ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:185

新生児期の百日咳感染、てんかんリスク増大/JAMA

 百日咳の病院診断歴のある新生児は、一般集団と比較して10歳時のてんかんリスクが1.7倍高いことが、デンマーク全国患者レジストリ(DNPR)の長期追跡データの分析から示された。ただし絶対リスクは1.7%と低かった。同国オーフス大学病院のMorten Olsen氏らが報告した。新生児における百日咳罹患は脳症およびけいれん発作と関連するが、その後の小児てんかんリスクについては不明であった。JAMA誌2015年11月3日号掲載の報告。

マントル細胞リンパ腫の初期治療、レナリドミド+リツキシマブが有効/NEJM

 マントル細胞リンパ腫の初期治療について、レナリドミドとリツキシマブの生物学的製剤併用療法が有効であることが示された。2年無増悪生存率は85%、推定全生存率は97%だった。米国・コーネル大学医学部のJia Ruan氏らが、患者38例を対象に行った、第II相多施設共同単群導入・維持試験の結果明らかにした。マントル細胞リンパ腫の多くは治癒が困難で、初期治療は標準化されておらず、通常、殺細胞性化学療法などが行われている。一方、免疫調節薬レナリドミドと、抗CD20抗体リツキシマブは、再発マントル細胞リンパ腫患者における活性が認められており、研究グループはその併用療法の第1選択薬としての可能性について評価を行った。NEJM誌2015年11月5日号掲載の報告より。

英国プライマリケアでの処方の安全性、施設間で差/BMJ

 英国一般診療所の代表サンプル526施設を対象に処方の安全性について調べた結果、患者の約5%に不適切処方がみられ、また約12%でモニタリングの記録が欠如していることが、英国・マンチェスター大学のS Jill Stocks氏らによる断面調査の結果、明らかになった。不適切処方のリスクは、高齢者、多剤反復処方されている患者で高く、著者は、「プライマリケアにおいて、とくに高齢者と多剤反復投与患者について処方のリスクがあり適切性について考慮すべきであることが浮かび上がった」と述べている。英国では、プライマリケア向けに処方安全指標(prescribing safety indicator)が開発されているが、これまで試験セットでの検討にとどまり、大規模なプライマリケアデータベースでの評価は行われていなかった。BMJ誌オンライン版2015年11月3日号掲載の報告。

乳頭状腎細胞がん、遺伝子解析で特徴付けが判明/NEJM

 腎細胞がんの15~20%を占め、1型と2型の存在が示されている乳頭状腎細胞がんは、これまでその遺伝子レベルの特性はほとんど解明されておらず、また病勢進行における有効な治療法はない。米国国立がん研究所のW. Marston Linehan氏ら、がんゲノムアトラス研究ネットワークは、161例の患者について分析を行い、1型と2型では臨床的および生物学的に異なること、さらに2型については3つのサブタイプがあることなどを明らかにした。NEJM誌オンライン版2015年11月4日号掲載の報告。

降圧目標120mmHg vs.140mmHgの結果:SPRINT/NEJM

 50歳以上で非糖尿病・心血管イベント高リスクの患者について、収縮期血圧目標120mmHg未満の厳格降圧療法が同140mmHg未満の標準降圧療法よりも、致死的・非致死的重大心血管イベントおよび全死因死亡の発生を有意に抑制したことが、米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学のJackson T. Wright氏らによるSPRINT試験(米国立衛生研究所[NIH]助成)の結果、示された。一方、厳格降圧療法群では、低血圧症、失神、電解質異常、急性腎障害/腎不全といった重度有害事象の有意な増大がみられた。NEJM誌オンライン版2015年11月9日号掲載の報告。

急性虚血性脳卒中への血栓除去 vs.t-PA:メタ解析結果/JAMA

 急性虚血性脳卒中に対し、血栓除去術による血管内治療は、tPA療法による標準治療と比較して機能的アウトカムを改善し、血管造影上の血行再建率は高率だが90日時点の症候性頭蓋内出血または全死因死亡に有意差はなかった。カナダ・トロント大学のJetan H. Badhiwala氏らがメタ解析の結果、報告した。急性虚血性脳卒中に対する血管内治療は血行再建を改善する。しかし血管内治療について検討した試験での機能的アウトカムはばらつきがみられ、サブグループに対する治療効果についてはさらなる定義付けが必要とされていた。JAMA誌2015年11月3日号掲載の報告より。

