人工妊娠中絶の世界的現況――MDG 5の達成に向けて
「人工妊娠中絶は現代の最高度の人権に関わるジレンマであるがゆえに、科学的かつ客観的な情報が必須である」と著者は記す。そして、「微妙な問題であるためデータソースが限られ、正確な情報の入手が困難」とも。 望まない妊娠の低減を目的とする指針の策定には、人工妊娠中絶数の情報が重要である。また、妊婦の罹病および死亡の主な原因は安全でない妊娠中絶であることから、ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals; MDGs、http://www.undp.or.jp/aboutundp/mdg/)のひとつ「妊産婦の健康の改善」(MDG5)の達成に向けた進捗状況のモニタリングには危険な中絶の発生状況の把握も重要である。Guttmacher Institute(アメリカ・ニューヨーク市)のGilda Sedgh氏らは中絶率を世界規模で推計し、望まない妊娠や危険な中絶を減少させ安全な中絶を増加させる方策について考察を加えた。10月13日付Lancet誌掲載の報告から。