腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:126

ICIによる非小細胞肺がんの術前・術後補助療法の有効性を探る(CheckMate 77T試験)/日本肺癌学会

 最近のStageIIAからIIIBの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術後の5年生存率は50%以下であり、その治療効果は十分とはいえず、何らかの追加治療が必要とされてきた。  1990年代から化学療法を用いた術前補助療法が行われてきたが、最近は免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が登場。周術期治療への可能性が期待されている。そこで、化学療法にICIを加えた周術期治療の有用性を検証するCheckMate 77T試験が現在進行しており、その概要が第62回日本肺癌学会学術集会において、神奈川県立がんセンターの伊藤宏之氏から紹介された。

Pacak-Zhuang症候群にbelzutifan治療が有効/NEJM

 赤血球増加症と多発性パラガングリオーマを有するPacak-Zhuang症候群の16歳女性患者において、低酸素誘導因子2α(HIF2α)阻害薬belzutifan治療により、高血圧、頭痛、および長期にわたる赤血球増加症の解消とともに、迅速かつ持続的な腫瘍縮退効果がもたらされたことを、米国・ダナファーバーがん研究所(DFCI)のJunne Kamihara氏らが報告した。Pacak-Zhuang症候群は、HIF2αをコードする遺伝子(EPAS1)の活性化変異によって引き起こされるまれな疾患で、生殖細胞系列の遺伝子検査で検出されることはほとんどなく、患者は幼少期に赤血球増加症を呈し、その後に複数の再発性および転移性のパラガングリオーマを発症する。小児期に発症した患者は複数の複雑な治療を受けることになるが、症候群の根本的な遺伝的原因を標的とする治療選択肢は限られていた。今回の結果を踏まえて著者は、「分子標的薬のレパートリーが増える中で、その長期的な効果を徹底的に調査することにより、腫瘍素因症候群の子供と大人におけるケアの目標はスクリーニングと早期発見から、将来的に腫瘍の治療、さらに予防へとシフトする可能性があるだろう」と述べている。NEJM誌2021年11月25日号掲載の報告。

高齢がん患者への高齢者機能評価介入、治療毒性を低減/Lancet

 進行がんの高齢患者への介入として、地域の腫瘍医(community oncology practice)に高齢者機能評価の要約を提供すると、これを提供しない場合に比べ、がん治療による重度の毒性作用の発現頻度が抑制され、用量強度の低いレジメンで治療を開始する腫瘍医が増えることが、米国・ロチェスター大学医療センターのSupriya G. Mohile氏らのクラスター無作為化試験「GAP70+試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2021年11月20日号で報告された。  本研究は、患者管理上の推奨事項を含む高齢者機能評価の要約を地域の腫瘍医に提供することによる介入は、意思決定の改善をもたらし、高リスクのがん治療による重度の毒性を軽減するとの仮説の検証を目的とするクラスター無作為化試験であり、米国の40の地域腫瘍診療施設が参加し、2014年7月~2019年3月の期間に患者登録が行われた(米国国立がん研究所[NCI]の研究助成を受けた)。

VHL病の腎細胞がんにbelzutifanが有効/NEJM

 フォン・ヒッペル-リンドウ(VHL)病はVHL遺伝子の生殖細胞系列の病的変異に起因するまれな常染色体性優性の遺伝性疾患で、良性または悪性の新生物と関連し、低酸素誘導因子2α(HIF-2α)の恒常的な活性化などにより生涯に患者の約70%が腎細胞がんを発症するという。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのEric Jonasch氏らは、VHL病患者の腎細胞がん治療における第2世代分子標的薬のHIF-2α阻害薬belzutifan(MK-6482)の有用性について検討した(MK-6482-004試験)。その結果、本薬の有害事象は主にGrad1または2であり、VHL病関連の腎細胞がんだけでなく膵病変や網膜・中枢神経系の血管芽腫にも抗腫瘍活性を有することが示された。研究の成果は、NEJM誌2021年11月25日号に掲載された。