安全かつ有効な冠動脈ステント内再狭窄の治療法は?/BMJ

 冠動脈ステント内再狭窄の治療は、薬剤被膜バルーンと薬剤溶出ステントが臨床的および血管造影アウトカムに優れ、有効性は同程度であることが報告された。イタリア・カターニア大学フェラロット病院のDaniele Giacoppo氏らが、無作為化試験24件・患者4,880例を包含したシステマティックレビューと階層的ベイジアンネットワークメタ解析の結果、示した。ステント内再狭窄の治療については、過去20年間でさまざまな戦略が提案されてきたが、それらを比較した無作為化試験の結果は混合しており、断定的なものはない。研究グループは最も安全かつ有効な介入治療を明らかにすることを目的に今回の検討を行った。BMJ誌オンライン版2015年11月4日号掲載の報告。

前立腺選択的α遮断薬、転倒・骨折リスクと関連/BMJ

 前立腺選択的α遮断薬は、転倒および骨折のリスク増大とわずかだが有意に関連していることが、カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のBlayne Welk氏らによる住民コホート試験の結果、明らかにされた。また、頭部外傷、低血圧症のリスク増大も認められた。前立腺選択的α遮断薬は高齢男性の前立腺肥大症の治療薬で、これまでに、重篤有害事象の1つとして低血圧症があり、それが重大な転倒・骨折、頭部外傷の誘因となっている可能性が指摘されていた。しかし先行観察研究では、前立腺選択的α遮断薬にフォーカスした検討はされておらず、また治療開始と転倒・骨折リスクに関して相反する結論が報告されていた。BMJ誌オンライン版2015年10月26日号掲載の報告。

米国における主要6要因の死亡率の変化/JAMA

 1969~2013年の米国死亡統計データを分析した結果、全死因(心疾患・がん・脳卒中・不慮の外傷・糖尿病の統合)の年齢標準化死亡率は減少の傾向が認められたという。米国がん協会のJiemin Ma氏らが報告した。ただし、心疾患、脳卒中、糖尿病の減少割合は鈍化がみられ、また同期間中COPDの死亡率は増大していた。JAMA誌2015年10月27日号掲載の報告。

乳幼児期の全身麻酔、2歳時の神経発達への影響は/Lancet

 生後60週未満の乳幼児に対するセボフルランによる全身麻酔は、意識下局所麻酔と比べ、2歳時点における神経発達アウトカムへの影響は認められなかったことが報告された。オーストラリア・Murdoch Childrens Research InstituteのAndrew J. Davidson氏らが行った、無作為化比較試験の副次評価項目で示された。Lancet誌オンライン版2015年10月23日号掲載の報告より。

DNA修復遺伝子異常の前立腺がん、olaparibで高い奏効率/NEJM

 DNA修復遺伝子に異常が認められる転移性去勢抵抗性前立腺がんの患者には、ポリ(アデノシン二リン酸・リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害作用のあるolaparibが、9割近くの奏効率を示す可能性があることが示された。英国・Institute of Cancer ResearchのJ. Mateo氏らが50例を対象とした第II相非盲検単群2段階多施設試験の結果、報告した。前立腺がんは多様性があるが、現在の治療は遺伝子ベースに層別化したものはなかった。NEJM誌2015年10月29日号掲載の報告。

受動喫煙で3歳時の虫歯リスクが倍増/BMJ

 出生後4ヵ月時にタバコの煙に曝露していた子供は、3歳時の虫歯のリスクが約2倍に上昇したが、母親が妊娠中に喫煙した場合の虫歯への影響は有意ではないことが、京都大学大学院薬剤疫学分野の田中 司朗氏らの調査で示された。先進国では乳歯の虫歯の有病率が高いが、子供の虫歯予防は砂糖の摂取制限やフッ素塗布などに限られている。横断的研究では、受動喫煙が乳歯および永久歯の虫歯に影響を及ぼすことが示唆されているが、コホート研究のデータはスウェーデンの試験が1件あるだけだという。BMJ誌オンライン版2015年10月21日号掲載の報告。

インスリン複数回/日投与患者にGLP-1製剤は有効か/BMJ

 インスリン複数回/日治療中の血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者に対し、GLP-1製剤リラグルチド(商品名:ビクトーザ)を併用することで、低血糖リスクを増大することなく血糖コントロールを改善し、体重減少およびインスリン投与量を減らせることが報告された。スウェーデン・イエーテボリ大学のMarcus Lind氏らが、124例対象の無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行い明らかにした。2型糖尿病患者へのインクレチンベースの製剤の有効性は、経口糖尿病薬または基礎インスリンのみ服用の早期ステージ患者については示されているが、インスリン複数回/日投与を必要とする患者については不明であった。BMJ誌オンライン版2015年10月28日号の掲載報告。

薬剤溶出ステント vs.ベアメタルステント、5年追跡結果/Lancet

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に対する、エベロリムス薬剤溶出ステントの安全性と有効性を評価したEXAMINATION試験の長期5年フォローアップの結果が、スペイン・バルセロナ大学病院のManel Sabate氏らにより報告された。エベロリムス薬剤溶出ステント(EES)群 vs.ベアメタルステント(BMS)群の主要複合アウトカム発生について、EES群の有意な低下が示されたという。これまで新世代薬剤溶出ステントの長期追跡の報告は少なく、著者は、「今回得られた所見はSTEMI患者を対象とした、新たな生体吸収性ポリマーベース金属ステントや生体吸収性スキャフォールドの評価基準とするべきである」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年10月28日号掲載の報告。

