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- 2024/12/20
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甲状腺機能低下症の妊婦への出産前治療、出生児の認知機能を改善せず
妊娠期間の平均が12週3日の妊婦を対象に甲状腺機能スクリーニングを行い、機能低下が認められた妊婦に治療を行っても、生まれた子どもの認知機能に改善は認められなかったことが報告された。英国・カーディフ大学のJohn H. Lazarus氏らが、約2万2,000人を対象とした無作為化試験の結果、報告した。胎児が甲状腺ホルモンを分泌するようになるのは在胎約18~20週以降で、それまでは母胎の遊離サイロキシン(T4)に依存して、中枢神経系の成熟を含む成長を遂げていくとされている。遊離T4にはヨウ素が不可欠で、妊娠前のヨウ素サプリメントの服用は認知機能を増強することや、一方で妊娠中の甲状腺刺激ホルモン高値は出生児の認知機能障害をもたらすことが知られ、甲状腺機能障害を出産前に検知し治療することは有益である可能性が示唆されていた。NEJM誌2012年2月9日号掲載報告より。
ロタウイルスワクチン、腸重積罹患率を増大せず
乳幼児への5価ロタウイルス(RV5)ワクチン接種は、接種後1~7日、同1~30日後の腸重積罹患率を増大しないことが報告された。米国・ハーバード公衆衛生大学院のIrene M. Shui氏らが、米国のワクチン安全データリンク(VSD)に登録された、RV5接種を受けた乳幼児について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2012年2月8日号で発表した。RV5ワクチン接種後の腸重積発症は、開発試験段階では報告されなかったが、承認後の国際的なトライアルで、特に1回目の接種後1週間以内の低レベルのリスク上昇の可能性が示唆されていた。
急性単純性膀胱炎に対するセフポドキシムvs. シプロフロキサシン
急性単純性膀胱炎への抗菌薬投与について、セフェム系のセフポドキシム(商品名:バナンほか)はフルオロキノロン系のシプロフロキサシン(同:シプロキサンほか)に対し、非劣性を示さなかったことが報告された。米国・マイアミ大学のThomas M. Hooton氏らが、女性患者300人を対象に行った無作為化二重盲検試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2012年2月8日号で発表した。フルオロキノロン系の抗菌薬は単純性膀胱炎に対し最も有効として一般的に使用されている一方で、その耐性大腸菌発生率の上昇が世界的に報告されており、最近公表された米国感染症学会のガイドラインでは、使用の制限が勧告されている。同疾患に対するセフポドキシムの使用については、これまで十分な検討データがなかった。
直接的レニン阻害薬と他のRAS阻害薬の併用で高カリウム血症増加
直接的レニン阻害薬アリスキレン(商品名:ラジレス)は、ACE阻害薬やARBと併用すると、高カリウム血症のリスクを増大させることが、カナダ・トロント大学のZiv Harel氏らの検討で示された。アリスキレンなどのレニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬は、うっ血性心不全や高血圧、蛋白尿などのさまざまな病態の管理に用いられているが、他のRAS阻害薬との併用における重篤な合併症として高カリウム血症や急性腎障害が知られている。アリスキレンと他のRAS阻害薬の併用に関する試験の多くは代用アウトカム(surrogate outcome)を用いているため、真の有害事象の検出能は低いという。BMJ誌2012年2月4日号(オンライン版2012年1月9日号)掲載の報告。
ポーランドのCHD死低下、リスク因子低減とEBMの寄与が大
ポーランドでは、2005年の冠動脈心疾患(CHD)による死亡数が1991年に比べて半減し、その要因は主要なリスク因子の低減とEBMの進展による治療法の進歩であることが、グダニスク医科大学のPiotr Bandosz氏らの検討で示された。ポーランドでは、1980年代にみられた若年層の心血管死の急増傾向が、市場経済導入後の1990年代初頭には急速に減少したという。社会経済的な変革によって、ライフスタイルの大きな変化や医療システムの実質的な改善がもたらされたと考えられる。BMJ誌2012年2月4日号(オンライン版2012年1月25日号)掲載の報告。
CHDの診断能は、心血管MRがSPECTよりも良好
冠動脈心疾患(CHD)の診断では、マルチパラメトリックな心血管核磁気共鳴法(CMR)が、単光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)に比べ高い正確度(accuracy)を有することが、英国・リーズ大学のJohn P Greenwood氏らが行ったCE-MARC試験で確認された。近年、CHD疑い患者における心筋梗塞の評価では、トレッドミル運動負荷試験に代わりSPECTが最も頻用されているが、診断正確度の報告にはばらつきがみられ、電離放射線曝露の問題もある。CMRは被曝がなく、高い空間分解能を持つほかに、1回の検査で複数の病理学的パラメータ(心機能、心筋血流、心筋生存能、冠動脈の解剖学的形態など)の評価が可能だという。Lancet誌2012年2月4日号(オンライン版2011年12月23日号)掲載の報告。
