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【速報!AHA2012】 期待の『抗PCSK9抗体』の最大規模第II相試験、報告される -LAPLACE-TIMI57試験-

今回のAHAで最も注目されている薬剤は、抗PCSK9抗体だろう。強力な新規LDLコレステロール低下薬としての可能性が、多くの臨床試験で報告されている。6日のClinical Science:Special Reportでは、抗PCSK9抗体AMG145を用いた最大規模の第二相試験"LAPLACE"の、最終結果が、ハーバード大学(米国)のRobert P. Giugliano氏により報告された。

骨粗鬆症治療薬アドヒアランス良好でも骨折リスクが高い患者の特性が明らかに

骨粗鬆症治療薬アレンドロネートの服薬遵守により過剰なリスクは軽減されるが、多くの患者の骨折リスクは高いまま残存する。南デンマーク大学のAbrahamsen B氏らは、それら患者の特性を明らかにするため、全国処方レジストリデータを分析し、骨粗鬆症性骨折の新たなリスク因子の同定を行った。

【速報!AHA2012】同時複数箇所焼灼カテーテルを用いた腎動脈アブレーションの安全性:降圧効果は?:EnligHTN 1

近年、Symplicityカテーテルを用いた腎動脈アブレーションの、薬物治療抵抗性高血圧に対する著明な降圧作用が報告されている。今回、EnligHTNカテーテルを用いても、同様の有用性を期待できることが明らかになった。パイロットスタディ "EnligHTN I" の結果として、4日のClinical Science: Special RepoertsセッションにてVAメディカルセンター(米国)のVasilious Papademetriou氏が報告した。

【速報!AHA2012】CETP阻害薬によるHDL-C増加、今度は有用性を示せたか?:dal-OUTCOMES

4日のLate Breaking Clinical Trialsセッションでは、本年6月に中止が公表された大規模試験 "dal-OUTCOMES" の結果が報告された。急性冠症候群(ACS)既往例において、ダルセトラピブは、HDLコレステロール(HDL-C)を著明に増加させながら、心血管系イベント抑制作用はプラセボと同等だった。VAメディカルセンター(米国)のGregory G Schwartz氏が報告した。先行していたCETP阻害薬トルセトラピブがILLUMINATE試験にて、プラセボに比べ総死亡と心血管系イベントを有意に増加させていたのとは、若干異なるようだ。

京都で国際的な糖尿病学会が開催、11月24日~

 5日、第9回国際糖尿病連合西太平洋地区会議(会長:清野 裕 氏)と第4回アジア糖尿病学会学術集会(会長:堀田 饒 氏)は、2012年11月24日~27日の4日間、国立京都国際会館にて合同で学術集会を開催することを発表した。この日、演題には学会長である清野氏、堀田氏ほか、事務局長の稲垣 暢也 氏、副会長の門脇 孝 氏、立川 倶子 氏、司会は田嶼 尚子 氏と錚々たる顔ぶれ。

新規ワクチン導入は既存ワクチン接種に影響を及ぼさない

国の予防接種プログラムへの新規ワクチン導入に際しては、その効果や保健医療制度への影響について異議を唱える声が聞かれる。とくに既存ワクチン接種への影響について疑念を持つ向きがある。カナダ・マックマスター大学のShearer JC氏らは、新規ワクチン導入の既存ワクチン接種への影響について187ヵ国の状況を調べた。Vaccine誌オンライン版2012年10月22日号の掲載報告。

アンチエイジングHGH療法を利用した50歳夫婦がともにメラノーマを発症

Handler MZ氏らは、ヒト成長ホルモン(HGH)療法を利用した夫婦がともに使用開始3ヵ月後にメラノーマを発症した例を報告した。これまでにHGHあるいはインスリン様成長因子-1(IGF-1)が、種々のがんの悪性転化や進行を担うことは示されている。また、HGHはメラノーマの病因に結びついていることでも知られ、良性、悪性を問わずメラニン細胞の臨床的増殖を手助けすることが示唆されている。

【速報!AHA2012】心筋梗塞後慢性期に対するキレート療法、有用性を確立するには至らず

米国では、理由は不明だが、冠動脈疾患に対するキレート療法の施行数が増加しているという。しかしながら、その有用性は確認されていない。驚いたことに、有用性を示唆する機序さえ未確定だという。そのため、心筋梗塞後慢性期を対象とする無作為化試験TACT(Trial to Assess Chelation Therapy)が、NIH(国立衛生研究所)の出資により行われた。その結果、有意差はついたものの、キレート療法がプラセボに勝る有用性を確立するには至らなかったようだ。3日のLate Breaking Clinical Trialsセッションにて、マウントサイナイ・メディカルセンター(米国)のGervasio A. Lamasが報告した。

倫敦通信(第2回)~医療と護身術

 星槎大学客員研究員 インペリアルカレッジ・ロンドン公衆衛生大学院客員研究員 越智 小枝(おち さえ) 2012年11月5日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 先日一時帰国した際、薩摩の野太刀自顕流の伝承者である島津義秀さんとお話しさせていただく機会がありました。攻撃してくる相手を倒すための実践的なお話を色々聞けたので、「看護学部でも是非教えてあげたいですね」と言ったところ、「そんなに必要ですか?」とすこし驚かれたご様子でした。病院で起こる暴力行為は世間ではまだあまり認識されていないのかな、という印象を受けました。

