ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:201

シチシンの禁煙効果、ニコチン代替より良好/NEJM

 シチシン投与に簡便な行動支援を併用すると、ニコチン代替療法(NRT)に比べ禁煙効果が改善することが、ニュージーランド・オークランド大学のNatalie Walker氏らの検討で示された。シチシンは、マメ科植物由来のアルカロイドで、ニコチン性アセチルコリン受容体の部分作動薬であり、東欧では1960年代から広く禁煙対策に使用されている。4つの系統的レビューでは、禁煙効果がプラセボに比べ短期的および長期的に優れ、有害事象の頻度も同等で、主に消化器症状がみられることが報告されている。NEJM誌2014年12月18日号掲載の報告。

外傷性脳損傷後の早期プロゲステロン投与は有用か/NEJM

急性外傷性脳損傷のアウトカム改善に、プロゲステロン投与はプラセボと比較して、ベネフィットが認められないことが示された。米国・エモリー大学のDavid W. Wright氏らが、第III相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。これまでに、外傷性脳損傷へのプロゲステロン投与については、複数の実験モデル検討や2件の単施設臨床試験で、神経学的アウトカムを改善することが示されていた。本検討では、大規模な多施設での検討により、プロゲステロンの早期投与の有効性を、重度、中等度~重度、中等度の急性外傷性脳損傷について調べることが目的であった。NEJM誌オンライン版2014年12月10日号掲載の報告より。

健康関連ニュース、ミスリードはなぜ起きる?/BMJ

 健康関連ニュースは、健康に関連した行動に大きく影響を与える可能性があり、同時に、しばしば誤ったサイエンスを報じることになる。英国・カーディフ大学のPetroc Sumner氏らは、健康関連ニュースのミスリードをもたらす誇張が、報道機関自体にあるのか、それとも研究発表をした施設のプレスリリース作成に問題があるのかを、後ろ向き観察研究にて調べた。その結果、ニュースの誇張部分は研究施設側のプレスリリースと関連していたことが判明したという。結果を踏まえて著者は、「研究施設がプレスリリースの正確性を改善することが、ミスリードにつながる健康関連ニュースを減らす鍵であり、公衆衛生にベネフィットをもたらすことになる」と述べている。BMJ誌オンライン版2014年12月12日号掲載の報告より。

再発・難治性ホジキンリンパ腫に対するニボルマブの効果/NEJM

 再発・難治性ホジキンリンパ腫に対し、ヒト型抗PD-1抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ、本疾患には国内未承認)を投与することで、その87%に客観的奏効が認められたことが報告された。完全奏効は17%だった。米国・メイヨークリニックのStephen M. Ansell氏らが、23例の患者を対象に行った第I相臨床試験の結果、報告した。NEJM誌オンライン版2014年12月6日号掲載の報告より。

重度外傷性脳損傷後のプロゲステロン、第III相では無効/NEJM

 重度外傷性脳損傷後のプロゲステロン投与は、アウトカム改善効果は認められないことが示された。米国・ホフストラ大学医学部のBrett E. Skolnick氏らが、約1,200例の患者について行った無作為化第III相試験の結果、報告した。これまで、外傷性脳損傷に対するプロゲステロン投与については、動物実験や2つの無作為化第II相試験で、一貫した良好な結果が得られていた。NEJM誌オンライン版2014年12月10日号掲載の報告より。

再発多発性骨髄腫へのカルフィルゾミブ上乗せ~第III相試験/NEJM

 多発性骨髄腫の再発例の治療において、カルフィルゾミブ(carfilzomib)を標準治療のレナリドミド+デキサメタゾン療法に加えると、無増悪生存期間(PFS)が9ヵ月近く延長することが、米国・メイヨー・クリニックのA Keith Stewart氏らが行ったASPIRE試験で示された。多発性骨髄腫患者の生存率は改善しているが、再発率は依然として高く、新たな治療アプローチが求められている。カルフィルゾミブは、構成型プロテアソームと免疫型プロテアソームに選択的かつ不可逆的に結合するエポキシケトン型プロテアソーム阻害薬であり、これら3剤の併用療法は第I/II相試験でその有効性が確認されている。NEJM誌オンライン版2014年12月6日号掲載の報告。

外科手術無作為化試験の2割が早期中断/BMJ

 英国・リーズ大学のStephen J Chapman氏らは、外科手術無作為化試験について早期に中断した試験、および未公表の試験がどれくらい存在するのかを調べた。その結果、早期中断率は21%であり、完了後に結果を公表した試験は66%であったことなどを明らかにした。著者は、外科手術試験は実行に困難が伴い資金もかかるが、今回の調査で資源の浪費の証拠が見つかったとして、リスクを覚悟で協力してくれる患者への倫理的観点からも、試験の効率や透明性を高めるために、研究ガバナンスのフレームワークを変えていく必要があると指摘している。BMJ誌オンライン版2014年12月9日号掲載の報告。

