腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:124

ニボルマブとイピリムマブが悪性胸膜中皮腫に引き続き良好な成績(CheckMate743)/ESMO2021

 転移を有する悪性胸膜中皮腫に対するニボルマブとイピリムマブの併用第III相試験CHeckMate743の3年追跡結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress2021)で発表され、良好な長期ベネフィットが示された。これが転移のある悪性胸膜中腫に対する免疫療法としては、初めての長期成績の報告となる。 ・対象:転移のある切除不能な未治療の悪性胸膜中皮腫 ・試験群:ニボルマブ(3mg/m2)2週ごと+イピリムマブ(1mg/m2)6週ごと ・対照群:シスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセド3週ごと6サイクル ・評価項目: [主要評価項目]全生存期間(OS ) [副次評価項目]全奏効率(ORR)、病勢制御率(DCR)、盲検化独立評価委員会(BICR)による無増悪生存期間(PFS)など

アテゾリズマブ術後補助療法、PD-L1 TC≧1% Stage II~IIIAのNSCLC患者で有益(IMpower010)/ESMO2021

 完全切除および補助化学療法後の早期(Stage IB~IIIA)肺がん患者へのアテゾリズマブを評価した「IMpower010試験」の最新の中間解析結果を、スペイン・Vall d'Hebron University HospitalのEnriqueta Felip氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。  腫瘍細胞でPD-L1が1%以上発現している(PD-L1 TC≧1%)Stage II~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)において、アテゾリズマブは再発または死亡リスクを34%低下したこと、再発部位について両群で明確な違いはみられないが、再発までの期間はアテゾリズマブ群のほうが延長したことなどが報告された。

HER2陽性早期乳がんへの術前トラスツズマブ+ラパチニブ併用、メタ解析で生存延長示す/ESMO2021

 HER2陽性早期乳がんの術前補助療法としての化学療法とトラスツズマブ、ラパチニブの併用については、複数の試験で病理学的完全奏効(pCR)率の増加が確認されているが、生存に対する有効性については結果が一致していない。イタリア・パドヴァ大学のValentina Guarneri氏らは、同併用療法の生存に対するベネフィットについてメタ解析を実施し、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。

転移のあるホルモン感受性前立腺がん対するエンザルタミド+ADT療法はOSを改善(ARCHES)/ESMO2021

 転移を有するホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)に対するエンザルタミドとアンドロゲン遮断療法(ADT)の併用は、ADT単独療法より全生存期間(OS)を延長することが示された。  これは国際共同の大規模臨床試験であるARCHES試験の結果で、米国・Duke Cancer Institute CenterのAndrew J. Armstrong氏より、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)にて発表された。同試験は日本も参加した二重盲検無作為化比較第III試験。

HR+/HER2+早期乳がん、de-escalateした術前補助療法に適した症例は?(ADAPT TP)/ESMO2021

 ホルモン受容体陽性HER2陽性(HR+/HER2+)早期乳がんに対するT-DM1(トラスツズマブ エムタンシン)でのde-escalateした術前補助療法において、治療前の腫瘍免疫原性が高いほど病理学的奏効(pCR)率が高く予後良好なことが、ドイツ・West German Study Group(WSG)によるADAPT triple positive(TP)試験で示された。WSGのNadia Harbeck氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。  ADAPT TP試験はWSGによる第II相試験で、ADAPTアンブレラ試験の一部である。すでに主要評価項目であるpCR率はT-DM1投与群で40%を超え、副次評価項目の生存アウトカムも良好だったことが報告されている。今回は、もう1つの副次評価項目であるトランスレーショナルリサーチについて、治療前の生検で分析されたバイオマーカーにより検討された。

先生の大切な人に知らせませんか、乳がん啓発のクラウドファンディング開始

 YouTubeを中心に、ブレスト・アウェアネスや乳がんに関する情報発信を行っている一般社団法人BC Tubeが、「あなたの手紙で、大切な人にもブレスト・アウェアネスを」と題したクラウドファンディングのプロジェクトを開始させた。プロジェクトを通して、参加者が大切な人への手紙を送ることで、“手紙を受け取った人が自分の健康へ目を向けるきっかけをつくる”ことを目指している。  一般社団法人BC Tubeは、有志の乳腺科医が集まり、乳がんに関する理解しやすい適切な医療情報を広めることで、人々の乳がんに関する意識を高め、人々の健康と福祉に寄与することを目的として、2020年11月に設立。症状や検査、治療法等についての解説動画をYouTubeに投稿している。

セルペルカチニブがRET陽性非小細胞肺がんに国内承認/イーライリリー

 日本イーライリリーは、2021年9月27日、セルペルカチニブ(製品名:レットヴィモ)について、厚生労働省より「RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する治療薬として、製造販売承認を取得したと発表。  今回の承認は、国際共同第I/II相試験であるLIBRETTO-001試験に基づいたもの。  セルペルカチニブは、RET融合遺伝子陽性非小細胞肺がんに対して世界で初めて承認された、RETのキナーゼ活性を選択的に阻害する低分子チロシンキナーゼ阻害薬である。

ニボルマブ、小児ホジキンリンパ腫に対する承認取得/BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、抗PD-1抗体のニボルマブ(商品名:オプジーボ)が、小児の再発又は難治性古典的ホジキンリンパ腫に対する承認を取得したことを発表した。  ホジキンリンパ腫はリンパ細網系から生じた細胞の限局性又は播種性の悪性腫瘍であり、 国内の年間発症患者数は約1,720人、小児における年間発症患者数は約70人と推定されている。小児ホジキンリンパ腫の一次治療には化学療法等が行われ、再発または治療抵抗性の場合にはさらなる化学療法や抗CD30モノクローナル抗体であるブレンツキシマブ ベドチン等による治療が行われているものの予後は厳しく、ニボルマブは新たな選択肢の一つとして期待される。

ペムブロリズマブ+化学療法、子宮頸がん1次治療の生存改善(KEYNOTE-826)/ESMO2021

 欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)において、ペムブロリズマブ+化学療法±ベバシズマブの子宮頸がん1次治療による生存の改善が報告された。  KEYNOTE-826試験は、全身化学療法未実施の再発または転移を有する子宮頸がん患者617例を対象に、ペムブロリズマブ+化学療法±ベバシズマブとプラセボ+化学療法±ベバシズマブを比較した無作為化第III相試験。  主要評価項目である全生存期間(OS)は、全対象患者でペムブロリズマブ群24.4ヵ月に対し、プラセボ群16.5ヵ月(ハザード比[HR] :0.67、95%信頼区間[CI]: 0.54~0.84)、もう1つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)も、ペムブロリズマブ群10.4ヵ月に対し、プラセボ群8.2ヵ月と、ペムブロリズマブの併用により有意に延長した(HR:0.65、95%CI:0.53〜0.79、p<0.001)。 ペムブロリズマブ群のPFSおよびOSの改善は、PD-L1陽性レベル(CPS)を問わず示されている。

ribociclib+レトロゾールが乳がん1次治療のOSを改善(MONALEESA-2)/ESMO2021

 HR陽性HER2陰性の転移を有する乳がん(mHRBC)に対するCDK4/6阻害薬ribociclibとレトロゾールの併用療法による1次治療は、レトロゾール単独療法より全生存期間(OS)を延長することが示された。国際共同の大規模臨床試験であるMONALEESA-2試験の最終解析で、米国The University of Texas MD Anderson Cancer CenterのGabriel N. Hortobagyi氏より、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)にて発表された。  本試験は二重盲検無作為化第III相試験であり、ribociclibは本邦では未発売である。