うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学

提供元:ケアネット

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公開日:2013/08/02

 

 大うつ病性障害(MDD)の寛解予測について、特定の抑うつ症状の早期改善が指標として有用である可能性が、慶應義塾大学病院精神・神経科の櫻井 準氏らによる解析の結果、示された。これまで、MDDのアウトカムの予測に際して、個々の抑うつ症状が検討の材料となるのか明らかではなかった。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2013年7月22日号の掲載報告。

 本検討では、特異的な抑うつ症状が、その後の臨床効果を予測できるかについて明らかにするため、各症状の経時的変化を評価することを目的とした。Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression(STAR*D)試験に最長14週間参加しシタロプラム(国内未承認)を服用していた非精神病性MDD外来患者2,874例のデータを解析した。各症状の経時的な変化の平均値を、寛解群と非寛解群について算出し評価した。さらに、2週時点で寛解を予測した抑うつ症状を、ロジスティック回帰分析法にて特定した。

 主な結果は以下のとおり。

・すべての抑うつ症状について、寛解群と非寛解群の経時的変化は有意に異なった。
・両群においてQIDS-SR16(16-item Quick Inventory of Depressive Symptomatology, Self-Report)のすべての抑うつ症状が、2週間で大きく改善し、その後14週間は漸進的に改善が継続した。ただし、これは非寛解群における過眠症と体重変化については当てはまらなかった。
・寛解と有意に関連していたのは、QIDS-SR16の次の5つの症状の早期の改善だった。関連が大きかった順に、悲しい気分(p<0.001)、陰性自己評価(p<0.001)、感情の鈍化(p=0.001)、活力低下(p=0.004)、落ち着きのなさ(p=0.021)であった。
・本検討は、参加者をシタロプラム服用の非精神病性MDD外来患者に限定したものであった。また抑うつ症状について治療が開始された時点での評価が行われていなかった。
・上記の点で解析データは限定的であったが、特定の中心的な抑うつ症状の早期改善が、その後の寛解の予測因子として有用である可能性が示された。

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(ケアネット)