者は、「新薬使用の決定に際して医師および患者に、重大な影響をもたらすものである」と指摘している。これまで、FDAが承認した新薬のエビデンスを支持する臨床試験の質について、評価が行われたことはなかったという。JAMA誌2014年1月22日号掲載の報告より。

PM2.5/PM10の長期曝露、冠動脈リスク増大と相関/BMJ

 イタリア・ラツィオ州保健局のGiulia Cesaroni氏らは、ヨーロッパの大気汚染曝露コホート研究(ESCAPEプロジェクト)に参加する11コホート・約10万人を平均11.5年追跡したデータを解析した結果、大気中の粒子状物質いわゆるPM2.5やPM10などへの長期曝露と冠動脈イベント発生とが相関していることを明らかにした。その関連は、現在ヨーロッパで定められている制限基準値(PM2.5は年間25μg/m3未満、PM10は40μg/m3未満)以下でも認められたという。結果を踏まえて著者は、「今回の結果は、現状の基準値が死亡率だけを考慮したもので過小評価されていることを示し、基準値を引き下げることを支持するものである」と報告している。BMJ誌オンライン版2014年1月21日号掲載の報告。

抗アミロイド療法は発症後では遅すぎる?/NEJM

 抗アミロイドβ(Aβ)モノクローナル抗体バピヌズマブは、アルツハイマー病(AD)関連のバイオマーカーを改善するが、臨床アウトカムの改善はもたらさないことが、米国・バトラー病院のStephen Salloway氏らの検討で示された。バピヌズマブは、軽度~中等度AD患者を対象とした第II相試験において、プラセボに比べてPET画像上のアミロイドを減少させ、脳脊髄液(CSF)中のリン酸化タウを低下させたことから、標的への到達および神経変性の減弱効果が示唆されていた。NEJM誌2014年1月23日号掲載の報告。

再発慢性リンパ球性白血病に新規PI3Kδ阻害薬が有効/NEJM

 合併症を有する高齢の慢性リンパ球性白血病(CLL)再発例の治療において、イデラリシブ+リツキシマブ(商品名:リツキサン)療法はリツキシマブ単独療法に比べ有効性が高く、安全性プロフィールは許容できるものであることが、米国・ワイルコーネル医科大学のRichard R Furman氏らの検討で示された。臨床的に重大な合併症を有する再発CLL例は標準的な化学療法が施行不能な場合が多いため、安全性プロフィールが許容可能で、かつ有効な治療法が求められている。イデラリシブは低分子量の選択的PI3Kδ阻害薬であり、再発・難治性CLLを対象とした第I相試験において単剤もしくはリツキシマブなどとの併用で許容しうる毒性の範囲内で有意な臨床効果が確かめられている。NEJM誌オンライン版2014年1月22日号掲載の報告。

新規抗アミロイドβ抗体薬、アルツハイマー病への効果示せず/NEJM

 新たに開発された抗アミロイドβ(Aβ)抗体ソラネズマブは、軽度~中等度アルツハイマー病(AD)患者の認知機能および機能的運動能力を改善しないことが、米国・ベイラー医科大学のRachelle S Doody氏らが行ったEXPEDITION 1およびEXPEDITION 2試験で示された。ソラネズマブはネズミ抗体のヒト化アナログ製剤で、Aβの中枢神経(CNS)から末梢循環への流出を促進することから、ADに有効な可能性が示唆されていた。NEJM誌2014年1月23日号掲載の報告。

時間外受診の急性心筋梗塞、死亡率上昇/BMJ

 診療時間外に受診した急性心筋梗塞(AMI)患者は、時間内受診患者に比べて短期的な死亡率が高く、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者は病院到着から初回バルーン拡張までの時間(door to balloon time)が延長することが、米国・メイヨークリニック予防医学フェロー・反田 篤志氏らが行ったメタ解析で示された。週末や夜間などの診療時間外に受診したAMI患者は、死亡率が高くなる可能性が指摘されている。時間外診療の場合、エビデンスに基づく治療や適切な再灌流療法が行われにくくなり、病院スタッフの数や専門性の問題で治療の質を保持するのが困難になることが一因だという。BMJ誌オンライン版2014年1月21日号掲載の報告。

