双極性障害、再入院リスクの低い治療はどれか

提供元:ケアネット

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公開日:2017/01/05

 

 気分安定薬(MS)による抗精神病薬補助療法が再発予防につながるとされる概念は、双極性障害(BD)患者における少数の自然主義的研究により支持されている。イスラエル・テルアビブ大学のEldar Hochman氏らは、MS(リチウムまたはバルプロ酸)単独療法または非定型、定型抗精神病薬補助療法により退院した双極性障害I型の躁病患者における1年間の再入院率を比較した。Bipolar disorders誌2016年12月号の報告。

 2005~13年に躁病エピソードで入院したBD I型患者201例を対象に、退院時の治療に応じて1年間の再入院率をレトロスペクティブに追跡調査した。退院時の治療は、MS単独療法、非定型抗精神病薬+MS療法、定型抗精神病薬+MS療法に分類した。また、治療群間で1年間の再入院期間も比較した。再入院に影響を及ぼすことが知られている共変量を調整した多変量生存分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・非定型抗精神病薬+MS療法における1年間の再入院率(6.3%)は、MS単独療法(24.3%、p=0.008)、定型抗精神病薬+MS療法(20.6%、p=0.02)と比較し、有意に低かった。
・非定型抗精神病薬+MS療法における再入院までの期間(345.5日)は、MS単独療法(315.1日、p=0.006)、定型抗精神病薬+MS療法(334.1日、p=0.02)と比較し、有意に長かった。
・非定型抗精神病薬+MS療法における調整後の再入院リスクは、MS単独療法と比較し、有意に低下した(HR:0.17、95%CI:0.05~0.61、p=0.007)。

 著者らは「BD躁病エピソード患者の再入院を予防するためには、MS単独療法よりも、非定型抗精神病薬+MS療法のほうが効果的であると考えられる」としている。

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