ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:218

CHD死亡率、10年で約43%低下/BMJ

 英国・グラスゴー大学のJoel W Hotchkiss氏らは、2000~2010年のスコットランドにおける冠動脈性心疾患(CHD)死亡の傾向について分析した。その結果、同期間にCHD死亡は約半減(43%減)しており、背景要因として薬物療法の選択肢が増大したこと、その有益性をスコットランド国民保健サービス(NHS)が社会経済的階級を問わず公正に供給したことがあったと思われたことを報告した。一方で、血圧やその他リスク因子の低下による、かなりの寄与は、肥満や糖尿病の有害性で減弱していたことも判明した。著者は、「次の10年におけるCHD死亡減少と不公正性の解消を図るために、付加的な広域集団への介入を急がなければならない」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年2月6日号掲載の報告より。

中国の入院例から鳥インフルエンザAウイルスH10N8の新型検出/Lancet

 鳥インフルエンザA(H10N8)ウイルスについて、感染症例1例から既報のH10N8ウイルスとは異なる新規の再集合体H10N8ウイルスが分離されたことを、中国・南昌市疾病管理予防センター(CDC)のHaiYing Chen氏らが報告した。症例は73歳女性で、発症後9日目で死亡。新たなウイルスが、患者の死亡と関連している可能性についても言及している。なお、この新規ウイルスは、ノイラミニダーゼ阻害薬に反応を示したという。Lancet誌オンライン版2014年2月5日号掲載の報告より。

若いのに血圧が高い人は要注意!中年期の冠動脈石灰化の危険あり/JAMA

 青年期に血圧値が高値で推移した人ほど、中年期の冠動脈石灰化(CAC)リスクが大きいことを、米国・ノースウェスタン大学のNorrina B. Allen氏らが、CARDIA研究の参加者4,681例の前向き追跡データを分析し明らかにした。これまで、血圧の単回測定値とアテローム性動脈硬化進展との関連は示されていたが、血圧値の長期的推移が心血管疾患リスクに与える影響については、十分に解明されていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「血圧値の長期推移は、各人の無症候性アテローム性動脈硬化をより正確に特徴づけるのに役立つ可能性がある」とまとめている。JAMA誌2014年2月5日号掲載の報告。

H7N9型インフル、ヒト-ヒト感染の可能性依然残る/NEJM

 2013年に中国で発生した新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染例のほとんどでは疫学的な関連性が認められず、ヒト-ヒト間伝播の可能性は除外できないことが、中国・公衆衛生救急センターのQun Li氏らの調査で判明し、NEJM誌2014年2月6日号で報告された。2013年2~3月に、中国東部地域でH7N9ウイルスのヒトへの感染が初めて確認された。これまでに急速に進行する肺炎、呼吸不全、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、死亡の転帰などの特性が報告されているが、研究者はその後も詳細な実地調査などを進めている。

カテーテルアブレーション後の再発リスクの予測精度を上げる方法/JAMA

 心房細動(AF)患者における遅延造影MRI上の心房組織の線維化は、カテーテルアブレーション施行後の不整脈再発リスクの独立の予測因子であることが、米国・ユタ大学のNassir F Marrouche氏らが行ったDECAAF試験で示された。AF患者では左心房線維症が高頻度にみられる。遅延造影MRIで同定された心房組織の線維症は、AFに対するカテーテルアブレーションの不良な転帰と関連することが示唆されている。JAMA誌2014年2月5日号掲載の報告。

心血管疾患リスク、妊娠第1期の発育が重要/BMJ

 妊娠第1期の胎児頭殿長が大きいほど、小児期の心血管リスクは低いことが、約1万2,000例の妊婦の胎児を対象にした前向きコホート試験の結果、明らかになった。オランダ・エラスムス大学医療センターのVincent W V Jaddoe氏らが報告した。出生時体重が小さいと、成人してからの心血管疾患リスクが増大することは知られていたが、胎児または乳児のどの時期が重要なのかは不明だった。今回の結果を踏まえて著者は、「胎児期早期が後年の心血管系の健康に関して重要な時期のようだ」と述べている。BMJ誌オンライン版2014年1月23日号掲載の報告。

大酒飲みは早死する/Lancet

 ロシアの喫煙男性は、ウオッカ摂取量が多いほど死亡リスクが増大することが、ロシアがん研究センターのDavid Zaridze氏らが、約20万人を対象に行った前向き観察試験で明らかになった。また、その主な原因は、これまでの研究結果で特定されていた事故や自殺といった外因や、上部気道消化管がん、肝臓がんなどの疾患であることも確認されたという。Lancet誌オンライン版2014年1月31日号掲載の報告より。

