日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1082

リラグルチドの血糖降下作用、膵β細胞機能の改善、体重増加抑制が明らかに

ノボ ノルディスク ファーマ株式会社は26日、第52回日本糖尿病学会年次学術集会(23日)において、新規2型糖尿病治療薬ヒトGLP-1アナログ製剤リラグルチドの2つの第3相試験の結果を発表し、両試験により、日本人2型糖尿病患者に対するリラグルチドの優れた血糖降下作用、体重増加抑制効果、膵β細胞機能の改善が示され、リラグルチドが現在の糖尿病治療の問題点を解決しうる新薬になる可能性が示されたと報告した。

早期乳がん術後補助化学療法におけるドセタキセル逐次投与の検討

早期乳がんの術後補助化学療法では、アンスラサイクリン系抗がん剤を含む標準治療にドセタキセルを逐次的に追加投与しても、標準治療のみに比べて生存ベネフィットの改善効果は得られないことが、イギリスGuy’s and St Thomas’ NHS TrustのPaul Ellis氏らが行った第III相試験(TACT)で明らかとなった。アンスラサイクリン系抗がん剤による術後補助化学療法は、1990年代に早期乳がんの切除術後の標準的化学療法として確立されたが、タキサン系抗がん剤の併用によってさらなる改善効果が得られるものと期待されていた。Lancet誌2009年5月16日掲載の報告。

経口rivaroxaban 1日1回投与が、人工膝関節全置換術後の新たな静脈血栓予防法に

人工膝関節全置換術後の静脈血栓塞栓症の予防法として、rivaroxaban 10mgの経口投与(1日1回)がエノキサパリン(商品名:クレキサン)30mgの皮下注(1日2回)よりも有意に優れることが、カナダMcMaster大学のAlexander G G Turpie氏らが実施した無作為化試験(RECORD 4)によって確認された。American College of Chest Physicians(ACCP)の勧告によれば、人工膝関節全置換術施行後は少なくとも10日間の静脈血栓塞栓症の予防治療が必要とされる。術式の進歩による入院期間の短縮化に伴い、簡便で有効な外来ベースの経口抗凝固薬の開発が強く望まれているという。Lancet誌2009年5月16日号(オンライン版2009年5月5日号)掲載の報告。

厚労省が「新型インフルエンザに関する診療報酬の取扱い」で事務連絡

厚生労働省は26日付けで、「新型インフルエンザに関連する診療報酬の取扱いについて」と題した事務連絡を各都道府県に発出した。先に22日付けで出した「ファクシミリ等による抗インフルエンザウイルス薬等の処方せんの取扱いについて」に関連する診療報酬の取扱いをまとめたもの。詳細は厚労省ホームページへ。http://www-bm.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei.html

禁煙成功の達成感は、フルマラソン完走に似ている!?

禁煙に成功した達成感のイメージは、「トレーニングの末、フルマラソン完走」「初めての富士山登頂達成」など、努力が実るイメージを重ねる人が多いという。また、成功の喜びをあらわす漢字二文字の熟語(自由回答)では「達成」「開放・解放」「爽快」など、禁煙達成の喜びだけでなく、常に喫煙場所を探さなければいけない等の喫煙習慣からの解放を感じていることが結果からわかった。

QAB149がCOPD患者の呼吸機能を改善する

ノバルティス ファーマ株式会社は26日、3つの重要な第III相臨床試験の結果によると、スイス本社が開発中の気管支拡張薬であるQAB149(一般名:indacaterol)は慢性閉塞性肺疾患(COPD: Chronic Obstructive Pulmonary Disease)の患者において、臨床的に意味のある呼吸機能の改善が投与5分以内に認められ、しかも24時間持続することが明らかになったと発表した。

乳児の細気管支炎、エピネフリン+デキサメタゾン併用療法で入院が減る可能性

 乳児に最もよく見られる急性感染症の細気管支炎(大半はRSウイルスが原因)には、エピネフリン+デキサメタゾン併用療法を行うことで、入院を有意に減らす可能性があるとの報告が、カナダから寄せられた。オタワ大学小児科のAmy C. Plint氏らPERC(Pediatric Emergency Research Canada)の調査による。北米での細気管支炎による入院は、ここ10~15年でほぼ倍増しており、入院医療費は1998年時点で約4億~7億ドルに上ると試算されている。一方で、細気管支炎への治療についてはなお論争の的となっており、気管支拡張薬とコルチコステロイド療法は広く行われているが、推奨はされていない。研究グループは、それら懸念や論争に一石を投じるべく、救急部門で行われている治療(エピネフリン吸入療法、短期のデキサメタゾン経口投与、もしくは両治療の併用)によって入院が減っているかどうかを調べた。NEJM誌2009年5月14日号より。