乳がん温存術後の寡分割全乳房照射施行が増加/JAMA

 乳房温存手術後の放射線照射について、分割照射回数を少なくし1回照射線量を大きくする寡分割全乳房照射(WBI)の施行が増えていることが、米国・ペンシルベニア大学のJustin E. Bekelman氏らによる調査の結果、明らかにされた。2008~2013年の14の民間ヘルスケアプランに加入する女性患者の動向を調べた結果、診療ガイドラインに適合しタスクフォースが同照射を支持する患者群では10.6%から34.5%に施行が増え、適合基準に達していなかったが同照射を認可された患者群でも8.1%から21.2%に増えていた。またコストも従来照射法に比べて有意に低く抑えられていたという。JAMA誌2014年12月17日号掲載の報告より。

新規第XI因子阻害薬、TKA後のVTEを予防/NEJM

 第XI因子阻害薬FXI-ASO(ISIS 416858)は、人工膝関節置換術(TKA)後の静脈血栓塞栓症(VTE)の予防に有効で、出血リスクに関しても良好な安全性を有することが、オランダ・アムステルダム大学のHarry R Buller氏らが行ったFXI-ASO TKA試験で示された。TKA後のVTEの予防には従来、外因系凝固因子である第Xa因子を阻害するエノキサパリン(ENO)などが使用されているが、これらの薬剤は有効ではあるものの出血のリスクを伴う。一方、内因系凝固因子である第XI因子を減少させると、出血を起こさずに血栓を抑制することが知られていた。FXI-ASOは、第2世代のアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、肝臓において第XI因子mRNAの発現を特異的に低下させる可能性がある。NEJM誌オンライン版2014年12月7日号掲載の報告。

小児への維持輸液、等張液とすべき/Lancet

 入院中小児患者への維持輸液について、等張液(ナトリウム濃度140mmol/L)の使用が低張液(同77mmol/L)使用よりも、低ナトリウム血症の発生リスクを低下し有害事象を増大しないことが明らかにされた。オーストラリア・メルボルン大学のSarah McNab氏らが無作為化対照二重盲検試験の結果、報告した。小児への維持輸液をめぐっては、低張液使用が低ナトリウム血症と関連しており、神経学的疾患の発生や死亡に結び付いていることが指摘されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「小児への維持輸液は、等張液を使用しなければならない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年11月28日号掲載の報告より。

がん生存にみる40年間の対策効果は?/Lancet

 英国のロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のManuela Quaresma氏らは、イングランドとウェールズ住民を対象に40年間(1971~2011年)の、全がん生存指標と年齢・性別で補正した個別がん生存指標の傾向を調べた。その結果、1971-72年当時は、全がんネット生存指標は、診断後1年で50%であったが、40年後の2010-11年には診断後10年でも50%を達成していると予測され大きく改善していること、一方で性別や年齢による生存指標の格差が続いていることなどを明らかにした。Lancet誌オンライン版2014年12月2日号掲載の報告より。

地中海ダイエットを守るほどテロメア延長/BMJ

地中海ダイエットをより実行している人は、そうでない人に比べ、テロメア長が長い傾向にあることが判明した。テロメア長は老化のバイオマーカーであることが知られている。米国ハーバード・メディカル・スクールのMarta Crous-Bou氏らが、米国看護師健康調査(Nurses’ Health Study)の参加者について、コホート内症例対照研究を行い明らかにした。先行研究からは、地中海ダイエットが死亡率や慢性疾患リスクの減少に関与していることが知られている。BMJ誌オンライン版2014年12月2日号掲載の報告より。

腎移植後のシロリムス、がん減少も死亡増加/BMJ

 腎移植後患者に対するシロリムス免疫抑制療法は、がん発症リスクを40%、非黒色腫皮膚がんリスクについては56%、それぞれ低下する一方で、死亡リスクについては43%増大することも明らかになった。カナダ・オタワ大学のGreg A. Knoll氏らが、約6,000例の腎移植患者のデータをメタ解析した結果、報告した。これまでに発表されたメタ解析では、シロリムス投与とがんや死亡リスクについては、有意な関連は認められていなかったという。BMJ誌オンライン版2014年11月24日号発表の掲載より。