最重症COPDに低用量オピオイドは安全か/BMJ

 低用量オピオイド(経口モルヒネ30mg/日以下相当)は、COPD患者の入院や死亡を増大せず、重度呼吸器疾患における症状軽減への使用は安全である可能性が報告された。スウェーデン・ルンド大学のMagnus P Ekstrom氏らが行った同国住民ベースの前向き連続患者コホート研究の結果で、一方で、高用量オピオイドは死亡を増大する可能性も示された。重度呼吸器疾患の患者では慢性の息切れ(呼吸困難)がみられるが、オピオイドによる緩和が可能である。またCOPD患者では一般に不安解消のためにベンゾジアゼピン系薬が用いられているが、これらの単独または併用使用が、呼吸抑制や入院、早期死亡を招くのではないかという懸念があった。BMJ誌オンライン版2014年1月30日号の掲載報告。

急性心筋梗塞アウトカム、国家間で格差/Lancet

 急性心筋梗塞の治療およびアウトカムについて、英国とスウェーデンの国家間の違いを検証した結果、プライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の施行率や使用頻度の高い薬物の傾向、30日死亡率などに大きな格差があることが、英国・ロンドン大学のSheng-Chia Chung氏らによる検討で明らかにされた。これまで急性心筋梗塞について、医療システムが異なる国家間での比較という観点が欠落していたという。著者は、「このような国家間の比較研究は、医療システムの改善と死亡抑制に役立つと思われる」とコメントしている。Lancet誌オンライン版2014年1月23日号掲載の報告より。

ピーナッツアレルギーに経口免疫療法(OIT)は有効/Lancet

 ピーナッツアレルギーを有する小児の脱感作に経口免疫療法(OIT)が有効であることが、英国・ケンブリッジ大学病院NHS財団トラストのKatherine Anagnostou氏らによる第II相無作為化比較対照試験「STOP II」の結果、示された。QOL改善、良好な安全性プロファイルが示され、免疫学的臨床検査値にも有意な変化が認められたという。結果を踏まえて著者は、「OITを非専門医の下では行ってはならないが、7~16歳児でのピーナッツOITは有効で忍容性も良好である」と結論している。ピーナッツOITの有効性に関する検討は先行して行われた第I相の小規模試験において示唆されていた。Lancet誌オンライン版2014年1月30日号掲載の報告。

水痘予防にはMMRV 2回接種を支持/Lancet

 チェコ共和国・フラデツ・クラーロヴェー大学病院のRoman Prymula氏らは、水痘の発症予防について、麻疹・ムンプス・風疹・水痘ワクチン(MMRV)2回接種と、単価水痘ワクチン1回接種の有効性を比較する無作為化対照試験を欧州10ヵ国の協力を得て行った。その結果、あらゆる型の水痘予防を確実なものとするためにもMMRVの2回接種を支持する結果が得られたことを報告した。今日、水痘発症率は、水痘ワクチンを“ルーチン”で行っている国では激減している。予防は単価ワクチンもしくはMMRVの接種にて可能であり、今回、研究グループは、どちらが有用かを比較検証した。Lancet誌オンライン版2014年1月29日号掲載の報告より。

出生後早期の過体重、青年期肥満の原因となる可能性/NEJM

 5~14歳の子供では、より幼年であるほど肥満の発症率が高い傾向がみられ、とくに幼稚園入園時に過体重の子供の肥満率が高いことが、米国・エモリー大学のSolveig A Cunningham氏らの調査で示された。米国では、BMIの上位5%内に含まれる6~11歳の小児の割合が、1963~65年の4.2%から1999~2000年には15.3%にまで上昇し、21世紀初頭の10年間でほぼプラトーに達したと推測されている。このように、小児肥満の有病率の上昇が指摘される一方で、その発症率については意外なほど知られていないという。NEJM誌2014年1月30日号掲載の報告。

造血幹細胞移植後に真菌症を起こしやすくなる遺伝的欠損とは/NEJM

 ペントラキシン3(PTX3)の遺伝的欠損は好中球の抗真菌能に影響を及ぼし、造血幹細胞移植(HSCT)を受けた患者における侵襲性アスペルギルス症(Aspergillus fumigatus)のリスクに関与している可能性があることが、イタリア・ペルージャ大学のCristina Cunha氏らの検討で示された。液性パターン認識受容体は、長いタイプのPTX3として知られ、抗真菌免疫において代替不可能な役割を果たすとされる。一方、侵襲性アスペルギルス症の発現におけるPTX3の一塩基多型(SNP)の関与はこれまでに明らかにされていない。NEJM誌2014年1月30日号掲載の報告。