固形がん患者へのブースター接種、抗体価の変化は?/JAMA Oncol

 積極的な治療を受けている固形がん患者では新型コロナウイルス感染症により予後が悪化するリスクが高く、また、化学療法を受けているがん患者ではBNT162b2 mRNAワクチン(Pfizer/BioNTech)による体液性応答が低下することが報告されている。今回、イスラエル・Hadassah Medical CenterのYakir Rottenberg氏らが、主に化学療法を受けた固形がん患者でのBNT162b2ワクチンの3回目(ブースター)接種後30日未満の体液性応答を調査したところ、ほとんどの症例でブースター接種後早期に抗体反応がみられたことがわかった。JAMA Oncology誌オンライン版2021年11月23日号に掲載。

接種勧奨再開のHPVワクチン、男性にも高い有効性

 副反応の報道により、2013年から個別接種の積極的勧奨が中止されていたHPVワクチンについて、国内外から有効性と安全性を認める報告が集積し、ついに2022年4月から積極的勧奨が再開される見通しだ。定期接種として無料で接種できるのは13~16歳の女子だが、同ワクチンが若年男性の感染症およびウイルス起因のがん予防に有効であるという報告が、The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版11月12日号に掲載された。  米国マウントサイナイ医科大のStephen E Goldstone氏らによる本研究は、4価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを用いた、16~26歳の男性1,803例を対象とした無作為化プラセボ対照試験。10年間の追跡調査で、HPV6または11に関連した外性器疣贅、HPV6、11、16、18に関連した性器病変および肛門異形成の発生率を評価した。

クイズ形式で慢性骨髄性白血病を知るプロジェクト/ノバルティスファーマ

 ノバルティス ファーマは、一般向けに慢性骨髄性白血病(CML)に対する正しい理解を促進するプロジェクト「C.M.L.PROJECT~ちゃんと・学んで・リンクする~」を展開しており、その一環として11月25日に啓発イベントを開催した。  プロジェクトの目玉は、テレビ番組やYouTubeで人気のQuizKnockのこうちゃん氏が考案した「CMLを知るためのクイズ」で、この日のイベントもクイズ王として有名な伊沢 拓司氏と俳優の鈴木 福氏がクイズに挑戦する、という形式だった。  出題されたクイズは7問で徐々に難易度が上がっていき、「10代がかかるがんの中で、白血病が占める割合は何位か。1)1位 2)2位 3)3位」(正解は1位)、「CMLの発症年代として比較的多いのは次のうちどれか。1)10代 2)30代 3)50代」(正解は50代)等の問題に出演者が挑戦した。

HPVワクチンの接種個別勧奨を自治体へ指示/厚労省

 11月26日、厚生労働省は「ヒトパピローマウイルス感染症に係る定期接種の今後の対応について」の通知を全国の自治体に向けて発出した。  同省は、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症に係る予防接種の積極勧奨について、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛が接種後に特異的にみられたことから、定期接種を積極的に勧奨すべきではないとし、平成25年6月14日発出の通知により接種の積極的な勧奨とならないよう留意するなどの対応を勧告してきた。  今回の通知はその勧告を変更するもので、先の平成25年の通知は廃止され、令和4年4月よりHPVワクチン接種対象者に予防接種法第8条に基づき勧奨を行うこととなる。

TRK阻害薬ラロトレクチニブ、NTRK陽性肺がんに奏効/日本肺癌学会

 まれな遺伝子変異である神経栄養因子チロシンキナーゼ受容体(NTRK)融合遺伝子を有するがんの治療薬として開発されたTRK阻害薬ラロトレクチニブは、NTRK融合遺伝子を有する肺がん患者にも奏効することが、第62回日本肺癌学会学術集会において名古屋大学の安藤雄一氏により発表された。  NTRK融合遺伝子陽性の固形がん患者159例を対象とした第I相および第II相のバスケット試験において、ラロトレクチニブは79%という高い奏効率(ORR)を示している。今回はこの中から肺がん症例を抽出し、ラロトレクチニブの有効性と安全性についての解析を行った。

ペムブロリズマブ+化学療法、食道がん1次治療に承認/MSD

 MSDは、2021年11月25日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)について、根治切除不能な進行・再発の食道癌に対する適応拡大に関する国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得した。  今回の承認は、化学療法歴のない根治切除不能な進行・再発の食道扁平上皮がんおよび食道腺がん並びに食道胃接合部(Siewert分類typeI)の腺がん患者749例(日本人141例を含む)を対象とする、国際共同第III相試験KEYNOTE-590試験の結果に基づいている。