人工股関節全置換、長期耐久性はセメント固定が一番/BMJ

 65歳以上高齢者に対する人工股関節全置換術の実施においては、セメント固定のほうが、非セメント固定やハイブリッド固定、逆ハイブリッド固定に比べ、10年インプラント生存率は高いことが明らかにされた。フィンランド・トゥルク大学病院のKeijo T Makela氏らが、北欧4ヵ国のレジストリ「Nordic Arthroplasty Register Association database」を基に分析し報告した。BMJ誌オンライン版2014年1月13日号掲載の報告より。

サッカーファンの肥満男性のために英プレミアリーグが動く/Lancet

 肥満男性は年々増加しているが、多くの男性が減量プログラムに消極的である。そこで英国・グラスゴー大学のKate Hunt氏らは、スコットランド・プレミアリーグ傘下のサッカークラブに依頼をして、各地域でクラブのコーチが指導を行う減量プログラムを開発し、“サッカーファンの肥満男性”に参加してもらい効果を検証した。実践的無作為化比較試験にて行われた本検討の結果、参加被験者の体重が減少し臨床的効果が認められたという。Lancet誌オンライン版2014年1月20日号掲載の報告より。

良質な有害事象報告は、システマティックレビューといえども半分程度/BMJ

 システマティックレビューの有害事象報告の質は不十分であると、カナダ・アルバータ大学のLiliane Zorzela氏らが報告した。309本の有害事象を評価していたシステマティックレビューまたはメタ解析論文をシステマティックレビューした結果、その多くで有害事象の定義が不明瞭であったり、介入の有害事象を評価する際にリスク因子や追跡期間を考慮していないものがみられ、良好と呼べるレビュー論文は約半数であったという。BMJ誌オンライン版2014年1月8日号掲載の報告より。

禁煙補助療法、バレニクリンとブプロピオンの併用は有用か/JAMA

 禁煙補助療法について、バレニクリン(商品名:チャンピックス)単独投与とバレニクリン+ブプロピオン(国内未承認)併用投与を検討した結果、治療開始12週と26週時点での長期禁煙率は併用投与のほうが有意に高かったが、治療開始52週後では、長期禁煙率および7日間禁煙率ともに両群間に有意差はなかったことが報告された。米国・メイヨークリニックのJon O. Ebbert氏らが、500例超の喫煙者を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、明らかにした。JAMA誌2014年1月8日号掲載の報告より。

慢性C型肝炎のIFNフリー療法―リバビリンレジメン/NEJM

 未治療またはペグインターフェロン(商品名:ペガシス)+リバビリン(RBV、商品名:コペガスほか)による前治療が無効であった遺伝子型1型感染患者に対し、経口投与のみの直接作用型抗ウイルス薬(2種または3種)+RBVレジメンが、いずれの患者にも有効であることが示された。米国・バージニア・メイソン・メディカル・センターのKris V. Kowdley氏らが、第2b相非盲検無作為化試験にて9レジメン(14サブ治療群)を設けて検討した結果、治療終了後24週時点のSVR(持続性ウイルス学的著効)は、83~100%であったことを報告した。NEJM誌2014年1月16日号掲載の報告より。

思春期の精神障害、多くは20代前半で消失/Lancet

 若年精神障害者の多くは、思春期に症状の発現がみられるが、発現が短期間であったり、とくに10代に限られている場合は、概して20代後半には症状の寛解がみられることが示された。オーストラリア・メルボルン大学のGeorge C Patton氏らが、ランダム抽出した中学生1,943例を14年間前向きに追跡したコホート試験の結果、明らかにした。Lancet誌オンライン版2014年1月15日号掲載の報告より。

2型糖尿病では診断時に肥満な人ほど死亡率が低いのは本当か?/NEJM

 2型糖尿病診断時のBMIと全死因死亡リスクにはJ字型の関係がみられ、標準体重の患者が最もリスクが低いことが、米国ハーバード公衆衛生大学院のDeirdre K Tobias氏らの検討で確認された。2型糖尿病患者における体重と死亡の関連は未解決の問題である。標準体重に比べ過体重や肥満の患者のほうが死亡率が低いことを示唆する報告があり、肥満パラドックス(obesity paradox)と呼ばれている。NEJM誌2014年1月16日号掲載の報告。