心臓植込み型電子機器の現状-米国より-/JAMA

 米国FDAに市販前承認(PMA)の申請を行った心臓植込み型電子機器(CIED)は、初回承認後、継続的に補足申請を行い機器のデザイン変更などを行っていることが明らかになった。その期間は約15年の長期にわたるが、補足申請では、新規臨床データを提出する場合が少ないことも明らかになった。米国・ハーバード・メディカル・スクールのBenjamin N. Rome氏らが、FDAのデータベースを基に行った調査で明らかにしたもので、結果を踏まえて、「CIEDの厳格な市販後調査が重要である現状が浮き彫りになった」と報告している。JAMA誌2014年1月22・29日号掲載の報告より。

FDA新薬承認申請、初回非受理の理由は?/JAMA

 米国FDAの新薬承認申請で、初回申請が受理されなかった主な理由は、用量選択の不確実性や試験エンドポイントの不適切性などであることが明らかになった。こうしたあらかじめ回避できる理由などにより生じる承認の遅れは、中央値で435日にもなることも判明した。FDAのLeonard V. Sacks氏らが、302件の新薬承認申請について調べ明らかにした。JAMA誌2014年1月22・29日号掲載の報告より。

FDAの新薬承認根拠の臨床試験、質にばらつき/JAMA

 新薬承認に際してFDAが用いている臨床試験エビデンスの質は、ばらつきが大きいことを、米国・イェール大学医学大学院のNicholas S. Downing氏らが検証の結果、報告した。医師および患者は新薬の安全性および有効性は十分に評価がされているものだと確信している。しかし、ばらつきが明らかになったことで著者は、「新薬使用の決定に際して医師および患者に、重大な影響をもたらすものである」と指摘している。これまで、FDAが承認した新薬のエビデンスを支持する臨床試験の質について、評価が行われたことはなかったという。JAMA誌2014年1月22日号掲載の報告より。

PM2.5/PM10の長期曝露、冠動脈リスク増大と相関/BMJ

 イタリア・ラツィオ州保健局のGiulia Cesaroni氏らは、ヨーロッパの大気汚染曝露コホート研究(ESCAPEプロジェクト)に参加する11コホート・約10万人を平均11.5年追跡したデータを解析した結果、大気中の粒子状物質いわゆるPM2.5やPM10などへの長期曝露と冠動脈イベント発生とが相関していることを明らかにした。その関連は、現在ヨーロッパで定められている制限基準値(PM2.5は年間25μg/m3未満、PM10は40μg/m3未満)以下でも認められたという。結果を踏まえて著者は、「今回の結果は、現状の基準値が死亡率だけを考慮したもので過小評価されていることを示し、基準値を引き下げることを支持するものである」と報告している。BMJ誌オンライン版2014年1月21日号掲載の報告。

抗アミロイド療法は発症後では遅すぎる?/NEJM

 抗アミロイドβ(Aβ)モノクローナル抗体バピヌズマブは、アルツハイマー病(AD)関連のバイオマーカーを改善するが、臨床アウトカムの改善はもたらさないことが、米国・バトラー病院のStephen Salloway氏らの検討で示された。バピヌズマブは、軽度~中等度AD患者を対象とした第II相試験において、プラセボに比べてPET画像上のアミロイドを減少させ、脳脊髄液(CSF)中のリン酸化タウを低下させたことから、標的への到達および神経変性の減弱効果が示唆されていた。NEJM誌2014年1月23日号掲載の報告。

再発慢性リンパ球性白血病に新規PI3Kδ阻害薬が有効/NEJM

 合併症を有する高齢の慢性リンパ球性白血病(CLL)再発例の治療において、イデラリシブ+リツキシマブ(商品名:リツキサン)療法はリツキシマブ単独療法に比べ有効性が高く、安全性プロフィールは許容できるものであることが、米国・ワイルコーネル医科大学のRichard R Furman氏らの検討で示された。臨床的に重大な合併症を有する再発CLL例は標準的な化学療法が施行不能な場合が多いため、安全性プロフィールが許容可能で、かつ有効な治療法が求められている。イデラリシブは低分子量の選択的PI3Kδ阻害薬であり、再発・難治性CLLを対象とした第I相試験において単剤もしくはリツキシマブなどとの併用で許容しうる毒性の範囲内で有意な臨床効果が確かめられている。NEJM誌オンライン版2014年1月22日号掲載の報告。

新規抗アミロイドβ抗体薬、アルツハイマー病への効果示せず/NEJM

 新たに開発された抗アミロイドβ(Aβ)抗体ソラネズマブは、軽度~中等度アルツハイマー病(AD)患者の認知機能および機能的運動能力を改善しないことが、米国・ベイラー医科大学のRachelle S Doody氏らが行ったEXPEDITION 1およびEXPEDITION 2試験で示された。ソラネズマブはネズミ抗体のヒト化アナログ製剤で、Aβの中枢神経(CNS)から末梢循環への流出を促進することから、ADに有効な可能性が示唆されていた。NEJM誌2014年1月23日号掲載の報告。