精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:80

オキシトシンは本当に「愛情ホルモン」?

 「愛情ホルモン」と呼ばれるオキシトシンは、これまで考えられてきたほど社会的絆の形成に必要不可欠なものではない可能性のあることが、プレーリーハタネズミを用いた研究で示された。研究論文の上席著者である米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)ワイル神経科学研究所のDevanand Manoli氏は、「この研究結果は、オキシトシンが複雑な遺伝的プログラムの一つに過ぎないことを示すものだ」と述べている。この知見は、「Neuron」に1月27日掲載された。

日本人・小中高校生の頭痛有病率~糸魚川紅ズワイガニ研究

 新潟・糸魚川総合病院の勝木 将人氏らは、小児および青年期の頭痛、片頭痛、薬物乱用頭痛の有病率を調査するため、小学校から高校までの日本人学生を対象に、学校ベースのオンラインアンケートを実施した。また、片頭痛を引き起こすトリガーについて調査するとともに、頭痛頻度に対するCOVID-19パンデミックの影響も併せて検討を行った。その結果、小児および青年期において、頭痛による生活への支障は大きいことが明らかとなった。結果を踏まえ著者らは、頭痛の臨床診療におけるアンメットニーズを修正する必要があるとしている。Clinical Neurology and Neurosurgery誌オンライン版2023年1月20日号の報告。

双極性障害、うつ病、自殺企図へのT. gondiiの影響

 双極性障害、うつ病、自殺企図における寄生性原生生物トキソプラズマ(T. gondii)の潜伏感染の影響については長期間にわたり議論されているが、T. gondiiが脳や行動を操作する方法に関してエビデンスは不足しており、この推測は不明のままである。トルコ・イスタンブール大学のOmer Faruk Demirel氏らは、自殺企図を有する/有さない双極性障害およびうつ病患者へのT. gondii感染の影響を検討するため本研究を実施した。その結果、T. gondii潜伏感染は、双極性障害および自殺企図の原因と関連している可能性が示唆された。Postgraduate Medicine誌オンライン版2023年2月6日号の報告。

日本人統合失調症患者に対する長時間作用型抗精神病薬注射剤の有効性比較

 明治薬科大学のYusuke Okada氏らは、日本人統合失調症患者に対する各種長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬(アリピプラゾール、パリペリドン、リスペリドン、フルフェナジン/ハロペリドール)の有効性の比較を行った。その結果、アリピプラゾールとパリペリドンのLAIは、フルフェナジン/ハロペリドールと比較し、精神科入院およびLAI中止のリスクが低かった。また、アリピプラゾールLAIは、リスペリドンよりもLAI中止リスクが低いことも報告した。Schizophrenia Research誌2023年2月号の報告。

うつ病や高レベルの不安症状を有する患者に対するボルチオキセチンの最新分析

 うつ病患者の多くは、不安症状を合併している。デンマーク・H. Lundbeck A/SのMichael Adair氏らは、うつ病患者の不安症状の治療に有効であるといわれているボルチオキセチンが、承認されている用量の範囲で有効性および忍容性が認められるかを検討した。その結果、ボルチオキセチンは、前治療で効果不十分であった患者を含むうつ病および高レベルの不安症状を有する患者に対し、有効かつ良好な忍容性を示し、最大の効果が20mg/日で認められたことを報告した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2023年1月25日号の報告。

初発統合失調症患者の抗精神病薬の中止または継続理由

 統合失調症患者の多くは、初回治療で使用した抗精神病薬を中止する。初発統合失調症患者における治療中止の理由については、明らかになっていないことも多い。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のAnne Emilie Sturup氏らは、初発統合失調症患者における抗精神病薬治療の中止または継続の理由、それらの個人差、予測因子を特定するため、事後デザインによるプロスペクティブコホート研究を行った。その結果、抗精神病薬の中止の主な理由は副作用であり、継続の主な理由は効果であった。

アリピプラゾール長時間作用型注射剤切り替えの有効性

 急性期および慢性期の統合失調症患者を対象に、パリペリドンパルミチン酸エステルの長時間作用型注射剤(LAI)を含む第2世代抗精神病薬から月1回のアリピプラゾールLAIへ切り替えた場合の有効性について、韓国・全南大学校のSung-Wan Kim氏らが検討を行った。その結果、他の抗精神病薬からアリピプラゾールLAIへの切り替え成功率は高く、アリピプラゾールLAIの優れた忍容性と有効性が示唆された。また、精神病理や社会的機能の改善は、罹病期間が短い統合失調症患者においてより顕著に認められ、代謝異常の改善は、慢性期患者でより顕著に認められた。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2023年2月28日号の報告。

行政・学校・病院が連携して行う疾患啓発~糸魚川ジオパーク頭痛啓発キャンペーン

 頭痛は、一般的な公衆衛生上の問題である。その負荷を軽減するためには、頭痛に関する意識を高め、急性症状の管理や予防可能な薬剤を適切に使用することが求められる。しかし、一般の人々における頭痛に関する意識向上の研究は、これまでほとんど行われていなかった。新潟・糸魚川総合病院の勝木 将人氏らは、2021年8月~2022年6月に、2つの介入による「糸魚川ジオパーク頭痛啓発キャンペーン」をプロスペクティブに実施し、有効性の評価を行った。著者らは、本キャンペーンの実施により一般の人々の頭痛に関する認知率が向上したとし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でほぼすべての住民が集まるワクチン集団接種会場や、学校を基盤とした対面のないオンデマンドe-ラーニングでの疾患啓発活動は、きわめて効果的な方法であると報告している。Headache誌オンライン版2023年1月27日号の報告。

食物繊維の摂取とうつ病・不安との関係~メタ解析

 食物繊維の摂取とうつ病との関連について、これまでの研究結果には一貫性が認められていない。イラン・テヘラン医科大学のFaezeh Saghafian氏らは、食物繊維の摂取とうつ病および不安症との関連を明らかにするため、メタ解析を実施した。その結果、食物繊維の摂取が増加するほど、成人のうつ病リスクに対し保護的に作用することが示唆された。Nutritional Neuroscience誌2023年2月号の報告。  2021年5月までに公表された研究を、電子データベースよりシステマティックに検索した。食物繊維の摂取とうつ病および不安症との関連を調査した18件の研究(横断研究:12件、コホート研究:5件、ケースコントロール研究:1件)をメタ解析に含めた。うつ病に関する研究は、15件が成人を対象に、3件が青少年を対象に実施されていた。不安症に関する研究は、適格研究が不十分なため、分析には含めなかった。

血管性認知症やパーキンソン病認知症と尿酸値との関連~メタ解析

 中国・Shenyang Medical CollegeのQian Li氏らは、尿酸値と血管性認知症(VaD)およびパーキンソン病認知症(PDD)との関連を調査するため、メタ解析を実施した。その結果、尿酸値はPDDとの関連が認められたが、VaDとは認められなかった。著者らは、本研究がVaDやPDDの病態生理に関する知識を強化し、予防や治療戦略の開発促進に役立つことが期待されるとしている。Neurological Sciences誌オンライン版2023年1月24日号の報告。  2022年5月までに公表された関連研究を、PubMed、Embase、Web of Science、Cochrane Collaboration Databaseより検索した。プール分析、感度分析、出版バイアスの評価を実施した。すべての分析にSTATA 16を用いた。