【速報!AHA2012】待機的ステント留置例におけるVerify-Nowによる血小板活性測定の有用性、認められず:ARCTIC

近年、ex vivoの血小板活性簡易測定キット(VerifyNow)が開発された。これにより、クロピドグレル不応例などに対するより効果的な抗血小板療法の実現が期待されたが、2つの無作為化試験(GARVITAS、TRIGGER-PCI)では、薬物溶出ステント(DES)留置後にVerifyNowを用いて抗血小板療法を調節・変更しても、有用性は従来のクロピドグレル療法と差がなかった。

レベチラセタム、部分てんかん患者に対する1年間の使用結果レビュー:聖隷浜松病院

 本邦で2010年9月に承認された新規抗てんかん薬レベチラセタムについて、聖隷浜松病院の山添氏らが臨床での有効性と安全性を評価した結果、「部分てんかんに対して忍容性が良好であり、補助的療法として有効であった」ことを報告した。Brain Nerve 誌オンライン版2012年10月号の報告。  レベチラセタム(LEV)の日本発売以降の約1年間(2010年10月~2011年8月)の聖隷浜松病院のデータベースを用いて、有効性と安全性について後ろ向きに検討した。16歳以上の患者132例のデータのうち、部分てんかん112例、全般てんかん19例についてレビューを行った。

重度骨折では術前血管造影を行うべき

Gustilo IIIC外傷については、その定義のコンセンサスが求められており、また重度開放脛骨骨折のアウトカムに関する血行障害の影響について調査されている。英国 Frenchay HospitalのChummun S氏らは、約3,300人の形成および整形外科医から患者データを集め、血行障害とアウトカムとの関連について評価を行った。その結果、血行障害は肢機能に影響を与える独立した因子であることが示される一方で、医師の半数近くが血管損傷は無関係だと考えていることなどが明らかになった。

ロタウイルス遺伝子型の頻出、G3P[8]型が約6割

ロタウイルスは、世界的にみても乳幼児における重度の下痢の最も主要な原因であるが、2009~2011年にタイ国で最も猛威をふるったロタウイルスの遺伝子型はG3P[8]型であり、約6割を占めていたことが明らかになった。タイ・Chulalongkorn UniversityのMaiklang O氏らの報告による(Southeast Asian J Trop Med Public Health誌2012年7月号)。なお、関連報告(2007~2009年動向調査)によると、前2年間のG3P[8]型の出現頻度は0.6%であり、最も頻出していたロタウイルス遺伝子型はG1P[8]型で約5割だったことが報告されている。

うつ病の既往歴がある患者に対する禁煙治療は難しい?!

大うつ病の既往は、禁煙治療中あるいは治療後の禁煙継続に悪影響を及ぼすことが報告された。米国・ノースウェスタン大学ファインバーグ医学校のHitsman氏らによるメタ解析の結果で、以前(2003年)の解析のアップデート報告。当時の報告では、大うつ病既往は禁煙治療に影響しないことが示されていた。今回の解析結果を受けて著者は、大うつ病喫煙患者には、この点に注目した効果的な治療もしくは適切な治療を見極めることが必要だと提言している。Addiction誌オンライン版2012年10月16日号の報告。

だいじょうぶか安房医師会:無料低額診療に反対する理由がひどい (その1/2)

 亀田総合病院副院長 社会福祉法人太陽会顧問 小松 秀樹 2012年10月31日 MRIC by 医療ガバナンス学会 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 ●原徹文書 2012年10月9日、安房医師会理事会(会長、副会長以外に6名の理事が出席)において、原徹安房医師会副会長が「安房地域医療センター 無料低額診療施設としての位置付けに関して」と題する文書を配布した。原徹医師は、千葉県医師会副会長であり、日本医師会代議員でもある。医師会活動に長年取り組み、医師会内で地位を獲得してきた。理事会では、間宮聰会長と3名の理事が、原徹文書の論理に沿って、安房地域医療センターで計画されている無料低額診療に対する反対意見を述べた。

HPVワクチン接種を受けた少女、その後の性交渉に変化はみられるのか?

HPVワクチン接種を受けた少女と受けなかった少女について、その後3年間の性交渉に関連した受診動向について後ろ向きに比較した結果、接種群の複合アウトカムリスク(妊娠/性感染症の検査または診断、避妊カウンセリング)の増大は、認められなかったことが報告された。米国のHMOカイザーパーマネント南東部ヘルスリサーチセンターのBednarczyk RA氏らによる報告で、これまでHPVワクチン接種後の性交渉の変化について自己申告に基づくサーベイ調査はあったが、臨床的指標を用いた調査はこれが初めてだという。Pediatrics誌オンライン版2012年10月15日号の掲載報告。

小学生の日焼け止め塗布量、中央値0.48mg/cm2で大人と同程度

オーストラリア・クイーンズランド工科大学公衆衛生校のDiaz A氏らは、小学生の日焼け止めの塗布量と年齢、および容器との関連についてクロスオーバー試験を行った。その結果、塗布量は製品推奨では2.00mg/cm2だが中央値0.48mg/cm2未満であり、ポンプ入りの日焼け止め利用者が最も厚塗りだったが、それでも1.00mg/cm2未満で大人と同程度であったことが明らかになった。Arch Dermatol誌2012年5月号の掲載報告。

複数部位筋骨格痛の鑑別は主要な痛点をベースに

複数部位の筋骨格痛を訴えるケースは多いが、南デンマーク大学のHartvigsen J氏らはそれらの特異的パターンの定義を行った。その結果、「特異的パターンは、主要な痛点をベースに判定することが可能である。疼痛の主訴が脊椎にある人のほうが四肢にある人と比べて複数のパターンがみられる」ことを報告した。複数部位に起こる疼痛はネガティブな予後を予感させるが、これまで特異的な疼痛パターンに関する情報は十分ではなかった。