早期乳がんの術後化学療法、どのレジメンが最も有効か?:約10万例のメタ解析
早期乳がんの術後化学療法では、アントラサイクリン系薬剤+タキサン系薬剤ベースのレジメンおよび高用量アントラサイクリン系薬剤ベースレジメンによって乳がん死が約3分の1低下することが、Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group(EBCTCG)の検討で明らかとなった。乳がんの術後化学療法の効果には差があり、治療法の選択に影響を及ぼす可能性があるという。EBCTCGは、すでに1995年までに開始された試験のメタ解析の結果を報告しているが、用量は考慮されず、タキサン系薬剤は含まれていなかった。Lancet誌2012年2月4日号(オンライン版2011年12月6日号)掲載の報告。
発症間もない1型糖尿病患者に対するミョウバンGAD
1型糖尿病患者に対するアルミアジュバントGAD65(ミョウバンGAD)の投与は、刺激時Cペプチド消失の抑制も、臨床転帰の改善も有意ではなかったことが報告された。GAD65(グルタミン酸デカルボキラーゼ65kDアイソフォーム)は、1型糖尿病における主要な自己抗原である。スウェーデン・Linkoping大学小児科部門のJohnny Ludvigsson氏らによる検討で、ミョウバンGADは発症間もない1型糖尿病患者のβ細胞機能を維持させるのではないかと仮説を立て、334例の10代の患者を対象とする15ヵ月間にわたる、多施設共同二重盲検無作為化試験を行った。NEJM誌2012年2月2日号掲載報告より。
子宮筋腫に対する経口ulipristal acetateの有効性と安全性
子宮筋腫に対する術前治療としての、経口ulipristal acetateの有効性と安全性について、プラセボとの比較による第3相の二重盲検無作為化試験の結果、13週間の治療で子宮筋腫の症状の一つである出血過多を有効にコントロールし、筋腫サイズも縮小したことが報告された。ベルギーのルーヴェン・カトリック大学のJacques Donnez氏らによる検討で、NEJM誌2012年2月2日号で発表された。子宮筋腫は生殖年齢にある女性の20~40%に起こり得る良性腫瘍であるが、出血過多や貧血、痛みなどでQOLや妊娠への悪影響が問題となる。治療を望む女性の多くは子宮摘出回避を願うが、一方で子宮摘出の最も多い適応症ともなっている。
米国病院救急部門の患者滞在時間、地域セーフティネット病院か否かで格差なし
米国の病院救急部門における患者の滞在時間は、地域のセーフティネットを担う病院と、そうでない病院とで有意な差はないことが報告された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のChristopher Fee氏らが、全米約400の病院について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2012年2月1日号で発表した。Fee氏らは、セーフティネット病院がメディケイドや無保険患者を多く受け入れることで医療パフォーマンス、特にP4Pに重大な影響が及んでいる可能性を考慮し本研究を行った。
浸潤性乳がん部分切除患者の再切除率、断端部陰性では医師や施設により大幅格差
浸潤性乳がんで部分切除術を受けた人の再切除率は、切除断端部の状態によって異なり、また切除断端部陰性の人については、執刀外科医や医療機関によって大きなばらつきがあることが明らかにされた。米国・ミシガン州立大学のLaurence E. McCahill氏らが、2,000人超について行った観察研究の結果明らかにしたもので、JAMA誌2012年2月1日号で発表した。
プライマリ・ケアで有用な卵巣がん患者早期発見のアルゴリズム開発
プライマリ・ケアでの卵巣がん患者を見出すアルゴリズムが、英国・ノッティンガム大学プライマリ・ケア部門のJulia Hippisley-Cox氏らによって開発された。同アルゴリズムを用いることで、リスクが最も高い人を早期に発見し、検査受診に結びつける可能性が認められたという。BMJ誌2012年1月28日号(オンライン版2012年1月4日号)掲載報告より。
慢性疾患を有する人への新型H1N1インフルエンザのワクチン効果
65歳未満の慢性疾患を有する人への新型H1N1インフルエンザのワクチン効果について、デンマーク国立血清研究所(Statens Serum Institu:SSI)のHanne-Dorthe Emborg氏らが、2009~2010シーズンに同ワクチン接種を受けたデンマーク住民を対象とした後ろ向きコホート研究の結果を報告した。新型H1N1インフルエンザワクチンの疫学研究では、一般市民対象で70%以上の有効性があることが示されている。しかし、これまで基礎疾患を有する人の有効性については評価がされていなかった。BMJ誌2012年1月28日号(オンライン版2012年1月25日号)掲載報告より。
ライソゾーム病は予想以上に高頻度、プライマリ・ケアの課題となる可能性も
ライソゾーム病の遺伝子変異を有する新生児は予想以上に多く、その新生児スクリーニングは、今後、プライマリ・ケアの課題として浮上する可能性があることが、オーストリア・ウイーン医科大学のThomas P Mechtler氏らの検討で示された。ライソゾーム病はまれな疾患と考えられているが、白人の発症率は生児出生7,700人に1人の割合、アラブ人では先天性代謝異常の3分の1がこれらの疾患に起因するとされる。新開発の酵素補充療法、早期診断の必要性、技術的進歩により、ライソゾーム病の新生児スクリーニングへの関心が高まっているという。Lancet誌2012年1月28日号(オンライン版2011年11月30日号)掲載の報告。
経口抗凝固療法の自己モニタリング、血栓塞栓イベントを低減
患者自身が検査や用量の調整を行う自己モニタリングによる経口抗凝固療法は、本療法が適応となる全年齢層の患者において安全な治療選択肢であることが、英国・オックスフォード大学のCarl Heneghan氏らの検討で示された。ビタミンK拮抗薬による経口抗凝固療法を受ける患者は増加し続けているが、治療域が狭いため目標とする国際標準化比(INR)を維持するには頻回の検査や適切な用量の調整などを要するという問題がある。自己モニタリングは、その有効性を示す優れたエビデンスがあるものの、臨床導入には相反する見解がみられるという。Lancet誌2012年1月28日号(オンライン版2011年12月1日号)掲載の報告。
寒冷蕁麻疹の発症に遺伝子欠損が関連
特色ある炎症性遺伝子の表現型を精査することで、免疫調節の仕組みや疾患メカニズムの同定および解明に結びつけることが可能とされる。米国NIHのMichael J. Ombrello氏らは、その手法を用いて、冷たいものに触れたり体温が下がると発症する寒冷蕁麻疹の優性遺伝が認められる3家族の遺伝子型を精査し、遺伝子に関わる原因や疾患メカニズムについて解明を試みた。NEJM誌2012年1月26日号(オンライン版2012年1月11日号)掲載報告より。
心血管疾患の生涯リスクの差は、リスク因子の違いによる
心血管疾患の生涯リスクについて、黒人および白人の全年齢階層にわたって幅広く検討した結果、そのリスクの顕著な差は、個々人のリスク因子プロファイルの違いによるもので、人種や出生コホート群を問わず一貫したものであることが明らかにされた。米国・テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターのJarett D. Berry氏らが、18の試験に参加した25万7,000人余のデータについて行ったメタ解析の結果、報告したもので、NEJM誌2012年1月26日号で発表された。
重大な食品汚染物質PFCは、子どものワクチン接種効果を半減
重大な食品汚染物質であることが明らかとなっているペルフルオロ化合物(PFC)は、子どもの免疫力を低下することが明らかとなった。米国・ハーバード大学公衆衛生院のPhilippe Grandjean氏らが、約600人の子どもの血中PFC値とワクチン効果との関連について行った、前向きコホート試験の結果明らかにしたもので、5歳時で同値が高い子どもは、7歳時のジフテリアや破傷風抗体レベルの低下するなどが認められたという。PFCは防水・防虫剤として食品包装材などに広く使われている。これまでの研究で、免疫応答が低下した齧歯目モデルの血中濃度と同レベルの血中濃度が米国人においても認められるが、PFC曝露の健康被害への影響については十分には解明されていなかった。JAMA誌2012年1月25日号掲載報告より。
小児喘息患者に対するPPI投与の効果は?
小児喘息患者に対するランソプラゾール(商品名:タケプロンなど)の投与は、喘息症状の改善にはつながらないことが報告された。肺機能や喘息関連のQOL(生活の質)についても有意な効果は認められず、一方で呼吸器への感染リスクについては有意な増大が報告された。米国・ジョンズホプキンス大学のJanet T. Holbrook氏らが、300人超の小児喘息患者について行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果明らかにしたもので、JAMA誌2012年1月25日号で発表した。小児喘息患者では、一般によく無症候性胃食道逆流疾患が認められる。胃食道逆流疾患が喘息コントロール不良の原因の一つではないかと考えられているが、プロトンポンプ阻害薬(PPI)投与によって喘息コントロールが改善するかどうかについては、これまで明らかにされていなかった。
前立腺生検、有害事象が再生検への消極性を招く
前立腺生検の忍容性は全般に良好だが、一部では疼痛や感染などの有害事象による重大な症状をもたらし、再生検に対する消極性や、プライマリ・ケアにおける医療資源の使用を促進することが、英国Sheffield大学のDerek J Rosario氏らが行ったProBE試験で明らかとなった。前立腺がんの診断では前立腺生検が重要だが、被験者の受容性(acceptability)や有害事象の影響、その結果としての医療資源の使用状況をプロスペクティブに検討した試験はほとんどないという。BMJ誌2012年1月21日号(オンライン版2012年1月9日号)掲載の報告。