2型糖尿病の超過死亡リスクは多様/NEJM

 2型糖尿病患者は一般集団よりも全死因死亡率が15%、心血管死亡率は14%高く、55歳未満では血糖値が目標値内であっても死亡リスクが約2倍に上昇するなど、超過リスクはきわめて多様であることが、スウェーデン・イエーテボリ大学のMauro Tancredi氏らの調査で示された。2型糖尿病患者の最も頻度の高い死因は心筋梗塞であり、そのリスクは脂質低下薬や降圧薬、良好な血糖コントロールにより低減するが、それでも一般集団に比べ死亡の超過リスクが残存する。同氏らは最近、1型糖尿病患者において、HbA1c値が目標値(≦6.9%)でも死亡リスクが2倍に達することを報告していた。NEJM誌2015年10月29日号掲載の報告より。

妊娠高血圧腎症と新生児の先天性心疾患リスク/JAMA

 妊娠高血圧腎症と新生児の先天性心疾患との関連について検証した結果、非重症の心疾患と顕著に関連していること、重症心疾患との関連は妊娠34週以前発症の場合にみられることなどが明らかにされた。カナダ・モントリオール大学のNathalie Auger氏らが、1989~2012年にケベック州の病院で誕生した新生児194万例超を対象とした住民ベースコホート研究の結果、報告した。妊娠高血圧腎症を呈した母親から生まれた新生児の先天性心疾患リスクは十分に解明されていない。今回の結果を踏まえて著者は、「先天性心疾患の絶対リスクは低かった」とまとめている。JAMA誌2015年10月20日号掲載の報告。

急性腰痛症にはNSAID単独で/JAMA

 急性腰痛症(LBP)に対してナプロキセン単独と、ナプロキセンにcyclobenzaprineまたはオキシコドン/アセトアミノフェンを追加投与した場合について、1週間後の機能的アウトカムや痛みに有意差はみられなかったことが示された。米国・アルベルト・アインシュタイン医学校のBenjamin W. Friedman氏らが、救急部門(ED)受診患者を対象に行った無作為化試験の結果、報告した。米国では、LBPでEDを受診する患者が年間250万人超いるという。これらの患者に対しては通常、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、アセトアミノフェン、オピオイド、筋弛緩薬を組み合わせた治療が行われる頻度が高い。今回の結果を踏まえて著者は、「所見は、同患者にはナプロキセンに追加投与は不要であることを支持するものであった」とまとめている。JAMA誌2015年10月20日号掲載の報告。

原発労働者のがんリスク、被爆者と同等/BMJ

 原子力発電所の労働者について、電離放射線の低線量被曝でも累積線量の増加に比例して固形がんリスクは増加することが明らかになった。また、同リスク増加量は、日本の原爆被害者を対象にした試験結果と比較して高線量被曝の場合と同等であることも示された。米国・ノースカロライナ大学のDavid B Richardson氏らが、フランス、英国、米国の原子力産業労働者を対象にした後ろ向きコホート試験「INWORKS」のデータを基に検証し明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年10月20日号掲載の報告。

妊婦への3種混合ワクチン再接種、2年以内でも安全/JAMA

 妊娠中に破傷風・ジフテリア・無菌体百日咳の3種混合ワクチン(Tdap)を再接種した際、前回のTdap接種が2年以内であっても、早産や在胎週数不当軽量児(SGA)といった有害事象の発生リスクは、前回接種から5年超経過している場合に比べ増大しないことが示された。米国疾病管理予防センター(CDC)のLakshmi Sukumaran氏らが、約3万人弱の妊婦について行った試験で明らかにした。これまで妊娠中のTdap再接種に関する安全性は明らかではなかった。JAMA誌2015年10月20日号掲載の報告。

炎症性腸疾患、遺伝的には3分類が適切/Lancet

 英国・Wellcome Trust Sanger InstituteのIsabelle Cleynen氏らは、クローン病と潰瘍性大腸炎(UC)の遺伝的決定因子に関する大規模な遺伝子型関連研究を行った。その結果、現在、両者を炎症性腸疾患(IBD)に類するものとする定義付けを支持する結果が得られたものの、分類としては3群(回腸クローン病、大腸クローン病、UC)とするほうがより適切であることなどを報告した。現在、クローン病とUCは、IBDの2大疾患とされており、これまで同分類概念を基に治療戦略が確立されてきた。Lancet誌オンライン版2015年10月16日号掲載の報告。