心房細動患者へのアスピリン+クロピドグレル併用療法

心房細動患者に対し、ビタミンK拮抗剤投与によって脳卒中リスクを減らせるが(64%、抗血小板剤は22%)、アスピリンと比べると頭蓋内・外出血リスクが高い(50~70%増)。一方、急性冠動脈症候群患者を対象とした試験で、アスピリン+クロピドグレル併用療法がアスピリン単独と比べて、血管イベント発症に関してベネフィットをもたらすことが証明されていることを受け、ACTIVE研究グループは、心房細動患者に対する同併用療法の有効性を検討した。NEJM誌2009年5月14日号(オンライン版2009年3月31日号)掲載より。

関節リウマチ患者の関節破壊の予防と身体機能の改善にアクテムラが有効

 中外製薬株式会社は25日、スイス・ロシュ社が行ったLITHE試験の新しい2年間のデータからACTEMRA(トシリズマブ、欧州販売名:RoACTEMRA)が、関節の構造的損傷の抑制と高い寛解率の維持に引き続き有効であると発表した。関節リウマチ(RA)患者の関節の構造的損傷の予防は、RA治療の有効性を図る重要な指標となる。

米国で初めての経口選択的バソプレシンV2受容体拮抗剤SAMSCA FDAより承認取得

大塚製薬株式会社は22日、米国で初めての経口選択的バソプレシンV2受容体拮抗剤「SAMSCA」(日本語表記:サムスカ、一般名/一般名英語表記:トルバプタン/tolvaptan)について、低ナトリウム血症(心不全、肝硬変、および抗利尿ホルモン不適合分泌症候群:SIADH)の適応症で、FDA(米国食品医薬品局) より5月19日(米国東部時間)に承認を取得したと発表した。

心臓死後の臓器提供、米国小児病院の約7割で独自方針あるが内容にばらつき

心臓死後の臓器提供に関して、調査を行った米国小児病院のおよそ7割で、独自の方針が整備されているものの、その内容にはかなりのばらつきがあることがわかった。また2割の病院では、調査時点で同方針を整備中だった。米国Utah大学小児科学部のArmand H. Matheny Antommaria氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年5月13日号で発表した。

高齢で肥満のがん患者、電話による食事や運動指導で身体機能スコア低下を緩和

高齢で肥満のがん患者に対し、電話や郵送による食事・運動指導を行ったところ、1年後の身体機能スコアの低下が緩和できたという。QOL(生活の質)も向上し、体重も減少していた。これは、米国Duke大学高齢者センターのMiriam C. Morey氏らの調査で明らかになったもので、JAMA誌2009年5月13日号で発表した。

バリキサに臓器移植と悪性腫瘍におけるサイトメガロウイルス感染症への効能・効果追加承認

田辺三菱製薬株式会社は21日、抗サイトメガロウイルス化学療法剤「バリキサ錠450mg(一般名:バルガンシクロビル塩酸塩)」について、5月20日付で効能・効果の追加に係る承認事項一部変更承認を取得し、これまでの「後天性免疫不全症候群(エイズ)患者におけるサイトメガロウイルス網膜炎の治療」から、「後天性免疫不全症候群、臓器移植(造血幹細胞移植も含む)、および悪性腫瘍におけるサイトメガロウイルス感染症」の効能・効果となったと発表した。

下気道感染症への不必要な抗生物質処方が低減、その対策とは?

一般医(GP)がC反応性蛋白(CRP)検査を行い、コミュニケーション技能を鍛錬すれば、下気道感染症への抗生物質の処方が低減することが、オランダMaastricht大学医療センター一般医療科のJochenWL Cals氏らが実施した無作為化試験で明らかにされた。下気道感染症による咳嗽は抗生物質処方の最も一般的な理由の一つだが、プライマリ・ケアではその多くが患者にベネフィットをもたらしていない。不必要な抗生物質処方の最大の要因は、診断の不確実性や患者の期待だという。BMJ誌2009年5月9日号(オンライン版2009年5月5日号)掲載の報告。

「高齢」を理由に、脳卒中の2次予防を避けてはならない

高齢の脳卒中患者に対するプライマリ・ケアにおけるルーチンの治療では、年齢による効果の変動に関するエビデンスはないため、「高齢」を理由とする過少治療(under-treatment)は正当化されないことが、イギリスで行われたコホート研究で明らかとなった。公衆衛生学における薬物療法の役割に関する最近の研究は、冠動脈心疾患による死亡率の低減に焦点が当てられ、脳卒中などの定量的な検討はほとんど行われていないのが現状だという。ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ疫学・公衆衛生学のRosalind Raine氏らが、BMJ誌2009年5月9日号(オンライン版2009年4月16日号)で報告した。