慢性C型肝炎のIFNフリー療法/NEJM

 慢性C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1型、2型または3型の患者について、ダクラタスビル(承認申請中)+ソホスブビル(国内未承認)の1日1回経口併用療法が、高率のSVR(持続性ウイルス学的著効)を達成したことが報告された。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のMark S. Sulkowski氏らが行った、211例の患者(前治療無効例を含む)を対象としたオープンラベル試験の結果で、治療終了後12週時点のSVRは各遺伝子型患者群で89~98%であったという。NEJM誌2014年1月16日号掲載の報告より。

高血糖でも血管合併症リスクが低い遺伝的素因が明らかに/JAMA

 高血糖であっても、グルコキナーゼ(GCK)遺伝子変異のある人は、微小血管性または大血管性合併症の罹患率は低いことが示された。英国・エクセター大学のAnna M. Steele氏らが横断研究を行い、明らかにした。糖尿病の血糖目標値は、合併症リスクを最小限とするために開発されたものだが、GCK遺伝子変異のある人は、出生時から軽度の空腹時高血糖を呈し、その値は1型および2型糖尿病での治療推奨値とほぼ同値であることが知られていた。JAMA誌2014年1月15日号掲載の報告より。

大腸がん術後の定期検査、全死亡率を減少させず/JAMA

 原発性大腸がんで根治目的の手術後、定期的にがん胎児性抗原(CEA)検査やCT検査を実施しても、症状がある時のみ診察するという最少のフォローアップに比べ、死亡率は減少しないようだ。一方で、再発した大腸がんに対する根治目的手術の実施率は、定期的にCEA検査やCT検査を行った群で有意に高率だった。英国・サウサンプトン大学のJohn N. Primrose氏らが行った無作為化前向き比較試験の結果、明らかにした。JAMA誌2014年1月15日号掲載の報告より。

進行期パーキンソン病に対する新たな遺伝子治療/Lancet

 進行期パーキンソン病に対し、新たな遺伝子治療「ProSavin」の有効性と安全性、忍容性を検討した第1/2相試験の結果が発表された。フランス・パリ第12大学のStephane Palfi氏らが同患者15例を、低・中・高用量投与の3群で12ヵ月間検討した結果、いずれの投与群でも安全性と忍容性が認められ、また全患者について運動症状の改善がみられたことを報告した。パーキンソン病では経口ドパミン補充療法が行われているが、治療が長期にわたると、運動合併症や衝動制御障害が起きることから根治につながる治療が求められている。Lancet誌オンライン版2014年1月9日号掲載の報告より。

破裂性腹部大動脈瘤に対する開腹手術 vs. 血管内修復術/BMJ

 破裂性腹部大動脈瘤に対する治療戦略について、血管内治療と外科治療では30日死亡率低下およびコストに差がないことが、無作為化試験の結果、示された。同治療戦略について検討する英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのJanet T Powell氏らのIMPROVE試験研究グループが、30施設・613例について検討した結果、報告した。これまで選択的患者を対象とした英国内単施設の検討では、血管内治療が外科治療よりも30日死亡率が約30%低いことが示されていたが、他の施設や他国の多施設で行われた試験では、いずれも小規模試験だが両者間の違いは示されなかった。BMJ誌オンライン版2014年1月13日号掲載の報告より。

オビヌツズマブ併用療法、慢性リンパ性白血病の無増悪生存期間を延長/NEJM

 慢性リンパ性白血病(CLL)と他疾患を併存する未治療患者に対して、オビヌツズマブ(GA101)+クロラムブシル(いずれも国内未承認)の併用治療のほうが、リツキシマブ(商品名:リツキサン)+クロラムブシルの併用治療に比べ、より効果的であることが示された。ドイツ・ケルン大学病院のValentin Goede氏らによる第3相オープンラベル3群試験の結果、報告された。先行研究において、同患者に対して抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブが全生存期間を延長することが示されていたが、今回の結果を踏まえて著者は、「同患者集団へのクロラムブシルとの併用効果は、リツキシマブよりもオビヌツズマブのほうが優れていた」と報告している。NEJM誌オンライン版2014年1月8日号掲載の報告。