抗菌薬と小児喘息は本当に関連するのか/BMJ

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のAnne K Ortqvist氏らは、従前、指摘されている「胎児期や出生後間もない抗菌薬曝露は小児喘息と関連している」という知見について、交絡因子による補正後も認められるのかを同国住民ベースのコホート研究で調べた。交絡因子として家族因子を用いた兄弟姉妹間比較や、抗菌薬の治療目的別の違いなどを検討した結果、家族因子は同関連を支持するものではなく、また呼吸器感染症の治療目的使用が尿路感染症や皮膚感染症と比べて関連が強いことなどを明らかにした。著者は、「家族因子や呼吸器感染症によって、同関連は示唆されたり否定されたりすることが判明した」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年11月28日号掲載の報告より。

妊娠初期の肥満が乳児死亡リスクに/BMJ

 母体の過体重や肥満は、乳児死亡率の増大と関連していることが、スウェーデン住民ベースコホート研究の結果、明らかにされた。同国カロリンスカ大学病院のStefan Johansson氏らが1992~2010年の出生児データを分析して報告した。満期産での死亡率増大および早産の出現頻度の増大が、乳児死亡率増大に寄与していたという。著者は、「母体の過体重と肥満は、世界中の乳児死亡率の重大かつ予防可能なリスク因子と考えられる」と考察し、他国における同関連の調査の必要性を提言するとともに、今回の所見は、公衆衛生担当者が乳児の健康促進のために妊婦の肥満予防に取り組むのに十分なエビデンスを有するものだと述べている。BMJ誌オンライン版2014年12月2日号掲載の報告より。

CKD患者の高K血症に新規K吸着薬が有効/NEJM

 RAAS阻害薬服用中の慢性腎臓病(CKD)患者で高カリウム血症を呈した患者について、新規開発経口薬のカリウム吸着薬パチロマー(patiromer)はプラセボと比較して、血清カリウム(K)値を低下し、再発頻度も低下することが示された。米国・メリーランド大学医学部のMatthew R. Weir氏らが国際共同単盲検前向き試験の結果、報告した。NEJM誌オンライン版2014年11月21日号掲載の報告より。

P2X3受容体拮抗薬、咳嗽頻度75%低下/Lancet

 鎮咳薬の新たな選択肢として、P2X3受容体拮抗薬AF-219が有望であることが示された。難治性慢性咳嗽患者を対象とした第II相二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、投与群の咳嗽頻度は有意に75%低下したという。英国・マンチェスター大学のRayid Abdulqawi氏らが報告した。前臨床試験において、P2X3受容体は気道の迷走神経反射時に発現がみられ、慢性咳嗽に結び付く咳嗽反射の過感作に関与していることが示唆されていた。本検討では、その機序を確認するとともに、経口薬として開発された同受容体拮抗薬AF-219が、慢性咳嗽の頻度を低下するかを調べた。Lancet誌オンライン版2014年11月25日号掲載の報告。

DAPT長期継続で死亡リスク変わらず/Lancet

 抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の長期継続は、アスピリン単独療法または短期(6ヵ月以下)のDAPTと比べて、全死因死亡・心血管死亡・非心血管死亡のリスクにおいて差はみられないことが示された。米国・マサチューセッツ総合病院のSammy Elmariah氏らが、無作為化試験14試験・6万9,644例を対象に、DAPT継続の死亡率への影響を検討したシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。これまで、心血管疾患患者に一般的に用いられるアスピリンおよびP2Y12阻害薬の全死因死亡への影響については不明であった。Lancet誌オンライン版2014年11月16日号掲載の報告より。

β遮断薬、駆出率保持の心不全でも死亡抑制するか/JAMA

 駆出率が保持された心不全(HFPEF)患者へのβ遮断薬治療について、全死因死亡の発生は有意に抑制したが、心不全による入院の発生と合わせた複合アウトカムは抑制しなかったことが示された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のLars H. Lund氏らが、Swedish Heart Failure Registryから8,244例について行った傾向スコア適合コホート試験の結果、報告した。HFPEFは、駆出率が低下した心不全(HFREF)と同程度によくみられ、死亡率も同じぐらい高いとされている。これまでにβ遮断治療について、後者のHFREF患者に対する抑制効果は示されているが、HFPEF患者についての検討は十分に行われていなかった。JAMA誌2014年11月19日号掲載の報告より。

慢性非弁膜症AF、専門看護師による訪問ケアで生存延長/Lancet

 心不全のない慢性非弁膜症心房細動患者に対し、退院後、心臓専門看護師による家庭訪問を含む、心房細動に特異的なケアを行うことで、非入院生存日数が有意に長期化することが示された。オーストラリア・カトリック大学のSimon Stewart氏らが、335例の患者を対象に行った無作為化比較試験「SAFETY」の結果、報告した。慢性心房細動患者の入院は増加している。疾患特有の“マネジメント”が入院を減らし、生存を延長する可能性はあるが、そうした“治療アプローチ”の有用性を裏付けるエビデンスはなく、研究グループは本検討を行った。Lancet誌オンライン版2014年11月17日号掲載の報告より。