ペニシリンアレルギーがあると考えられていた患者が、検査で実際にはアレルギーはないと判定された場合、ペニシリンアレルギーに関する警告は診療記録や薬局の登録情報から削除されるはずである。しかし、そのようなラベルが常に外されているわけではないことが、新たな研究で明らかにされた。NYUランゴン・ロングアイランド病院のAlthea Marie Diaz氏らによるこの研究結果は、米国アレルギー・喘息・免疫学会(AAAAI 2023、2月24〜27日、米サンアントニオ)で発表され、要旨は、「The Journal of Allergy and Clinical Immunology」2月号(増刊号)に掲載された。
Diaz氏は、「ペニシリンアレルギーのラベルは医療費の増加や有害事象と関連している。ペニシリンアレルギーがあるとラベル表示されている患者であっても、多くの場合、ペニシリンを服用しても問題は生じない。しかし、たとえアレルギー検査で陰性が確認された後でも、そのラベルが残ったままになっている例をわれわれは目にしている」と話す。
この現状を調査するために、Diaz氏らはNYUランゴン・ロングアイランド病院で2019年5月から2022年5月の間に皮膚検査と経口負荷テストで陰性と判定され、電子医療記録(EMR)からペニシリンアレルギーのラベルを外された11歳以上の患者を対象に、後ろ向き研究を実施した。患者には、検査結果の記されたカードが付与されていた。また、検査結果を伝える書状が、患者のプライマリケア医と患者が利用している薬局宛に送付されていた。研究グループは、EMRを再調査するとともに、患者と薬局に対してペニシリンアレルギーの状況や抗菌薬の処方内容に関する電話調査を行った。
EMRからペニシリンアレルギーのラベルを外された患者として78人が特定され、その99%は再調査時にもラベルが外されたままであった。しかし、薬局の登録情報では、24人(31%)がペニシリンアレルギーのある患者として登録されたままであった。
78人のうち、68人が電話での調査に応じた(その他は、9人が追跡不可、1人が死亡)。調査では、ペニシリンアレルギーの検査で陰性だったことを思い出した人が66人(97%)に上った。このうちの30人(44%)は陰性の結果後に、ペニシリンを服用したことを報告したが、31人(46%)はペニシリンを処方されないままであること、4人(6%)はペニシリンを回避していることを報告した。また、残る3人は使用した抗菌薬が不明であった。
Diaz氏は、「ペニシリンアレルギーのラベルを外すことに関して、これまでに大きな進歩を遂げてきたが、まだまだ改善の余地が多く残されている。われわれは、ペニシリンを服用しても安全な患者に貼られたペニシリンアレルギーのラベルが完全に外されないのはなぜなのか、その妨げとなっているものについて今後も調査を進め、それに対処するための戦略を練る必要がある」とAAAAIのニュースリリースで語っている。
[2023年2月14日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら